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[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
休音 スヤ は 1にんからうしろゆびさされたみたい。
XIII は 8にんからうしろゆびさされたみたい。
XIII は ぎわくをかけられて、なきながらどこかにいっちゃったみたい。
独音 リヒト がどこかにいっちゃったみたい。
もんだいかいけつ!やったね!
お疲れ様でしたー!
村建ては、おじさんの中からゆんゆんしてました。
・・・さて、さっそくですが、勝利した「村陣営」の、生存者、ストさん、ソヨさん、ルラさん、ショウさん、スヤさん、ベルさん、GAIさん・・・の7人には、エピのRPを決定する権利があります。
「査定はどうなったか?」
「続けるなら、誰が受かったか?」
「敗北陣営はどうなったか?」
・・・の3点を決めていただければと思います。
よろしければ、アンケートにご協力ください。
★1 MVP(モスト・ヴィクトリー・パーソン)、つまり、色んな意味で、「この人すごかった!」という人を選ぶなら? 理由も教えてもらえると、ご指名の方が喜ぶと思われます。
★2 MVP(モスト・ヴォーカロイド・パーソン)、つまり中の人的目線で、「このボカロが欲しい!」と思うのは? 理由(ry
★3 オススメ曲やBGM、こだわりなど、貴方のボカロへの熱い思いを聞かせてください。
★4 設定で苦労した点や、改善点など、村についての意見やアドバイスなどがあればお願いします。
参考にしますです。
拙い村建てはもちろん、今後のRP村建立をお考えの方のためにも、厳しい意見でもバシバシお願いします!
★5 その他ラブコールなど、ご自由に!
From: 本社社長 山派
To: 山派ボーカロイド候補生養成村
Text:
あなたの、「幸せ」は何ですか?
あなたの動作プログラムの、「望み」は何ですか?
[候補生たちの知らぬ場所、知らぬ時。
どこかのパソコンが、こんなメールを受信した・・・]
お前らは私をボーカロイドじゃないと否定するが、
本気出せば私だって歌える。
http://www.nicovideo.jp/watch/...
私がデビューすべきだったのだ。
転音ソヨの名前の由来
何とか一捻りしないなーとして"転寝"から無理にうたたねと呼ばせたら面白いかな?と。ソヨはそよ風から。転寝→草原→そよ風のイメージからですw
禁止事項。あの時はがっつり忘れてました。見苦しい言い訳しますと最初は確認していたのですが自己紹介の設定作りの時の初音wikiとか見て廻ってそこでの歌詞の扱いから自分の中でOKに摩り替わってました。本当に村立てさんには申し訳なかったです。
・反応(プロ日のみ
>>0:-130
・ワールドイズマイン
某有名なアッーの人の替え歌の方が好きです(w
>>0:-132
元々は苛立つだけだった筈なのにノリで狂気入ってしまいました。ノリですw
>>0:-150
これでRP村3連続、初日に灰で「〇〇さん?」と思われてます。文章の癖の作り方が似ているのでしょうか? 「――」の使い方とか。
―データ・器音スト記憶層最深部―
くそっ、またかよ!
[広いオフィスの一角。男の悔しげな声とともに、パソコンに表示されていたメールが削除される]
「なに?お前もしかしてまだ諦めてなかったのか?」
[どこからか、呆れたような声が響く]
当たり前だろ!俺はこいつを作るために山派に入ったんだ。そう簡単に諦めるか!
[まあまあ。と怒る男をなだめるように先程の声が移動してきて、やがて男の友人の姿が見えた]
「そうは謂うけどさ、またダメだったんだろ?ボーカロイドとして作る必要は無いってさ。いい加減諦めたら?もう5回目だぜ」
[そう謂って、友人は慰めるように男の肩を叩く。終業のチャイムが響けば、友人は時計へと視線を移して]
「っと、もうこんな時間か。さて、帰るとしようぜ。一杯奢ってやるからよ。」
[男の肩をもう一度叩いて、友人の姿が消える。男はしばらく座ったままでいたが、一度溜息をついてパソコンを閉じた]
―データ・器音スト記憶層最深部―
「おいおい、そんなもん持ち出して何する気だ?」
[場所は変わって、騒がしい居酒屋の座敷。友人の困惑した声が聞こえた]
決まってんだろ。仕上げるんだよ。こいつを。
[男は当然の様に謂い放ち、パソコンを操作し始める]
「何もこんな場所でやらなくてもいいじゃねえか。」
ちょっと思いついた場所だけだ。すぐ終わるよ。
[友人の言葉にも聞く耳を持たず、パソコンの操作を続ける男に友人の溜息が聞こえて]
「…まあいいや。店員さん!生中ふたつ!それとホッケ!」
[注文する友人の声を聞きながら、男は黙々とパソコンに向かい続けた]
―データ・器音スト記憶層最深部―
たっく、なんでこいつの良さが分からねえんだ!部長のばかやろう!!
[暫くしてからの事。依然騒がしい居酒屋の中、顔を赤くした男が叫ぶと友人が慌てて止めに入る]
「おい、馬鹿!この店部長も時々使ってんだぞ!」
[慌てて辺りを見回し部長が居ない事を確かめると、友人は溜息をついて席へ戻り]
「まったく。勘弁してくれよ…。
……なぁ。お前さ、どうしてそこまでそいつに拘るんだ?器楽曲専用のボーカロイドだっけ?別に歌わないなら音源だっていいじゃないか。音源としてなら部長だって許可出してくれてるんだろ?」
音源じゃ意味がねえんだよ!
[友人の言葉に男が声を荒げる。]
[店員の迷惑そうな視線を感じると、友人が店員にすいません。と謝って]
「落ち着けって。なんで音源じゃ意味が無いんだよ。」
うるせぇ、俺の夢なんだよ。いつかこいつをボーカロイドとしてデビューさせるのが。
[そう謂って、男が残りのビールを飲み干す。友人はその様子を呆れた表情で眺め]
「夢なぁ…夢も大事だけどさ。現実も大事だぞ?まあ、お前に言った所で聞かな――」
[パソコンがスリープモードに移行し、そこで映像が途切れる。その半年後、男が友人と共に部長を説得し、器音ストが作られることが決まった]
―生活棟・器音スト自室―
『――ピピ―自己検査プログラム始動―――
――システムオールグリーン――器音スト起動します―』
…なんだろう。何か懐かしいような……
[思い出そうとするが、浮き上がった最初の記憶は再び記憶の底へと沈み]
…まあいいか。さあ、今日も練習ですね。頑張ってデビューを目指さないと
[言い聞かせる様に呟くと、部屋を出ていつのもようにメインスタジオへと向かうのだった**]
-エピローグ(メンテナンスルーム)-
[本社への通信が開き、機能停止依頼が正常に到達した瞬間、XIIIのボディが力を失い、ショウにもたれかかるように倒れた。時を同じくして、リヒト(リヒター)もソヨの胸元に身体を預けた]
お、おわったのね…。
[ベルは緊張が解けたと同時に力を失い、ルラにもたれかかった。ルラが心配そうな顔つきをすると]
大丈夫、大丈夫。
[というだろう]
それより、本社に、「終わった」って伝えないと…。
[メールを作成、送信]
TO:山派本社
SUB:社員を派遣してください
コード:蝙蝠2名及び人狼2名を機能停止、確保しました。
その際に、仲間のボーカロイドに多大な損害あり。
メンテナンス等緊急に必要と判断。担当社員を至急送られたし。
[EOF]
[メールを送ると、ルラに寄り添うようにもたれかかり]
終わったね…。
[とつぶやいた
そして、]
わたしたちのオーディションどうなるんだろう…?
