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私とエルナはただの商売上の間柄じゃなくてね。
似たもの同士だったんだから、すぐに仲良くなったんだ。
[目を瞑りながら、寂しそうにそう語る。
ほんの一時前までは当たり前だった、その時間を夢想する。]
私が羊飼いになったのも、エルナが1つの理由になっていたんだよ。
だから分からなかったんだ。
どうして・・・・・・
[そこで息を詰まらせる。
だが、カタリーネの脳裏に過ぎった言葉は、その場にいた多くが想像した言葉ともまた違ったものだったであろう。]
悪いけど、暫く独りにさせておくれ。
[やがて立ち上がると、そのままふらふらっと蹌踉めくようににして、部屋から出て行ってしまうのだった。]
[都で流行っている娯楽小説では、時に語り手が信用できないものであるという。混乱の中で、自分でさえ信頼しきれるだろうか。
――最後には、自分が信じたいものを信じるしかない。責任を持つという意味でも。
談話室から三人は出なかった、という。>>53>>57
それが真ならば、疑わしいのはゲルトの部屋で作業しようとしていた自分たちだけれど。
憔悴しきったカタリーネ、何もない宙を見つめるほど衝撃を受けていたニコラス、エルナにすがって泣いていた少女の目を絶対のアリバイとは思えなかった。
本人を前に言い澱むが、誰かに問われれば
こう前置いてから話し出そう]
……絶対の自信は、ありません。
言い出しておいて卑怯だけれど。
それでも…このまま、また誰かや自分が死ぬのを待つよりは……勝算があると。
[ニコラス>>62にぽつりと答えて、用紙を折り畳む。まだ投票はしない――人々の動向を窺うかのように]
人狼というのは夜ほどでなくとも
恐ろしい生き物だと思うんです。
エルナさんがそうだったみたいに……一対一になったら、きっと敵わない。だから、残りは一匹……最悪でも二匹。
[自分には鋭い論戦は無理だから、考えたことをゆっくり話していく。
人の数が勝っているうちに動かなければと思ったから、誤る恐怖、殺されうる恐怖を抑えて]
ヨアヒムさんやシモンさんが、ジムゾンさんを……き、傷付けたなら。
誰か来る前に隠しておけば、少なくとも一晩は稼げたんじゃないかなって…。
[辿り着いた結論は、ヨアヒム>>48が言及したものに近い。隠し守られているなら犯人が絞られる状況を避けるのではと。
騒動経験の有無が生んだ認識の差から、シモンが淡々と昏い口調の裏で考えていたことは察せられていなかった。>>45>>46
しかし、カタリーネ>>72の指摘が尤もに思えて、話が中途半端に途切れる。迷いがあるのは、確かで。
なかなか談話室の会話に追い付けず頭をパンクさせていると、彼女が席を立った。>>73]
遊びじゃ……ないのね。
[わたしは、自分の長い沈黙をようやく破る。
ティーカップをゆっくりとテーブルに戻し、クララに向けて言った]
狼さんがだれか決めて、その人をしょけいするのね。
しょけいされたら、ほんとうに…………しぬ………ん、だよね?
[恐怖にかられて燃え上がっただろうクララの殺意は、しかしまだどこかに迷いと怯えを残している。
わたしは、だが、そんな彼女の目に問うた]
そうなんだよね!?
[覚悟は、できているか、と]
[エルナがゲルトの部屋に行くのを止めていたら。此処で死んでくれと言えていたら。
何か変わったのでは。
ジムゾンは死ななかったのでは。
きっと、狼の死を共有できず
新たな犠牲者が出たのだろうけれど、
正解のない後悔にずっと苛まれていた。
頭が働かないのに、時間ばかりが過ぎてゆく]
……昨日、カタリーネさんと話してた時。
彼女、言ってたんです。
魔日って知ってる?って――。
[冗談めかした言葉。>>1:129
飄々とした羊飼いの瞳に何処か本気の色があったのは、何かしら隠しているからではと思った。彼女の内心も、外出も知らなかったけれど。>>2:218]
この中では割と楽観していたカタリーネさんが、何か知っていて予感してるみたいだった。
エルナさんは正体を明かしたあと、ジムゾンさんを連れてニコラスさんの元――ゲルトさんの部屋に行こうとした。
[そこにいたのは、ニコラス、シモン、カタリーネ。最期に仲間の元に行きたいと思ったのでは、と]
……わたし、彼女を疑って、ます。
なんで………おねえちゃんが…………
狼さん、みいつけた………だけじゃ………だめなの………?
[眠っているはずの"リーザ"の霊の慟哭が、"わたし"の霊を震わせ、共鳴させる。
体を震えて、瞳が大粒の涙を落とす]
おねえちゃんは、狼さんが、いやだったの……?
ニンゲンを、本当に…………
"コロシテシマウカラ……?"
[だが、"リーザ"が見たエルナの、人狼の瞳は、美しい金色だった。それはエルナの本来の髪の色のように。
人の血と肉に餓え、殺戮に狂う人外の瞳ではなかった。
エルナは、なぜ、あんなことを……?]
だったら……わたしは人狼を見つけるの。
見つけて……しょけいして……おかしな遊びをおしまいにするの。
[そう言いきって、わたしはエルナの血に染まった袖で乱暴に涙を拭うと、忌まわしき箱――人狼騒動には決まって使われる投票箱――を睨みつけた]
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