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イライダ は リー・リー に投票した。
ドラガノフ は リー・リー に投票した。
リー・リー は ドラガノフ に投票した。
資料室の主 テレーズ は リー・リー に投票した。
勉強熱心 ポラリス は 資料室の主 テレーズ に投票した。
強がり トロイ は ドラガノフ に投票した。
武術指南 アミル は ドラガノフ に投票した。
リー・リー は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、資料室の主 テレーズ が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、イライダ、ドラガノフ、勉強熱心 ポラリス、強がり トロイ、武術指南 アミル の 5 名。
―昨夜 投票前後頃―
[『儂』は死ぬのが怖いとは思わん。
そもそも『こわい』自体が良く判らん。
だがもし『儂』が無抵抗で死んだなら。
仇を取ったと言えるのか。
守ったと胸を張れるのか。
トロイにしてみれば実に迷惑な興味だろうが生死より
興味へ天秤が傾いてしまったのだから仕方がない。
好奇心が猫を殺すとはよく言ったものだ。**]
―― 資料室:回想:深夜 『テレーズ』視点 ――
[どうやら警戒を解いていない……のだろうか、それともそうあろうとしているだけか。
そんな様子のポラリスに安心させるように笑みを浮かべ]
ポラリス、あなたは今この支部に何匹潜んでいると思う?
[唐突な質問を浴びせる。帰ってくる言葉は1匹だろうか、それとも複数?どちらにせよ返す言葉は1つ]
『2匹』よ。今まで動いていた憑狼が1匹。
ようやく今日から動き始めた引きこもりが1匹。
そして……
[ポラリスの肩に置いた手はいつの間にかテレーズの細腕からは考えられないほどの力でポラリスの肩をつかむ]
最初の獲物があなた……。
[こういった時ポラリスはどんな反応をしてくれたか。できれば裏切られたような顔になってくれれば一番楽しめるのだけれど]
―― 資料室:回想:深夜 『テレーズ』視点 ――
[ポラリスは手に持つ短剣で何か反撃してきただろうか。それとも呆然としたままか。その短剣で反撃をするなら、獣のそれとなった腕で受け止めるだろう。それで多少の傷はつくかもしれない。まだ続けようとするならそのまま払い、短剣を遠くへ]
ふふふ……安心して。
あなたの事は大切に思っているから。
なるべく痛くないようにするから。……抵抗しなければ、ね?
[叫び声を上げそうなら、獣の腕で喉笛を引き裂き黙らせる。そのまま引きずり倒して、そして]
久々すぎて忘れてしまいそうだったけれど……。
[自身の体を赤黒い獣の姿へと変貌させた。
その姿は靄に包まれたように曖昧で目だけは真っ赤に光り、ランタンの明かりしかない資料室で輝く]
それじゃア……ポラリス
貌……貰うからね?
[徐々に開く獣の顎は少女の顔など一つ軽く呑み込めるほど大きく開かれ]
[バクンッ!]
[閉じられれば、残るのは少女の首無し死体。獣は口の中に残る少女の首をゆっくりと咀嚼し]
ご馳走様……。
やっぱり美味しかった……。
[獣の姿から人の姿に戻れば、そこに立っていたのは食べられたはずのポラリスの姿だった*]
……ふふっ。
ふふふふふっ。
あはははっ!
久しぶりの食事!新しい躰!
こんなにすがすがしいだなんて!
[久々に感じた高揚感に普段のポラリスからは考えられない陽気な声ではしゃぎまわる。
それは、新しいおもちゃを手に入れた歳相応の少女にも見えたか]
―― 資料室:深夜 ――
[『ポラリス』は地面に転がる『テレーズ』の首無し死体に目を向け]
今までお疲れ様……テレーズさん?
[今まで使っていた体にお別れを告げ]
――さぁ、撤収しましょう。
……短剣は回収しないと。
[さっき弾き飛ばした短剣を回収して『ポラリス』の部屋に戻る。
後は誰かがこの資料室で『テレーズ』を見つけてくれるだろう]
……ついでに誰かの持ち物でも置いておけばいいけれど……無い……かな?
[念のため、ポラリスの持ち物を色々探ってみるが、これと言ったモノが見つからない]
……?
[何か引っかかりを覚えつつも、今度こそ『自分の部屋へと戻っていく**』]
―翌日の明け方―
[前日の夕方から夜にかけては、
どんなことが起こったのだったか。
自室で常のように占おうと、両掌に包んだ紫水晶の耳飾りに
大切な相方だったリー・リーを失った哀しみの涙が、
ポトリ、一雫 零れ落ちたのが昨夜の最後の記憶]
……おう。
今日も明日も信じられるように、全力尽くしてやるからせーぜー覚悟しろよな!
改めて、よろしくお願いします。
[その柔和な表情に、無機質さからかけはなれた、結社員として進み続ける努力を止めないひとりの少女を感じた。
いつものような手合わせに、もうこれ以上失うものかと覚悟を新たにして]
あー、強くなりてぇ……!
今度は、あんたにさえ、見抜かれないくらいに。
強く、速く、迫ってみせるんだからな。
[打ち合いの後、ぜいぜい息をつきながら、最中の寡黙さを補うように饒舌に語った。あぁ、また畳み掛けてしまった、なんて。終わってもいないのに、懐かしんでいる場合ではなかったのに]
なぁ、気づいてた?
[別れ際、何か木の実が入ったような袋を受け取って言う]
オレ、死にそうに退屈で一歩も進めない支部も、空っぽな結社員も大嫌いだ。
でも、ポラリスも皆の事も好きなんだって。
……オレは、初めて気づいた。
[返事は、明日聞こう。
素直にそう思えて、気恥ずかしさから別れる足は速まったろう。彼女自身と剣を合わせる事は二度とないと、名残を惜しめたはずもなかった**]
─ 夕方 ─
[まず目を狙おう。
通用しなかったらすぐさま自分のを。
憑依によって傷や病がどう受け継がれるかは定かでない。でも、敵がオレへの憑依を諦めて、命を拾える可能性が僅かでもあるなら、母親《クソばばあ》似の目玉一つくらいくれてやる。
たとえこれで死んだって、完全に無駄にはならないだろ。
そんな風に考えていた。
きっと避けられて、あるいは反撃を受けて、それでも、何らかの対価を得て、ミレイユたちの仇を討てる。
そんな風に。
突然斬りかかるなんて、どうかしている>>3:197のは分かっている。……まるで、状況に耐えられず狂ったよう。理性のないケダモノのよう。嫌悪感がじわり胸を焼く。
それでも心が囁くのに従ったまま振るった刃は、冬支度の時に締めた鶏とも豚とも違った手応えでヒトの肉を切り裂いた。
やらねば、きっと後悔するから、躊躇わなかった]
返せよ…。
おっさんを。鈴の音を。
……ドラガノフのおっさんは、ガキが馬鹿した時に、そんな顔しねーんだッ!