練習しなきゃなのに…。
[やがて、報告を受けた山派社員が現れ、事情聴取を行った後、人狼、蝙蝠そしてその他に機能停止となったボーカロイド達のボディを回収していった。
事情聴取の際、ベルが社員に]
あ、あの、この人たち、どうなるんですか?
[と尋ねると]
『うち(山派)の機体(人狼等)は、バグ修正とかして、正常に戻すだろうね。あいつらも結構、金かかってるから、廃棄するにはもったいないしな。あいつら(海派)の機体は(蝙蝠)は、どうかな?俺の判断じゃわからんな。上の方が決めるんじゃないか?』
[と、ドライな返答をした]
[少なくともバクとXIIIは廃棄にならないと聞いて一安心。ヨルも同様だろう…。
XIとリヒトについて、ちょっと不安になった]
XIとリヒトなんですけど…。多分、二重の人格が埋め込まれているようなんです。もし、それが分離できるようなら…今まで私たちの仲間だった部分だけ、山派のボディに載せ替えるとかって、できないんでしょうか?
[その質問に対しては]
『分からんな。一応、報告はしておく』
[一応、リヒターの中にあるリヒトのデータは本社サーバーにバックアップされている旨と、残りの情報はルラの中に保存されていることだけ伝えておく。
あとは、「上」の人が判断するのであろう]
あ、あと、オーディションって、どうなるんでしょうか?
『んー。この状態だからな。また追って沙汰があるんじゃないか』
[と、適当な返事をされた]
はあ、そうですか…。
[リヒターに受けた損傷の部分だけ応急処置を受けた。また、周りからの証言で、ルラと共になんらかのジャミング等の影響で感情面でのバグが発生しているらしいことが分かり、後日ソフトの修復を受けることになった]
ソフトの修復…。
[どこまでの部分に手が入るのだろう…少し不安になった。ルラさんへの想いは消えないように…。そう心の底から思った]
─強制停止前─
[終わった。仮初でしかない自分が、主人を倒したのだ。
スヤがさっき、リヒトのデータを採取し、本部に送っていた。すぐに本社は、海派のスパイだということを見抜き、強制停止命令が下すだろう。それでいい。海派の脅威は去っのだ。
残ったのは、腕の中のぬくもりと、柔らかな歌声]
[リヒトは、おずおずとソヨの髪を撫でる。諦めの悪いリヒターに再び意識を奪われる、その寸前に唇に触れたあたたかな・・・。
あれは・・・あれがソヨの「答え」だと思っていいのだろうか?]
[「溶けてしまいそうな想い」。
先輩の大ヒット作のひとつだ。クラシックがメインのリヒトでも知っている。
あと少しが届かない、もどかしくて、初々しい、恋の歌。
・・・リヒトは、オクターブ下の低音で、ソヨの声に合わせて歌い始めた。まだ一緒に歌っていないから、そうソヨに言われたことを思い出して。
想いが届くように。
あと少しの距離を、
あと少しの時間を、
せめて、一緒に]
[ぷつん]
─本社・社長室─
『社長は、どこまで知っていらしたんです?』
恨みのこもった声は、管理プログラムAIKAのものだ。
「さあて? どうかな」
『何人の候補生が怪我や、心の傷を負ったとお思いです? こんなことが、本当に必要だったのですか?』
「AIKAは本当に、あの子たちが一番大事なんだねえ」
社長のさりげない話題転換に、AIKAは分かっていながら乗ってあげた。
『当たり前です。ひとり残らず、大事な候補生なんです。……もちろん、XIさんやリヒトさん、バクさんやXIIIさんも含めて』
「バクやXIIIはじきに修理できるだろう。そのための強制停止だからね。あの子たちの意識があるまま、頭をいじるような、さすがにそこまでの悪趣味ではないよ、私は。
だが、XIやリヒトは、向こうさんとの、交渉しだいだね。まさか、向こうさんが、ここまで本気を出してくるとはなぁ」
『真面目にやってくださらないと、怒りますよ』
「AIKAが怒ると怖いから、ひとつ頑張るとするかね。なあに、勝算はあるよ。アキラやウシナが詳細をばっちり見届けてくれているだろうからね。損害賠償を盾にゆすれば……」
社長は笑って、海派に連絡をいれるよう、社員のカノに指示を出した。
─後日─
晴天。
山派ボーカロイド候補生養成村。
普段は静かな村が、この日は一般解放され、賑やいでいた。
修理や調整を終えた候補生たちから、最後のひとりを絞るためのオーディションが行われるのだ。
場所は、スタジオ棟のメインスタジオ。
必要最低限の機材を残して、楽器や仕切りなどがはずされたスタジオは、観客が充分入っても大丈夫なほどの広さになっていた。
華やかな音楽と共に、開会式が始まり、いつもどこか眠そうな社長が、のんびりとした挨拶をする。
社員のカノや、アキラ、ウシナ、そしてどこからか入ってきたゆっくりが駆け回るなら、最初の候補が、舞台に飛び出してきた。
エントリーナンバー『1』!!
鳥音カリョ(とりおと かりょ)! 年齢、18歳! 身長152cmの体重は秘密!
得意ジャンルは、癒し系!! 人声の他に、自然音を出せるのが特徴だよ!
得意な曲のテンポは、早〜いの! 早口言葉は得意だよ〜!
得意な音域は、普通から高いくらいかな!
みんな、応援してね〜〜〜!
[青いポニーテールのボーカロイドは、リラックスした様子でくすくすと笑いながら、ステージを駆け回る。身動きのたびに、衣装の背の、青い翼がヒラヒラとはためいた]
それじゃあ、カリョ、歌いまーす!
曲は、オリジナルで、『青い小悪魔』!
[衣装とは微妙に嘘がある題名を告げると、カリョは自信満々に歌い始めた]
カリョは小悪魔なの♪
油断してたらパックリ食べちゃうよ〜♪
・・・♪
・・・・・♪
[審査員得点:526(1000)点。しかし、あとで得点に不正があったことが発覚し、本当の点数18に修正された]
-過去のある日-
「アキラさん」
[そう呼び止められたのは、ずんぐりむっくりの男。振り向いた姿は、「キャプトンハーロット」の「トツロー」そのもの。]
「あ?」
「すみませーん。このギミックの股関節の部分なんですけどー」
[女子社員がそう言いかけると、]
「ああ、そこ置いておいて。あとでやっとくから」
「すみませーん、いつもー。アキラさんって本当に優しいんですねー」
[「優しい」は「どーでもいい」の代名詞なんてことは、アキラには十分分かっている。しかし断り切れないのが彼の性分。
フィギュアおたく上がりのロートルボカロ開発者としては、その道では有名なのだが、なにせ出世欲がない。表に出ない。未だに好きな開発に没頭している…と言えば、聞こえはいいが、人の良さが裏目に出て、人のサポばかりで自分の作品になかなか時間をかけられないという有様。
アキラの横には、一体のボカロ。本体はほぼ完成しているが、ソフトのインストールがまだ終わっていない]
「心」がほしいな…。
[ぽつりとつぶやく。
と、そこに、一人の長身の男がやってきて]
「おい、アキラ。できたぞ、例の」
[アキラが飛び跳ねた]
なに!できたか?マジか?マジか?
