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ランサー に 2人が投票した。
アーチャー に 6人が投票した。
アーチャー は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、眞奈 みなみ が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、桐生 茜、セイバー、ランサー、蒲生 延、九鬼 聖法、平 芽祈 の 6 名。
アーチャーから離れやがれぇぇ!!
[アーチャーと信長の間に割って入った左之助は、槍をがむしゃらに振り回した後、突きを連打する。
信長は片腕しか無いにもかかわらず、それを次々とさばき切る。
何度も交わされる激しい金属音の中、背後の魔力が消えていくのを感じた。]
アーチャー……。
[信長に相対している中、後ろを振り向く事は出来なかったが、左之助はアーチャーの消滅を悟った。]
[同時にこの場を走り去っていく、足音を聞く。]
みなみか……そうだな、それが正解だぜ。
[サーヴァントを失った魔術師がこの場でできる事は何も無い。
むしろ残れば、足手まといになるばかりか死ぬ可能性すらあるだろう。
心配事がひとつ無くなるのはありがたい事だった。
柄の外側を持って思い切り槍を振り回し、信長との間合いを一旦開ける。
ちらりと剣を構える蒲生の姿が目に入った。]
こいつは逃げろって言っても逃げねぇんだろうな……。
[左之助は少し溜息をつき、槍を構えなおした。]
[放たれた波旬の宝具。生身の身体は、その衝撃だけで飛ばされる。辛うじて体勢を立て直した時には、一つの戦闘が終わっていた。]
な、……。
[倒れるアーチャーと、間断なく槍を繰り出すランサー。
その攻撃を片手で捌くセイバー。
彼らとの差は嫌と言うほど見せ付けられてきた。]
それでも。
――この身は他に術を知らぬ。
[走り去るみなみを視界の隅で見届けながら、再び得物を構える。]
[ランサーの槍を片腕で捌く。
波旬にとっては、その程度造作も無いこと。
だが、その動きが目に見えて少しづつ鈍っていく。
圧倒していた筈の物が、多少相手よりも秀でてる程度に落ちて行く。]
何故…何故だ!
[原因が分からぬ己の不調に苛立ちが隠せない。]
『なんだ、わからねぇのか。』
[再び、己の内から忌々しい声が聞こえる。]
『先刻のアーチャーの宝具、お前は指先以外完全に回避していた。
だが、指先が触れただけで連鎖するかの如く左腕ごと消えた。
それはな、あの左腕は他の部分と違って
――完全にお前のものだったからだよ。』
[体は元々信長のもの、そう……消えた左腕以外は。
あの左腕だけが、波旬が自分の腕として再生させた唯一の部分。]
『そして、それ以降少しづつ俺の意識が強くなってきている……わかるだろう。』
……そうか、あの宝具は。
『そう、悪しき者だけを消し去るとかそういう物だったんだろうな。
そして、その宝具はお前の腕を消し去った後、じわじわと俺の体の中の悪を消していってんのさ。』
[その果てにある物、そんな事はわかりきっている。
そう、再び起こる――"反転"。]
認めぬ……認めぬ認めぬ認めぬ!
[波旬が吼える。
絶対だった筈の自分が、既に己の内からの圧力に屈しかけている。
それを認めないためにも、再び己の体に気を滾らせた。]
ならば簡単な事よ……!
我が消える前にこの場の全てを滅し、欲の器に我の復活を願えばいいだけな事!
やるべき事など何一つ変わってはおらぬわ!
[信長の姿をした者――
それが、持っている剣に多大な魔力を集めようとした時、思わず喉を鳴らした。]
(――来る)
[かつて、宝具を使用した時の、自身から抜き取られるように魔力を持っていかれる瞬間。
それに備えて、思わず足に力が入る。
だが――]
……え…?
[何故か、自身からの魔力の消失を感じない。]
[信長から放たれた一閃が、アーチャーと名乗った少年を薙ぎ払ったのを見た。
明らかな、魔力の塊。
それは確かに、自分から供給されている。けれど――]
……っ…。
[自分の中に、意識を集中させる。]
[――闇の中に立っている。
その右手の甲に、止まっている金の蝶。それはごく小さく羽ばたいている。]
…融けて……無い。
[それは、自分と混ざり合う事無く、確かな存在として、そこに居る。]
葵…。
[漆路山の霊力を妨害されていたからなのか、それとも別の要因か、完全なる融合は成されていなかった。
自分の魔力と、姉の魔力。
それは、とてもよく似ていたけれど、確かに違うものとして、二つがそこに存在していた。]
葵、貴方が引き受けていてくれたの…。
[蝶の形が崩れ去り、いつしかそれは、自分の手に重ねられたもう一つの半身の手になる。
それをそっと握り返し、目を閉じる。
姉の魔力は、信長の中の者へ
自分の魔力は …信長の元へ
重ならない、二つの回路
ならば――]
…東東方山の神
大神の宮社の内
[自分の魔力だけを、信長に繋げる。]
早風黒風 さわらの大神を
与えさせ給へ
[オン と山が吼える。足元から舞い上がる風を受け、印を組んだ。]
(…いい加減)
くはせる天な くわる天な
くだる天な
(いつまで、そんな輩に、好き勝手やらせてるつもり…?)