[ギリッと剣を握り直す。
人の手が、獣の牙が命を奪う夜はすぐにも迫ろうとしていた。
昼行灯と揶揄しながら、その情熱の名残に温もりを感じて育った日々。
昔馴染みを想い誓いを立てる悲痛な横顔。
恐らくは意図せずして遺言となったろう最期の会話。
息が、苦しい]
[誰かが掌からこぼれ落ちるように死ぬのも、何も成し遂げられずに死ぬのも、生きて生きて走り続けるのも、こんなにも痛くてこわいのに、どうして皆を喰らった己が命さえさらしてこいつは楽しむ事ができるんだろう。
背筋が凍った。
すぐにも再び刃を突き立てねば、また犠牲が増えるのに。それでも、ソレの愉悦とドラガノフの顔に苦悩し動きの鈍る人間の姿は、どう映ったのだろうか**]
― 資料室 ―
…おい。おい。生きてるか?
[すっかり疲れ果てた目で、倒れたイライダ>>10を見下ろす。
その向こうに転がるテレーズの首なし死体を見ても、もう驚きも悲しみもわかなかった。
そちらをちらりと一瞥して、再びイライダに視線を戻す。
争った跡や外傷は無い。死体を見て気を失ったか、胸を押さえている手と苦しげな表情を見れば持病かもしれない。
そう言えば、数日前にも倒れたとかいっていたか。
かがみこんで口元に頬を寄せると、息が当たるのを感じた。
首に手を当て、脈があることを確認する]
…狼にやられなくてもいずれ全滅だな。
[窓を開けて、冷たい風を入れる。雪が少し吹き込む。
ここの主がいれば、資料が痛むとまた怒られるだろうな、と思いながら、彼女が愛用していた薄手の毛布を椅子の背から取り上げ、イライダの体に掛けた。
そうして手近な机の上に座ると、足をぶらぶらさせながらイライダが目覚めるのをじっと待った]*
[満足かと問うドラガノフ>>3:198への
ミレイユを殺した憑狼と確信するようなトロイの応え>>16。
トロイの攻撃を避けようとも身を護ろうともしない
ドラガノフの片目の血にまみれた顔に、
笑み>>3:198が浮かんでいたのは、何故だろう。]
だめ…っ。殺さないで…
ドラガノフは“人間”よ! “人間”なのよ…っ。
[占い師であることが明白になっても。
この状況で信じて貰えるとは思えなくとも。
占いと言葉で”人間”だと信じたドラガノフを護る為に、
彼と、動きの鈍ったトロイの短剣との間に、身をすべり込ませた。
人間だったフィグネリアの首の折れる音と、
真白の冷たい景色の中で、吊られ揺れる身体が、脳裏に浮かぶ。
必死さの滲む瞳で、トロイの目をまっすぐに睨んだ。]
[背後に庇おうとするドラガノフの様子は、
イライダからは見えない。
問答無用に切りつける程、憑狼だと思うのだろうドラガノフを
”人間”だと断言して懸命に庇おうとするイライダが、
トロイの目にどう映るかも、分からない。
ただ――…傷つけられ、赤い血を流すドラガノフよりも、
肩を震わせ、傷つけようとする剣を握るトロイの方が。
よほど傷つき、痛みに苛まれている人のような、
昏く深い苦悩と悲痛の滲む瞳をしているように見えて、唇を噛んだ**]
―回想/昨日の夕方・投票前―
[止めに入ったイライダに、
トロイとドラガノフは、どのような反応をしたのだったか。
いずれにしても、一時的に状況が回避されたなら。
ドラガノフの右目と胸の怪我>>3:193の手当てを申し出で、
治療しようとしただろう。
ドラガノフの怪我の程度はどうだっただろう。
治療させて貰えたなら、可能な限りの手当を施そうとして。
胸部の怪我の治療の際、肩に施された手当ての処置>>3:52に
気づけたならば。案じる眼差しを深めて、
「その怪我はどうしたの?」と尋ねたのだったか。
肩の手当の包帯等にも、
胸や目からの出血が滲んでいたなら。
拒まれなければ、傷口に薬を塗りなおしてから
清潔な包帯類を当てなおそうとしたか。
拒まれたなら、目と胸の傷の手当だけに止めただろう]
―回想/昨日・投票前後―
[治療を終える頃には、左胸の奥の痛みは耐え難い程で。
薬が必要だったが、打ち明けたとはいえ、
ドラガノフの目の前で服用したくはなくて。
先に行っていてほしいと頼み、
薬を飲んで、痛みと息苦しさを堪えながら、
気を失うように横になっていれば。
意識を取り戻した時には、既に全ては終わり。
リー・リーの命の灯は、消え去った後だっただろうか]
― 昨夜・投票後 ―
[結果は同票。
偶然にゆだねられた最終決定は、リー・リーだった。
すぐさま彼を庭へ誘う。
状況からみて、自分が処刑を行うべきだと思ったのだ。
そのとき彼はどんな様子だったか。思い出せない。
リー・リーは自分の投票先とは異なっていたが…
どこか、自分とは行動原理が違う>>3:199ように思われた彼の処刑に、安堵のような感覚を覚えた。
それが酷く残酷な気持ちであるということには気づかない。
そんなごく当たり前の感覚は、とうに壊れてしまった。
フィグネリアを吊った時と同じ手順で、出来るだけ時間をかけず、「昨日よりも手際よく」処刑をおえる。
声が聞こえたのはその時だった]
『ひどいことするね』 『人殺し』
『君が生きのこるの』 『よりによって』
『狂人』 『なんで生きてるの』
[誰の声だ?いない。姿は見えない。けれど、声は確かに聞こえる。
きこえる。きこえる。
直感的に分かった。リー・リーの友人たちだ。
怒っている。悲しんでいる。死にたくなかったと。
手の震えを抑えられず、首に絡んだ縄をほどくのに手間取る。
野菜ばかり食べていたリー・リーの体は軽い。何度か手をすべらせながら、アナスタシアの部屋へ遺体を運び込んだ。
部屋をでて鍵のかからない扉を閉じると、ドアノブに手をかけたまま、扉に凭れた姿勢でずるずると床に座り込んだ。
部屋の中で、楽しそうな、賑やかな声が響いていた]
― 資料室 ―
[あの声は、部屋を離れると聞こえなくなった。
ただ、友人を迎えに来たのだろう。
ぼんやりとした表情でそんなことを思っていると、イライダが動く気配がした>>24]
起きたか。大丈夫か?
