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[唇を噛みしめて空を仰ぐ。
埃と灰とが浮かんだ空気を、ステンドグラス越しの光が貫いていた。
ひび割れた少女と、ひび割れた唇の感触。]
いつだって――未練は残るからさ。
[だから、進んで残そうとは思わない。]
[翼あるものが、灰よりも軽く舞い降りた。
その羽が抜け落ちて照らされている。
少女に飾られた花は鮮やかで、胸を刺すようで。]
……しあわせだね。
[くるりと踵を返した。]
…護りが欲しいんなら、そう言えば良かったんだ。
煙幕でも薬品でも、「生き延びる」為の物が用意できたってのに。
[…綺麗な笑みが、今は腹立たしい。
生きて帰れる可能性なんて殆ど無いのに、
どうしてこいつは笑えるのか、と。]
だったら、絶対生きて帰れ。
どんだけ卑怯な手を使っても良い。
戦場から逃げ出したって構わない。
・・・だから、絶対に死ぬな。
でないと、無茶ぶりなんざ受けてやらんぞ。
[・・・翌日、彼は出て行って。
そして、帰っては来なかった。]
[くしゃくしゃに手紙を握ったままの遺体と、抱きしめられる紅い鮮血の滲んだ遺体だけが、廃屋にひっそりと、残されていた。
その二つが、どんな貌をしていたのか、この場所に確かめに来る物好きなどもう、きっと存在しない。
ただ、愛おしいものを諦めた意識が途切れ、愛おしいものを諦めまいとする意識も、途切れ。
緩やかな風通り抜け、星の元へと。
世界の終わりの終わりが近いのだと、告げる**]
[教会を出て空を見上げる。
灰はまだ降り続いていた。
――帰ろう。
誰もいない、自分だけの家へ。
家から持参した傘を広げるが、もう穴が開いていた。
洗濯物を干すまではそんなこと考えなかったのに。]
……あーあ。
お気に入りのブラウスも、多分破けてるね。こりゃ。
綺麗に洗ったのに、さ。
[それでも傘を広げる。
柄を持って一度回してから、歩き出した。]
……。
[向き直ったナデージュを見て、最初にしたのは、
とにかく涙を拭いて視界をはっきりさせることだった。
上着の袖で顔をこすって、瞬きひとつ]
…ほうたい。
ちゃんと、まけてない。
[ナデージュの頬を――正確には、包帯の隙間から覗く、白く乾いた肌を指差して告げる。
空から降る、滅びの欠片に似た色に、
目が離せなくなる]
さかばのおねえさんは。
まものにならないで、はいになるの?
[からりと、割れたステンドグラスの破片が、また落ちる。
灰に覆われた空でも、微かな明かりがそこから差す。
まるで、魂を天へと導くかのように。]
セルマは───
[踵を返す彼女に、もう帰るのかと声をかけようとしたが。
言葉は出ぬまま、その背を静かに見送った。]
[スーさんの言葉に、咄嗟に掌で顔を覆います。
あまり見られたくなかったのですが、やはり、隠しきれなかったようです。
白はもう、顔の殆どまでに広がっているのですから。
わたしは困ったように笑ってから、小さく頷きます。
そうして、道具箱の蓋をそっと閉めると、立ち上がりました。]
……すー、さ、 ……どうし、 ます、 ?
[これからどうしますか、という問いなのですが、もう、声すらも渇き始めています。
少し身を屈めて、スーさんにお貸ししたケープのポケットから、小瓶と飴玉を取りだしました。
そっと飴玉の包み紙を剥き、中身を口に含みます。]
………
[甘い香りが、しました。
甘い味は、しませんでした。]
………あぁ、
[溜息のように、声を漏らします。
飴によって滲みでた、僅かな唾液は咽喉を潤します。
暫く、ころころと口の中で飴玉を転がして。
それから、困ったようにスーさんの方に向き直りました。
わたしは、情けない笑顔を浮かべていた事でしょう。]
―回想…そして、何年も時は過ぎ―
[…街を出て行く者は多かった。
魔物が出れば対処は遅れるし、食糧等の生産量は少ない。
当然、人々は安全や食料を求めまだ健在な街や村へと流れた。
研究所の面々も、ある者は去りある者は残り。
気が付けば、あの頃居た面々はだいぶ減っていた。]
「ホントに行くわけ?
片腕とは言え、居てくれた方がありがたいんだけど…」
[こうして自分を引き留める所員も、終戦後此処に来た一人だ。
この場所の変化を実感し、感傷に浸ってから口を開いた。]
…どうせ、此処の面子も変わったしなぁ。
あの頃の資料は、資料庫の主が纏めてんだろ?
俺みたいな戦力外は、素直に去るさ。
「いや、資料だけじゃなくて当時の情報も…」
[言葉を続ける後輩の口を塞ぎ、くすりと微笑む。
なんだかんだと言っても、この後輩は寂しいのだろう。
此処の所員が減ってしまう事が。]
・・・まぁ、アレだ。
戦争中に、「帰ってきたら」とか言っときながら帰って来なかった馬鹿が居てな。
…そいつ捕まえて、とんと説教してやらないかんのさ。
一体何時まで人の事を待たせるのか、ってね。
[それだけ言って背を向けて、街の外へと足を進める。
見つけた時の説教を、たくさん静かに考えながら…]
――…っ。
[胸が、痛い。締めつけられるように。
物が壊れるところも、人が墓地へ運ばれていくところも、――自分が壊れていくところさえも。
淡々と見続けられるほどに壊れかけていた頃からすれば見違えるほどに、
素直にぽろ、と涙をこぼしながら。
痛いのを押し込めて笑おうとする。
どうしたいか、という問いかけに、素直に自分の望むことと、したいことを答える]
そんなかお、……しないで。
なんでもする。
おそうじもするし、おてがみもかくし。
おいのりするうただってうたうから。
いっしょにいさせて。
[最後の言葉。
それは、眼前のナデージュに宛てたものであると同時に、
どこにいるのか分からない神様に宛てたものでもあった。
神様に祈るなんてずいぶん久しぶりのことだった。
祈るべき相手はもういない、なんて知らないから]
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