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まったくだ。
ああいうのを、真のクズと呼ぶべきだろうよ。
ステージ上でカッコつけて「フリ」だけやってる人間にゃァ、一生辿り着けねぇよ。
……まァ、この番組に進んで参加してるヤツも、この番組をニヤニヤしながら眺めてるヤツも、誰ひとりとしてそれを言う資格なんざねぇがな。
セシリアの悲鳴に、ベンジャミンとケネスが飛び出していくのを見送って、独り言]
フィクションなら、どっちかとあのお嬢ちゃんとあの二人の生き延びたほうにロマンスが芽生える、ってのがありがちなシナリオだけど。
どっちが白馬の王子様でも、絵ヅラはいまいちだねえ。
ところで、あの人達は本当に言ってるとおりの騙されて連れてこられた無辜の市民や良心的な人たちなのかしら。
中には本気でそんなのも混じってそうだけど、かといって、全面的に当人達の言い分を信じて背中を向けてたら、絶対ギャングスターにぷっすりと殺られちまう。
ああ、やだやだ。あたしにはこういうところで、ああいう「自分は真っ当な善人です」と言いたげな物言いをする奴ってのはどうも胡散臭く思えてしまうのよ。
かといって[ちらりとギルバートを見て]この男を信用したらそれはそれで命取りだという確信もあるのよね。
[これはギルバートに聞こえるように。とはいえ、先の独り言も、あえて聞かせて反応を見るためものだったのかもしれないのだが]
本当に血みどろの殺しあいをさせたいのなら最初から別室に隔離して、せーのーでおっぱじめさせればいいのに。
下手に口聞くとお互いに情が移ってやりにくくてしょうがないにきまってるじゃないか。あたしのようなてめえのことにしか興味のない人間ですらそうだ。ましてやそこら辺からかっ攫ってきた連中ならなおさらだろ。
ほんとうは、あの小娘は自分で言っているような盛大な殺しあいと違うものを望んでいるんじゃないのかね。
信じていた相棒に喉を切り裂かれて、唖然とした顔のまま死んでいく者や、守るべき対象と信じていた女に後ろから撃たれた者や、自分を守ってくれると信じて頼り切っていた相手に生きながら切り裂かれる者の、絶望に染まった顔。
ルールや演出からすると、撮りたがってるのはきっとそういう絵、という推測が成り立つよ。
あと。これは素人考えの推測っていうか与太話と思って聞いてもらえればいいけど。
あのいかにもな軍人爺さんだけじゃなく、あの若い酔っぱらいも戦争に行ったことがあるのかもしんないよ。軍隊の話をしていたとき、妙なリアリティのあるセリフを吐いてた。
あたしの上の兄貴が軍隊から帰った後、戦地で少年兵を撃ち殺したのを気に病んでアル中になっちまったのと、あたしが勝手に脳みその中で重ねすぎてるだけかもしれない。
あくまでも、あたしの勝手な推測。
あと、まともに話してないのはあの爺さんぐらいか……
あたしはこれで自分の部屋に引き上げるよ。あんたはどうする?[ギルバートに向かって、言った]
[老人は頼んだものを受け取ったあと、モニターの映像を見た。]
ふむ。あのキャロルと言う女…。
よし。予定変更だ。
[老人は接着剤を使い鉄釘を手榴弾に接着し始めた。]
[さらに、空薬莢に液体火薬を入れ、密封した後さらに火薬を入れた。]
おい!少し協力してくれないか?
「…あの傍観者気取りの女を殺すために。」
[ジェーンの独り言――それは随分と大きかったが――にも男は何の反応も見せなかった。
続いて問われて、軽く肩を竦めて見せる。
どうやら「お好きにどうぞ」と言う意味なのかも知れない。
それとも他の意味があったのかも知れないが、男の表情からは窺い知れなかった。]
―レストラン―
[ベンとケネスに連れられて行ったレストランで水をもらいゆっくりと飲んでいるうちにやっと落ち着いてきた]
あ、ありがとうございます。ところであそこに映っていた女の人がここの主催者・・・なんですか?
[金髪のこちらを嘲笑うかの笑顔を向けていた女性を思い出しそう尋ねた]
……そうだよ、嬢ちゃん。
アレがこの番組のプロデューサー、キャロルって姉ちゃんだ。
お前さんみたいな「可哀想な」参加者を引っ張り込んだのも、おそらくあの女だ。
[煙草をくわえた口の端から、だるそうに言葉を発した。]
[ゆっくり歩く二人に先んじてレストランに入ると、水と、自分には酒を用意する。
飲みたけりゃ飲むだろと、もう一人の分は気にせずに、席に着いた二人にそれを運んだ。
セシリアがやがて落ち着き、口にした問いに肩を竦める。]
お前、今迄の放送ちゃんと見てなかったのか。
あの女が出てただろう。
生き残りたいなら、ゲームについての情報はきちんと得ておけ。
生きる気がない奴は、ギャングだろうと参加者だろうと殺すぞ?
[少しだけ本音を混ぜた口調で言うと、先ほどの映像を思いだし語調を弱めた。]
まあ、モニタの映像にはあーゆーのもあるだろうからな……見たくないってのも分かるが。
―カジノ―
[ひとりの女が、カジノの扉を開けた。
彼女の姿を見るや否や、ディーラーやバニーガール、バーテンダー、全てのスタッフが恭しく礼をする。
それに軽く目配せをし、女はカジノの中央――ルーレットのテーブルの前に座った。]
……ハァイ、調子はどう?
[ディーラーに声を掛け、ケラケラと甲高い声で笑った。]
―回想―
[メイド服を着てターゲットを探す。特に問題もなくアーヴァインは見つかった。]
あの・・・少しだけ手伝ってほしいことがあるんですがいいですか?
[両手で荷物を抱え困ったように上目遣いでアーヴァインを見上れば渋い顔をしながらもついてきたので倉庫に案内する。一人なら小細工を使った不意打ちを考えたが二人いるならその必要もない。荷物をアーヴァインに持ってもらった瞬間に背後からケネスが喉をかき切った。
後は騒ぎが大きくなる前にキーを奪うだけ。二人にとってはアーヴァイン殺害は造作もないことだった]
……と、そう思いきやご本人の登場か。
[遠目からもそれと分かる金の髪。
参加者以外で仮面を付けていないのは彼女だけだ。]
何しに来たんだか。
あァ……そういうことみてぇだな。
あの姉ちゃんも、まったくもっていいご身分してやがる。
セレブリティの考えることはさっぱりわかんねぇよ。
[不機嫌そうに煙を吐き出し、呟いた。]
……あのクソ女に一泡噴かせてやりてぇモンだぜ、まったくよ。
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