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[わたしは、頭上から聞こえるドワイトさんの声を聞いていました。
聞くことしか、できませんでした。
嗚呼、それにしても、なんということでしょう。
あのマスターが、わたしの事を、実の娘のようだ、なんて。
身寄りのなかったわたしには、それは願っても無い、しあわせなことです。
できることなら、その命がある間にその言葉を聞きたかったのですが。
もっと贅沢を言うなら、わたしに声があった時に。
そうしたら、もっとたくさんのありがとうを、伝えられたのに。
折角作れた笑顔が崩れそうになり、わたしはきつく両の手を握りしめます。
ドワイトさんには返事の代わりとして、何度も、何度もその言葉に頷きました。]
[その後はドワイトさんに招かれるまま、食堂の席の一つに着きます。
外とは違い、ここにはまだ、人の温もりが残っているような気がしました。
その温もりだって、今にでも消えてしまいそうな不安定さを伴っていますが。
調理場へと向かうドワイトさんとランスさんの背を見送りながら、視線は眠たげなスーさんへと向きました。
名前で呼んでもいいよ、と、声のある時に言った事があった筈なのですが、それももう、曖昧なのでしょうか。
挨拶の変わりに手を伸ばし、その頭を撫でました。
おそろいなのでしょうか。
わたしは、頑張ることから逃げている気がしています。]
[やがて、注がれたばかりのカモミールティーが運ばれてきます。
調理場で、ドワイトさんとランスさんとの間に何があったかはわかりません。
友達同士の何かというものなのでしょうか。
常連のお客様も、わたしの為に曲を作ってくれた人も、そして今日はマスターも。
近しい人がどんどんといなくなっていく中、まだ、友達だと呼べる人が傍らにいるということはとても羨ましく思えました。
そんな事を思いながら、カップの縁に唇をあてます。
唇を窄めて、ふぅふぅと何度も息を吹きかけました。
あまり熱いと、荒れた咽喉を傷つけてしまうからです。
こんなにも良い香りがしているのに、直ぐに飲めないと言うのは難儀な身体になったものです。]
[ようやく冷めてきたお茶に口をつけるころ、ドワイトさんはマスターの亡骸の事についての提案>>18をされました。
同じような事をわたしも考えていたので、とても嬉しかったです。
マスターと奥様はとても仲が良かったから、マスターも幸せに眠ってくれるでしょう。
奥様との間に子供は恵まれなかったようですが、それでも、酒場で見た二人のやりとりを思い出せば、今でも心が温かくなります。
ですが、それを受け入れるということはまた、ドワイトさんの手を煩わせるということになります。
世界に等しく灰の降り注ぐ今、ドワイトさんだって、生活しているだけで身体に負担がかかっているでしょう。
是非、と、頷いていいものなのでしょうか。
伺う様な視線を、ドワイトさんではなくランスさんにちらと向けました。
ドワイトさんの傍にいる事の多いランスさんでしたら、何かいい案を出してくれると思ったからです。]
[椅子には掛けず、カップを持ったままで壁に凭れる。
それは、羽を隠すようでもあり。
マスターを、夫人の傍に眠らせてやることについては、異論はなかった。
自分も、それが最善だと思う。]
───で。
埋葬は、いつする。
[頼まれても、頼まれなくても。
埋葬の手伝いはする気でいる。
断られたとしても、首を縦に振る気はない。]
[セルマからエステルについて聞けば、馬のしっぽを揺らしながら首をかしげてにこりと笑った。]
セルマ、君は実に実直だねえ。
それは良い性質だ。そのままでいてほしいな。
[だからこそ、エステルもセルマを頼っているのだろう。
多少勢いに押されることもあるが、周囲への目配りを怠らない姿勢は素直に素敵だと感じる。]
さあて……。
エステル、エステル……ねえ。
[唇を人差し指で押して、記憶の内側を探った。
忘れることは生き延びるための能力だが、思い出すこともできてこそ。]
[結局は違和感の正体を確認できないまま。
食堂へ戻ってくると、カモミールティーを口へ運ぶ。
壁へ凭れ掛かっている友人。
灰色の羽は今は、視界からは遠く]
……埋葬は、あまり遅くならない方が良い。
[この世界の灰は、亡骸すらも蝕んでいく]
ナデージュさんの望むときに。
別れの準備が整ったら、いつでも教会を訪れると良い。
そうだね、遅くとも明日の朝には、
此方から酒場を訪れることにしよう。
[それで大丈夫かい、と彼女へ問う眼差しは優しく]
[ランスさんの口からでた言葉は、ドワイトさんの提案を後押しするようなものでした。
大丈夫なのでしょうか。
ランスさんへと向けていた視線を、恐る恐るドワイトさんの方へと戻します。
いつだってそうなのです。
いつだって、彼らは、優しいのです。
明日の朝にという言葉に、わたしはカップの水面を見つめながら、頷く事しかできませんでした。
自分の無力さが、ただただ、恨めしいです。]
[女はむしろ、飴に興味を示していたが――物欲しそうにはしなかった。
少女に炭酸水を返す。]
ああ、うん。
森を越える気は、あたしにはないからね。
この子の安全と情報が大事だし。
……飲んだら、行くかい?
[まだ少し残っているサイダーが清廉なものに見えた。
少女によく似合うな、と思った。]
[森までの道中、特に話すこともなかった。
男から聞き出せることもなければ、自分よりも少女が話し出すのを待っている方が好ましい。
そう思ってのことだ。
再び広げた傘が、灰を振り払う。
あれほどに緑豊かだった森も、今はこの灰のせいで。
誰にも気付かれない程度に、ため息をひとつ。]
……。
[揺らしていたしっぽを止めて、背筋をのばしてじっと足下を見つめた。
優先すべきはどこにあるのだろう。
守秘義務なのか、目の前の彼女のことなのか。
迷う。
迷うけど、でも、]
……どうせ、もう……。
[どうせ、
とっくに、
どこも亡い。]
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