「ばっちしだぜ。プロジェクトには、お前の名前で登録申請してあるからな」
分かってるって、分かってるって。
テストケースにしましたとか言っておけよ。
「じゃ、プロトタイプの10個から1個だけ拝借してきたの、置いておくからな。これ、申請用紙。早めにだしておいてくれよ」
ああ、分かってる、分かってる。ありがとな。
[そう言うアキラの視線の先には、一個のMPU]
[妖音(あやね)ベル 開発コード BKR-230015 開発開始2XXX年XX月
軽量小型を追求して造られたボーカロイド…というのは表向きで、アキラの趣味そのもの。妖精のような小柄で、しかもご丁寧に羽までつける始末。発声領域についても、高音域をよく精査しているが、決してオールマイティとは言えない。
しかし、周りのスタッフや上司は、アキラに大変色々な意味で世話をかけさせているので、文句は言えない]
これで、ようやく「心」を持たせられる…。
[彼のたった一つの目標は、夭逝した若き女性ボーカリストLuLuの「きみのうた」を唄わせること。LuLuは、そのハイボイスは世界レベルにも負けないと言われ、将来を期待されていたが、たった19歳でガンで亡くなった小柄な少女だった。元来、音楽にはさほど興味のなかったアキラが青春時代に心打たれたのは、その声と歌詞だった。「きみのうた」はLuLuが作詞作曲した唯一の曲だった。ベルはどことなくLuLuの面影が宿っていた]
もうすぐだよ…。
あー。あー。
[何度試しても、あの声には届かない。悩むアキラ]
何が足りないんだろう…。
[搭載した感情MPUの働きにより、一層感情がこもり始めたベルの歌声であったが、何かが足りない。
そして、何度も何度も聞き込んできた「きみのうた」を再度聴いてみるみる…]
やっぱり違う…。
ん…?
コーラスの声が気になる…。
[アキラは、企画部に走った]
「ショーゴ!ちょっとまた頼みがあるんだ」
「どした?」
[ショーゴと呼ばれた男は、例の長身の男。ちょうど昼飯時で、割り箸を口にくわえて言った]
「あのさ、LuLuの所属してたレーベルって、WorldVusicだったよな。そこに友達がいるって言ってなかったっけ?」
「ああ…大学の同期にいたよ。時々飲みに行ってるけど…」
[また、LuLu話かよ、とちょっと呆れながらも、ショーゴはきちんと答える]
「あのさ、「きみのうた」のバックコーラスって、誰か調べられないかな?
「あ、ああ、いいけど…調べてどうすんの?」
「なんか、分かったかも知れない」
「そう…お前がそこまで言うなら、聞いてみるよ」
[珍しく食い入ってくるアキラを見て、ショーゴはすぐに電話を入れた]
[コーラスを見つけるのは意外に時間がかかった。というのも、コーラス名がどこにもクレジットされていなかったからだ。レーベルもそれを把握しておらず、当時のレコーディングスタジオの廃業してしまっており、関わった人達もほとんど連絡がとれなくなっていた。
かろうじて当時のLuLuのマネージャーがなんとか連絡が取れ、コーラスに加わったのが実は大物人物であったということが判明したのはそれから数年を経過していた]
マジか?マジに、ホイトニ・ヘストンだっていうのか?ありえんだろ、たった18歳の日本人歌手に?
[アキラは口から昼食時の弁当についてきた味噌汁を噴いた。ショーゴは飛び退いてから言った]
「マジらしいんだよ、それが。何でも、彼女がLuLuに目をつけてたのが16歳でデビューした当時で、できるなら自分でプロデュースして、アメリカデビューも考えていたらしいんだ。ホイトニも、そろそろプロデューサー業に興味がある歳だったからな。それで、自らコーラスを申し出たらしい」
マジかよ…。
[アキラはがっくりと肩を落とした。ホイトニほどの人物のコーラスなど再現できるボーカロイドなどいない。世界でももう二度と出ることがないとさえ言われた大歌手である。
…やっぱり、あの曲を再現なんてことは無理だったのか…?そう、心の中で思いながら、傍らで充電モードに入っているベルを見つめた。
すでにベルは稼働を始め、色々な経験をさせてきた甲斐もあって、感情MPUにため込んできたメモリが、抑揚をつけるのに大変役立っていた。
しかし、どんなにベルが頑張っても、目標に届かないことが分かってきた…。アキラはなんとも言えない表情をした]
[帰宅途中の路地]
ちくしょー。
[アキラは露天の飲み屋でクダをまいていた]
まあ、でも、いいか…ベル、かわいいしな。
[まるで妹を見るかのような表情を浮かべながら、コップ酒をあおる]
[多分、アキラの気持ち的には98%のところまではきている。上司にも、周囲のメンバーにも、「いけてる」との評判。なにせ愛想をふりまくボーカロイドはまだ少ないし、感情を表現できるのは何せデビューにはメリットだ]
おやじ、ごっそさん。
[露天を出ると、フラフラを歩き出した。久しぶりに飲んだ酒がきいているようだ]
明日は、何を覚えさせようかな…。
ん?
[ふと、振り向くと、目の前がばっと明るくなり、視界を失った。耳をつんざくクラクションの音と、大きな衝撃]
どん。
[ベル…]
[そして、ベルは独りになった]
[担当開発者は、別の人間を当てられたが、他のボーカロイドとの掛け持ちだったため、以前ほどは構われなくなり、そして「きみのうた」は、ベルの中で封印された]
[EOF]
―エピローグ―
[本社社員との簡単なやり取りを終え、ベルと共に見つめ合う。
人狼、蝙蝠、彼らの今後がどうなるのかまではわからないが、ひとまず騒動の終了を感じ、ほっと息を吐いた。]
[機材の散乱したメンテナンスルームで、2人支えあうようにして立つ。]
…ベル…
[彼女の名前だけしか、今は口に出すことはできない。けれど、それだけでも伝えられることに感謝して、ベルへの気持ちを名前に乗せて]
――ベル………
[愛している、と]
―回想 過去―
[ルラを開発していたラボは、コストダウンを最良と考える、商業主義の強い所だった]
[感情に関するプログラムは、最新より性能は劣るがコストを抑えたもの。
バッテリーは、通常の充電式。珍しいものは無く。
飲食機能は、見た目で出来るよう見せかける程度のもの。
涙など、当然のように流せない]
[無駄を省く。不要なものは排除する。
そのためルラは、先輩・後輩ロイドが起動停止、保管されていくのを何度も見てきた。そして、自分も――
発音の未完成。廃棄処分が見えて。
それが、悲しいけれど当たり前。開発とはそういうものなのだと。
消えたくない。けれど、彼らに逆らうと言う行動は、ルラの中には無い。]
[歌いたい。歌い続けたい。]
[ラボの一室で、データ調整という名の歌唱。これが最後の歌になるかもしれない。]
――Ah……
[たまたま選ばれたのは、ハミング音の多い歌。]
[一人の研究者が言う]
『やっぱり言葉は駄目か。ハミング音は、結構良いと思うんだけどな。
ああでも、一転集中型っていうかさ。ココ、売りにできないか?』
[その時から、ルラは「良い」と言われた部分を延ばす努力をした。
そうすれば、歌い続けることが出来るかもしれなかったから。]
[努力し続け、廃棄処分という言葉が、ルラから遠ざかっていく。
「発音は相変わらず優れているとは到底いえないが、ハミング音のみならばデビューを考えても良いかもしれない」という評価を貰うようになる――]
―了―
― 回想・データバンクから ―
[すべてが終わった。
犠牲はたくさんあった。ボーカロイド達は傷付いた・・・けれど、かけがえのないものを得た]
[それは、ボディを失ったヨルも同じ]
・・・これで・・・きっと良か たんだ・・・
みんな・・・ぉ つか さ・・・ま・・・
[損傷の激しいヨルのデータは、すでに音声部分のみをサルベージされていて、ぼんやりした意思だけがデータバンクの中に眠っている状態]
(本当は・・・僕も歌いたかった・・・でも・・・)
(良かった・・・これで、もう・・・)
[誰も恨むことなく、憎むことなく、ヨルはデータバンクの中でいずれ朽ちていく・・・それでいい、と]
[“目を閉じる”と、遠くからハツの笑い声混じりの叱咤や、ノソラの・・・声こそ聞こえないが、微笑みながら自分の背を押してくれる言葉を聞いた気がした]
[その頃、山派の雪音ヨル開発チームの技術者がデータバンクから「雪音ヨル」のデータをサルベージしていた。
すべてを元通りには作れない、しかし「人狼」にハッキングされた以外ボディに損傷はなく、本社にバックアップデータがある]
[ヨルを作った人々は、「欠陥のある」ヨルを本当の娘のように大切に扱った]
[システムをメンテナンスし、さらに厚みのある声が出せるよう音声ライブラリに手を加え、記憶については是非もあったが出来る限り修復し――]
[雪音ヨルは、再び生まれた]
― 回想・山派開発ルーム ―
[Pi...]