[左手が燃えるように熱くなる。]
(お願い……届いて…っ!)
…くだる天な
ちなる天な ちけんそばか――!
『目を 覚まして…っ!』
上総介――っ!!
[叫びと共に、信長に向かって光が放たれた。]
[既に発動している宝具を、己を奮い立たせるために今一度発動させる。
体に満ちる己の力。
忌々しい宝具の力によって刻一刻と消え去ろうとしている己が魂。]
嗚呼呼呼ァァ!!!!
[雄叫びを上げ、ランサーへと向かい跳躍する。]
くっ!この技か!!
[咄嗟に左之助は槍の中央を捻り、2つに分離する。
分離した柄からは、仕込み刃が現れた。
剣を振りかざしながら突進してくる信長対し、2本の槍を構えながら後ろに下がる。
それを逃すまいと放たれる、無数の斬撃。
以前は全てを捌こうとして、無様に気を失った。
ならば今回は急所のみをはずす。
そう決めて、分かれた槍を振りかざしながら、放たれる剛剣の軌道を変えていく。
だが、急所のみを守るという選択は、左之助の体に予想以上のダメージを刻んでいった。]
[首への一撃を受け、肩の肉が切り落とされる。
頭への一撃をかわし、耳がそぎ落とされる。
より速く、より細かく!
そう念じ、さらに槍の振りを速めるが、隊服はみるみるうちに朱色に染まっていく。
外からじわじわと体を削り取られていく感覚に耐えかね、ついに左之助の膝が落ちる。
これまでかと観念した時
「まだ、やれるさ」
と、梧桐の声を聞いた気がした。
直後、信長の剣が自分に向かって振り下ろされるのを見る。
とっさに左手の槍で受け止めた左之助に、肩を外しかねない衝撃が襲いかかった。]
[信長の猛攻を、致命傷のみ避けながら受けるランサー。
その最後の一撃を左の槍が受け止めた瞬間を勝機と見て、令呪に魔力を込める。]
聖杯の寄る辺に従い、蒲生延が命ず。
――必殺の一撃を以って信長を屠れッ!
[右手甲が光り、その一画が消えた。]
おおおぉォォォ!!
[左之助は雄叫びを上げながら、渾身の力をこめて体を捻り、右手を振り切る。
血が噴出し、体に激痛が走る中、逆手に持った2本目の槍が今描かれた光の円を断ち切った。]
―― 誠槍 ・ 丸一文字 !! ――
[咄嗟の機転と令呪の力が生み出した一閃が、弧月状の光と共に信長の体を薙ぎ払う。]
[放った一撃が、ランサーにより流れを変えられる。
それでも手応えはあった。
己の急所のみを守るという相手の勇気ある行動は、
たしかに意識を保つことを許しはしたが、それでも相応のダメージは受ける物となった。
ならば返しの刃で発てばいい話だ。
何、それで全てが終わる……と、波旬は剣を振り上げた。]
デス――
汝欲するは――
[最大の一撃を繰り出す瞬間。
ガクン、と。全ての主導権が己の手から離れていく。
放つべきだった言葉は虚空へと消え。
死を齎す一閃はただの重い斬撃へと堕ちる。
そしてその斬撃を受けられた刹那。
相手に膨大な魔力が瞬時に集うのを感じた。]
体っ……がっ……!
『そろそろ幕引きだ、波旬。
こっちも、何時までも心配かける訳には行かないんでな。
わかったらとっとと……。』
[腱を振り下ろした姿のままの波順に、ランサーの放つ宝具が迫り来る。
それは光輝く横一文字。
その光には距離すらも無意味。
己が薙ぎ払うべき全てに瞬時に届く究極が一.]
『――引っ込みやがれ!!』
[その光と衝撃に包まれ、波旬の体は後方へと吹き飛んだ。]
……っ!
