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[ランサーが言葉に詰まったのは、
偏に、――美しさゆえ。緻密さゆえ。苛烈さゆえ。
黄金の幕の上。更に昇れば、採光する窓の隣。
天井にも、柱と柱の狭間が形作るペンデンティブにも
――彼女の『芸術』が描かれていない場所は存在しない。
窓も、金幕の壁も、中央に立つ格子状の壁さえも。
絵画の一部であるかのように溶け込んでいた。
そして、降り立った背後。
主祭壇の背後に描かれた、トロイアの戦をも思わせる人の数が描かれた巨大な絵画――『最後の審判』に、視線を奪われずにはいられなかった。]
―西ブロック・教会付近 ―
[――呪い?と、復唱された言葉には小さく頷き… ]
そんな…レティの言うような立派な人間じゃないんだ。
自分の放った呪い…が命を持って動き出してしまった恐怖に、逃げだそう。と、さえ思っていった。
だけど…逃げても一生この呪いからは逃げられない。
だったら立ち向かうしかない!って
親方にもそう教えられたんだ。
[…前を向いて歩くというのはそう言うことだよね?
心の中で語りかけるのは、母であり父のようなあの人 ]
どうだろうな。
他の連中もそれなりには上に行っているだろう。
3階の方が聖杯には近いだろうが、2階からでも構わんさ。
[姿を消してから、呼び掛けにしばらくして答えた声はいともよりも陰鬱げなものだった]
― 2F ―
[そこにあったのは破壊の跡だった。
災害クラスの魔力がぶつかり合い、喰らい合った痕跡。わざわざ探すまでもない戦いの惨状。
火、水、風、地。あらゆる天変地異がこぞって押し寄せたような有様で、なぎ払われた廃ビルの群ががれきと化し、一帯の見通しを良くしていた]
これが……英霊同士の戦いの結果。
[それが今を生きる人間には届かない次元のものとは知っていた。だが、ここまでの規模とは思っていなかった。
自分の理解の外にある光景に、隣にいるだろうサーヴァントに意見を求める]
セイバー、どう思う?
貴様、本当に支障がないのか?
[言葉とは裏腹に視線を奪われている様子。
戦闘になれば切り替わると思うが不安に感じてしまった。]
[すれ違うように言葉が返ってくる。]
ああ、それでいい。
さて相手はどうでてくるだろうか。
私はまずは気配に向けて接近する。
相手の出方を見るぞ。
[言葉と共に気配に向けて歩き出す。]
[姉が聖杯戦争に参加した理由を、ケイは知らない。
「兄里家」の思惑としては、何事かあったらしいが、姉自身は秘密だと言っていた。
ただ、家の為の願いで命をかけて戦えるほど、聖杯戦争は甘くはないのだと、そう言っていた]
姉さんが「兄里ちぎり」を継いで、私は「ケイ」になった。
その時から、私は「兄里」を憎んでいるんだろうな。
[刻印を移植するには年を取り過ぎていた5年前、移植することで父親はケイを後継者にしようという目論見があったようだった。
でも、神の声も姉の声も、ケイには聞こえない。
生まれを同じくしても、一つの卵から生まれても、その持つ起源が違ったのだから当然だった。
その名通り、~に「祝」われた姉と「呪」いを宿した妹。禁呪を扱うには最適の、けれど祝術を使うには最悪の。
爛れた皮膚は、今もその身体を拒んでいるのか]
―――そのまま行けば落ちますぞ。マスター。
この空間、縮尺が明らかに狂っているようです。
[アルフレートの歩く先、燭台の端には、当然のように道が無い。
建造物と呼べるものが無い代わり、あらゆる椅子が、壁が、説教壇が、そして燭台すらもビルのような生涯と成り果てている。
一時的に霊体化を解き、引き留めるようにアルフレートの首根っこをぬっと掴んだ。]
えっ。
[三階。
みちるが驚いてあげた声に、アサシンの足元で
コンソメパンチの破片をつついていた青い鳥が驚いて舞い上がる]
…??
だからー、えんそくだからー、けんかはしないんだもーん。
おにいさん、おにぎりきらい?
