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集会場は不信と不安がない交ぜになった奇妙な空気に満たされていた。
人狼なんて本当にいるのだろうか。
もしいるとすれば、あの旅のよそ者か。まさか、以前からの住人であるあいつが……
どうやらこの中には、村人が4人、人狼が1人、占い師が1人、霊能者が1人、狂人が1人、守護者が1人含まれているようだ。
あー、諸君、聞いてくれ。もう噂になっているようだが、まずいことになった。
この間の旅人が殺された件、やはり人狼の仕業のようだ。
当日、現場に出入り出来たのは今ここにいる者で全部だ。
とにかく十分に注意してくれ。
──Under/blank space──
[何もない空間]
[Underの別の空間には、此処とは真逆に、ウィルスと情報過多による粘りつくような液体の中を歩いているようなspaceもあるが、ここは──本当に何ものをも感じさせない]
[Lutherは、何故か自然ここへ足が向いてしまう事を以前から訝しんではいたが、ここへ来てしまう理由までは分からなかった]
──Under/blank space──
[かつて、この場所で「memento mori」に侵食された事──以外に引っかかる事があるのだろう、か?]
[製作者ならば、こう言ったかもしれない] [因縁] [と]
[Nina──Lizの手の一つとも言える彼ら──The Right-hand of Darkness──… 連鎖的に展開されていく思考ルーチンを停止させると、"HOME"からより離れた別のUnderの領域へと転移する]
─ UNDER / Mainstreet ─
[ふと大通りの中央で歩みを止め]
だーーーれも、居られませんのねえ。
お婆さまってば、私に嘘をお教えにでもなったのかしら。
[くるり。右足を軸に踊るように一回転]
[ベールの動きにあわせ、雑多なウィルスがクラスタ片に分解される]
[舞い落ちるクラスタの破片が、きらきらと乱反射]
──Mundane(現実世界)──
[鼠と紅を混ぜ合わせたような襦袢の上に小紋を着用し、羽織りを肩から掛けたヒューマノイド(Humanoid≒アンドロイド)。生体部品は使っておらず、その精神は人間に酷似しているものの、完全なる人間とは言い難い。
髪の表面を金魚が泳いでゆく。
ナノテクノロジーによる超緻密な部品と髪の毛は化しているが、既に大容量時代を超えた今となっては、享受され得るべき(とは言っても下級階層の人間は粗悪な享受物を掴まされるかもしれないし、そもそも掴めないものもいるかもしれない)技術の一つとなっている]
──Mundane(現実世界)──
本当に残念。
だって、長年パートナー関係を結んでいたんだもの。
[現実と電脳世界を二重映しとして見る事の出来る透明としか見えないグラスは、愚かな行為の結末の詳細報告を彼女に伝えている。彼女は、まるで桜の花弁が散る様を見るようにチラっと見て、理解して。
シシー、Secilia=Frankは笑った。]
「Blossom…状況は理解っているだろう。」
[じっとりと汗を背面に滲ませた声を、会話相手は押し潰された蟇蛙のように洩らす。
シシーは、桜色の小さな爪を持った人差し指を唇に押し当て、困った表情をした。薄い硝子でつくられた広い窓からは、120度の景色を展望出来る。人体に悪影響を与える不可視な線は、残念な事に68%しか防げていないようだ。]
―Under/???(廃棄領域/???)―
[―承前―]
[青白いゲートに向かおうとした少女の背後に、Lutherの黒衣が迫った。彼の身振りに伴って幾つもの火球が生み出される。次々に飛来するそれらのどれをとっても、直撃すれば広範囲のデータ損壊は免れないだろう]
――ちょっ、もう! 待ってよ、いきなり、なん、――っ!
[身を捻り、ステップを繰り返す。攻撃を回避し続けるだけの数秒間。戦闘向けのデバイスは装備していなかった。着地し、ゲートとの距離を確認した瞬間、彼女の横腹を火球の一部が掠めた]
――っ、熱っ……!!
──Mundane(現実世界)──
[慌てた声が背後からかかるが、取り合おうとはせずに、]
ごめんなさい。
不味いケーキを食べるのは、もうウンザリなの。
[扇子で口元を隠すと横へと振り向く]
和菓子も美味しくなかったわ。
[玲瓏とした声の余韻を残してシシーは、その場を後にした]
──Under/Field...Sunset...──
[草の海原は、夕陽に照らされている。
延々と続く膝丈まである草の間を分け進みながら、Fieldの*探査をする。*]
-UNDER/???-
ハッハッ……急がねば…。
[ニヤリとアバターの口の端が歪む。
その前に、ウィルスの群れが立ちはだかる。]
三下どもが、私の邪魔をするなッ!
[次の瞬間、ウィルスどもは寄せ集まるように硬直。]
待ってろよ、待ってろよ。COMING TO GET YOU, BABY...
―public/library―
[本棚の間で女性が1人、手に開く分厚い本を読んでいる。
彼女の眉間はだんだん皺がきつくなり、そのうち口はへし曲がり――]
…ったぁっくもー、だーれよ図書館に行けば何でも分かるとか言ったヤツはー!
[彼女は空いている拳を突き上げ天に叫んだ。
…ちなみに、先程の言葉を言ったのは彼女自身である。]
昔の人は偉そうな事言っちゃってさー、
分かったのは本の厚さとか重さとか紙の質とかインクの掠れ具合とか、読んだら頭痛くなる所までテッテーテキに拘って本の完全再現しようとしたバカが居るって事くらいよ。
全く、読み難いったらない。
[コレだけで凶器になりそーね…等とぶつぶつ言いながら、本を棚に戻す。]
分厚い本は駄目ね。無駄な言葉が多いから厚いんだわ。
[あの厚さの中には何でも書いてあるのよ、と言って分厚い本を選んだのは勿論彼女である。]
うーん…何か他に短くて簡潔でスパッとこー分かりやすくてかつ長すぎず…
[本棚を探っていた手をふと止め]
…つーか。
そもそもあいつが何も教えてくれないのが悪いんじゃない!
何よプレゼントだとかキザな事言ってくれちゃってさー。
急にこんな事される身にもなってみろっつーの。
せめて「今」の事教えなさいよね…
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