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― 誕生日>>216 ―
[夕暮れか夜か。陽が落ちるのも随分と早くなったなと、街並みを眺めながら思う。
と、ふとミサキから声が漏れて。]
……そういえば、そうだね。
ミサキに来てもらうばっかりで、迎えに行くこともあまりなかったし。
これからは、増えるんじゃないかな。
[香さゐにふたりで出かけた後とか。
ミサキを迎えに行って、例えばどこかに寄った帰りとか。]
ミサキが僕と暮らしたら、たぶん毎日だけどね?
[いつものようにに冗談を言って、キーを取り出す。
最近、小さなベルを付けたキーを使って、扉を開けよう。
ずいぶんと彩の増えた部屋の中、今日も入口の一輪挿しと、アンブリッジローズがお迎えしてくれる。
それはとても、自然で、幸せな光景な気がする*]
──ふたりが帰ってくる前──
[千秋と料理を作りながら。]
春生がクリスマスに彼女を連れてくる、か。
……なんだか感慨深いね、千秋。
[よし、料理、完璧。
千秋の背中を一度ぽんと叩いた。]
あ、帰ってきたみたい。
おかえりなさい! そして、いらっしゃい。
あ、こら、ケーキ危ないから。
手はちゃんと洗った?
[賑やかに笑顔満開で。
愛する息子と、その大切な人を出迎えよう。**]
何から言おうかなぁ…
ん、まず謝っとく
生徒会選挙の前に美咲に訊かれた(>>0:431)とき……
あたし、ウソついたかもしれない(>>1:10)
あー……本心は本心よ
美咲が勝つ自信はあったし、応援もする気あったし、会長選やりあうつもりもなかったし
うん、それは間違ってない
騙したというか…取り繕った答えかたをしちゃったんだと思う
本当は忘れるまで言わないつもりだったのだけど……凌と付き合ってて、このまま自分騙してたらいつか悪いこと起こるって気がして
あのね…選挙までの前提で、あたし…美咲に言ってないことがあったんだ
[なんて、語気にあまり力なく。
対面でなく隣り合わせのシートを選んだのは、向い合わせに座って目線を外すまではしたくなかったのだろう。*]
[ケラケラ笑いながら。]
スマイルが欲しすぎて見せた幻影だった。
[そう言って笑うと、ちょこんと凪沙の隣にくっついて座る。]
んーん。いらないよ。
……私がスマイル出たら……凪沙がはーとでも交換できるかなって、思ってただけだから。
私は凪沙と一緒に、好きなアイス食べられるだけでじゅーぶん。
じゅーぶん幸せだよ。ね?
[そう言って微笑んで。
さ。食べよ。って。木のスプーンで苺味のパナップを掬って口に入れた。秋のアイスも美味しいね。*]
― 鍵谷家でクリスマス ―
お邪魔します。
[鍵谷先生には丁寧に頭を下げて挨拶して。沙絵ママには軽くハグなんかしてお家に入ろうか]
ううん、賑やかでいいな。
[久方家も賑やかではあるのだが、ちょっと勝手が違う。きっと、男の子の家と女の子の家の違いかなとも思う]
― 24色のそれを手に取って ―
……。
[渡された誕生日プレゼントを見て>>169
息を一度だけ、飲んだ
自分が進みたいと思った東京藝大
絵画科としては日本画、油絵画の専行
或いはデザイン科と進路は3つあった
――どれにするか、決めかねていた
此ればかりは、一度それを選んでしまえば
画材をそろえるのだけで軽く諭吉が飛ぶし
決めるなら早ければ早い程良い――と、いうより
今から始めなければ間に合わないとも、いう
受験まで、あと700日もないのだ
それでも、自分は水彩画しかしていなかったから
どの道に行くか悩んでいた、そんな冬休みに入る前のことだ]
[俺は小学生のある年からずっと人が描けなかった
今年の初夏に。サヤを描くまで、描けなかった
―――絵を描くのが好きだった
自分の感じたことを。心のままに描ける
其処には嘘も、何もない
切っ掛けというのは本当に些細なことで
学生の作品展、というものが小学生や中学生の頃にある
小学生の頃、それに選ばれた時があった
クラスで1枚、代表に選ばれたものを市の品評会に送るのだ
その時、もう1枚の候補として同級生の子の絵があったのだけれど
選ばれたのは自分であった
その子に、鍵谷君のせいで。
――と大泣きされたことがあった]
[その時の、クラスメイトの視線は
泣いた子に同情的なもの
自分に対しての隔意。妬み――そういったものを
見て、感じて。それ以来人を描くのが怖くなった
自分が描いたものは自分が見たままのもの
でも、人を描いたら。それに
自分が何かをすることで。誰かを傷つけてしまうように
自分が景色の中に入ってしまったら
自分が見たままの”ヒト”を描いてしまったら
それは恐ろしいものにしかならないのでは?
そうだ。俺は怖かった こわかったんだ]
[油彩画の試験には筆記と、実技が数日に分けてあるのだが
その際必ず、人物を描く試験がある
日本画にはなく、デッサンに関しては
ある年とない年が、ある
自分が表現したい世界を、自分が見た世界を
描きたいと願うのなら油彩であろうけれど
それにしよう、と決める一歩が踏み出せなかった
の、だけど]
[そんな葛藤等知らないまま
何時も元気な。でも時に弱気になる
そんな親友から差し出されたものは油彩の絵の具
――俺は魚住のことを「良い奴」と思っている
此奴の凄い所は、心を相手に伝えることを
一度腹を括ったら躊躇わないんだ
相手のことを尊重して。心ごと大事にできる奴
そう、俺は認識している
俺は優しさというのは、強さだと思っている
それは腕力という意味じゃない
欲しいときに欲しい言葉をかけられるとかそういう意味でも、ない
弱気になったり、悩んだりしても
それでもその人のために何かをしたいと思い行動できる強さ
隣で笑いあえる、心に寄り添える強さ
そういったのを魚住は持ってると思ってるんだ]
……。
それじゃあ、今度絵のモデルになれ。
魚住が暇なときでいい
この絵の具で描くのが馴染んだ頃に
それならきっと見せられる。
[”人”を
2番目に描くのならお前がいい**]
いただきます。
[ちゃんと沙絵ママの言う通り、手を洗って、うがいもしてから、食卓につきます。沙冬兄ちゃんの席が今日の沙也加の席になるようです]
美味しそう。
[激辛メニューのない食卓は久しぶり。でも、沙絵ママの料理も何度も食べたことがあるので、馴染みがあった。ただ、キャンプ飯が多かったので、自宅での料理は案外新鮮だった]
これ、どうやって作るんですか?
[前菜のアボカドの料理の作り方を聞いてみたり、すでに、鍵谷家の味をリサーチ開始したりしている*]
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