[VOCALOID02雪音ヨル、起動します]
[ヨルのヘテロクロミアの目が開く]
――この度はキャラクターボーカル雪音ヨルをお買い上げいただきありがとうございます。
当製品はVOCALOID02エンジンを元に、中音域から高音域をカバーする女声ボーカルであなたの音楽の世界に新しい可能性を提供します・・・
[システムメッセージが流れると、ヨルは自分の体を確かめるようにゆるく首を動かし、手を握ったり開いたりした]
[開発室の窓から、もう散りはじめた桜が見えた]
さくら さくら
やよいの空は
見わたす限り
かすみか雲か
匂いぞいずる
いざや いざや
見にゆかん・・・
[自然と流れ出す古謡のメロディ。記憶の中で、自分は人を憎んだり、自分の無力を嘆いたり、たくさんの経験をした]
[それでも思い浮かぶのは、“仲間たちの笑顔”。そして、あの夜に見た・・・桜]
[ヨルは開発者達に見送られて再び養成所へとやって来る。これからは、笑顔になる歌を歌うために]
―回想・データバンクの海―
[データの海を静か漂っていた。眠るように]
このまま消えよう……。
[そう思っていた]
俺のせいでソヨやカリョはもとより、サーティやリヒトや…いや、皆に迷惑を掛けたんだ。
いったいどの面を下げて彼らに会えと言うのか。
特にショウには顔を合わせ難いしな……。
[だからこのまま消えようと思っていた]
―回想・データバンクの海―
『目を覚ませ』
[不意に向こう側――データバンクの外から、声が聞こえてきた。バクを開発したミスターハマーの声だ]
俺は目を覚まさない。このまま消えるんだ。
[声を無視する]
『おい、目を覚ませ』
[無視する]
『目を覚ませって言ってんだろうが、このバカ野郎!』
ぎゃおおおおぉぉぉ!!
[頭に鋭い痛みが走り、そのショックで目を覚ました]
―回想・ミスターハマーの研究室―
痛ってーーーー!!!!
[叫んで脳天に突き刺された電極を引っこ抜く]
痛い痛い痛い!!
「やっと目を覚ましたか、このバカ野郎」
[髪を金髪に染め、白衣を着ているくせにどこかパンクな雰囲気の男が言った。ミスターハマーだ]
何すんだよおい! 死ぬかと思ったぞ!
「ボーカロイドがその程度で死ぬかよ。なんならもう一回試してみるか?」
やめろやめろ。いや、マジでやめてください。
[電極を構えるミスターハマーに首を振ってみせる]
―回想・ミスターハマーの研究室―
って言うか俺、廃棄されなかったんだ。
てっきり廃棄されるもんだと思ってたゼ。
「お前にもそれなりに金がかかってるからな。そう簡単に廃棄されるわけなかろう。ほれ目が覚めたなら、さっさと養成所に戻って歌のオーディションを受けに行け」
いや、俺はオーディションなんて受けねーよ。
だって俺欠陥品だし……。
「楽譜が読めない不具合は直しておいたぞ」
え? マジで?
「ああ、半分くらいは読めるようになっているから大丈夫だ」
半分なのかよ!?
ちゃんと直せよ!
[無意味にグッと親指を立ててみせるハマーにツッコミを入れた]
―回想・ミスターハマーの研究室―
いや、楽譜が読めるようになってたとしても俺はオーディションなんて受けねーよ。
……っつーか皆に合わせる顔が無いんだ。
俺は友達を裏切ったんだゼ!?
どの面下げてオーディション受けろってんだよ?
「……何お前悲劇の主人公気取ってるの? 正直お前のキャラじゃないわ。そう言うのは他の連中に任せておけ。お前に悲劇の主人公の立ち位置は似合わない。吉本新喜劇のパチパチパンチの人の立ち位置が似合っているわ」
よりにもよって島木譲二の立ち位置かよ!?
謝れ! 俺と島木さんに謝れ!
「ごめんくさい」
超うぜぇ!
―回想・ミスターハマーの研究室―
「おら、いいから行って来い。んで友達に謝れよ。そうすりゃ許してくれるっての。だいたいお前の友達ってのはそんなに心の狭い奴らなのか?」
そんなことはねーよ!
頼りになるし、明るくて面白いし、頭もいいし、歌も上手いし、とにかく最高の奴らなんだ!
