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―― ランスの部屋から ――
[ランスの部屋にはランスはいただろうか?
いたら、寝坊してるぞーってからかったかもしれないし、何かやっていれば手伝ったかもしれない。
何はともあれ、それが終われば食堂へ行くことを促しただろう。
今日も美味しい朝食が出来てるよって。
彼には自分が作った料理を食べてもらいたいのだ]
それじゃあ行こっ!
[そう言って、手を差し出してみたけれど、反応はどうだっただろうか。
一緒に行くか行かないか、手を取るか取らないか。
どうであろうとも、一度食堂へと戻る事にする]*
―― 食堂 ――
[戻った時には、他の皆はやってきた頃だろうか。
なんだかいつもと違う様子に少し首を傾げながら周りを見渡せば、ひときわ目を引いたのはクリスタが持つ鉈>>155。
それには、赤黒いものが付着しているようにも見えて]
く、クリスタ……?なんでそんな物を……?
[きっと私がつかった凶器だと思うけれど、それを直接持ってきたのは予想外だった。
こちらの質問にクリスタは何と答えただろうか。
食堂を辞する彼女>>164を見守るしかなく、物置小屋に向かうようなら、抜身の鉈に怯えながらも見送る事にするだろう]
え……っと?
な、何がどうなってるのかな?
[ひとまず残った面々に、何が起こったかを聞いてみる事にした]*
− 回想・アリスの部屋 −
[素直に信じられないと修道女に告げられても>>130
自分は笑っていた。
彼女の中でどんな思考が渦巻いているのか。
自分も騒動を経験していたからこそ理解出来る気がした。]
そりゃそうさ。
皆、あんな事があった生き残りで、またこんな事があって。
信じられないのは当たり前だよ。
あたしも信じないよ。
でも、あたしはあんたを信じるよ、クリスタ。
[矛盾してはいるが説明する言葉を持たないのがもどかしい。]
あたしが信じるだけで、クリスタは信じなくて良いよ。
[何て押しつけがましい偽善者だと、
何処かで笑う自分がいたが、
言いたい事は全部言わずにいられない。
明日が無いかもしれないから。]
明るいお日様が明日も見れるなんて、
無邪気に信じられるとは思ってない。
ここにいるのはそんなのを知った者ばかりだからね。
[ごめんなさいと謝る修道女の頭を撫でて>>131そっと離れる。
きっと自分がストレスになっているだろうから。]
アリス……。
[撫でた手はクリスタからアリスの元へ。
離れた後は、今度こそ最小限の犠牲でこれが終わる事を
祈りながら部屋を離れていく。
懐かしい名を呼ぶその声>>132は、新しい家族とも言えた
アリスの死と、誰かを疑い殺さねばらなぬどうにも
ならない苦痛で満ちた女の耳には届かなかった。
それが違和感となったとしても、聞こえなかったと
主張するには不自然な距離だったかもしれない*]
− 資料室 −
[資料室に向かう足が
無意識に脱衣所に向かおうとしている事に気付いて笑う。
昨日までの日常に逃げようとしている自分。
叱咤しながら資料室に舵を取り直した。]
マイダ。
いるかい?
[朝から籠っているとは思わないが、昨日の今日。
調べ物をしているかもしれないと、念の為扉を叩いて
震える手でそれを押した。
何故鍵が掛かっていないのかと、案内してくれた
結社員に尋ねた時、この中にいるのは全員人間だからだと
答えてくれた。]
人狼はいなくても、人殺しはいるじゃないか。
[化け物なら無理矢理でも何でも割り切ろうと出来るはずだ。
だが人間同士の殺し合いは違う。
そこに感情、思惑が絡む。
化け物よりももっと醜い化け物。
心に皆その化け物を飼っていると知りながら。]
それでも信じたいし、生きたいんだよ。
[資料室の中に誰かいただろうか。
アリスの件を知らない者なら、簡潔に告げて
議事録となる白紙の書物が無いか尋ねただろう。
誰もいなければ適当に資料を捲りながら書物を探す。]
……。
[物資の供給が滞っているなか、余裕があるとは言えないだろう。>>156
けれど、自分はグサヴィエのように声を聞くことは出来ないから。物を言えない方を優先すべきでないか。いや、治療できねば生者も屍になりうるか。境がぐちゃぐちゃになる]
わかりました。……投票箱、投票箱…。
[包帯についてか執行者の名乗りについてか。
クリスタの補足情報を聞いて、ふらふら歩み出しながら呟いた。
鉈を握る修道女の姿に起きる震えを抑える。これが現実だ。
正しさを振りかざす牧師に、またすがって同じ過ちを繰返しては、いけない。救いの手は追ってはこないのだから。マコトと入れ違いに、その場を去った]
[蜘蛛の巣くった倉庫から、木箱を抱えて。
必要なものを取ってきてから、アリスに直に会わなくては、と死臭の濃い方を意識した途端、耐えきれず手洗いで吐いて、荒く息をつく。夏なのに、寒くて仕方なかった。
怖いと思ってはいけない。生きながらえておきながら、いまさら]
……やれること。
私に出来ること、なに……?
何もかも、人が死ぬこと、ばっかりだわ……。
[……憑狼か、少なくとも、狼に与する者がいる。
クリスタの情報も合わせると、此所にいる者の中に居るのは確実だろう。
狼がいないなら、どうなるのか。貴重な占い師を殺した誰かを本部が見逃すとも思えない。不明瞭な現状、終わりを悟れない力なんて、やっぱり絶望を煽るものでしかなかった]
……皆、死ぬのかな。
[虚空に問うても答えてはくれないけれど。
いっそ、安らぐような気がした。
騒動の最中、死ぬのが怖かった。
でもきっと本当は、死で別たれて絶望し続けるのが怖いのだ]
─ 資料室 ─
[投票箱は何処に置くべきだろう。
包帯か、頭の傷を隠せるものもアリスに差し出したい。
一度資料室へ戻ると、人の気配があった]
……。
失礼します。
[状況を知っている者だったら警戒するだろうかと、ノックの後、戸を開けたまま覗きこむ。柔らかな紅のひとは、まだいただろうか]
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