[静かに声をかける。
机を下りると、テレーズの遺体をまたいで窓際に近づく。
木枠に積もった雪を払い落として窓を閉める。
その間に、リー・リーの処刑>>25について簡潔に説明した。
もっとも、あの声のことは伝えなかったが]
俺がやった。死体はいつもの部屋だ。
そっちは…何があった?
[イライダに向き直り、窓を背にそう問うた。
その表情は逆光に隠れていただろうか]
[向けられる憎悪。
すっかり抜け落ちた記憶がどこかを刺激する。
苦しんで苦しんで絶望しろ。
"名無し"の『儂』も嘗ては結社を憎んだのだろう。
そんな事はもうどうでもよかった。]
─ 昨日の夕方 ─
っ……!
[止めようと身を省みず飛び込んだイライダ>>20の必死な声と暁色に、横っ面を叩かれたような衝撃が頭を打った。
霊能ではなく占い師だから、昨日のドラガノフ自身の色を知っているのか 。人間ゆえの『信じたい』モノへの挺身か。
……いや、人か獣かが分かりきった立場だからこそこうして庇うのか。
バラバラになった絵の欠片を拾い集めるように、一瞬正しい形になったそれは霧散して、ゴチャゴチャとすぐに分からなくなってしまう。
頭が痛い。だから苦しくなるだけで、別に、泣き叫んでしまいたいわけじゃないんだ。そう、思いたくて]
―現在/資料室―
…私、倒れた…のね?
よりによって、こんなところで、倒れるなんて…
嫌ね……なんて役立たずの身体なのかしら……っ。
[まだ痛みの残る左胸のあたりを、服の上から鷲掴みにして。
自分の身体に向けるにしては、強すぎるとも見えるかもしれない、
心底からの嫌悪や怨みの滲む声で、吐き捨てるように呻く]
―― 資料室 ――
[さて、そろそろいいだろうか。時間的に誰かが『テレーズ』の死体を発見している事だろう。『私』はそこに後からのこのこ行けばいい]
……皆さん、なにかあったんですか?
こんな所に集まって……。
[資料室について中に入れば、倒れるイライダと介抱するアミルの姿があっただろうか。そして]
……テレ―…ズ…さん?
[『テレーズ』の首無し死体手に持っていた本をバサバサと取り落とす。同時に口を手で押さえつつ、横たわる首無し死体を見続けただろうか。湧き上がる感情を抑えるかのように]
……ふふふ、笑っちゃいけないはずなのに。
どうにも笑いが抑えられないですね。
[手で隠した笑みが向ける先は、わざとらしさも感じられる演技をする自分にか。それともいまだ私たちを捕えられない人間達へか]
ー 資料室 ー
…人間を…ああ、そうだな。
けど、それをアンタに責められる覚えはないな。
[沈着を保ったまま、肯定を返す。
たとえ狼に憑かれていたとしても、フィグネリアも、リー・リーも、目が2つあって、口があって、言葉を話して、歩いて、呼吸して、熱をもった…人の姿をしていた。
目で、手で、耳で、人を殺したという自覚をもったからこそ、リー・リーが人と知っているかのようなイライダの言葉に、違和感を感じることができなかった]
処刑の理由なんて、 疑われたというだけで十分だ。
いつまで甘いことを言っている。いい加減、現実を受け入れろ。
[要領を得ない様子の彼女>>32に、冷たい視線を向ける。
人間性と呼べるものを根こそぎ無くしたような目。
そこには先ほどから様子のおかしい彼女>>34>>37微かな疑いが隠しきれず存在していた]
リー・リーか。
[『儂』にとっても意外な結果だ。
結果的にあの変人を信じる者が手放した選択により
運命が変わり死が決まるとはなんという皮肉か。]
変人のままでいれば或いはな。
[結社員らしくはあったが逆に疑いを向けやすかった。
吊られて揺れるリー・リーを眺め、独り言ち。
『儂』は内心笑みを零した。]
凄い大怪我ですね、おじさま?
……とりあえず”はじめまして”ですね?
[右目を人間に潰された仲間にそう挨拶する]
……イライダさんにでも看病してもらいますか?
自分の身も顧みずに看病しそうですよ……きっと。
[イライダごと、切り捨てる?
──無理だ。
じわりと熱が募ってきた頭も、水を浴びたように凍えた心も、できないと否定した。なら、まず、やるべきは?
──投票して、真っ当なやり方でその心臓を狙うこと。複数の狼がいるかもわからないうちに、他の誰かが殺されないよう必死に訴えること。力及ばず自分が処刑されるなら、道連れにしてやること。
そう、思って。
震える息をついて、掠れた声で叫んだ]
……ぜったい…殺してやるっ……!
[言葉足らずはどう受け取られたものか。
おぼつかない足取りで走り出し、投票箱に投票用紙を叩きつけ。
……ドラガノフ、の名を記すのにひどく苦痛を感じたが、今ソレを他の名で呼ぶことも叶わない。
処刑までにリー・リーやポラリスに会えていたら必死にドラガノフについて訴えたろうが、さてどうだったか。
よろめき、じわじわ顔色を悪くしながら、向かったのは薪小屋だった]
なに怪我は大して問題はない。
イライダの方が具合が悪そうなくらいだ。
それに怪我よりも命の心配の方が先だろう。
[票数を見れば『儂』が疑われているのは明らかなのに
一日延びたことに笑いが止まらん。]
─ 処刑直前・薪小屋 ─
ぅ、……。
[紛いなりにも屋内から外へ飛び出せば、寒さと風になぶられて目が眩んだ。
それでも、きっともうすぐ今日の処刑が決まってしまうから、早く行かなきゃいけないんだ。
扉にぶつかるように飛び込んで、かつてミレイユが用いていた薪割りの斧を手に取った。
──熱いのか冷たいのか、わからない。ひどく重く感じた。
抱き上げた小さな体は、あんなにも軽く冷えきっていたのに。
息が詰まったまま、壁にもたれるように膝を折った]
……たしかにそうですね。
[思えば、今仲間がまだ生きているのも運が良かっただけなのだ。私達以外が全員ドラガノフに票を入れれば何もできずに吊られてしまうだろう]
……でも、誰か昨日のイライダさんのように抱き込めれば……?