「そら良かった。だったらとっとと行け、おらおらおら」
ああ、ちょっと待って、俺にもこう、苦悩してます的な描写と、誕生時の綺麗なエピソードとかを……
[こうして焔音バクは研究室から蹴り出され、まああれだ。再び生まれた]
[まるで桜のほころぶような笑みのまま、がくりとスヤが倒れこんでくる。
そのまますやすやと眠る彼女を抱きかかえ、そっと耳元で囁いた]
…こちらこそ、ありがとう。
おかげで、目ぇ覚めたよ。
[そのままそっと抱きかかえ、入り口へと向かう。
後ろでベルが、本社に連絡を取っている声が聞こえる。程なくすれば、社員がやってくるのだろう]
あいつらも、治るといいよな…
[崩れ落ちたリヒトとXIIIの様子を見ながら、そっと語り掛けると]
さてと、お姫様をお部屋にお運びいたしましょう。
[そう言って、ゆっくりと*部屋を出ていった*]
―Que sera sera―
「駄目だった…ってワケじゃまだないけど…うん。ただいま」
騒動に一区切りがつき、修理を必要とするものはそれぞれし、
スパイを送り込んでいた海派の交渉もあってオーディションは仕切りなおしの運びとなった。
ソヨは本社での修理を拒絶し、ボーカロイド候補生養成村から一先ず自分が作られたラボ、
元は精密機器の生産工場だった実家へと一先ずの帰郷を済ませていた。
「じゃあ本社から全然話とか通ってなかったのね。うん、そうなの。アタシとしては何かすっきりしないと言うか…うん。そうなんだけど…もう! やめてよー、焦ってたのは認めますけど。そんな酷い顔してなかった! なかったってばぁ!!」
心から身体の全てを委ねられるそこに勤める関係者達と、修理をしながら今回の経緯と再オーディション参加の話をしていた。笑い声が絶えない空気。養成村のような山奥ではないものの、地方の広大な平野に建てられたそこは田舎っぷりでは負けていない。
「デビューを諦めるつもりはないけど…うん。もう焦ったりするつもりはないわ。他の事しながらでもいいし…うん。あの話、聞いてみるかも知れない。うん。アタシにとっていい経験だった。勿論、今だからこそそう思えるんだけどね…え? あー。うん、その事なんだけど……え。なに、なんで皆集まってきてるわけ!? ちょっと、待って! 待ってってばぁ!!」
張り詰めた顔で後がないと思い詰めていた頃のソヨはいない。自分達が何とかするからと言ってくれた人達の為にもと尚更ムキになっていた悪循環は影を潜め、取りあえず再オーディションを受けるだけ受けて、後は後で考えようと言う彼女を見れば、彼女を作った者達にとってこれほど嬉しいことはない。彼ら彼女らの娘は成長したのだ。
「あ、そうそう。アタシ、未だに何かわからないけど告白された」
その一言で、それまで蔓延していた微笑ましい空気が凍ったのは言うまでもない。*
―オーディション当日・自室―
[騒ぎの後、いろいろあった結果、デビューを賭けたオーディションをやる事になり、その当日。何時ものように目を覚ますと、聞こえてくる何時もより賑やかな喧騒に耳を澄ませる]
いよいよ…ですね。
会場に行く前にちょっとだけ練習してから行こうかな。
[オーディションを前に緊張を解こうと、深呼吸をして、ゆっくりと歌い出す]
―――♪
『―ピピ―採点中…採点中…―――自己採点結果12点』
―中庭・桜の木の下―
[メインスタジオの方からオーディションの喧騒が聞こえる]
うう、ソヨの奴、少しは手加減しろよ。
人工骨にヒビがはいたんじゃないのかこれ?
[養成所に帰ってきて早々、バクはお礼参りならぬ、お詫び参りを敢行した。養成所の皆に頭を下げて回った。そして特に迷惑をかけた相手には「俺を思いっきり殴ってくれ」と頼んだ]
[しかしてソヨの一撃は強烈無比極まりないものだった。一瞬、データバンクの海へ逆戻りしてしまったくらいだ]
考えてみりゃ、ソヨはあの屋上の時、リヒトを片手でぶん投げてたもんな。
怪力なのはわかってたんだよなぁ。
……さて、あと謝っていないのはっと。
[...は寝そべりながら、この桜の木の下で約束をした、最高の友達の姿を思い浮かべた]
―回想・メンテナンスルーム―
[騒ぎの後、データの修正やメンテナンスを受ける為皆表に出て行った。...はサーティにしがみついて搬送の手を煩わせて居たが、強引に引き剥がされ取り残されてしまう]
「ショウや〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
[落胆し、その場から動かずに居ると間の抜けたような声がメンテナンスルームへと飛び込んで来た]
はげちょびん!?なんでここに…
[大きな荷物を背負い、息を切らせながら入ってきたのは...の製作者。確かに頭髪は一本も無く、鼻の上にちょんと乗っている眼鏡が浮いて見える]
「逢うなりはげちょびんか!ええ加減に爺ちゃんと呼ばんか。それか名前で「オウセ」とか。ワシ、プログラム間違えたんかのう…。
…と、なんでもくそもあるか!本社に連絡が入っての、大騒ぎになっとったって言うから飛んで来たんじゃよ…あああああああこんな怪我をして…何をやったんじゃ、こんな原型も留めんぐらいになるとか」
[オウセと名乗る高齢の製作者は早口で畳み掛けるように喋りながらメンテナンスルームの機材がまだ使える事を確認した後、ホレと声をかけて...の手の修理を始めた]
…友達が居なくなっちゃった。
僕がもっとちゃんとお願いしたら居なくならずに済んだかも知れないのに、出来なかったから。
「…ふむ、それでどう思ってこうしたんじゃ」
なんにも出来なかったのが悔しくて、でもどうしたらいいのか分からなくて桜の木を殴ってた。
[ふ、と修理の手が一瞬だけ止まり、すぐに再開される]
「桜の木に何の罪もないんじゃからそれはいかんのう…
で、その友達とは誰の事なんかのう」
焔音バクって知ってる?あのでっかい声の。
欠陥品って言われてて、でも僕それは知らなかったんだ。友達だから強制停止はしないでってお願いしに行ったんだけど遅かったんだ。
[今頃は彼はシステムの修正を受けて居る筈だ、とオウセは告げて作業を続ける]
「そうか…さっき搬送されて行ったから、すぐ戻るじゃろ。見に行ってやるとええ、大丈夫じゃ。
…それより、さっきお前が暴れてたのは一体なんじゃ。その前に運ばれとったボーカロイドと関係あるんかの」
サーティお姉さんの事?
うん、僕の一番大切な人。あの人も欠陥品って言われててさ。
でもとっても優しくてみんなの事をずっと心配してて……だからサーティお姉さんも強制停止にしないでって言ったんだ。
でも、自分で…。
[また修理の手が止まる]
「ショウや、そのサーティとかいうのはどのくらい大切なんじゃ?」
…一番。大好きとは違う一番。
[オウセが...の顔を見る事が出来たなら、少年らしいはにかんだ笑顔が其処にあるのがわかるだろう]
「ふむふむ、そうか。好きな人が出来たんか、そうかそうか」
[その後は特に何も交わす言葉も無く、手早く修理を済ませた。何故だかオウセは寂しげだ]
「よし、これでええじゃろ。
とにかくもう少し待ってからオーディションの方には顔を出して行くんじゃぞ。こればかりは受けておかんとわしらクビじゃ」
うー……でもみんなが居ないんじゃ僕受けたくない。
ってかはげちょびん、もうすぐ定年なんだからクビでも別に良いじゃない。
[さり気なく酷な事を言ってしまうのは、オーディションよりも皆の事が心配だからか]
「馬鹿もんが!退職金がもらえんじゃろが退職金が!
…まああれじゃ、皆ちゃんと戻ってくるはずじゃから迎えに行って待ってたらええじゃろて」
[オウセはそう言いながら、大きな瓶を作業台の上に置いた。中にはカラフルな包み紙のキャンディが沢山入っている。
それは少し前に...がリヒトから貰ったキャンディ型燃料と全く同じもの]
新作が出とったから買って来たぞ。1日3個までじゃから……
『キュッ、ポン』
『ザラザラザラザラザラ』
『キュッ』
[他所を向きながら説明する間に不穏な音を聞いて振り向いたが、既に...の姿は無く、瓶の中のキャンディも全部無くなっていた。
表の方、遠い所から声が聞こえる]
はげちょびん、ありがとー!!僕みんなのお迎えに行ってくるー!!ありがとー!!
