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[新涼を感じられる季節へ変わったとはいえ、早く食べないと悪くなってしまう。
立ち寄った小さな村のベンチに腰掛けて、胸元へ大事に抱いていた壺を膝の上に置いて。
肩にかけていた大きめの鞄から箱を出して開けば、甘酸っぱい香りが鼻腔をくすぐった。]
……貴方と、一緒に食べたかったです。
[本当に自分はこればかりだ。]
ちゃんと、かえります、ヤーニカさん……。
だから、待っていて……。
[一切れぱくりと頬張れば、瞼をきゅっと瞑った。
涙が出てきたのは、きっと、少し酸っぱかったせいだ*]
―雨が上がって―
[燃え上がる炎の中から雨上がりの空を見上げる。
朝焼けのような色が周囲を照らし、煙が遥か彼方へと昇っていく。
熱さは感じない。
炎は冷たい身体を包み、傷も、憎悪の痕跡も、全てを灰へと還していく。]
炎は穢れを浄化する。
[今まで幾度も見送ってきた光景だ。]
……でも、俺にいらない。
[ふわ、と風に炎が揺れた。
天に上ることなく、男の亡霊は炎の外へと出る。
そこには、生き残った二人の姿。
部屋での事を思い出して、ほんの少し視線を惑わせるけれど。]
一緒にいきましょう。
[約束通り男は彼女の傍らに。]
― 旅立ちからひと月 ―
[修道服でなく一般的な民族衣装に身を包み、ゆるめの三つ編みにした長い青銀の髪を揺らす娘は、ある場所の入口で足を止めた。]
人狼騒ぎは収まったと、結社の方は言っていたけど……
[少しは治安もましになっているのかなと呟きながら、足を踏み入れた先は貧民街。]
― 貧民街 ―
[人狼の存在を捏造した自警団は、いつの間にかお縄についていたようで。
自分の罪状は雇い主を階段から落としたことの一点になったけれど、自分を追っていた自警団とは別の男達から「わざわざ出頭してくる奴なんて他にいねえよ」と笑われ、適当な事情聴取を受けるだけに留まり、すぐに返された。
殺人が日常茶飯事の貧民街において、故意でない人死になど取り上げる価値もないということか。]
また……
――して貰えなかった、のですね……。
[自ら――――ことは赦してもらえない。
けれど、他者の手によるものであれば。
どこかに抱いていた淡い期待は、あっさりと打ち砕かれた。]
……あそこで、働いていたんです。
今は、別の施設になっていますが……。
[覚えのある場所へ来た事に気づき、眉を潜めて壺を抱く手に力が篭った。
娼館だった建物は、賭博施設となっていた。
主を失い、瞬く間に廃れたのだろう。
自分が人狼として追われることになった際に自警団と口裏を合わせたらしい元の同僚たち>>1:95,>>3:27も、今は誰もここにはいない。
職を失い散り散りになったのか、自警団と同じようにお縄についたのか。]
[また、この街のどこかで、医師>>0:134が仕事を辞めたらしいという話も耳に入った。]
[以前と変わらない様子の貧民街は、けれど娘を取り巻いていた環境はすっかり変わっていた。]
「きょうはかわいいおようふくかってくれるんでしょ?
パパ、ママ、はやくいこうよ!」
[住んでいた場所は忘れてしまったけれど、賭博施設を避けながらなんとなく街を歩いていれば、若い夫婦の手を引っ張りながら無邪気に走る幼い少女とすれ違った。
どこか、幼い頃の自分と似ている気がした。
――あの子が闇へ沈みゆく事がありませんように。
親に愛されているであろう少女が、自分と同じ道を辿らないように祈った。
親の愛が憐憫でないことを祈った。
修道女を騙っているうちに、祈ることに慣れたのだろうかと内心苦笑しながら。]
[一瞬、夫婦の男の方と目が合った。
青銀の髪の男は、娘と同じ色の眸をしていた。
男はすぐに気まずそうに、目を逸らしたけれど。]
…………。
もう……里帰りは終わりました。
……行きましょう、マコト様。
[壺を指先で撫でると、これ以上ここにいる意味はないだろうと、貧民街を後にして、いつか昇った山道へと*]
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