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なんだ、宿を取ってあるのか。それは良いな。
[実態を維持するための魔力は借り物だ、別に霊体になれば体を休める必要もない。しかし気分は違う。そして気分が違うというのはとても重要な事だ。少なくともこのセイバーにとってはそうだった。単にごろごろしたいだけというのもある]
何処へなりとも。
[転移の魔術を使うなら、共にその先へ。次に目にしたものは、先ほどまでの平穏な町とは裏腹に物寂しい廃墟の群れだった]
おう。……少しは戦場めいたな。
…まあ、おいといてだ。
[近づいてくるな、と認識はしつつも。先に気になることがある。]
出来が悪すぎるだろうあの石膏像。
[公園の真ん中、小さな噴水に設置された石膏像にいちゃもんをつける。
そのまま芝生の脇にあった大きめの岩へと向かえば鉄ノミをとりだしいきなりガリガリと削り始めた。]
― 2F ―
[廃墟ビルの町だった。どこまでソレなのだろうか分からないが、おそらくは最後までソレなのだろうと感じさせた。
人の生活感がない、作り物めいた灰色の群は薄ら寒くて気色悪い。
景色を見回していると、右手の令呪が反応する]
……他にも来てるみたいね。
[緊張する。ここでは、いつ狙われてもおかしくない]
今は、魔法のおじさんです。
…仕事は、…また、できれば嬉しいです。
[言葉がとぎれとぎれになったのは手に触れられていたから。
指先の皮膚の一部が固かったり、関節が少し曲がってたりしている手だ。]
では、教会に行きますか。
[魔術師という自覚も、戦いという自覚も薄いのは察していたから。]
はい。
勿論ですよ、みちる。
[バスにと言われれば、頷いて、
触られていた手をこちらから握って手を引く形。
迷うことなくバス停に辿り着けば、停留所で暫しバスが来るのを待つ。]
ここの人達には、元々町に住んでいたままの時間が流れている、って事かな。
誰にも、わからないかもしれないけど。
[管理人の言葉に、何か考える様な表情]
うん、上のことは自分の目で確かめてみる。
管理人さんがそこまで知っていても、今度は又穿った目で見てしまいそうだし、知らないままで良いよ。
聖杯としての機能に、そこまで不安はないんだけどね……。
ただ、この塔の中に生きる人達が、どうなるのかなと思って。
私が心配する事でも、ないけど。
それじゃ、行こうかさくら。
ありがとう、管理人さん。
[そういうとケイはそのまま背を向ける。自身のサーヴァントへと目配せをして、教会の入り口の方へと向き直った]
――南ブロック 住宅街付近の公園――
[近寄る気配が殺気と共に今にも現れそうな気がした。
親方と目線が会うと、こくりと頷き・・・生唾を飲んで身構える・・・と
いきなり公園の彫刻を削りだした!!]
ちょっ!!なに?なんなのぉーーー
[叫んだ瞬間に敵の姿が現れた。]
―南・公園―
[アルフレートが公園の入る様を見届け、
続いて距離を保ちながら霊体化した男も入っていく。
手頃な茂みや、溜池のようなもの――
街の中にあるとは言え、寂然と切り取られた場所のようだ。
そして。]
――――……。
[削っている。削り続けている。
何を削っているのか分からないが言葉に出たことは一つだった。]
あちらがサーヴァントだろう。
[謎の職人風の女から目を逸らし、背の小さい少年を見た。]
―2F廃墟ビル街屋上―
現界するときにマゾヒズムって概念は教えてもらえないのかしら。
言葉で説明してもわからないでしょうから、あとで身体に尋ねてみるわね。
[紅い唇をぺろり]
さ、今は楽しそうなことを見つけに行きましょ。
[クレティアンの腕に絡みついた。]
………早いな。
気分転換も出来やしない。
[尋常でない速度でノミを振るっていた手が止まった。
弓を構えるギリシアの英雄像。その上半身程度まで彫り上げたところでやれやれとため息をつき、身を起こし現れた来客へと顔を向ける。]
よう。あんたらも参加者かい?