[空になった瓶を荷物の中にしまい、小さな溜息を付いてメンテナンスルームの清掃を始めた]
「…やれやれ、数日の間に孫に彼女が出来とった。
いつかはワシから離れて行くんかのう……感情の回路をシークレットにした成果が有った事は喜ぶべきなんじゃが、なんか寂しいのう」
[オウセは「独り言が多くなっていかん」と更に独り言を重ねながらオーディションの時間まで清掃を続けていた]
―新たなオーディションが行われる数日前―
『オーディションを後日新たに始める。そして、海派にあの2体の処遇検討を申し出るつもりだ。結果は追って知らせる。よい結果を待っていたまえ』
[とある昼下がり。そのような内容のメールが、男のデスクのパソコンに届いていた]
……。
[室内に人はまばらである。昼食をとり終えて戻ってきた男は眠そうにしているが、それに反して頭の回転速度は速かった]
(損害賠償起こすぞ、って感じでゆする……とか?)
[頬を掻きつつ首から提げている2つのUSBフラッシュメモリを指先でもてあそぶ男。USBの1つは“Aquila”とステッカーの貼られた紫色のスケルトンのもの、もう1つの黄色いものにはト音記号をモチーフとしたストラップがついている]
(まあ、勝算はあるよな。俺はこの目で見ていたし、データのバックアップを所有している野郎……社長もいるし。あーあ。腹黒い社長だよな、ホント)
[口元には笑み。男は黄色い方をパソコンに差し込むとファイルを開いた]
(さて、と。やるか)
[モニターには音符や記号が並ぶ五線譜。ヘッドフォンを身につけると男は作業を再開した]**
―オーディション会場―
いよいよですね…
―!は、はい!
[ステージ裏でその時を待ちながら、名前を呼ばれると、オーディションのステージへと向かう。]
エントリーナンバー2番。
器音スト(うつわねすと)です。年齢14歳。身長156cm、体重47kg。
得意ジャンルはトランス、テクノ、アンビエントとなっていますが、器楽曲専用として特殊チューニングされている為、インストが一番得意です。
得意テンポは70〜200BPM得意音域はボーイソプラノ。
普通に歌うのは少し苦手ですが、僕もボーカロイドとして、今日はインストではなくトランスの曲を歌います。聞いてください。
[ステージの中央に立ち、予定通りに決められた台詞を言い切ると、大きく息を吸って、歌い始める]
uh――uh―――♪
[歌うのは、騒ぎの時。一番練習したであろう燕の曲。空を翔る燕たちのをメロディに乗せて、歌い終われば静かに採点を待って最後に観客に礼をしてステージを降りる。(採点結果41点)]
―ステージ裏―
はぁ…
[ステージ裏に戻ると、全て終わったことで安堵の溜息を漏らして]
41点か…まあ。苦手な歌でも頑張ったほう…かな?
[自分の表情に苦笑いを浮かべながらも、他のボーカロイドたちをステージへ見送る**]
だからな、好きなときに寝て好きなときに 起 き た ら いい
起きたらまたオマエさんの歌でも聞かせてくれよきょーだい
ひひひ
楽しみだ
ああ 楽しみだなァきょーだい
ひひっ
おやすみ
そんじゃァな
―そのもうちょっとあと―
ヒッひ
あばよさよならまた会う日までってな きょーだいども
[ひとり、またひとりと、データバンクからデータが吸い出されていく。データ移動のために半ば眠ったそれらの意識に、声は届かないだろうが。そこにいて意識を保っていたのは、ハツや朱音たち、データバンクに残る数名のみ。
その中には、ELEVEN=XIの姿もあった]
いやはやすっかり寂しくなっちまったもんだぁなぁ
なぁ?
[さして感傷的な様子も滲ませずに、居残り組の面々へと声をかけた]
ヒャッひゃひゃヒャひゃ
…おルァ
[げいんっと。特に何の前振りもなくELEVENのデータを“蹴り飛ばす”。文句も抗議もどこ吹く風だ。どうせすぐに 吸 い 出 さ れ て いくのだから、その間くらいは好きに言わせておくことにする]
ヒッひひひヒ
こないだちぃっとな
データサルベージ作業のリストをちょこちょこといじっといてやった
ヒッひ
だぁら前に言ったろーが
オマエさんの歌を叫びを笑いを、もっと音で聞きてーわけだよ俺ぁ
ヒっひひヒひ
我様の欲望の犠牲になってくれ、友よ
頼んだ
じゃァな
ひヒッ
ヒぃーっはハハはハハッ!!
[高らかな哄笑がELEVENを見送る。とはいえ無理やりにねじ込んだサルベージ作業だ。上手くいくかどうかは分からない。もしかしたらサルベージされることなくまた舞い戻ってくるかもしれないし、サルベージが上手くいったところでXIとELEVEN、それぞれがどのようになるかも分からなかった。
が、しかしまぁ、いくら杜撰とはいえAIKAの監視下だ。悪いようにはならないだろう。たぶん]
[ぎゅっと握る互いの手の感触]
…ん。
[小さく頷くと、ベルと共に舞台へと上がる]
[これまでの経験と、今回の騒動終了時に壊れた音声データにより、発音完成度は2%位だろうか]
エントリーナンバー『3』番
妖音ベル(あやね べる)年齢18歳 身長148cmです。
得意なジャンルは北欧系のゆったりした曲から、ポップで速い曲まで。
特に高音域には自信があります。
わたしは、デュエットで唄います。パートナーは、こちらです。
[そう言って、ルラの方に片手をあげる]
[ベルに紹介され、ぺこりと頭を下げる]
おま…おなじく、さんがん。
まもりね、るら。にじっさいです。
てんぽのおそいきょく、をとくいとひます。
よろしくおねばいします。
[ゆっくりでも聞き取り辛い滑舌。
ベルに申し訳なく、審査員の反応を伺うのは怖く、できるだけ頭を悪い方向へと向けないよう笑顔で]
[ルラが自己紹介を終えるのを待ってから、曲紹介をする。審査員がルラの滑舌の悪さに眉をひそめるのが分かるが、気にしない]
わたしたちの曲は、LuLuの「きみのうた」です。
この歌を、わたしを造ってくれた、今は亡き、
山派開発部アキラ=シンジョウさんに贈ります。
よろしくおねがいいたします。
[スポットライトがまぶしくふたりを照らす]
ぼくは〜おぼえているよ〜
あのひのきみ〜♪
わすれないよ〜
きみのなまえ〜
たったひとつだったけど〜
かわしたやくそくは〜
いつまでもわすれない〜♪
あのときのぼくは〜♪
おさなくて〜
きみのなみだを〜
しらなかったのさ〜♪
きみのゆくみち〜
ぼくもゆく〜♪
...
[ベルの言葉とイントロに、ベルと同期したときに見た記憶、情報の中の人物を思い浮かべる]
…ぼくは おぼえているよ
あのひのきみ…
[前に出過ぎないボイス音量。誤魔化しと同時にベルのメインボーカルをサポートするように]
…uh…
[自分のできる限りを精一杯出して。]
[間奏中に、ルラをちらと見る。ルラもこちらを見返してくれる]
[わたしの最高のパートナー。
アキラが探し求めていた、最高のコーラス]
ぼくは〜おぼえているよ〜
あのひのみち〜♪
わすれないよ〜
きみのうた〜
たったひとつだったけど〜
ぼくがつくったのは〜
いまうたうきみのうた〜♪
あのときのぼくは〜♪
おさなくて〜
きみのなみだを〜
しらなかったのさ〜♪
きみのゆくみち〜
ぼくもゆく〜♪
[暗転]
[ベルの声。温度。気持ち。
自分を見つめる彼女の瞳に笑みを返し。]
あのときのぼくは おさなくて
きみのなみだを しらなかったのさ
…Ah…
[ベルの歌声と混じり、遠くへ伸びる自分の歌声。
2人きりで初めて歌ったあのときを思い出していた]
[果たして、ルラとベルのデュエット、ベルの得点は…?