[だが、それも今日は難しいだろうか。それならそれでできるだけ楽しもうとはするけれど]
(馬鹿は風邪ひかないはずでしょ、ばかトロイ、って…言われん、のかなぁ……)
[ぐらぐらし始めた体の代わりに、心を奮い立たせて戦わなくちゃいけないのに。
回る視界はものの役に立たず、心の中では鈴の音が、さりげなく清潔に整えられた水回りが、交わした軽口、小突かれた痛みがくるくると優しく笑いかけてきていた。
……そして、弱い部分がふらふらとそちらに引き寄せられるまま、何も分からなくなった]
他の誰かではなくイライダ自身をを抱き込み続ける。
この人数だ。
その手でも十分ではあるが。
[トロイの叫びに『裏切り』に肩の傷に。
イライダが真実に辿り着くパーツはいくらでもある。]
なんにせよ儂は別に死のうが構わんよ。
お前さんが後の始末はつけてくれるのだろう?
─ 朝・薪小屋 ─
[早いのか遅いのか、それすらもわからない。ふと寒さに身動いで、何か袋のようなモノが落ちる音にぼんやり目を開けた]
(なんだったっけ…あ、ポラリスに、預かった、やつ……)
[面倒だから春まではと伸ばしっぱなしにしていた髪が頬を掠めたところで、ようやくハッと意識を取り戻した。
皆は。イライダは、無事か。
憑狼に付いた傷が本人に残るなら憑依も容易でないだろうが、彼女が一番危ない。もう一匹の深夜の凶行も知らず、ぎしぎし痛む身を慌てて起こした]
……イライダさんなら丸め込まれてくれるとも思いますけれど
確かに少し不安は残りますか……。
[その場合は明日以降は私一人。さてその場合、誰を噛むか……それとも噛まないか]
……もちろんですよ?
もしあなたがやられても、私がしっかり終わらせてみせましょう。
いって……!
[何か凝った刺繍>>3:72が入った袋を手に取り、かつ立ち上がり走ろうとしたところで、よろめいて積まれた薪の角に頭をぶつけた。
見れば、ずいぶんと絶妙に薪の合間に挟まって気絶していたようだ。こんな微妙な奇跡の無駄遣いするくらいなら、倒れた時にぶつかっておけば良かったものを。
勢い拍子抜けしたところで、腹が鳴った。……生きてる。打ちのめされても生きようとする体の、なんて間抜けで、見苦しくて、それでも眩しいこと。そうか、昨日はまともに食事もしてなかったっけ]
悪い、ポラリス……。
みんな終わったら、十倍返し、するから…。
[呟いて、乾いた口の中に胡桃を一粒含む。行かなくては。備えなくては。もしかしたら、最後となる今日に**]
―朝―
[目が覚めると傷がひどく痛んだ。
怪我を理由に寝ていようか。
誘惑に負けそうになるもベッドから体を起こす。]
さてどうなるか。
[眩暈がする。
これは片目のせいだろう。
重い足を引きずるように、『儂』は部屋を出た。]
─ 少しして ─
(……ポラリス。十倍返しと言ったな。あれは嘘だ)
[すみませんごめんなさい、針の穴をくぐるように何とか解決出来たとしても、財布空っぽなんで小遣い稼ぎに行くまで待ってもらう必要があります。……手の中には、可哀想な感じにぺそっとした袋。つまり、そういうことである]
これ、ずいぶん凝ってるけど、なんなんだろな。
ポラリスに、実は刺繍趣味がなかったとも限らねえけど……。
[どちらかと言えば、彼女と親しいテレーズの方がイメージに合う。そういえば、まず情報と無事を確認するためにポラリスに会うには、本人の部屋と資料室、どっちが早いだろうか。
まず、いくら無理でも冷静にならなきゃ、無駄死にするだけだ。別れを告げるように斧をそっと立て掛け、血塗れた剣とナイフになんとか最低限の手入れを施して、昨夜よりいくぶんマシな足取りで、支部内へと向かおう]
ー 資料室 ー
…ポラリスか。
ああ、それはテレーズだろうな。
気分が悪いならあまり見るな。あとで俺が片付けておく。
[イライダが目覚めたのとどちらが早かったろうか。
ばさりと音がして振り向けば、口に手を当てて立ち竦むポラリスの姿があった。>>36]
ポラリス、アンタにひとつ聞きたいことがある。
ミレイユに狼が憑いていた時…『そいつ』に、アンタと俺が似ていると言われた。
どう思う?俺は、あいつが狼だったとわかった時、あの言葉は、俺にアンタへの仲間意識を持たせるためのものだったんじゃないかと疑ったんだが。
[相手の出方を伺うように沈黙して様子を見る]
何の為に、処刑なんていう残酷な手段を取ってるのか
人狼を殺す為…でもそれは、
一人でも多く、人間を助ける為でもあるでしょう?
[この騒動が始まって以来、別人のように無表情になり。
人間を殺したことへの悔恨や、
誰かを助けたいという気持ちの見えにくくなった
彼への微かな不信が、口調に滲んだろうか]
―― 資料室 ――
……そう、ですか。
つまり、少なくとも昨日のテレーズさんは『憑狼』だったって考えるべき……なんですよね?
[まだ、口元を手で押さえながら]
……アミルさんと私が……?
[ここ最近の二人の様子を思い出す。どちらも結社員として感情を押し殺して行動していたように見えた]
……結社員として冷静に感情を抑えて行動していた私とアミルさんが狼に脅威だったから、疑心暗鬼に陥れたかった……と、私は考えますけれど。
[口元を抑えていた手を離し、そう言って首を横に振る]
……今は確実に人狼を狩る事の方が先決です。
誰が憑狼か早く見極めないと……。
[こちらも、そう言ってアミルの様子をうかがうだろうか]
―資料室―
[今朝の支部内は随分と静かだ。
人の集まるざわめきも誰かの悲痛な叫びもない。
漂う血生臭い臭いだけは誤魔化しようもないが。]
誰かやられたのか?