[やってきた二人の姿を見定めるようにして、声を掛けた。]
―2F―
[元々、コンクリートで固められたビル群は、セイバーにとってあまり人間の住処だという印象を抱かせない。セイバーは見た目にはそうとはなかなか伝わらないが、意外と貴族趣味だ。草木の一本もなく続いている廃墟の群れは、控えめに言って墓石程度にしか人間味を感じさせなかった。しかし]
……人の気配は分からんが、同じような輩の気配はある。
そのぐらいは感じるぞ。見えはせんけれどな。
[つまりは、感知については他のサーヴァントと大差なかった]
戯けが、その削ってる方がサーヴァントだ。
そっちの小さいのがマスターだ。
[令呪の反応を元に訂正する。]
なぜ、削っているのかは理解に苦しむが、
今はそんな事はどうでもいい。
先程伝えた言葉を忘れるな。
[油断しないように再度釘をさす言葉。
同時にあえてそれ自体を言わない事で、
相手に対する布石の意味合いを持たせる事を狙う。]
――南ブロック 住宅街付近の公園――
な、なにやってんのーー!親方ぁ。
[いかにも魔術師です!と言わんばかりの風体の青年がゆっくりと公園のゲートをくぐり目があったように思う。
周りを見回すと柳の木が一本風に揺れていた。]
…………そうだ。
[気さくに声をかけてくる女に、男は土の匂いを以って具現化する。
『参加者か』という問いに、僅かな身構えを見せる。
石のいろをした鎧が擦れ、鈍重な金属音を鳴らした。]
―――――、
[削っている方がサーヴァント。
アルフレートの言葉に、ランサーのあらゆる時間が停止した。
少年に向けていた目が女へと向く。
上から下までを観察する。手に持った工具を観察する。そして。]
石細工のサーヴァントとはどのように呼ぶのだ。
[真顔で呟いた。]
そう。まあ、あまり期待してなかったけどね。
[肩をすくめて、上着のポケットから鈴を出した。
リン……―――と、一つ鳴らす。額の魔術刻印が淡く光る。
音に乗って、感知の魔力が拡散する]
簡単に逆探知されるから、あまり使いたくないんだけどね……近い。
[上を見上げる。すぐ近くの、廃墟ビルの屋上。数は二人。
今のでおそらく、こちらの場所も知られたはずだ]
おしごとしたいんだぁ。
すごいなぁ…、えらいんだねぇ。
[見上げながら呟く。
小学生には仕事をする未来なんてなかなか想像できなくて
しきりにすごい、とえらい、を繰り返した。
こちら、とバス停に迷わずに連れて行ってくれたのでこれにはさすがに驚いて]
めぇおじさん、このまち知ってるの?
それもまほうなの?
[純粋な疑問。
自分が偶発的に喚び出した英霊がどんな存在なのか、理解していないからこそ問う。
そうこうしているうちに森林公園経由教会方面行きのバスがやってきたのを見て
運転手にきちんと見つけてもらえるようにブンブンと手を振って止めることに成功する。
バスに乗り込んで座るとやっと落ち着いたのか、一つ息を吐き出した]
―2F廃墟ビル街屋上―
……― !
[>>375 思い当たったわけではないが
唇を舐めた様子に妙な悪寒が走る。
己の口元をひやりと吟遊詩人は押さえた。]
それ は、……それは。
レイ様自ら教えていただけるとは、
恐悦至極に存じ――ますが。
[さてこの言い回しは正しかったのかどうか。
やや半歩下がったのは許されて欲しい。]
御意に、ma damレイ。
[エスコートとなれば吟遊詩人の領分であった。彼こそが騎士道物語《ロマンス》の祖なのであるからして。]
気にするな。
[うろたえる柊にきっぱり。
そしてそんなマスターの傍まで戻ると、下がっていろと手で示す。]
今度のマスターの方針はやる気充分のようだ。
巻き込まれんようにな。
[視線はずっと、甲冑の男に注がれて。]
すまんな。昔からどうも空気を読めんとあちこちで言われていてな。
[大して申し訳なさそうな様子も見せずにいつも通り。戦場で他の者…つまり敵となる公算の高い者が近くにいるというのに、浮かべる表情はいつも通り、物憂げでどこか余裕めいた様子すら浮かべたもの。
リリンが鳴らす音とともに広がる魔力を肌に感じる。]
本当に魔術の心得はあったのか。
[今更に少々感心した様子で、辺りをぐるりと見回す。
リリンが見上げた方を目で追った。]
上か。
石工のサーヴァントなど存在しないはずだがな。
イレギュラーとでも呼んでやればいいのではないか?
其処の貴様、うちのが気にしているようでな。
貴様のクラスはいかなるものか?
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