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……お前さんの獲物?
[銃口をキャロルに向けたまま、獣の男を睨んだ。]
こいつは、ここに居る全員の敵サ……
「金」だの何だののしがらみさえ無ければ、な。
それともアレか。お前さんも最期に一発キメたいクチか?
[まるで力の抜けた自然体で、男は床に転がったキャロルとそれを囲む3人に近付いていった。――ただし、老人は先程の投擲が当たって負傷して倒れている。]
いや。闘えない人間をやるのは詰まらないからさ…。
「闘えない人間をやるのはつまらない?」
どういうこった?
お前さんはコイツをざっくりやる気は無いってことか?
それとも、今からこいつをロープから解放するって寸法か?
……そうだ。
[男はベンジャミンとケネスの持つ銃に構わず、瀕死のキャロルの傍にしゃがむと、老人が縛ったロープをダガーで断ち切った。
キャロルの目の前の床にそのダガーを突き刺し、立ち上がって数歩下がった。]
[キャロルは、赤黒い血に染まった頭上を見つめている。
ふたつの銃口がこちらを向いている。]
[自分のことを締め上げている老人が倒れているらしいことにも気づいた。]
[……思わず、ほくそ笑んだ。]
……ほう。
[銃口を上げ、若い男の様子を見守る。
反対側に居るケネスに目配せし、キャロルから一歩、二歩、離れた。]
[男の手によりロープが切られたことを察し、キャロルはずるりと身体を動かした。
喉を切られたせいか、ヒュウ、ヒュウと息が漏れる。
口を動かせど、もはや何も声は聞こえない……
それでも立ち上がろうと、よろよろと身体を起こした。]
……姉ちゃん。ここまでだ。
[ずるずると蠢くキャロルの前に立ち塞がり、銃口を向ける。]
まァ、生きたまま焼いたりはしねぇから安心しな。
俺はそこまで悪魔じゃァねぇ。
[ケネスに目配せをし、ふたり一斉に、キャロルの身体に銃口を向けた……]
[ゆっくりと顔を上げ、己の頭上にある銃口に、目を見開いた。]
[咆吼を上げるかのごとく広がった口。
喉からは、ヒュウヒュウと音が鳴る。]
[女は、ふたりの男に、何も持たぬ手を伸ばした――…]
――…"Say HELLO to your God..."
[男はキャロルを睨み付け、引き金を引いた。]
[――…ズドン、ズドン。
女の至近距離で銃声が鳴る。]
[ひとつは、ベンジャミンの持つ銃の音。
ひとつは、ケネスのそれだ――…]
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