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>>507鳥
[波がぶつかる音がする。
君の返事が無くても、特に困惑するわけでもなく、急かすわけでもなく、ただ後ろ手を組んだまま立っていた。空と、海と、岩と、カモメを眺めながら。
どれくらいの時間が流れただろうか。君が言葉を発すれば、少しばかり落ちていた瞼を開けて、君へ視線を落とした。
肩を竦める。]
そういう訳には行かないこと、分かってるくせに。
記録時期を合わせないと意味が無いって、散々言われてるだろ。
["相変わらずよく出来てる"とも呟いた。絵のことだ。]
>>508 鉄
[記録時期をどうのこうの、と担当者が口をすっぱくさせている理由のひとつはこの男なのではなかろうか。]
わかんねぇよ、学がねぇから。難しいことはなんにもわかんねぇ。
検査はいっつも異常なし、異常なし、異常なし。
お前だって、めんどくさくもなるだろ?どうせまた異常なし、だ。
[ようやく振り返った顔は、半分寝ているような、ゆるい笑顔。絵を隠すことはない。ぱっ、とのっているゴミを払いのけると、一羽のカモメがくっきりと画面に現れる。]
うまくなるなら、剣のほうがよっぽどいいぜ。
…そういやこんなこと始めたのも、聖痕ができてからだけど、あいつらには言ってねえな。
[魔術師の塔の研究員のことだ。]
>>509鳥
ああ確かに、勘弁してほしいね。
使用人だからって、塔の魔術師の方々は気易く俺に"ヴァルチャーを呼んでこい"なんて命じるんだから。
[そんな皮肉を返す。つまりこの人が言いたいことは、さっさと検査に行けということ。
振り返った君の表情には、呆れたように軽く口端と鼻で笑った。
現れた墨のカモメを覗き込めば、ふうんと一つ唸った。]
絵を描いてても剣は上手くならないさ。
……ああ、絵を始めたのはあの頃だっけ?
一体何を思ったのかは、俺も聞いてないけどね。 [絵を描き始めたことだ。]
>>510 鉄
ああ、俺も「そろそろアンが来る頃だなぁ〜」ってのはわかる様になってきたぜ。
すっかり俺担当だよな、お前。
[ひひひ、といかにもそれがおかしい様子で笑う。検査に行こうという姿勢は未だ見受けられない。]
剣なぁ…俺が腰にぶら下げてても、使えないのは街に知れ渡ってるだろ。カッコわるくてなぁ。
なぁ、また教えてくれよ。ミリオにはあの後訓練つけたんだろ?
[ずりいなぁ、という不満顔。]
なんとなくだな。目に星がぶつかってから、なんか、鳥とかが、妙にきれいに見えるようになってよ。
気がついたら描いてた。
[嘆息して、目の前のカモメに触れようと手を伸ばすが、餌を譲らぬ貴様に用はないとばかりに飛び立たれた。]
>>511鳥
クソったれ。俺はお前の使用人じゃないんだよ。
仮に俺は良いとしても、お前が後から困るんじゃないか?自警団の上層と、塔の聖痕担当、繋がってる感じなんだろ。
[悪態をつきつつも、口端はにやつかせて、は、と小さく息と混ざった笑いを零した。
その後に続く言葉には、"俺は知らんぞ"と呟いて、少し顎を上げる。]
ああ、ミリオはスジがいい。もうヴァルよりは強いな。[なんて。]
……ふうーん?悪いものは、やっぱり打ったら良くなるのかもな。
お前が荒くれを卒業したのも、"何となく"?
[その時期だよな。と付け足した。]
>>512 鉄
へいへい、お前の大好きなリュミール様の使用人ってことくらいわかってら。
…そうなのかね。せいぜい、検査サボらないように見張っとけ、って言われたぐらいじゃねえの?