[信長の体が一瞬止まった瞬間、ランサーの一撃が光と共に、信長の胴体を薙ぎ払う。]
…上…総介っ!!
[頭が考える前に、走り出していた。]
[逆手の槍を振り切った後、2本の槍を1つに戻す。
仕込み刃がしまわれ、かちりと音を立てた。
倒れそうになる体を槍で支える。]
……の、信長あァァ!!
そんな荒っぽい剣じゃ俺は倒せねぇぞぉ!!
とっとと戻ってきて、ちゃんと構えやがれぇえ!!
[左之助は息を切らしながら、そう叫ぶ。
はったりである。
今の左之助には、もう1回突きを放つだけの気力しかない。
波旬がさらに動くようだったら、彼は終わりだった。]
"……何故、何故負けた。
魔王である我が……何故!人程度に負けねばならん!"
[薄れていく意識の中、消えない疑問を叫ぶ。
信長か、令呪か、それとも他の何かか。
それでも、己が人の英雄程度に負けるわけがない。]
『人程度、なんていってる奴にはわからんだろうな。
いや……その台詞を、お前が言えるわけがない。』
"どういう、意味だ。信長。"
『人はその身のままで、神や仏、魔王すらも超越する。
其れを誰よりも目の当たりにしたのは……。
――尊き方の弟子であった、お前が誰よりも知っているだろう。』
[言葉を無くす。
それほどにその言葉が、波旬の根本を揺さぶった。]
『人の愚かさを見たかも知れん。
醜さに涙したかも知れん。
それでも、お前には忘れてはならないものがあったはずだ。』
"……。"
『さぁ、消えろ。
この戦は……俺の戦だ。』
強がりを、言う……。武人の性、か。
[ランサーの宝具使用によって、自身の魔力も枯渇しかけている。
出来ることと言えば、機を見て切りかかるくらい。
蒲生正宗の柄を握り直して、信長の中の戦いを、固唾を呑んで見守った。]
我が師よ……尊き方よ。
私はまだ……。
――貴方の弟子であっても、よろしいのでしょうか。
[その問いに答えはなく、波旬の魔力は信長の内から静かに消え去った。]
[信長の体が、ゆっくりと立ち上がる。
其処には既に金剛剣も鎧もなく。
刀を杖に、よろけながら大地を踏みしめる、着流しの男がいるだけだった。]
ハッ……構えろと来たか。
――中々無茶をいいやがる……!
[右腕に、一瞬ちりちりとした痛みがして、令呪が消えていく。]
…っ!
[見ると、もう自分の知らない信長の顔では無い。
駆け寄って、何か言おうとしたが、胸がいっぱいで言葉が出て来ない。]
上総介…なのね。
[途切れ途切れに、そう問いかける。]
俺以外の、誰だと言うんだ。
[駆け寄ってきた茜に、軽い口調で告げる。
だがその姿は満身創痍。
片腕は変わらず無く、腹には深い傷。
受けたのは波旬とはいえ、そのダメージは確実に蓄積されていた。]
……待たせたな、アカネ。
下がっておけ。
――幕引きと、いかなきゃな。
[茜の頭をくしゃりと撫でると、刀を握って構える。
この一撃で、己の持つ全てが果てると感じながら。]
[ランサーに令呪のバックアップを送ろうとして、思い留まる。
ここで武人の誇りを穢すのは、勝利のためとは言え、してはならない事のように思えた。]
……あれも、こんな気分で俺の背中を見ていたのだろうか。
[呟いて、構えていた蒲生正宗を鞘に収める。]
ハハッ……戻ってきやがったか。
あいつの剣には品が無くていけねぇ……。
最後は侍同士じゃなけりゃな……。
せっかく戻ってきたとこ悪いんだが、英霊が2人いたんじゃ聖杯は手に入らんらしい。
お互い無残で、準備万端とはとてもいかねぇが……
ま、終わらせようや。
[足元が血で濡れていく中、左之助は槍を構えなおす。]
いざ尋常に……だ。行くぜ!
