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─自邸─
[更けゆく夜。
闇に白々と浮かび上がる庭の桜を前に、濡れ縁で酒を飲んでいた。
胡座した足の側には既に瓶子が幾つも転がり、手酌で杯を呷っている。
あの後。
内裏での政務を中断して、急遽左大臣が蒼褪めた顔で帰宅し、中将の死骸と対面した。
息子を喪った左大臣は、事の次第を報告する為その場に残っていた影居を扇子で打擲し、罵詈雑言を浴びせかけた。]
―刻:永漂らと別れた後/橘邸付近の通り―
[式は鷹を追う]
狩りってわけじゃぁ、なさそうだな。
[永漂の従者が見たものと、それは同じだった。
見えてきたもの、手に覆われていないほうの眼を細めて]
――羅生門か……。
[低く、のろわれた地の名を紡いだ。]
[死穢を出した左大臣家は物忌に入るだろう。
辞去する間際、影居ではなく父と兄──陰陽頭と天文博士だ──に事後を頼むと、遣る方ない怒り滲ませて吐き捨てられたから、今後役目を外されるかも知れなかった。
かと言ってそれでこの件と縁が切れるというものではない……既に渦中にある以上。]
[左大臣邸を離れてのち、夜半]
[あるじの姿を見るに忍びなく、酒の用意はほかへ任せてそっとしのび出た先は羅生門。闇に紛れてぼうと月を見た]
[月をあおぐ視線は揺れて。
そのまま、石段を上がって角、段のない辺りに腰掛ければぷらりと足が宙をわずかに泳ぐ。
懐から笛を取り出せば美しく漆重ねられたそれを暫し眺めたあと唇寄せて]
―――――。
[澄んだ音ひとつ、月下に響く。
そこには自分以外ないと思っているせいか音をつむぐことに意識は集中していて]
…貴方は……。
[眩しくて眇めた瞳が逆に人影に焦点をあわせる]
…確か……鳶尾殿、でしたか。
[このような刻限、このような場所。
そう言われてしまえば、口を閉ざすしかなく]
貴方こそ、何故、ここに。
……安倍殿の、識でいらっしゃるのでしょう?
識にこころが無いとお思いでしょうか。
いたたまれなくなることもあり゛す……。
[風が吹くと、ほのかに藤のかおりがする]
しかし
供ももたず。
いのちをとられるやも知れませぬよ
[はらり──桜散る。
未だ咲き揃わぬみやこの桜、
だがこの、さして手入れもしてあるようにも見えない庭では、今まさに満開に咲き乱れ、
はらり、はらはら、
真白き花弁、春の雪の如(ごと)降り頻る。]
…いいえ、そのようなことは決して。
[少しだけ香る、今時分にはまだ早い花の香りに首をかしげる]
…供をつれていても死ぬときは死にまする。
供をつれていなくとも、生きるものは生きましょう。
…ここは……この世と他の世を繋ぐと聞きました。
だから……それだけです。
[少しだけ視線を手元におとして笛をそろり撫でた]
[六条院へと戻り主に会うと、事の次第を話して]
おれは、中将を襲ったやつを探すことにしたから。
だから、「弥君」は生まれ育った里にでも静養に出たと言ってくれ。
約束だからここには戻る。戻るが、いつ戻るのかは分からない。
もし、若君様が仇を討とうとする気配があれば止めて欲しい。
[ここに捕らわれた時と同じ粗末な衣服に着替えて、夜半には六条院邸を抜け出した]
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