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[抱擁を解かれれば、何やら箱を取り出している。
またプレゼントあるのかなと思いきや、手渡されたのはプレート上のネックレス。
刻まれた窪みは、自分に贈られたハートが組み合うようにデザインされたものだろう。]
……。
[ネックレスと彼を見比べて。
あげたくなったら頂戴、まさにその通りだ。
こんなにしたくてたまらなくなるものなんてないだろう。]
凌…
[名前を呼んで伸ばした腕が彼の首に巻かれて、その後ろで小さく動いて……留め金をつけて。
すっと腕をほどいて、彼の首元から縦に流せば――胸にそのプレートが踊った。]
[もともとセットのものを、2人で分け合って……という意図のものだったと思われるのだが……あげ終わっても、体を離そうとしなかった。
なぜなら――あげ終わっていないからだ。]
…――。
[唇だけで彼の名前を呼び直せば。
その口に、自分に贈られた片割れ、ハートのペンダントを浅くくわえ込んで。
小さく身をかがめば――]
んっ…――
[彼への愛しい想いを乗せた唇が、その胸元に寄せられて――カチャリと、彼のプレートに自分のハートをセットさせた。]
凌……
あたしのheart、届いた――?
[顔を上げ、彼を見つめる瞳と共に告げた言葉は。
――まさしく、したくて、あげたくてたまらないことだった。*]
― 誕生日>>79 ―
そうだね。まあ食事の後の予定はゆっくりでもいいんだけれど。
今日は24時まであるよ?
[なんて、少し意地悪かもしれない。
揺れる手を繋いで、ゆっくりタワーまで。
ライトアップは見たことはあったけれど、中に入るのは初めてだ。
ミサキがいると、いろんなことが経験できるのも、楽しい理由なのかな。]
あんまり意識したことはないな。
飛行機に乗ることも多かったからかもしれない。
[身を縮こまらせているミサキの背中を、向かい合わせのまま優しくとんとんと。
いつも凛としているから、そんな姿は結構新鮮。]
ほんとだ。
おもったより障害物がなくて、全部見えるな……
[引っ張られるようにたどり着いたガラス窓の前。
眼下には、自分がいま暮らす場所が、一望できる。
そうか、これがミサキが育った場所か。
ブリュッセルの街並みとは、まったく似ていないけれど。
……どことなく、なつかしい、雰囲気がする。]
じゃあ、あっちがミサキといった美術館かな?
あの目立つ建物は?
[はしゃいでるミサキに、合わせるように。
視線を、街と、恋人に相互に向けて、いろいろきいたんだ*]
― クリスマスに ―
2冊かあ。何にしようかな。
[ハルと分かれて、図書館を散策。先に思いついたのは、ハルに奨める本。絵画関係だと面白いかなと思い、数年前の直木賞候補作品を取り出す
原田マハ『暗幕のゲルニカ』
元キュレーターの描く、ピカソをめぐる壮大な美術ドラマと書かれた帯が目を引いた]
これにしよう。
[1冊目は早速決まった*]
自分から言いだしたことではあるが中々に難しい。
[選んだ2つは――何方ももう一度読み返したい
でも何方も、ある意味ビターなエンドではある作品だった
乙一という人が書いた短編集、「失はれる物語」
それからもう1つは映画化もした、
住野よるの「君の膵臓をたべたい」という文庫本
前者は、短編集で。代表作は交通事故で全身不随になったが、片方の手だけの感覚のみある、とあるピアニストの物語
でも同じく収録されている Calling You も
自分は好きなんだよなぁと。表紙を撫でる
もう1つのものは終わりから始まる、物語
その結末に至り、主人公はそれからどうするのか
どう生きていこうとするのか
人の心について考えさせられるものである]
もう1冊は、自分の読みたいもの...。
なんだろうなあ。
[最近読みたい本は、大体図書委員の最中に読んでしまっていて、新しく読みたい本が特になかった]
ああ、新刊。
[まだ図書室に来ていない、新刊だったらと、新刊コーナーへ]
高校事変の5巻が出てる。
[4巻までは読んでいたので、続きをと、これを選んだ。主人公は沙也加と同じ高校生だが、親が半グレ集団のボスという特殊な立場で、無双するというお話。かなり荒唐無稽だが、テンポが良くて面白い*]
確か。な
俺は映画みたことはなかったけど
小栗が主役ってのは当時宣伝であったような。
[元々は小説家になろう発祥である
彼女も小説を投稿しているサイトからの
それもあって、どうかなと思ったのだ。などと
俺は供述する*]
うん、なろうだったっていうのは知ってた。
小栗旬だったっけか? 銀魂の人だったっけ?
[映画俳優については、その程度の知識*]
……。
[本を読み進める中。初めはコーヒーを飲みながらであったが
引き込まれる、その話の濃厚さに
ゲルニカの作者、青の時代やタンギー爺さんなどを手掛けた
画家、ピカソ。彼の作品を、彼自身を。現在と、彼の生きてきた時代に愛した女2人の視点で描かれるストーリー
戦争への反対を叫んだ作品。
それをミステリーとして取り扱うだけではなく
その当時の時事でもあった、9.11の事件を入れ込み
強い反戦と、芸術へのメッセージが込められているもので
思わず、感嘆の吐息である]
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