[そこに漂う空気は新たな犠牲に絶望しただけとは違う
張り詰めたものに感じられた。]
ドラガノフと、俺やポラリスでは違いがあるんだ。
俺たちと違って、おっさんは最初に死んだ2人と知り合いだった。
なのに、一切の怒りが見えないんだ。
この違和感は、アンタなら分かるはずだ。
もう一つ、何日か前、投票箱に占師の告発状があった。
ドラガノフは人間だと。
もちろん、狼の偽装という可能性もある。
が、もし俺が憑狼なら…その告発を見てドラガノフに成り代わる。
あの人間判定で、ドラガノフは狙われたんじゃないか?
俺に分かるのは此処までだ。
あとは、アンタ自身に考えてもらうしかない。
[そう言って、話を終えた]*
>>58
……はい。
この人数です。
……下手に疑心暗鬼になってしまえば狼にイニシアチブを取られたまま、終わってしまう事も考えられますし。
……かと言って、私達の中から狼を探さなければそれこそ狼のペースになってしまいますが。
[無難な答えしか返してないけれど、これで良いだろう。今はどう動くか思考のし時だ]
……頼み……ですか?
[聞かされた頼みはドラガノフに投票してほしい旨>>41。さて、どう返そうか]
……その提案をするアミルさんが狼でないと証明はできますか?
ドラガノフさんの違和感は自分で見て考えます。
……アミルさんの意見もちゃんと参考にはしますけれど。
[そう答えれば、資料室に新たな訪問者>>59]
……ちょうどいい時に来たみたいですね。
― 資料室 ―
俺が狼じゃないか?証明できるわけないだろ?
[ポラリス>>64にむけて、にたり、と急に笑みを浮かべる]
まあ、そこはアンタ次第だ。俺は、ドラガノフに投票する。
アンタが人なら、良く考えてくれ。
アンタが狼であいつが人なら、票を重ねるのもいいな?
2人とも狼なら、俺はとても無駄なことをしていることになる。
2人とも人なら…俺を吊ればいい。
[と、ここで資料室に入ってきたドラガノフに気づき>>59]
よう、おっさん。ちょうどいま、アンタの話をしていたんだ。
[そう言って振り向いた表情は歪んだ笑顔のままだった]*
[揺らがぬ瞳で、抑揚のない声で、静かに語りかける]
おっさん、気づいていたか。
俺はあんたの昼行燈っぷりを尊敬していた。
あんたの平和ボケをみると安心できた。
だから分かるんだ。
あんたなら、犠牲者に見せる顔を気にする前に、言いたいことがあるはずだっ!
[きっと俺のこの顔を人狼の様だとからかうだろう。
くだらない冗談ではぐらかしながら、その下で旧友を殺した犯人を探ることを止めないはずだ。
ただ、実際どうだったか、本当のところは確信をもてなかった。
それが狼だということも。自分が人だということさえも。
疑いと憶測の中で、現実は砕けつつあった]
あんた、誰なんだよ。
[間合いを取るようにじりじりと下がりながら、もう一度問いかけた]**
[ミレイユやトロイの成長を見守り続けていた彼が。
トロイが過ちを犯すことを、苦しむだろうことを、
笑いながらさせるとは思えなかった。
限られた処刑回数の中で、人間である自身の死が、
支部の全滅に繋がりかねない、この状況の意味と合わせて。
命の意味を外に求めたことがある>>1:212が故に。
イライダには、そうするなと忠告してくれたドラガノフが>>1:141。
仇を討つことが満足の為ではないと、
失われた命の戻らぬことに、還らぬ日々に、
“満足”など有り得ないと、知る筈がないとは思えなかった。
とはいえ、憑狼でも、笑いながら抵抗せず殺されんとする
内心を慮ることは難しい。ドラガノフとしての違和感だった]
─ →資料室 ─
[静かだ。
元より少なかった人影は日を追うごとにその持ち主ごと断ち切られ、何の変鉄もない日々の営みが遠ざかってから、幾度夜が明けただろう。
ほんの数日のはずが、まるで繰り返される、終わりのない悪夢のようだ。
剣をいつでも抜けるよう、構える手に力みが入る。
……もし昨日処刑が行われて今朝犠牲がなかったなら、残った面々を確かめようともう少し人の気配があったろう。微かながら抱いた期待は泡のように消えていく]
─ 資料室前 ─
[まだ頭痛が続いていたが、ポラリスと人の気配を探す足取りはだんだんしっかりと資料室を目指していた。
惨劇の臭いと人の気配がする。
扉の前で、剣からナイフへと持ち替えた。部屋の中なら、小回りがきいた方がいいだろうから。
そっと中へ入れば、ざっと見ただけで欠けた人物が誰かはすぐうかがえただろうか]
……テレーズ…か? あんた、も。
じゃあ、リー・リーは…間に、合わなかった……。
[リー・リーはそれなりに疑いを集めていて、おまけに現場はまるで彼女のために設えられたようなここ。
奥に横たわった首なしの淑女が見えなくても、昨夜どうなったのか察しはついた。
……最初>>2:226からころっと騙されて、掌で転がされてたわけだ。自分の不甲斐なさに噛み締めた唇は、漂う鉄錆と同じ味がした。
アミルやイライダと相対するドラガノフを警戒しながら、一人一人を睨むように黙って見つめる。議論の流れはわからないものの、緊迫は痛いほど伝わってきたから、頭が回らないぶん慎重に口を開いた]
―― 資料室 ――
[ドラガノフを追及するアミルを見るが、どこか余裕もなく思考もどこか飛んでいるようにも見える>>71。限界が近いのだろう。今までの処刑も彼が行っていたのだ。結社員とは言え無理もない]
…………。
[イライダの方も見てみるが、ドラガノフの事を信じたいように見えるが昨日よりも疑念を増しているのだろう。アミルの話を分析しながら疑いの目をドラガノフへ向けている。さて、どのような結論を出すのだろう]
…………。
[ドラガノフに視線を移した時は口元を手で覆い、目を細める。傍から見ればドラガノフをじっと観察しているように見えただろうか]
[疑問>>20を感じながらも、
夕べはトロイを止めることに懸命で、