[そう言うや否や、地面を蹴って走り出した。
左之助の中に、戦いへの高揚感が沸いてくる。
だがそれには溺れず、より速く、より強く、相手の体に槍を突き立てることのみ考える。
走る速度が上がっていき、神速の槍が信長めがけて突き出された。]
嗚呼、小細工などいらぬ。
――真っ向勝負よ。
[まっすぐに、片腕で刀を構える。
切っ先は何処までも愚直なほどに真っ直ぐに。
内に何もいない。唯己としての己の為の戦。
俺が、俺として――。]
織田上総介信長――
――推して参る。
[地を蹴りつけ、駆ける。
其処には何の迷いも無く、唯々眼前の敵を打ち据えるために。
得物の違いなど百も承知、それでも不利などとは思わない。
互いに己の得意とする戦術、其処に何の上下があろうか。]
[左之助が信長の胸を突くと同時に、振り下ろされた信長の剣が肩へと食い込む。
辺りに鮮血が舞い、2人の動きはしばしの間止まる。
やがて左之助が動き、ゆっくりと槍を引き抜いた。]
紙一重……こっちの方が深かったみてぇだな……。
[信長が倒れ行く中、槍の刃先を地面に刺し、左之助は楊枝をつまんだ。]
……え…?
[頭を撫でられたのも束の間に、ランサーに駆けていった信長。
その背中を掴もうとして、手が空を切る。
そして――
気がつくと、信長が、紅に染まって倒れている。]
……あ…。
[震えて崩れ落ちそうになる足を、なんとか動かし、信長の傍らに膝をつく]
…上総介…?
[そっと、その頬に触れる。]
[決着がついた。倒れる信長。最後に立っていたのはランサー。
勝利を確信してランサーに歩み寄る。
――と、不意にランサーの膝が折れた。]
全く、無茶をするな。
[咄嗟にその身体を支え、肩を貸す。]
[倒れ伏した後、なんとか腕に力を篭めて仰向けになる。
その時視界に入ったのは茜の姿。
指が頬に触れるのを感じて、その顔へと視線を向ける。]
倒れる時は前のめりにって言うが……ありゃ嘘だな。
こうして上を向かねぇと、見送る奴の顔すら……見えないんだから……な。
[口から血が零れる、自分が消滅するのも間も無くだろう。]
……何、言ってるの…?
(…見送る?)
[信長の言う事がわからない、という風に、首を振る。
けれど、その瞳からは涙がこぼれ、ぱたぱたと雫が信長の顔に落ちた。
残った方の手を、自分の手でそっと包み、自分の頬にそっと当てる。]
…一緒に、…帰ろう…?
[そう言って、笑いかける。]
嗚呼、そういや……飯、作ってもらってない……な。
[結構楽しみにしてたんだがな……と夜空を見る。]
ほら、泣くな。
折角のいい女が、台無しだ。
[指を動かそうとするが、それすらも上手く動かない。]
うん…、そういえば、まだ鍋買ってなかった…。
食器とか、テーブルもいるよね。
それから、それから…
[はしゃぐように、言葉を続ける。
泣くなと言われても、どうしても止める事が出来ない。
微かに動こうとする手を、ぎゅっと握った。]
[ゆっくりと、信長の体が光に包まれていく。
足元を見れば、もはや輪郭だけが残り、向こう側が透けて見えていた。]
いい女になったら逢引に誘うって約束だったな。
約束は、守らなきゃ……な。
[触覚は既に消え去り、もはや目も見えなくなった。
残された耳に聞こえるのは、不自然にはしゃぐ茜の声と、静かな嗚咽のみ。]
……もう限界、か。
[静かにそう呟く。]
アカネのおかげで、最後の最後に俺としていられた。
礼を言う……。
この数日は楽しかった。
俺は胸を張って断言しよう、お前は最高の主君であり……。
[信長の体が透けていき、その存在感が希薄になっていくのがわかった。]
……礼なんて、いらない。
そんな、最後みたいな言い方…
[胸がつまり、言葉がそれ以上出てこなくなる。続く言葉を聞いて、泣きながら、笑う。]
……馬鹿。
あんたなんか、…大嫌いよ。
[透けて見えるほど、色素が薄れた頬に、そっと口付けた。]
[そして――
空気に溶けるように、信長が消える。
後には、なんの痕跡も残さないままに。]
……。
[地面にぱたぱたと涙が落ちる。
声も出さずに、そのままそこから立ち上がれずにいた。]
[山頂の上空に、光り輝く器が現れる。
過去と比べてみても異常とも言えるほどの魔力を蓄えた今回のソレは、願いを叶えるべき者達を静かに待っていた。]
[左之助は蒲生と共に輝く器を見つめる。
短いような長いような、得がたい戦いの日々。
それを思い出し、しばし時間を忘れた。]
へっ、改めて言うとなると照れるな……。