[きょとんと、以前の不審そうな表情はどこへやら、とぼけてみせる。
鈍感であるように、取り繕っている。検査に行くのを渋るのも、それの一環のようなもので。]
おい、んなわけねえだろ。一日で越えられたんじゃたまったもんじゃねえよ。
[眉間にしわを寄せ、大げさにあせった表情。荒くれだったことについて触れられれば、真顔になり。]
なんとなくで卒業できるかよ。
いくら殴られても、殴り返したら俺も同じ仲間に戻ったことになるし。しばらくしても、盗賊の仲間が自警団に入ってるとか噂立てられて、きっつい取り調べうけたり。
[あれが一番きつかったな、と重くつぶやいた。]
リコシェはいいよな、お前みたいな真面目な兄貴でさ。
俺はヘールが不憫だよ。言っても検査にいかねえような兄貴だろ。
[くつくつと笑う。冗談のように。]
>>513鳥
["リュミール様"なんて、リュミールを含めてからかわれたのには、眉を顰めて口を尖らせて、ふんと鼻息を漏らした。
……君がとぼけた様子を見せたのは、数拍置いて「ふうん」と唸った。以前の様子から一転したことくらい分かる。君が何を考えているのかは知らないが、もう自分は呼び出し終えたのだから、後どうするかは君の責任だから。]
["ミリオとスパーリングするのも悪くないかも"と軽く笑ってみせてから、]
分かった分かった、ヴァルはよくやってる。
お前が改心の様子を身をもって見せ始めた時は、サラさんも感心しておられたよ。
[事実は、相変わらずの厳しい表情で何やら言っていたことを思い出す程度だが、まあきっとそうだろうと。]
[けれど、君が次の言葉を続ければ、くつくつ笑う君とは対照的に、表情を微かに沈めた。]
…… それはどうかな。
お前とヘールは心が通い合ってるよ。兄弟にはそれが一番だ。
【海:崖の上】
>>鳥 >>鉄
うーみは広いなっ よーろれいほっ
かーぜに帆を立て イカリを上げろー♪
[坂の下から、非情に調子っぱずれた女の歌声が聞こえてくる。潮風に弄ばれる髪や服の裾を気にする様子もなく、眼下に広がる巨大な水を眺めながら、それはそれは楽しそうに、彼女は坂道を歩いて行く。
その軽やかなステップが、ふと止まった。行く先に人影をふたつ、見つけた所為だ。歌声が止まり、波の音とあなた方の会話は、ひとまず邪魔されることはなくなったが。]
あー、ヴァルにーだ。何やってんの?
それと、えーっと……
[うちの一人が知り合いと気づけば、再び無遠慮な声が飛ぶ。次いでもう片方の姿を確認し、見たことがあるようなないような。とりあえず、思い出そうとするフリはしながら、首を傾げたりして見せた。
あなた方の会話なんて当然聞こえることはなかったし、その上、漂う空気を読もうともしていない。大人の話に割り込もうとする、子供のように。]
>>514 鉄
[からかいに対して、鼻息だけが返ってきたのには、拍子抜けしたような、つまらなそうな顔をした。
時々、アンブローズから視線を外して、海を見つめる。穏やかに、真っ青な景色が広がっている。振り返れば、街がある。それだけならいい、塔がある。アンがそこにいなければ、夜になったって振り返りたくない。]
[軽い笑いを、訝しげに眉をひそめて見ていた。]
サラ婆さんが?嘘だろ。
[感心しておられたよ、という言葉が出てすぐに食いついた。疑い半分、うれしさ半分、という表情がもろに顔に出ていた。
昨日、きまずい会い方をしたばかりなので。]
心が通い合ってるとかやめろよ恥ずかしい。
…確か、ヘールがリコシェくらいの時に、更正しようって決めたんだよな。
かわいいよな、あれくらいの弟さ。甘えてくれるし、背伸びしたがって、なんでも真似しようとするし。
もっと甘やかしてやれよ。
[首をかしげて、相手の表情を伺う。]
>>515日
[ざざあ、ざざあ、と波が打つ音の中で静かな会話があっただけだ。
……そんなところで、ふとルンルン気分の歌声が聞こえたものだから、静かな空気に従って半ば伏せていた瞼を反射的に開いて、振り返ったのである。]
……?
ア、アンブローズと申します。……
[とりあえず、使用人根性を発揮して、丁寧に頭を下げた。それから顔を上げて君を見る。考える。この外見的特徴は横の人から聞いたことがあるし、その人の知り合いだし、……]
──……もしかして、フラニーさん? [おずおずと尋ねた。]
>>517鉄
あ。あーあー!
アンブローズさん!リコちゃんのお兄さんだよね!?
知ってるー!けど、初めまして!