その後は治療と胸の痛みに紛れていた違和感>>76を見つめる。
“信じたい”と“信じられる”は違うんだ
シュテファンの口癖>>2:218の響きの警鐘が耳奥で谺す。
アミルが口にした、占い結果を伝えたからこそ、
狙われた可能性も頭に過る。
もしそうなら、それは昨日までのドラガノフは信じられ、
今日テレーズに憑いていた憑狼が彼に憑ったことになるが。
左胸の奥が、じくじくと嫌な予兆の痛みを訴える。
今日のドラガノフに、“誰なのか”を問うアミルの声>>73に、
ポケットの中の短剣の柄をぎゅっと握った*]
狼が数で押せてない今、テレーズの体がここに残されてるなら、……『そいつ』と、元はテレーズの誰かが憑狼で確定だ。
[イライダ>>75がなにやら疑問を投げ掛けていた。ドラガノフは、アミルの問い>>73に答えていたかどうか。
確信しきった様子でドラガノフを見据え、声をあげる]
……そうだろ。
だってあんたは、『ドラガノフ』は、シュテファンと最後になんて言葉を交わしたか知らないんだから。
[自分はシュテファンの最期を知っていると取られるかもしれないが、小細工なんて出来ない。
テレーズが消え、ドラガノフの傷がそのままである事にはいくらか安堵を滲ませながら、どう伝えればいいか頭を悩ませた]
……。
あんたは、昨日のテレーズに何か言われたりしなかったのか。
[昨日のポラリスは『ここにいる』と信じていいのか。
犠牲を止められなかった以上また見極めなければならないのに、まだ、周囲を観察しているように見える彼女より、どうしてもドラガノフを陰った瞳で追うのを優先していた]
[たとえ同じ姿をしていても、昨日までのトロイと今日のトロイが同じとは限らない。
狼に憑かれているのが自分ではないとどうしてわかる。
刃を交わして、勝てるとも限らない。
慕ってくれた少年に白刃を向けることが出来るだろうか。
それが正しい事だろうか。
それでも自分なら…きっと最後まで抗うだろう。
たとえ勝つこと叶わずとも、自分は人だという、その証明として。
ただ、殺されるのは、殺すよりましかもしれな…
いや。そんなことを思う資格はないか。
場を見守りながら、頭の中にそんな思いが浮かんでは消えた]**
[きつくドラガノフを見つめる。
役者が揃っているならば、ここでやり遂げてしまえば、たとえ敵わずとも尻尾を衆目にさらさせられるだろう。だが、やりそこねた時に、その牙が他に向かわないとも限らない。
彼にそば近いアミルとイライダがどう動くか意識しつつも、ナイフを隠すつもりは、なかった**]
[あの狩人は知っていたのか。
知っていて憑狼かもしれぬ相手に頼んだのか。
腕は良かったろうが実に愚かだ。
ただ二人で支部に来たという時点で分かりきっていたことだが。
大声で笑い捨てたい気分になるのは久方ぶりだ。]
…そう、少しでも眠れたなら、良かった。
[夕べより幾分か疲労の色の薄れたトロイの顔>>92を、
ちらと見遣る。…嘘の可能性もある。
けれど昨日のトロイの昏く深い苦悩と悲痛の滲む瞳>>21を
思い出せば、頷いた。今日の彼も昨日と同じ彼ならば。]
リー・リーを助けられなかったのは、私も同じよ。
霊能者だったの…。
私が…一番守らなきゃいけなかったのに。
私が…裏切って、殺したのよ…。
[予想しえなかった偶然の采配とはいえ、
もしドラガノフが、信じて票を預けた昨日から、
既に憑狼だったなら…。
肩に触れてくれたリー・リーの手から伝わる
温かな感覚が蘇る。噛み締めた唇に苦い血の味が滲んだ]
……シュテファンが、ドラガノフに私のことを頼んだ?
そしてドラガノフが、トロイに?
[微かに瞳を瞠る。一瞬、自分を憎んでいた筈のシュテファンが
そんな頼みをするはずがない、と否定しかけて。
最後の、彼からの謝罪と掌のぬくもりを想う。
昨日のトロイの“用心しろ”>>3:159の言葉からも、
その内容が全くの嘘とも思えず]
……ええ、そうよ。私は占い師よ。
私がまだそうか、疑われるのは無理もないけど。
[トロイの仄めかし>>92に、泣き笑いのような表情で頷く。
占い師であることで、憑依される危険はあるかもしれない。
寧ろ、来ればいいとすら、思う。
憑依される寸前に薬さえ捨てられれば、
後はこの壊れかけの心臓が、殺してくれるだろうから。
そう上手くは、いかないだろうけれど]
……誰も信じられなくなる状況だからこそ、
ドラガノフを、信じたかった、の。
信じられる、と思いたかった。
自分の手で…占いで、
一人でも助けたかった…守りたかったの。
昔…誰も、守れなかったから。
[でも、もしもそれが間違っていたとしたら。
一番信じてはいけない人を、信じたのだとしたら]
[―――…ふいに、吹雪に真白く染まる窓枠が
カタカタと風鳴りする音が、鼓膜を突く。
反響するように次第に大きく、身体の内に響く音は。
9年前の記憶が叫ぶ、
恐怖に怯える子ども達の震える鳴き声。
兄を想ってたミレイユの、喰われ利用され、
残骸となった小さな身体の声なき悲鳴。
苦悶の表情を浮かべ喉を裂かれた、シュテファンの
抜ききれなかった半分の剣の無念の呻き。
“必ず仇は取る”初めて耳にした、
ドラガノフの噛み締めるような声の誓いに変わる]
……トロイ、ごめんなさい。
[トロイのナイフは見えていた。
ドラガノフが信じられる存在ならば、引くつもりだ。
けれど――もしも、ドラガノフが”人間“ではないなら。
信じられない存在ならば。
身の内に湧き上がる憎しみと、
燃え上がる熱に似た怒りを、向ける先は一つしかなくて]
[昨日の明け方の、見極めのひと時のように。
信じられたなら、剣先を退けるかもしれない。
けれど、信じられないと感じたなら、一瞬で喉を切り裂く覚悟で。
僅かに離れた距離から、
その冷たく光る切っ先を―…ドラガノフの脈打つ喉元に向ける*]
(まだ、イライダが白と決まってはいない。
テレーズが新しい情報から先回って演じている可能性を、考えなければいけない。
