1530 【恋愛村：神楼学園高等学校８】Ｒ１５
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えろいひと 久野通
― 東大受験日 ―
行ってきますー。
[ すっかり慣れた神楼高校の制服の上にコートとマフラーを着込んで玄関に向かえば
後ろから心配そうな母親の声。
偏差値を大幅に上げたせいか、それは三年前の比ではなく。]
大丈夫だよ、母さん。最終模試は18％だったけど。
滑り止めも受けてないけど。
俺が
彼女が、真彩ががあれだけ応援してくれたのに。
―――むざむざ失敗すると思う？
[ 息をのむ気配の後。そうねと小さな苦笑。
『あんたは真彩ちゃんが勉強見てくれた時は。なんだかんだで、ちゃんと合格していたものね。』
そう言ってこの２年を懐かしむよに目を細める母親に見送られ、玄関を後にする。*]
内気な編集委員 我妻志乃
― 卒業式 ―
[振り分けられた席におとなしく座り、式の進行を静かに見つめる。
壇上へと進む彼の姿を目に納めれば、入学式の光景が過った。
あの時は過去の苦い想いに胸を痛めるだけだったけれど
――――今は違う。
誇らしい彼の姿に抱くのは、替えることの出来ない愛しさ。
内気な編集委員 我妻志乃
私は、貴方の隣に立ちたい。
―――いいえ、立つの。
共にあるために。
弱さも、強さも、認め合い、受け入れて。
寄り添うだけでなく、支え、支えられる存在になる。
内気な編集委員 我妻志乃
その胸に抱いたのは、新たな決意。
以前にも同じことを願い、抱いたけれど。
再び同じものを、心新たに胸へとしまった。
もう一人…と告げた事に、口元に手をあてて。
思い描いたのは、入学式に見た、――――あの姿]
甘い物は正義 倉重晋
[涙こぼす彼女の頭を撫でる。其れは海に眠る真珠よりも、煌めく金剛石より美しい
潤んだ声で呟かれた言葉に>>264微笑んで]
当たり前だよ、菖蒲
俺たちの絆が、そんなに簡単になくなるわけないだろう？
なぁ、そうだよな……
[そう言葉を零せば涙零す彼女にほら、上を見てと促して]
鉄面皮な書記 霧澤奏美
―美穂が転向して三ヶ月ほど経った頃―
[ある日届いた一通の音声メール>>81。
どうせなら電話してきてくれたら良いのに……そしたら話が弾みそう、と思いながら聞く。
内容の半分は完全に惚気。
仲良くやってるならそれで良いかなぁ､なんて。口元に笑みが浮かんだ。
そして私も音声メールを返す――]
美穂へ――
久しぶり、元気だよ。美穂も元気そうで何より。
永居戸と仲良くあってるみたいで良かった。色々あると思うけど、喧嘩したりしたときはいつでも連絡して。
話くらいは聞けると思う。
デビュー、おめでとう。デビュー曲、スマホに入れて聞いてるよ。
これからも色々あると思うけど、頑張って。
会おうと思えばいつでも会えるはず。胸なんて張れなくても良いよ、寂しくなったりしたらいつでも、会おう。
うん、わかった。永居戸にもよろしく。
診療所の孫 遠馬桜綺
[楓に、はじまりのスピーチと変わらぬ拍手を贈ってから、きょろきょろと体育館を見回した。
何をするのかは分からないけど、何かをするんだろうとは、この３年で分かっているわけで]
あ、松風さんだー。松風さんも、ここへ走るのは今日で最後かぁ……。
[吹き抜けを仰ぎ見て、まぶしげに目を細めた]
ハイカラな剣道部員 紅村花緒
-卒業式（4F 体育館吹き抜け）-
はっ。
[...は、松風から降り、そのままひらりと体育館に降り立った。４メーターはある頭上から。よく見ると、非難ロープのようなものでするりと降りたようだ。
体育館に舞い降りると、羽織袴がふわっと舞った。それは、入学式に着ていたのと同じ、礼服だった。
もちろん、変わらずの男物]
ご指名でござる故、一言だけ。
[そう言って、今度は壇上に上がらず、司会の教頭のマイクを奪った]
ハイカラな剣道部員 紅村花緒
今日は招かれざる挨拶にござる故、ここで挨拶させてもらう。総代の指名故、お耳汚し失礼。
拙者たちから送り返す言葉は、それぞれに１つづつ。
この３年間、「退屈はしなかったでござるよ」
[そう言って、三年生に向かい]
皆の衆はどうでござった。「愉しかったでござるか？」
[そして、今度は在校生に向かって]
そして、皆の衆に問う。「拙者たちを超えて見せろ」
これが我が校の伝統だそうでござる。
ハイカラな剣道部員 紅村花緒
３年間、悩み、ぶつかり、胃の痛い思いをして、乗り越えて来た先に今日があるでござる。それは、スポーツであり、勉強であり、友人関係や恋愛でもあった。なんでもいい、残りの２年、１年を全力で過ごしてほしい。
以上でござる。
[そう言って、深く頭を下げた]
片耳難聴 幸田楓
［紅村さんの一言を聞けば、彼女にも深々と一礼をして。］
改めて以上で答辞とさせて頂きます。
［すっきりとした表情を浮かべてそう言って、自席へと向かうだろう。］
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