それともコーラとおにぎりせっとじゃないといやな人かなぁ。
みちる、お茶しかもってきてないからだめかなぁ…
[キャスターに手を差し出して、行こうの合図。
カバンを斜めがけにするとコンソメパンチのサーヴァントにも反対側の手を差し出したが、伺う態度は先ほどと打って変わって少ししょんぼりとしていた。
左目がごろごろするが、サーヴァントだけなら泣くほどではないらしい。
それに、朝見たラインナップがまだ減っていないなら、
キャスターのお菓子袋にはまだサルヴァトーレピッツァ味とか、
死線麻婆豆腐味とか、いろいろジャンクな芋菓子が眠っているはずである]
ー2Fー
これはまた、派手にやったものだ。
これこそ天変地異のようだな。
[驚くというより、呆れるような声でリリンに霊体のまま話しかける。誰が戦ったものか、英霊のものだということ以外にはわからない]
………わからん。誰がやったものかは知らんが、かなり強力な宝具だ。わしの宝具は2つあるが、これに対抗できるものとなると、本気で使うと莫大な魔力を食う。
そうよな、このぶつかりあいとなると、少なくとも片方は消えた。残った方も今しばらく戦える状態にない。
つまり、余程の阿呆でもなければここにはもうおらん。
わしが言えるのはそのくらいだ。
―西ブロック・教会付近 ―
――……ヒイラギ……
[静かに、眼を閉じ、それから、そっと笑みの形に変えて]
……迷いながらも、逃げずに此処に居る。
それこそが、尊いよ。
[つよい、しなやかな若木のような、今を生きる者の、物語。その背を押したのは紛れもなくミケランジェロ――彼女で。]
ああ、……そうだ。
教会へ行く前に、
――貴方の親方に、……貴方と契約したこと、ご報告してもいいだろうか。あの、菫の咲く場所に。
大丈夫、……今はあそこは、「戦うための場所ではなくなっている」はずだから。
[そう、天を仰ぐ。]
けんかなしなら…
私はどこでもお供しますよ。
[手を差し出されるのを見ると、条件反射のように手を握る。
繋いでいない方の手にスナック袋を下げ、小脇に魔法瓶を抱えている。
見下せば兎の耳がひょこひょこ揺れている。]
…コーラ?
[知らない単語だった。]
あ、いえ。
なんでもありません。
…行きましょう。
……あの、すいません。
ところで、あなたのマスターは…?
[流れに乗りすぎて身を任せそうになっていた。いけない。
我に返って問いを投げた。]
・・・・・・えっ?
[呆気にとられた。
まさか、このマスターはアサシンがサーヴァントであると認識していてなお戦闘の意志なくピクニックとやらに行く事を提案しているのか?
しばし考える。
ここまで緊張感のないマスターは初めてだ。
これもイレギュラーという奴なのだろうか。
ならば、彼女達とも接触し、キーを与える事も考えてもいいのかもしれない。]
・・・・・・君のマスターは正気か。
どのみち、行く先が戦闘区域ではないのであれば本気の戦闘は出来ないだろう。
それとは別に、君たちには興味を持った。
他の誰かに呼び出されないうちは、同行しようじゃないか。
まあ、君のサーヴァントは警戒してるようだが。
事を構えるなら、こちらも場所は選ばないよ。
[軽くキャスターを警戒する。
どんなタイミングでも対応出来る。それがアサシンの扱う魔術の強みではある。]
こちらのマスターは、警戒心が強くてね。君のマスターとは違ってね。
今は姿は見えないがついて来ているし、僕への魔力供給が途絶えているわけではないよ。
まあ、遣り合えばすぐ判るだろうけど。
― 3Fシスティーナ礼拝堂・主祭壇上 ―
――誰しも、常より見る物品が巨大に見える経験など稀有なもの。
このような場にも底たる大地があることに感謝しましょう。
[アルフレートを掴んだまま、崖の周囲を見やる。
周りには同じ燭台が何本が立っているらしい。
下からは、まるで渓谷のように風が吹き上げていた。]
…………マスター。
ひとまず飛び降りようと思いますが、高所に適性は?
[――燭台の下、主祭壇の壇上まではかなりの距離がある。
薄暗く、底も見えづらいその擬似的な谷は
まるで奈落の穴のようにすら錯覚された。]
少し、話しすぎたね。
[顔を上げると、令呪に反応があることに気づいた。
マスターとサーヴァントの、反応がそれぞれ]
でも、私は兄里の術を使えないけど、さくらにあげられる魔力だけなら、問題ないと思う。
誰か、いる。まだ離れているけど。
[まだ顔を合わせていない所か、それとも会わせた組か。ケイは少しだけ壁の方へ寄ると、反応がある方をじっと見つめた]
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