あぁ、でも……また、ひどい顔してんなって言ったら、『どんな時でも女に言うことじゃないわぁ』って…言うのかな……)
[昨日、鋭い手合わせのなか柔らかな表情を見せたポラリスを。騒動以降人が変わったようになりながら、雪の中のフィグネリアに触れたアミルを。そしてイライダを。
──人と信じて説得しながら、疑わなければならない。
暁色に苦痛が宿るのを見ていられなくて、それが昏い炎の色になるのに気付くのは遅れたろうか]
―資料室―
[常は体温の低い身体が、指先まで熱い。
カタカタと、雪鳴りの音が煩いくらい耳奥に大きく響く。
速くなりかける呼吸を、鎮めるように少しだけ深く吐いて]
…そうね、”今“のお互いを証明しようのないのは、
昨日と同じ、ね。
[少し前のドラガノフとの会話を思い出す。
少なくとも信じられると思えた昨日と同じ記憶があるらしい、と
微かな安堵が表情に滲んでいたか。
昨日の彼が既に憑狼なら、全くの無意味だが]
[昨日のように、回りくどい方法で、信じて貰うことは出来ない。
数瞬の躊躇いの後、左指の命綱の薬入りのポイズン・リングを、
抜きっとって、近い距離でドラガノフに放った]
……じゃあ、これでどうかしら。私の命綱よ。
薬がなかったら、痛むのと、
発作が起きたら死ぬのは話したでしょう。
もし信じて貰えるなら、お願い。本心だけを、話して。
[彼が薬を捨てれば、あと数時間の命かもしれない。
もしドラガノフが憑狼なら昨日の抵抗しない様子から、別だが、
一般的な憑狼なら、こんな馬鹿はしないのではないだろうか。
もし彼が人間ならば、信じられるかどうか見極めたいという、
それがイライダに示せる最大の、
自分が人間であることと、信頼の可能性の証明だ。
彼が憑狼なら、内心で大笑いされるだけかもしれないが]
[ああ、でも……本当に?
共通する癖というだけの可能性は?
一昨日までのドラガノフの眼差しを求めて、記憶を探る。
たった数日前のことなのに、もう遥か昔のような気さえする。
平和ボケした支部だと愚痴を零すばかりに、懐かしい日々。
柔らかな花びらのような、穏やかな時間。
もう二度と還らない命と、笑顔と。
左胸の奥が、常の痛みとは異なる慟哭に軋む。
その平和を守ろうとしていたのは、彼だ。
事なかれ主義だの、昼行燈だの云われつつも。
深く張った根で支え、広げた枝葉で皆を守り、
静かに枯れゆかんと願う、大樹のような人。]
[ドラガノフが、一度でも
イライダを、まっすぐに見つめてくれたことが、あっただろうか。
数瞬後、少しだけ哀し気な翳りの過った瞳で、
目の前の片目の男を、怒り混じりのまっすぐな眼差しで睨んだ]
[トロイに続いてイライダも短剣を抜く>>105。
それでもアミルは動けなかった。
あいつらは怒っている。大切な誰かを殺されたことを。
だからドラガノフに刃を向けるんだ。
じゃあ俺は?
幸せに生きて欲しいと本心から願ったあの娘を殺したのは、同じ俺自身の心と手だ。
同じ冗談で笑いあったあいつの踏み台を蹴り外したのは、俺の怯懦とこの足だ。
俺は仲間を殺された方じゃない。殺した方だ。
俺がドラガノフに刃を向けるとして、その理由は何だ?
『リー・リーは人間』『霊能者』『占師』『助けたかった』『守れなかった』『信じたかった』『ごめんなさい』
耳奥でわーんわーんと反響する言葉が、自分を責めているように聞こえた。
まるで自分自身が刃を突きつけられたかのように一歩も動けないまま、ただ事態の成り行きを見つめていた。
この異様な情景を前に、再び感情を失くした目で]**
昼行燈がたまに頑張ろうとすればこれだ。
まさか『儂』がここまで慕われてるとはなあ。
はっはっはっは。
[ならば後は命を的に楽しむだけだ。]
短い付き合いだったが後は頼むぞ。
間違っても庇うなよ。
[いや『中身』はもっと長かったか。
薄れつつある前の記憶などどうでもいいか。]
裏切って殺したとはまさにその通りだな。
実際にリー・リーに手を下したのはアミルだろうと。
止めを刺したのはお前さんだぞ。
イライダ。
[『ドラガノフ』の声音で名を呼ぶ。
即座に刺されなければ掌の中の指輪を放り返してやった。
途中で無駄死にされては面白くない。]
…ねぇ、貴方が本当にドラガノフなら。
トロイに殺されかけて、何故、無抵抗に笑っていたの?
何故、仇討ちに「満足か?」なんて訊けたの?
どんな形の仇討ちであろうと、満足なんてある筈ないと
知っているでしょうに…っ。
[トロイを止めた時の違和感>>75>>76を、叫ぶように口にする。
窓の外は、いつだって、一面の吹雪に真白く染まっている。
カタカタ 窓枠の風鳴り音が、耳をつんざくように大きくなって。
恐怖に怯える子どもが、震えながら泣いている…泣いている。
シュテファンの亡骸のこと切れた苦悶の表情と、
異様に裂かれ、血にまみれた喉の裂傷が脳裏に蘇る。
壊れかけた心臓が、かっと燃えるような熱を帯びる]
――還して…っ!! ドラガノフを還して!
[還ってくるはず等ないと、誰より知りながら。
怒りと憎しみと、言い尽くせない哀しみで
目の前が真っ赤に染まるような気がしたのは、一瞬。
震える手先で喉元に突き付けていた剣の切っ先を、
左肩のあたりめがけて、突くように振り下ろした]
―― 資料室 ――
……支部の人間全員に疑いの目を向けさせられれば、その分自分たちに向けられる疑念は少なくなるのでしょう。
……分からない理屈ではないですね。
[チラリと目線を返したトロイ>>91にそう返しつつ]
……。
[今は状況の推移を感情を目に込めないように見つめている。イライダ>>106がドラガノフにナイフを突きつけており、ああやっぱりこうなったかと。
ふと、目の前の状況から離れた位置に、アミルが感情を抑えたとは違う感情を無くしたような目>>119で自体を見守っている事に気付いた]
……アミルさん、どうしましたか?