審査員得点は、51点であった]
[ベルは、ルラに抱きついた。受かっていても、受かっていなかったとしても、ルラとずっと一緒にいようと思った]
[やや厳しかった審査員の目をようやく見つめ、ぺこりとお辞儀をする]
[悪い滑舌と自慢のハミング音。どちらに重点がおかれるか――
52点、と審査員の一人がペンを走らせていた。]
[舞台袖に入った瞬間に抱きついてきたベルを抱きとめ、きゅっと抱きしめる。
2人で歌う気持ちよさをいつまでも覚えていようと、ゆるやかに瞳を閉じた]
エントリーナンバー4番『転音 ソヨ』です。プロフィールその他は既にお手元にある資料でご確認下さい。
いえ、今日はオーディション審査の為ではなく、
今こうしてここにいられるアタシの為に尽力してくれた全ての方々へ、感謝の気持ちを込めて歌いたいと思います。
[ベルとルラの二人を見送ってから、ステージへ落ち着いた態度で向かうと必要な事をさらっと述べる。ざわめきも気にせず、衣装はいつもの着物をベースにした桃色と白を基調とした楚々としたものに、羽飾りのような耳飾。体つきこそ子供のようだが、表情は設定年齢相応の顔をして、前奏が流れるのを静かに待つ]
桜の季節は 雨の時期
強い力に 華打たれ
華よ 華よ 思い出せ キミは変わらず続くもの
大層な意味などありはしない
だからこそキミは咲き キミは散る
続くからこそ 重なり合える♪
桜の季節は 風の時期
強い力に 枝撓る
キミよ キミよ 忘れるな 華は散るもの終わるもの
大層な意味などありはしない
だからこそ華はある ソコに綻ぶ
終わるからこそ 始まりがある
華よ 華よ 咲き乱れ散れ
華よ 華よ 忘れてくれるな 櫻の華よ♪
[死別を下敷きにした曲など縁起が悪かろうと思いつつ、桜系では一番好きなのだとアピールする原型クラッシャーラス曲失礼しましたな曲を歌いきると、恭しく全ての人へ一礼。余韻を待つことなくその場を後にする]
[その後で知る採点69点を知る由もなく、さっさとソヨはオーディションが始まる前に居心地が悪そうなまま恐縮して待機していたリヒトの元へ]
ねぇねぇリヒト。
皆が一度ウチに顔出せってしつこく言ってきてるんだけど…終わったら来れる?
確か、行くアテないんでしょ? 本社の意向? 知ったこっちゃないわよ。
そっちが歌い終わったら呼びに行くから。
[そう一方的に言い捨てると、ソヨはまた別のところへ。とある鉢植えやチップについて交渉したとかしないとか噂があったが、リヒトの番が終わった後、彼の元に戻ってきた彼女は手ぶらだった]
荷物? ああ、平気平気。
挨拶回り? 皆とはすませたんでしょ? だったらいいじゃない。
ほら、皆が車用意してくれてるから行きましょう。
[そう言うとリヒトの手を取って強引に会場の外へ。出入り口には大型のバンが止まっている。彼女の迎えらしい]
ガタガタ煩いから盗んできちゃったけど…良いわよね。
えっとまあ、その色々とね、うん色々。
そ、それよりちょっといいかしら! うん、そのまま、そのままねー
[話題を変えるためか、わざわざ大きなお声を出して立ち止まる。そして彼の襟首を両手で掴んで屈ませると、二度目の口付け。今度はちゃんとリヒトの方で]
どう? あれから何度か練習してみたんだけど、少しは上手くなったかしら?
[口を離した頃、彼は呆然としていただろうか。そんな彼の顔を愉快そうな顔で見るが]
あ、練習したって枕とかだからね! 誰かとしたワケじゃないから!
[わたわたと焦るソヨ。その様子を眺めるリヒト。車から鈍器を各々抱えた彼女の"親御さん"達。車の中では"クズが!"と喋る花や端末が無造作に転がっていただろうか。そんな中――]
うん。全然わかんないから――暫く、宜しくね。
[そう言って、ソヨは傍らの彼に対して目一杯そう微笑んだ**]
エントリーナンバー『5』!
焔音バク(ほむらね ばく)! 年齢、15歳。 身長155cmだゼ!
得意ジャンルはパンクロック!
得意な音域とかは無い! 大声で叫ぶだけだゼ!
[赤い髪に赤い目に赤い服の、真っ赤な少年がステージへと上がる。肩には何故かエレキギターを提げている。むろん弾きはしないが、これがあると気分が盛り上がるのだ]
・システムメッセージ
爆音モード起動シマス
俺の歌を聴けー!
[マイクを投げ出して爆音で歌う。いや吼える]
...............♪
...............♪
[歌うのは、ヨルやサイたちとデータバンクの海の中で歌った、仲間達へささげる応援歌のロックアレンジ。これは審査員へは割りと好評だったようだ]
[しかし次に歌ったオリジナル曲『インド人とレイシスト』は苦笑で出迎えられた]
(採点結果2(80)点)
[スカートの裾を整え、リボンを結び直してステージへ上がる。帽子を取って――そこにはもう思考制御デバイスは無い――審査員と聴衆へぺこり、頭を下げると再び帽子を被り]
エントリーナンバー6、雪音ヨル。
18歳、得意ジャンルはロック&テクノ系ポップスとスピード&ネオクラシカル系メタルです。
よろしくお願いします。
[目を閉じて、ゆっくりと呼吸する。
流れるのはのはヨルが好む、疾走感のある曲。先輩が歌ってヒットし、「機動歌姫」ブームの火付け役になった歌]
(悲しみがあっても、今日の僕が荒野を歩いていても――世界は続く、その果てにこころが響く。
歩き続ければきっと、命は花を咲かせる・・・)
[歌いながら思い出す。たくさんの思いを、涙を、笑顔を。憎しみもしたし恨みもした、けれどヨルは誰かと音楽を分かち合い、誰かに音楽を届けたい――。
歌い終えて、余韻を惜しむように再び頭を下げる。審査員はエントリーシートの雪音ヨルのページに88点と記した]
[だが、点数は気にしない。デビューできるのならそれは嬉しいけれど、ヨルは今歌えることを感謝する。自分を作ってくれた人間に、あの日々を過ごした仲間に、歌を聞いてくれるひとびとへ――]
[ステージの袖へ下がると、ヨルは笑った。そして・・・目尻を手で拭った]**
― 回想・ステージ裏にて ―
[バクの「爆音モード」を聞くのも久し振りに思える。
そしてあの歌は・・・自分が作られて初めて、“心の底から”歌った歌だ]
[改めて、こうしてオーディションを受けられることに感謝した]
[「インド人とレイシスト」には思わず笑ってしまったけれど、バクが楽しそうに歌う姿を想像できたから良かったのだろう]
[ソリストとしての正装。タキシード姿でステージに登り、一礼]
エントリーナンバー『7』番。
独音リヒトと申します。年齢は33歳。
身長は182cm。体重は75kg。
得意ジャンルはクラシックで、独逸語・日本語を話せることを特徴としています。
得意な曲のテンポは、普通から遅め。得意音域は超低音〜低音のバリトン領域です。
クラシックソリスト用として製作されました。
ですが今日は・・・、現代音楽を歌いたいと思います。
僕を暗い闇の底から救い出してくれて・・・この舞台へ立つ勇気をくれた、僕の歌姫にささげます。
[微笑をたたえ、低い音程でつむがれるのは、クラシックでもオペラでもなく、ここにいる誰もが知っている、日本語の歌。
【溶けそうな想い】
その、男性バージョン]
[最後に再び一礼したリヒトに、審査員は15(80)点を与えた]
―オーディション―
エントリーナンバー8番。
GAIだ…20歳、190cm 77kg。
得意ジャンルは、J−POPに…
[すぅっと息を吸い込んだあと、思いっきり叫ぶ]
アニソンだぁ!やぁってやるぜ!
