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[続々と集う面々の中、声の響きの違いを聞き分ける。
しかし、それには何も言わず、ちらと視線を向け]
そうやって、俺に疑いの目を向けさせないで欲しいね。
お前も、何とか言ってやれよ。
―――このデブに。
[コーネリアスに視線を移し、困ったように吐き捨てた。]
はぁ? 俺とお前のどちらかって……
お前も、馬鹿じゃねぇの?
[己は知っている。
コーネリアスの身の潔白は、ローズマリーが証明できる事を。
しかし、それは敢えて隠すことにした。
隠れ蓑は、多ければ多い方がいい。]
俺は、お前を処刑台に送るぜ。変な疑いかけやがって……
ミッキー、コーネリアスは違うよ。
[ ギルもきっと、違う――そう続けたかった。鏡をちらりと見る。そこにギルバートの姿は映らない。一瞬きつく目を閉じて…コーネリアスの言葉に答える。]
…人狼は1人とは限らない。
少なくとも、かつては1人じゃなかった。
[ 言って皆を見回す。ギルバートの所で他の者より視線が留まる。この村の奴を殺す理由はないと。そうなのだろうか。信じたかった。けれど……]
ミッキーさん。アーヴァインさんの言っていた「人狼に対抗できる人達」の中に、印を持った人というのがいなかったかしら?
エッタは、それってコーネリアスさんのことじゃないかと思っていたのだけど…
ローズマリーさん、あなたは何か知ってる?
[人狼が2人? そうだとしたら、ミッキーとギルバートが仲間だとは思えなかった]
何かついてるか? コーネリアス。
一日一人、ああ、ローズマリー、狼かそうでないかわかるっつってたな。なら、狼じゃない奴もわかったんじゃないのか? そいつは除外したっていいと思うんだがな。
死にたい奴なんていないだろうから、死にたくないから処刑はやめろなんていわないが、人間だと証明できるなら、しない方がいい。
[でも、とその次の言葉は飲み込んだ]
何、ローズマリー コーネリアスは違うのか。それがアーヴィンさんの言ってた能力ってやつか。
それじゃあ犯人はギルバートで決まりじゃないか。
この村の奴を殺す理由が無いと言ったなギルバートよ、狼なら食う為に襲ったんじゃないのか?
[ローズマリーの言葉に、小さく舌打ちする。
それでも、向けられた視線には真摯な視線を交じ合わせる。]
人狼は、二人居るんだってよ。聞こえたか、デブ。
違うが、仮に俺が人狼と仮定しよう。
コーネリアスは、違う。
なら、もう一人は誰だ。え? この村の奴じゃねぇか。
余所者だから疑うってのが可笑しいんだよ!
[だから、考え方を直せと怒鳴った。]
[村人同士を疑わせたとして、同胞は大丈夫だろう。
男は、どう思っている。]
……俺は、殺られない。
[自分自身に、そう誓った。]
ああ。特別な印を持つ者がいる……コーネリアスにその印が?
そうだね。グレン。どうやらそうみたいだ。人狼かどうか、分かるみたいだよ。
……エッタと、コーネリアスは違う。人狼じゃない。だから……グレン、ミッキー、ネリー……ギル。この四人の中に…人狼が居る。一人…もしかしたら、二人。
[ 考えたくなくて……無意識にその事実から逃げていた。言いながら、それを思い知っていた。]
[男は、ローズマリーの傍に歩み寄る。
ネリーは居ない。だからこそ、とても自然に……]
―――俺を、信じろよ。
[そっと肩を抱き寄せて、耳元で囁く。
まるで、魔術を施すような、甘い囁き。]
俺はアーヴィンさんもラッセルも殺してなんかいないぞ。ただ、あの二晩は部屋で1人でいたから、確かに無罪を証明してくれる人はいない…
(そういえばあの旅人が殺された日も俺は山に行ってたから、俺の無罪を証明してくれる人はいないんだ、だからアーヴィンさんは俺を疑ったのか?)
[ローズマリーの言葉を聞くと、そうか、と呟いて思案するような素振り]
俺と、ギルバートとミッキーにネリー。
俺以外の二人。アーヴァインが言うように二人なら。
ま、そこのエッタを処刑台に送らずに済んだってわけか。それは良かった。さすがに目覚めが悪すぎるからな。
グレンさん、ミッキーさん、ネリーさん、ギルさん。
この中に1人…ううん。1匹か、2匹、ね。
[ローズマリーの言葉を繰り返す。そして、コーネリアスに近付いた。今、一番に信用できるのは、この人とローズマリーだ。エッタにとっては、コーネリアスの方が親しみがある。顔を近づけて、そっと伝える]
あのね。エッタは、ネリーさんは違うと思うの。
今日も一緒にいたし、お婆さまとあんなに仲がよかったんだもの
[ 伝わって来る温もりが沁みる。その肩に頬を寄せれば、耳元に囁く声が甘く……]
――あんたも、そうなのかい?
[ 返した声は硬く。]
[ローズマリーを抱き寄せながら、その柔らかな感触を楽しむ。
血と肉両方を好む同胞とは違い、男は血の方を好む。
それなのに、思わず生唾を飲み込んで]
もしも、俺が信じられないなら……
―――視ても、いいぜ。
[何がそうなのか、分からないから答えずに片目を瞑ってみせる。
視られても構わない。すぐに、口封じさえすれば]
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