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[目を醒ますと、窓の外が暗いのが分かる。]
何てこったい。
ババはもう死んでしもうたんかのう。
こがいに暗い所で…って、毛布もベッドもあるじゃないか。
まだ生きとるようだね。
[ほっと安心し、編み物の続きを始めた。**]
うーん。
これはさすがに、ちょっと怖いかも。
[集会場の窓辺。外を見つめるが、瞳に映るのは庭と門扉。その先には闇ばかり]
エッタも建物のまわり全部を確認してみたいけど…
ん? あれは、グレンさん?
[青白い顔をして、早足に扉に近づく農夫を見つけた。バタンと扉が閉まり、エッタの横を無言で通り過ぎる]
いま、グレンさんどっちから来たっけ? 裏手?
なにか見つけたのかしら…
それとも、 なにかしてたのかしら…?
[聞こえないよう呟き、椅子に座り込むグレンを見つめる。昨夜の彼とは随分と様子が違う]
[何があったのと聞きたいけれど、答えを聞くのも怖くて]
…………
んと…あ、そうだ!
そろそろ夕食の準備をする時間、だよね。今日のメニューはなにかな?
[わざとらしくそう呟くと、ネリーの姿を求めて厨房へ駆けていった**]
[外の闇が心地良い。
夜を感じさせるような闇は、己の力を増してくれるような気がするのだから。]
…………。
[同胞の、決別を誓う声が聞こえた。
その声の儚さに男は何も囁かなかった。
ただ自室で一人、じっと声に心を傾けて。]
[ネリーが何故、人狼と変じたのかは分からない。
生まれた時から人狼だった男は、己の宿命を受け入れることなど容易かったけれど、同胞は違うだろう。
決別をした今でも、悩み、苦しんでいるのではないだろうか。
だから、男は同胞が求めるまでは教えない。
今までしてきたこと、そして、これからしようとしていることを。
それらは、女のネリーにはあまりに残酷なことなのだから。]
[外は一向に晴れない。
昨晩よりは多少薄れているが、決して昼を感じさせるようなものではない。
自室を出て階下に下りれば、食卓に並ぶ食事が目に入る。]
よう、グレン。どうした、顔色悪いぞ。
[センスのいい食事を作ったのは誰か、知るのは簡単なこと。
怯えていたようだったが、食事を作る気力があると思えば、ほっと胸を撫で下ろす。]
[空腹を満たしながら、グレンの話に耳を傾ける。]
……絞首台? ふんっ、馬鹿げてる。
そういやぁ、自衛団が投票してどうのって言ってたな。
まさか、それを使わせる気か?
そもそも、人の命を多数決でとか、ふざけてるだろ。
[少し口調を強めて、問いの言葉。]
何処にあるんだよ、それ……。ぶっ壊してくる。
[ 目覚めてみれば既にネリーの姿は無く。ふぁー、とあくびをしながら体を伸ばす。]
こりゃ、朝だか昼だか、さっぱりだねえ。
[ ゆっくりとした動作で服を着替える。朝は苦手で、いつも寝起きはしばらくはぼうっとしたままだ。しかし、今が朝か夜かも定かではなかったが。
そして、荷物を詰めてきたバッグを漁りブラシを取り出すと、髪を梳かしてゆく。]
……そういや、ここには風呂ってあるのかねぇ。
[教えられた場所に辿り着くと、足を止めて見上げる。
一瞬言葉を失ったが、すぐさま飛び跳ねて梁を下ろそうとするも、あまりに高くて叶わず。樹に登ろうとするも、それを阻むような太さに叶わなかった。]
……っくそ。
[吐き捨てて、悔しそうな面持ちで中に戻る。
壊せなかったこと、グレンには分かるだろう。]
犠牲者が出たわけじゃねぇし、そんな顔すんなよ。
使わなくていいかもしれないぜ。
[ 場違いとも言えるような己の言葉に、苦笑して。]
そんな場合って訳でもないか。でも、ま、後で探してみようかね。
――さて。
[ 立ち上がり扉を開ければ、朝餉の匂いが漂ってくる。]
感心、感心。
こんな時だってのに、ほんと、良い子だね。あたしが男なら放って置かないよ。
……なるほど。
俺ら以外にも、昔人狼が居たわけか。
[絞首台を見た時、男はそんなことを考えていた。
そして、他に考えていたことは]
首を吊る……ねぇ。
[処刑の仕方は村様々だから、この村のやり方は初めて。]
[ 広間に行けば、怒りを滲ませた声がする。]
おい、どうしたんだよ? ――って、あ……行っちまった。
なあ、グレン。何があったんだい?
……ああ、本当にあるんだ。聞いちゃいたけどさ……本当に……
[ 広間に居る者を見回す。怖れと嫌悪の混ざった気分が湧き、思わず我が身を抱きしめるようにして身を震わせた。]
……面白いじゃねぇか。
俺は、そんなに簡単には殺られないぜ。
[男は余裕そうに呟く。
この方法なら、逃げ出すことは簡単なわけで。
だから、恐れるものはただ一つ。
過去、何度か危険に晒されたこと。
―――人狼だと、告知されること。]
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