[ついに限界が訪れたか、それともこれから目の前で起こることについて思いをはせる事に集中しているのか。少し気になり声をかけてみた]
還して…!! シュテファンを…っ!!
[還ってこない、二度と戻らない。誰も、誰一人。
失われた命は戻らない。温もりも、笑顔も、何ひとつ。
分かっていながらも、そう叫ばずにはいられなくて。
一撃目が避けられても、当てられても。
一瞬だけ、体勢を整えて。
次は、シュテファンの喉の裂傷のように、
喉元をめがけて、横払いに剣の切っ先を振れば]
還して欲しければこんなものでは足りないだろう。
[怒りと憎しみに満ちた悲痛な叫びが心地よい。]
お前達が苦しんで絶望して死んで。
"―――"できれば。
儂は『儂』が死のうが『満足』だぞ。
[これこそ儂が求めていたものだ。
と、心の底から笑う。]
………!
おいッ! ふざけんな、おい!
[イライダの短剣が振り抜かれる直前の言葉にざっと血の気が引いた。ごぼりと血を溢れさせるドラガノフの胸元を掴み、揺さぶる]
言えよっ…こんな、こんなっ……!
[ミレイユたちを喰らっておいて、抵抗しないというのか。
本当の小さな骸をどこぞへひとり置き去りにすると言うのか。
ナイフを取り落とし、残った片目を睨みながら、どこか満足げなソレに震えた]
茶番なんかじゃない…そんなんで、こんな事になった、なんて、信じない。
嘘だ、こんなの……。
[目の前が暗い。
何人も仲間を犠牲にしてやっと掴む獣の最期が、こんなものだなんて思いたくなかった]
…分かってるわよ…よくわかってる…っ。
仇を討っても、私だけが生き残っていても、
誰も、何も、もう還ってなんてこないのは……っ。
[9年間ずっと、
憎しみと怒りだけを糧に、生きなくてはなないと思い続け、
人前では絶対に泣かないと決めていたイライダの、限界だった]
みんな、身体を引き裂かれて、喰らわれて
絶望と痛みにもがき苦しんで死んだのよ……
貴方だけ笑って死ぬなんて、
絶対に赦さない……赦さないわよっ。
[怒りに駆られての、シュテファンの名を叫びながらの2撃目は、
笑みに迎えられた>>135. 冷たい手に心臓を鷲掴みにされたような、衝撃に似た感覚に。眩暈を覚え、足下がふらつく]
――…ミレイユは何処なの!?
言いなさい、言いなさいよ…
[男の口元に耳を近づければ、
言葉の代わりに溢れ出た鮮血>>135が、顔や髪に降りかかる。
まるで、赤い呪いのように。
生暖かい熱の籠るぬるつく血液が頬を滴り落ちる。
頽れるように、床に片膝をついた>>132]
[トロイから借りた剣を指先で弾き、刃を改める。
十分だ。
あの日々の中でも、鍛錬や手入れをサボることはなかったのだろう。
再び剣先を下ろし、抜き身を手にイライダが何事か叫んでいる>>145方へ目をやった。その口がうごくのをやめたとき]
じっとしてろ。
[ドラガノフに声をかけ、正面に立つと左肩から背中に手を当てて相手の体を支える。
そして、一気に脇腹に剣を突き立てた。
手首を内側に返して刃を捻り、引き抜くと同時に素早く数歩退いた。
返り血を浴びないためだ。
人狼であればまだしばらくは息があるかもしれない。
剣を構えることこそしなかったが、緊張は解かずに相手の様子を警戒していた。
特に言うことも聞くことも思いつかなかった。
周囲の者がドラガノフと言葉を交わすようなら、ただ呼吸を整えつつその様子を見守るだろう]
[『ドラガノフ』が絶命して半日もすれば。
その傷だらけの身体を黒い影が覆い。
後に残るのは―――。
長い黒髪の"見知らぬ誰か"だろう。**]
……満足なんて、もう一生できねえよ。
これで、満足出来るんなら、お前らと一緒じゃねーか……。
[激昂は去り、吹雪いた後のように心の表面が静かに荒れていた。泣きそうだったが涙は出ない。穏やかな支部での幸せな少年期の終わりを、遅ればせながら悟った。
ぽつりと語りかけ、あっさりと絶命したソレを見る。膝をついて虚ろな視線を合わせ、いっそ慈しむように赤の溢れる傷口をなぞらえる。まだあたたかい。血の色と死だけが等しいんだな、死んでいった皆はあんなに冷たかったのに。
再び武器を手に取るのに、ひどく時間がかかった。
ひっそりと、ナイフの刃を左手で握りしめて痛みを刻む。全てが終わるまで、凍ってしまわずにいられるだろうか、と小さく背を震わせた]
……お疲れ様、おじさま、いえ”同朋”。
[元の姿なのだろう黒髪の女性となった仲間の死体にねぎらいの声をかける。
返事は無いだろうが、もうすでに互いの元の顔など忘れてしまった仲間に最大限の敬意とねぎらいの意味を込めて声をかけたかった]
……さあ、あとは『私』の出番ですね。
[舞台もたけなわ。後は収束へと向かって行く**]
……哂わないでよ…っ。
[最期まで哂いながら逝った獣の傍ら。
片膝をついて瞳を閉じ]
……カーク。…アデル、カタリナ、ラヴィ…。
ユーリエ、アルフレッド、カシム、ミーネ…
[イライダにとって、神のような存在である、
9年前の北の国の小さな村での、
人狼騒動の犠牲となった孤児たちの名を呟く]
…シュテファン、アナスタシア、ミレイユ、
テレーズ、フィグネリア、リー・リー…
ごめんなさい…っ。ごめんなさいね…。
大丈夫、必ず仇はとるわ…
……生き残って、ごめんなさい…ごめんなさいね…。
[枯れることのない哀しみと悔恨の雫が零れる。
薄れることのない滾るような憎悪に任せて、ぎりと唇をきつく噛む
薄皮が破れ滴りかけた血雫を、
小さな赤い舌でなぞる様に舐めとれば。
馴染んでしまった血の味に、胸奥が疼くように痛むのを堪え、
暁色の瞳をぎゅっと固くつむった]
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