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そうだな、そろそろ買って家に行こう。
[と。勿体ぶるが真実はといいますと
クリスマスだしスタンダードなイチゴのケーキである
洋菓子のアリスに予約の紙と引き換えに
ケーキの箱を渡され
外を見れば夕空に染まりかけ
昼とはまた違った色合いでイルミネーションは瞬く
そのなかを。君と手を繋いで歩こうか
吐く息は白さを増しても
頬の赤みは、消えぬまま**]
めっちゃ美味かった。
ごちそうさま。
[と手を合わせて梨花に向かって頭を下げる。食べ終わると梨花が傍に寄ってきて、どうしたんだろうと首を傾げていると、突然のパナップ。
きっと梨花はわかってる。
パナップは俺を釣るのに最適な餌だと。上目遣いでこちらを見つめる梨花が色っぽい。
ふるふると首を横に振って。]
一緒にパナップチャレンジ
するか.........
[片付けをするのなら手伝おうと申し出て。
でも、なぜかそうしたくなったから。
体育座りで俯き気味の梨花の頬を指で撫でて、微笑んでみせよう。]*
[もしこの曲を、ミステリアスかと問われたら。
私はそうは思わない。と、返すだろう。
ただ、寂しくて、頼りない、自分を見付けられないでいる人の曲に聞こえたというでしょう。
じっと曲を奏でるエディ・レイを見詰めて。
最後の一音が響いて、静寂が辺りを支配したら。
私は微笑んで拍手した。
昔を懐かしむような笑みを浮かべて、拍手した。]
……ありがとう。エディ・レイ。
[でもね。
今はもう違うんだ。
あの時の私とはもう違う。
私は満たされていて。答えそのものは持っていないけれど……
一緒に答えを探したいと思える人が、側に居るから。
だからもう、寂しくない。
そんな気持ちを込めて、にっこりと微笑んだ。]
片付けは、食洗器あるから大丈夫だよ。
下にはお母さんも居るし。
パナップ持ってくるね。
[微笑んで。食器をお盆に乗せると、水差しとグラスだけ残して部屋を出た。
階段を降りる音が続いて、暫く経ってから、パナップを2つと、木のスプーンを持って戻ってくる。]
私ねぇ。アイスはお店でくれる木のスプーンで食べるのが好きなんだぁ。
はい。凪沙、どっちにする?
[苺味と葡萄味。選んでもらって。残りが私の。
蓋をめくるとそこには……
表:はーと 裏:スマイル +表+]
あ!スマイルだ!!
わー。久しぶりにパナップ食べるけど、私初めて見たよ!!
すごいすごい!!
[そんな風にはしゃいで、凪沙のアイスも覗き込んだでしょう。*]
──誕生日>>93──
24時までって、それじゃ泊ま、……
[普通に返しかけて。
あっとなり、途端に何かを想像したかのように真っ赤になると、目を逸らした。
彼の意地悪は的確に効いたということだ。
しかし以前の自分なら、夜に男性の一人暮らしの家に上がろうだなんて、高校生の間にするとは思わなかったに違いない。
恋人の威力とは恐ろしい。
何より、彼だからなのだろうけれど。]
……、
[エレベーターの中では、
前の会話を引きずってか、背をたたかれると安堵より胸の高鳴りが上回ってしまい。
俯いていたのは、実は恐怖心よりそちらが主だったとは、言えるはずもなかった。]
[展望台では、距離が離れて少しホッとする。
あのまま引っ付いているのは危険だ。
人混みはそこまでではなかったから、あまり周りは気にすることなく景色を楽しめる。
手を繋いで、きょろきょろと眺めて。]
ああ、そうだな。
あれが多分美術館で──……
[共にはしゃいでくれるエディ。
気持ちに寄り添ってくれるのが、嬉しい。
彼と共にいると、時々、自分はこんなにも話し好きで表情豊かだったのかと、子供っぽくもあったのかと思うことがある。
それは全部、この人の優しさのおかげだ。
最後は景色よりもエディを見つめて。
ありがとう、と呟いた。*]
― 誕生日>>157 ―
なら、泊っていけばいいよ?
両親に怒られるなら、僕も一緒に怒られるから。
[紅葉のように紅く色づいたひとに、ささやいて。
うん、そんな反応するだろうと思ってた。だから言ったんだけど。
僕だって、誰にでもこんなことは言わない。ダッドじゃないんだからそんなに外面はよくなれない。
ミサキだから、一緒にいてほしいと思ってるから、だろうなとは思う。]
ああ、じゃああのあたりが一緒に行ったカフェか。
あのとき、僕もだいぶ緊張してたんだよな。懐かしい。
[手を繋いだまま、一緒に同じものを見よう。
できれば、同じ気持ちで。
だから。言葉の代わりに。
もう一度、その手をぎゅっと、ぎゅっと、握って。もっと一緒にいたいと、叫ぶように。*]
― コンサート>>144 ―
ありがとう、リカ。
[小さくほほ笑んで、その笑みに、安心する。
正直に言えば。
五月のリカになら別の曲を贈っただろう。例えば幻想交響曲のような。例えば、ありえたかもしれない未来に贈っただろう、リカに一番ふさわしいだろう曲とか。
けれど。クラスで、あるいはふとした時に。ナギ―と笑って寄り添っている今のリカになら、この曲がいいと思った。
プレイアデス舞曲。これは古い形式で書き出された、ダンスを踊るための曲。
リカが生まれた日本で、現代の作曲家が書き出した曲。
ふたりで寄り添って、舞踏を踊って初めて完成する曲だと、僕は思っている。
―――あのときの。紅い衣をまとった貴女との舞踏は、僕はたぶん忘れない。
けれど、貴女には、凪沙との、新しい舞踏を踊ってほしい。]
"Clair de lune"か。
……ありがとう。僕はそんなに、音が跳ねて光る人だったのか。
[リカから渡されたCD>>49>>50に記された曲は、もちろん知っている。
曲だけならば世界で一番美しく記した作曲家の、その中でも音が跳ねて遊ぶような曲。]
なるほどね。Moolight Sonataの第三楽章は、たしかに僕向きじゃないね。
リカはあのくらい激しいほうが好みだろうけど……
贈るなら、ナギ―向けかな?
[あの曲の裏話を知ってればなおさら。
身分違いの悲恋に終わったけれど、不滅の恋人と称されたひとに献じられた曲。
強固な意志で、伝統から離れた展開をしつつもフィナーレをまとめ上げた曲。
それはたしかに、僕向けじゃないよ。すくなくとも、リカからは、さ。]
[リカを送り出して、長く息を一つ。
そこにミサキはいただろうか。もしかしたらリカを送っていっているかもしれないけれど。]
……こっちは、な。
[鍵盤にもう一度、向かい合って、指を走らせる。
似合いはしないけれど、貴女に一番ふさわしいとおもう曲。
もし僕が、ベートーヴェンの立場になれば、贈っただろう演奏。
Libertangoを、丁寧に奏でて。
―――今日の、アンコールにしよう。*]
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