[既視感があったのは、どことなく知り合いの子と面影が似ていたからなのだろう。そう自分の中で納得すれば、相手の困惑なんて何処吹く風。テンションで押し切るようなご挨拶をするのである。]
うん、フラニーでーす。
もしかして、あたし有名?困っちゃうなぁ。
[何が困るというのか。そもそも絶対に困っていないのではないか。そんなツッコミ待ちをするかのように、軽い緩い調子で笑う。近くで羽を休めるカモメが、海に向かって呆れたように一声鳴いた。]
>>516鳥
[からかいは心底面白くなく感じたようなのは、その不満げな表情から分かっただろう。突っかかるのをグッと堪えていた。こういった様子は、君がこの人の面構えのことや、リュミールの事をからかえば、今まで度々あった。]
あの人は、人について理解ある人だよ。 [研究についてはおもしろくないけれど。表情には出さず、]
ヴァルのことだって、今もきっと思っておられるんだから、あんまり心配かけさせるな。
[……ついでに言葉裏で、また検査について触れたのだった。
それから、君に表情を覗き込まれているのは分かったけれど、やはり浮かない。]
そうだな、その通りリコシェは可愛く思うし、大切にしたい。
けど、あんまり……あいつの要求を、きちんと満たせてる自信がないんだ。
何て言うんだろうな、殆ど"甘えられたことがない"、って言うのかな。
なあ、ヴァルよ、どうやったら弟を甘やかせられるのかな。
[……というところまで言った途端に、歌声が挟まったのだった。]
>>515 日
[潮騒とカモメの鳴き声ばかりだった崖の上に、明るい歌声が響いてくると、ずいぶんと雰囲気が変わるもので。フラニーが来た方向から、カモメが「なんだなんだ」と少し距離をとっただろうか。
当社比で表情が薄かった男が、ぱっと日でも差したように笑みを浮かべた。]
フラニーか。なんだ、ここも人にバレてきたもんだな。あんまり人が来ないところだと思ってたんだがなぁ。
カモメに餌やってんだよ。
[絵ももう描き終えたので、皮袋を取り出す。突然カモメが色めき立つ。バタバタと臨戦態勢にはいったカモメを、待て待てと手で制してたが、聞くわけもない。]
アンブローズだ。同じ聖痕者だが…そうか、まだ初対面か。
>>鉄
[アンには、例の話した求婚者だ、とばかりに目で示して、頷いて見せた]
>>518日
そうですか、やっぱりフラニーさん、
[一人納得して、改まって挨拶をしかけたところで、君のきゃぴ声が思いっきりこの青年の言葉を遮ったのである。あまりの勢いに、思わず背が伸びた。え、え、と声を漏らして、]
え、あ、ああはい、リコシェの兄です。初めまして。
リコシェからお話を度々伺ってまして、それで存じ上げたのですけど、……
["有名?"なんて言葉とか、陽気すぎる様子に、つい強張った笑顔を浮かべたのである。]
……うちの弟が、お世話になってるみたいで。
["きちんと立つか座るかすれば美人"とはまさか、]
>>520鳥
[カモメに距離を取られようと、別段気にしない。例えカモメが人であったとしても、そこまで気にしないのではないだろうか。やりたいことをやっていれば、幸せな人間なのだから。昔から。
それはそれとして、笑みを浮かべたあなたへと、こちらも笑顔で手を振ってみる。]
うーん、バレたっていうか、辿り着いたっていうか?
知らない道を歩いてみたら、たまたま着いたのよ。帰ったら多分もう来れないから、バレてないかも?
[そこで皮袋に群がるカモメを見て、うわぁ。と目を丸くする。青い空に青い海、そして白い雲と白いカモメ。とても良い景色なのだが、その中のカモメは、もの凄い勢いで野生を発揮していた。群がられている相手を助けることは無理だ。とりあえず。]
うん、そうみたいだね。
話は聞いてたよー。リコちゃんから。ヴァルにーにも一度聞いたかも。
[紹介に改めて、頷く。]
>>519 鉄
[度々あるのは、おそらくはこの男がそういう態度ばかりとるからではなかろうか。そして、結局、そういう反応が楽しいのだ。
コミュニケーションの方法は覚えたが、挑発するというのが楽で、結局こらえてくれる相手に甘えているということだ。
本人に自覚はない。]
そうかね?なんっつーか、昔っから苦手なんだけどよ…
フラニーの婆さんだし、鳥とか見せてもらって世話になってんだけどな…
[ぶつぶつと、愚痴があふれるようにでてきた。心配かけさせるな、には、あぁ、と生返事だった。]
甘えられるの待つなよ。甘やかしてやれっつってんだよ。
ああしてやりたい、こうしてやりたい、って思ったら、じゃんじゃんしてやればいいだろ。
ま、俺はそれで、ヘールとかフラニーとかリネアも、結構振り回したけどな。
[思い出し笑い。]
>>521鉄
[相手が背を伸ばしても、困惑に拍車がかかっても、以下略。自分が引かれている可能性なんて、きっと考えてもいないのだろう。にこにこと良い笑顔を浮かべるだけ。]
あ、どうもどうもご丁寧に。
お世話ってほど、お世話もしてないと思うんだけどなー。たまに会うとお話したり?
昔は一緒に遊んでたりもしたけど。最近は、リコちゃんも忙しそうだからね。
[それでも相手のちゃんとした挨拶につられたか、少しは真面目なトーンで語る。……かと思えば、風に舞った自分の髪が顔にぶつかり、うびょっ、とか奇声を漏らすのだ。]
>>524鉄
[今まで何度も何度も挑発されたし、何度も眉間に皺を寄せて君を睨んできた。ほんの僅かに浮かぶ怒り皺の形成に、君は一役買ってきたかもしれない。けれど、友としての関係が破綻することは無かった。]
[サラについてはこれ以上言及しない。ただ小さく頷いて、君の思考を促して終わる。]
──……そういうものか。
時々分からなくなるのさ、俺がリコシェに何をできるのか、してやりたいのかね。
リコシェが日々努力してるのが、俺の面子を立てるためっていうのが一つだって。分かるのさ。
だからあいつには、どうにも申し訳なくなって……
[そこまで一気に言って、眉を顰め、はあーと深くため息を吐いた。]
お前から、人の振り回し方を学びたいくらい。
[言葉の内容は全く皮肉だし、その気持ちを含めて発言したのは確かだが、やや本音も混ざった調子だった。]
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