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─焚き火─
あれ…?
美奈さんは?
見てもらおうと思って、箱、持ってきたけど。
[焚き火にたどり着けば、問いかける。
鞄から箱を取り出そうとした時、一緒に
ハンカチが落ちた。
ハンカチからは数本の花が散らばる。]
あっ…
[落ちた花は数本。
みずみずしい花に混じり、不自然に二本だけ、枯れている。
枯れた二本の花の色は、白いままだ。]
……。
[欠けた人数を密かに意識しながら、申し訳程度にぺこりとお辞儀をした。探るように、静かに静かに様子を見守りながら――]
[男の面前、さらさらと髪を溢しつつ首を傾け覗き込む。
小型のカメラに見えたそれは、画では無く映像も写すものだった様]
[粗く暗い中、どれだけ仔細に見えたものか定かでは無いが、その場の状況は伝わった事だろう]
[先から攣られる首の感触]
[木々の奥の繋がる先、彼がまた"何か"をしようとしているのか]
[戻って来たんだ、とほっとする東の様子にこちらもほっとする。
心配賭けてたんだ]
ごめんなさい、遅くなって……あれ。美奈さん、どこかに…?
[首を傾げつつ。ふと、静かに様子を見守る真子の方を見る。
大丈夫だろうか、と思いながら。
何故か無意識に、カバンに手を入れて水晶を触っていたのは偶然だったのか、必然だったのか]
……っ!!!!
[真子を見ながら水晶に触れた瞬間、どくん、と心臓が大きく跳ねた]
あっ……
[真子の姿を見つけると、様子を窺うように見つめた]
ウェイターさん、それはかいつまみ過ぎだよ。
[呆れたようになる]
とにかく、先輩はさっきの三神君の時みたいに突然どこかに行っちゃったの。絵崎君は一旦帰って来たけれど、英裕君を連れてまた姿が見えなくなった。
ちがうよ!
東吾にーちゃんの体なの!
[あたしたちの。その言葉に、一層声を張り上げる]
ぼくは、東吾にーちゃんと、颯太にーちゃんと、多美ねーちゃんと…みんなと遊びに来たの!
キミじゃ、キミ達じゃない!
[明かりが揺れる。ぶれて、ぶれて]
東吾にーちゃんがいないと…東吾にーちゃんじゃないと…
楽しくなんかないよ。
おいでよ、こっち。たのしいよ。ずっと、楽しいことばっか――
[ゆっくりと、再び自分よりずいぶん小さな少年の腕へと手を伸ばす。
振り払われでもしなければ、その腕を掴んでしまおうと、]
[どくどくと心臓がものすごいスピードで跳ねる。
そして……]
――――っ!
[真子の、後に。無数の、人……死んだ、人?あれは、一体……?
真子じゃない?いや違う、身体は、器は真子だ。つまり]
『あれはいけないもの。良くないモノ。人について生け贄を欲するモノ』
[頭の中に誰かの声が響く]
……、真子ちゃんから、離れてぇっ!
[叫んだのは、本能的な。
けれど、唐突なそれは周りから見れば自分の気がおかしくなったと、思われるかも知れず]
[最後の言葉は弱弱しく。
それは、気付けなかった自分に対する後ろめたさで。
つい、顔を伏せて
楽しいよ、と言う誘いの言葉に]
返して。
[ぽつりと、また言った後に自分の腕を掴まれた感覚に顔をあげる。
いつも通りなら。今までなら。
彼にこう言われれば、素直にうなずいていたけれど]
いやっ、だ、離してっ
[掴まれた腕を引こうとするが、
足の痛みで踏ん張りが効かない]
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