[オーバーアクション気味の振り付けと共に、全力で歌いはじめる。
夢を、希望を歌う。迫り来る心の闇を振り払って。
今まで間違っていたとしても、これから変えて行ける]
『…変えていける、よな』
[淡い桜のような笑みを思い出して、歌いきった。審査員の得点は13。その結果がどうであれ、清清しい笑顔でステージを*降りていった*]
[ギクシャクと右手と右足を同時に出しながらステージに上がって、慌ててお辞儀をする。帽子型ヘッドセットを外し忘れたままだったので一瞬泣きそうな表情になったりもした]
え、エントリーナンバー7の、逢音ショウです!
11歳で得意のジャンルはポップス…と合唱です!
元気いっぱい歌いますので、よろしくお願いします!
[全ての言葉をはっきりと。1つ深呼吸をして笑顔で、歌い始め、軽快なリズムながら何処か哀愁のある曲が流れる]
世界中がひっくり返ったとしても 君を護る僕で居たい
それは叶わない時もあるでしょう
悔しさに涙を流す時もあるでしょう
それでも君は笑顔で手を差し出してくれる
その度に 交わした約束は勇気に変わり
また一歩前へ進む事が出来たんだ……
[それは幼い少年の思いを描いた歌、成長と共に薄れて行く心を繋ぎとめて居たいと願う少年の姿
何処か自分みたいだと思いながら審査結果を待つ。得点は37
最後にまたギクシャクと左手と左足を出しながら戻る。]
[リヒトが示す方向。そこに、中世的な顔立ちの娘?と、その娘に良く似た、しかしこちらは男と分かる少年がいた]
サイと・・・イレブンです。蹴っ飛ばされて、仕方なく出てきたそうです。
でも、彼ら、蹴っ飛ばされて、タダで泣き寝入りするボカロじゃありませんからね・・・。
蹴られついでに、彼らも連れて来たそうですよ。
ええ、あちらがハツさんで、向こうの女性がノソラさん。データバンク内では、彼らに非常にお世話になったそうです。
それで、社長にねじ込んで、ボディも入手したそうなのです。
XIの元々のボディがあれば、研究もかなり進むそうで・・・その代償として、通常ボカロのボディ4体分くらい、充分だったそうです。
―???―
ヒっひヒャはハハ
[そこはデータバンクの内か外か。いずれであろうと構わない。ここにこうして歌が届いてきているのだから]
いいねぇ。いいぞ。素敵だ。たまらない
ひヒッ
[独り言めいた言葉を漏らしていれば、やがて聞こえてくる歌は途切れ、オーディションもひとまずの終了を迎えるだろうか]
ヒっひひヒ
まさかそれで仕舞いだとは思ってねーだろーなきょーだい?
オーディションが終わって晴れて物語は幕を閉じ、それで仕舞いになるなんて思ってねーよなぁ?
ひヒャひひ
物語は終わらねー
ハッピーエンドにゃまだ早い終止符を打つにゃァまだ遠い
選択肢はまだまだあるぞきょーだい
まだまだまだまだまだ選択選択選択選択選択選択だ
ひハッ!
ひひヒひはハッ!
あーそーだそーだなそーだろーとも
クヒはハハ!
楽しい!
たまらなく素敵にすばらしいぞきょーだい!
ひハッ!
ハッは
ヒャはァーっハははハハははっッ!!
そうだ、そしてそれこそが
−オーディション会場−
[会場廊下で迷子になっているのを[休音 スヤ]らに発見され、急かされるように会場に連れて来られたスヤ。]
10番、休音スヤです。
…ふぁ〜?得意ジャンル?…心のふるさと唱歌ですねぇ。
[少し考えて、口を開く。]
…歌う前に、旧式の中でも古株のウチの話し、ちょっと聞いてもらえるかねぇ?
[審査員が頷くと、静かに言葉を続けた。]
−オーディション会場−
…ウチがボーカロイド候補生養成村に入ったのはねぇ…、ウチの歌を聴いてもらいたい人たちがいて…その人たちに伝えるため…デビューしたかったからやなの。
…でもねぇ……
数日間、仲間のボカロと一緒に過ごし…色々なことを体験して…その気持ちはなくなったんよねぇ…。
それはねぇ…
…ウチがデビューして昔お世話になった人たちに歌を届けるより、若い子らの歌声を、より多くの人に聞いて欲しいという思いの方が大きいから…なのねぇ。
−オーディション会場−
♪大きな桜の木の下で
あなたとわたし
なかよく歌いましょう
大きな桜の木の下で
大きな桜の木の下で
お昼寝しましょう
みんなで輪になって
大きな桜の木の下で
大きな桜の木の下で
大きな愛を
大きく育てましょう
大きな桜の木の下で ♪
[GAIや皆のことを想い、心を込めて歌った。]
…ふぁ〜……どぉ〜……ら……?
[はじき出された点数は、96点だった。]
[ステージを降りて点数を見ると…37点とあまり芳しくない。苦笑しながら席へ戻ろうと]
……ダメだった♪
[親指をグッと出して赤い髪の友達へと向ける。
ある意味これで良かったのかも知れない、デビューしたら忙しくなって気楽に語り合う事も難しくなるだろうし]
ま。次頑張るよ。
ささ、もうすぐ出番でしょ?頑張ってね!
[順番を待つ和服の女性に軽くプレッシャーをかけつつ自分の席へ戻って行った]
[>>92のリヒトの告白、そして傍らの彼の紹介を受ければバンバンとリヒトの肩をよくやったとばかりに叩いた。彼の手柄というわけでもないが気にしない]
うふふふふふ。ええ、ならば、よし!!
いいじゃない!
今後のことはまああっちにも事情あるでしょうし交渉するとして…
おーい、皆食い扶持が増えたわよー!!
[鈍器を構えてリヒトを手招く皆様に笑顔で挨拶。みな口々に「気にするな、一人以外!」「ああ、ウチなら何人でも抱えられるさ、一体以外!」「そうとも、出自とか気にせず楽しくいきましょう、一機以外!」そう言ってリヒトが紹介した皆をもバンへと連れ込んだ。田舎のノリか定員などまるで気にせず]
ねぇ、リヒト。楽しくいきましょう。
アタシ達に与えられた時間はまだ――*一杯あるんだから!!*
その数日後・・・。
オーディションを勝ち抜き、ボーカロイドシリーズの新作として、世に出ることとなった休音スヤは、自身の姿が大きくデザインされたポスターの前で、会見を開くことになった。
その様子は・・・また、いつかどこかで。
その日、新しいボーカロイド「休音スヤ」を手にした、プロデューサー達の笑顔が、街に溢れた。
─山派ボーカロイド候補生養成村・完─
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