教会に生きる希望をなくした男が寝ているんでな、優しく起こすお相手が必要なのよ。
梧桐 曹の妻、梧桐 愛香を教会に蘇らせてくれ。
それが俺の願いだぜ。
[左之助はそう言うと、蒲生に「もういいぜ」と声をかけ、槍を杖代わりにして歩き始める。
蒲生には蒲生の願いがあるだろう。
それを聞かないための配慮であった。]
[槍を突いて歩きながら、左之助は思う。
今なら胸を張り、家族の元へと帰れるかもしれないと。
だが、それはもう少し先の話になるだろう。
次の聖杯を手にした時、それを願おうと心に誓う。]
すまんな、まさ。もうちょい待っててくれや。
[だが左之助には妻の反応は解っていた。
「本当にしょうがないお人」
いつものように、そう言って笑ってくれるのだろうと言う事を。]
[何度も傷付きながら、ようやく手に入れた聖杯への願いが、あろうことか他人のための願いだとは。呆れた男だ、と思いながらランサーの背中を見送った。
蒲生延は力を欲していた。英霊と呼ばれる彼らに匹敵する力を。
だが、聖杯にそれを願おうとして、首を横に振る。
そんな手段を用いて手に入れた力は、本当の強さではない。信長と原田の最後の戦いを見て、そう感じていた。]
困った、な……。
[何を願っていいかわからなかった。と、その時、一人の女性の顔が思い浮かぶ。]
そうだな、キャスター……、シェエラザードの願い。
何を願ったのかは知らんが、それを叶えてやってくれ。
それでいい。
[言って、聖杯に背を向けて歩き出した。]
[長いようで短い、非日常が終わった。あとはかつての日常に戻るだけ。
己の中で感じる変化。]
……俺も、原田のことは言えんな。
[小さく呟き、屋敷へ*向かった*]
[山の方から二度、魔力の振動を感じる。
恐らくは勝者が己の願いをかなえたのだろう。
あとは、聖杯が消えて何時も通りに……。]
――聖杯が、消えていない?
[今まで通りなら、二度の願いを叶えれば魔力を全て使い果たし、山の上に出現した聖杯は姿を消す筈だった。
だが今回は、未だに聖杯に魔力が残っている。]
確かに今回の聖杯の魔力は異常な量がありましたが……。
一体今回の聖杯戦争に何が――?
……。
[山の上空が光り、途方も無く大きな魔力がそこを覆っていた。
それを、地面に膝をついたまま見つめ、力の波動を二度感じた感じた所で目を閉じる。]
(……終わった…)
[このまま倒れて、土に還るのもいいかもしれない。
そう思って、地面にそっと触れた。]
……え…?
[そこから伝わる、大いなる力。]
[思わず山の頂を振り返ると、光は未だ変わらずそこにある。]
……っ。
[震える手で、祈るように手を組んだ。
流れ星に 願うように――]
……もう一度、あの手に 触れたい…。
[涙が一筋、頬を伝わって*地面に落ちた*]
[聖杯が、三度目の振動を起こす。
そしてソレを最後に、聖杯の魔力は霧散し、聖杯戦争の終わりを告げた。]
最後のは……まぁいいでしょう。
コレで此度の戦争も終わり。
あとは何時もどおりの日常へと戻り、残るは膨大な後始末と上への報告だけ、と。
まったく、特に今回は上も五月蝿そうですしねぇ。
[九鬼は溜息をつくと、深々と椅子に座りなおした。]
−教会−
本当に、お疲れさまでした。
[九鬼の事務机に、紅茶とクッキーを置く。クッキーは槍の形をしている。]
マスターの生存者は4名ですわね。
そしてそのうちの、2名が聖杯に何かを願った……。
本当に、イレギュラーが好きな聖杯ってことですのね。
報告です。
梧桐さんですが、肉体の治療は完治しており、後は本人の気力次第、という状態になっています。
魔術回路修復に関しては
……申し訳ありません。今現在絶望的と言わざるを得ません。
何か奇跡でも起きない限り……
[そのとき、治療室に小さな物音がした。]
ああ、ありがとう。
[紅茶のカップを手に取り一口。]
それに振り回されるこっちの身にもなって欲しいものです。
後は後始末ですが……今回の勝利者は何を願ったのやら。
私達が駆けずり回ることの無い願いならいいんですがね……。
[報告を聞きながら。静かに眼を瞑る。]
奇跡、ですか。
本来ならば、ソレを一番に信じるべきは私なのでしょうが。
――いや、やめておきましょう。
[そしてクッキーを手に取り、まじまじと見る。]
……食べにくい形、ですね。
[そしてソレを口に運ぼうとした時、治療室からの物音で手を止めた。]
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