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―左大臣邸―
[その部屋は酷く赤が散っていて、錆びた臭いに満ちていて]
…中将、殿。
[気を失うことも、胃の中身を戻すこともなかったけれど、ただ、少年は呆然としていた。
弥君に抱き締められたも気付かぬほど、それくらい呆然としていたのだ]
[不意に。
爪先に、かつりと軽い音が当たる]
……?
[笛だった。
錆びた赤が散った部屋の中、踏まれも汚れもしなかったそれは奇跡なのか。
それとも、それが中将の遺志のかたちなのか]
…!
[慌てて弥君の腕をほどいて拾い上げる。
これ以上、彼が失われてしまうのを恐れて]
犬。犬か。
[くっと唇は嘲るような笑みの形を形作れど、かえって猛りのいろを加えたようにしか見えず。]
形は理(ことわり)を示すに過ぎぬ。
結局は人、人だ。
蠱(まじもの)は、呪を振り向けるひとの意志が無くば、何の効力も無い。
ひとの縁に結び付けられて初めて、業をなす。
人の情念が鬼をつくるのだ──
[声音に空しさ含んだ怒りが滲むのは、目の前の武士へかおとこ自身に向けてか。]
[笛を、手の内に捕えれば溢れる安堵のため息]
…中将、殿。
[幽かに声がこぼれて、追いかけて涙がこぼれた。
現れた安倍にも気付けないほど中将が死んだことがただ悲しかった]
[おとこの凶相は目に見えて和らいだが、それでも眼(まなこ)に漂う激したいろは消えず。
口を引き結び、強い視線を拾い上げた笛を抱いて涙を溢す式部卿宮の上に据えた。]
ここは宮様のいらっしゃる様なところではございません。
早々にお屋敷にお帰りなされませ。
[やさしいが、きっぱりとした口調で忠言すると。
つい、と顔背けて、血の海に転がる橘中将の骸──より正しくはその残骸──の前に跪いた。]
・ ・ ・ ・
……足りない。
喰われたとして──
破れた衣が無いのは、その前に剥がされていたのか?
[検分するような視線は骸に落としたまま、]
富樫殿。
[近くの武士に話し掛ける。]
貴殿が参られた時には既にこうであったと仰いましたな?
何かに触れたり動かしたりはなさいましたか?
或いは誰ぞがその様なことをしているのを見たと言う様な事は。
この手形は、
[と、壁にべっとりと血塗られた手形を見遣り、]
どなたか家の者が誤って付けた、ということはないのですな。
[膝をついたまま、その状況を眺め。その様子は余りにも酷いもので、自身色々な屍を見てきたが、一、二を争うほどに内に残る、色と臭い]
(こんなことを、誰が。あの手形は、何だ? 誰がつけたものか。
誰がこんな事を。)
[確かに憤りはしたが、心は平静を保ち]
(中将は誰かに恨まれでもしていたのか。それとも、あやかしの仕業か、あるいはただの戯れか。
どれでも、知っている者がこんな風になるのは気持ちいいものではないな。吐き気がする)
若君様、橘の中将様もこのような場所に若君様がおられることを望んではいないでしょう。
退出された方が良いように思いまする。
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