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[セルマを見送り。
ランスに寄り添った。]
世界が、終わるわ。
[硝子細工に罅が入るように頬に筋が入っている。
身を屈めて と願うように、エステルはランスの服の端を引く。]
[ランスの額にくちづけを一つ。
次にランスの唇に触れるように落とす。]
………………。
貴方の──────
[唇同士が触れ合う距離で囁く。
ランスの眸を見詰め身を委ねながら。]
あなたの瞳に映る世界は輝いていますか?
[闇に沈む束の間、赫灼とした'星のあかいろ'で問いかけた。
闇が押し寄せれば音もなくさらさらと星粉のように消えてゆき。]
[恋仲の男女を見送り去る女、そんな構図だろうか。
残念ながら、エラリーの立場からは殆ど意味のわからぬ会話であったのだが。
セルマは、言葉を濁した。
こと、男の目算は外れたことになる。
謳うように少女から零される言葉の数々は実体を伴わず、虚ろに響く。
神が死んだ。
世界が終わる。
それは灰が降り始めて数多存在した滅亡のシナリオのひとつ過ぎなかった]
[少女の瞳が、真赤に輝いた。
彼女の瞳は、紅かっただろうか――それに目をとられる。
芯から己の言葉を信じている――狂人のたわ言なのか、否か、エラリーには判別する術はない]
――
[翼を持った男が少女に華を飾り、口付けを交わす。
絵画のような情景、
ふたりだけの世界、
完結した世界。
そこに男の立ち入る余地はなかった]
[やがて――世界が終わる。
夜よりも暗くなにもない黒が拡がり、全てを呑み込んでいく。
今際の際となって――男は口元に笑みを浮かべた。
ヒトの及ばぬ圧倒的な暴力、いや、最早現象だろうか。
それがそこにあった。
男の精一杯の足掻きも、摩耗し、僅かに残っていたエラリーという存在をも、何もない闇に還してしまう。
男が最後に浮かべた笑みがなんだったのか――そんな意味すらも**]
[幼いエラリーは身体の大きいだけの男だった。
ウドの大木だった。
鈍く、機微に疎い男には取り柄がない。
多少の恵まれた体格、力自慢程度は、獣人や魔法の存在するこの世界でのアドバンテージなど、無きに等しかった。
己の無力感と、絶望を共にする日々。
自然、男の向く先は己の裡、物言わぬ文字へと向かっていった。
男にはそれしかなかった。
辛うじて手を伸ばした先に残った文字の世界。
それを並べ立てることで認められたのは、恵まれたことであったのだろう。
少なくとも男はそう受け取った。
そしてやがて 男は気がついた。
自分は、己を切り売りしなければ文字を紡げないことに]
[二十幾年の年月を生きてきた。
卑小な身である彼も、常にどん底を生きてきたわけではない。
苦しみも、喜びも、かなしみも、楽しみも、痛みも、快楽も。
様々な思い出をもって、ここに生きている。
そして、彼にとって。
作家として生きていくことは――
思い出をねじ切っていくことだった]
[創作家は時として既存の文物から、絵画から――様々なものをインプットして、己の懐で纏めてアウトプットする。
外から取り込んだものを全て糧にして、そして新しいものを作る――
そうすることの出来る作家もいる。
けれど、エラリーにはそんな才能は存在していなかった。
男にとって創作とは、幾つかの思い出を面白おかしく脚色し、加工し、分解し、ねじ切り、そして、産み出すこと。
それを含む作業であった。
生きるためにはものを書かなければならない。
けれどそれは、多分に己を削る業であった。
物を書くたびに己の何処かが削れて、欠けて、消えていく。
灰のようにボロボロになって溶けていく。
そんな実感が男にあった。
世界が滅びへ向かっていることが分かったとき男の胸中に生まれたものは、なんだったろうか――
世界と己と、どちらが先に欠けてなくなってしまうのか、そんな疑問すら覚えた]
[夜闇に紛れて、穴を掘る。
なるべく深い方がいい、灰が届くかもしれない。
男の部屋に山とあった本は、保管用の木箱に包まれて。
少しずつ、少しずつ、土の中に埋葬された。
子どもの浅知恵だと思った。
構わなかった。
摩耗する自分、摩耗する世界。
滅びは避けられない。
いつかこの本が、この文字が。
いつか誰かに、何かに届くように]
[エラリーは。
セルマの後を追わないのだろうか。
思いはしても、口に出すことはしない。
ただ静かに、ひとときだけエラリーに視線を向け。
すぐにまた緩やかに戻す。
世界は間もなく幕を閉じる。
その責の一端を、己が───この、紅い翼が担っている。
ならばせめて。
せめて、ひとりでも多くのものが、望む形で、最期を迎えられたなら]
……なに?
[マイダに名を呼ばれ、服を引かれ。
その柔らかな笑みに近付くように、身を屈めれば。
額に、微かな熱を感じた。]
───……あぁ。
もうすぐ……。
[もうこの世界に神はいない。
直接見たわけでも、聞いたわけでもない。
けれど、それが分かる。
神は死んだ。
世界は終わる。]
おれの瞳に映る世界は───……
[瞼を閉ざす。
映る世界は。
緑の葉に包まれた、美しい森。
木漏れ日の中、笑い合う仲間達。
陽光を反射し、輝く湖。
やさしい歌声。
金の髪に薄紅色の花を差した、愛おしい───……]
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