情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
[9]
[10]
[11]
[12]
[13]
[14]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
この村にも恐るべき“人狼”の噂が流れてきた。ひそかに人間と入れ替わり、夜になると人間を襲うという魔物。不安に駆られた村人たちは、集会所へと集まるのだった……。
1人目、夢見る ヴェル がやってきました。
/*
何か質問等ありましたらお気軽にお尋ねくださいね。
■名前 ■年齢/外見
■職業 ■備考
□NG事項 □コアタイム
□接続状況 □現在位置
◆開始時期に関して。
→揃ったら即開始を考えております。
*/
*/
2人目、道化師 リヴリア がやってきました。
─ 少女の幻燈 ─
[……猛火が踊る。
列々とした焔が壁中を紅蓮に染め上げ、
黒煙を纏う金粉が虚空に狂咲く。
熱い……熱い
辺りに立ち上り蠢く巨大の紅。
その禍々しくも猛る掌は、
頬を撫で上げ
髪を鷲掴み
喉元を抉っていく。
痛い……痛い
声にならない悲鳴を上げようとすれば
烈火の牙はその喉元を蹂躙していった]
……!! ……!!
[いつしか──
痛みも 熱さも 息苦しさも
消えていった。
炎に同化する己の白金の髪も
業火によって煌びやかに着飾られたドレスも
踊り狂う逆巻く赤の世界も
なにも なにも
見えなくなっていった。
……ううん、それは幻
そんなものははじめからみえていなかった
だって、わたしのめはもう
せかいをうつしていなかったのだから──]
……
[溺れた童のように
荒れ狂う紅蓮の河の水面から
私は精一杯顔を覗かせ
名前を呼ぶ
名前を呼ぶ
遠くなる世界で
近づいていく微睡みの中で
── 消えゆく心の中で
私は“その”名を呼び続けた
幾度も
幾度も]*
─ 道化師の夢 ─
[しゃらり
しゃらり
微睡みの世界で 鈴の音が響く
高く 高く
低く 低く
静寂を砕き 何かを呼ぶかのようにに
冷たく熱く
謳うように 囁くように
宵の衣を纏いながら
覗かせるは 嗤う下弦の月]
3人目、道化師 ダハール がやってきました。
─ 道化師の現実 ─
[微睡みの世界で 鐘の音は響くことはない。
静寂を静寂のままに。
何かを伝えることはなく。
冷たさも、熱もなく。
黄昏か明けか?それとも……真紅の衣を纏いながら
覗かせるは 極ありふれた思春期の表情]
4人目、渡り鳥 グレイヘン がやってきました。
― 夢の世界・そら ―
[ふわり、白い羽毛が柔らかな陽射しの中で踊っていた]
――やさしい、せかい。
[真綿のようなふんわりとした髪が揺れる。
とろんと眠たげな丸い瞳はベリーの色。
歳は8つかそこらだろうか。
背中を隠す長い巻き毛の隙間から顔を覗かせているのは。
真っ白な、翼]
――……。
――ほんとうに?
[空の上は、独りぼっちだ]
――。
[ゆっくりと少女は瞳を閉じる。
羽ばたくのをやめればぐらりと体が傾いで。
真っ逆さまに落下が始まる]
きれい。
とっても、あったかい。
[太陽に両手を差し伸べた。
重力に引かれて遠ざかりながら。
真っ白な鳥が羽根を休める何処かの水辺へ。
ぽちゃん。
驚くほど軽い音を立てて落ちていった]
─ 道化師の現実 ─
[何度も、何度も 此処 に 来ている。
ついた杖、先に突いた鐘は鳴らず。
替わりのように 鳴る。
鈴の音。]
―――――
[
高く 高く
低く 低く
道化師は首をゆるく振った。]
[近づくべきなのか?
遠ざかるべきなのか?
いつも結論は出ない。
ただ、何度も、何度も
同じ夢、見ていた。
いつも結論は出さないまま。]
[水音]
[……ここ、は不思議だ。
道化師、だけではない。]
― みずべ ―
[ぷかり、白い頭が水面に顔を出す。
ぱちゃぱちゃと水をかいて岸に辿り着いた少女は
草の上に身を投げ出した]
あったかいは。
やさしいとは、ちがうの。
[ベリーが太陽を映して小ちゃくと光った。
ところどころ灰色斑の巻き毛が草の上で波打つ。
翼もびしょ濡れ、服もびしょ濡れ。
すぐには飛べない。
陽光の下で目を閉じる。
真っ白で小さな小鳥達が何処からともなく集まってきて。
少女の傍に身を寄せ合った]
5人目、太陽の子 ミズキ がやってきました。
― 青葉の丘 ―
[真っ直ぐな眼差しは青葉の色。]
[汗のしずくが瑞々しい肌を伝い、
すっくと伸びた足は若樹のしなやかさ。]
[いま、少女は丘を駈ける。
手を伸ばす。
目標は目前を走る、あの《太陽》]
待てぇぇぇいっっ、こらぁぁぁっっ!
今日こそは逃れられると、思うなよっ………!!
[目前を跳ねる白兎に向け、
切れかけの息を凝らして叫ぶ。
その手が届くまで、もうすこし*]
医師 シャルロッテ が見物しにやってきました。
― 現実・とある少女の病室 ―
よく眠っている、と。
[さらさらと、手元のクリップボードに挟まれたカルテにいろいろな情報を書き込む。
顔色、体温、血圧、脈拍等々。
特徴的な変化は見当たらない。
んー、とボールペンを口元に当てたが、
それ以上書き加えることもなく、童顔の医者はその部屋を後にした**]
[小鳥が数羽、ぱたぱたと羽音をたてて飛び立った。
だけど少女は飛び立たない]
こわいものは、ないの。
[だってここは夢の中だから。
こてんと横を向く。
伸ばした手の先、一羽惑う小鳥に指を差し出した]
こわがらなくて、いいの。
[小鳥が手の平に擦り寄るのを見て微笑んだ]
[ふわり、小さな口が欠伸をこぼす]
――すごく、ねむい。
[うとり、またベリーが睫毛の下に隠れる。
草の匂いと水の粒を枕にして。
眠たげに少女は水辺に横たわる。
少女の姿を見た事がある者は、きっと。
いつも眠そうにふわふわしていると。
そう思う事*だろう*]
―――
[リブリア 姉さん]
[そういいかけて、口は動く。
けれど、杖先の鐘同様、音は紡がれない。
ヴェルに語りかけ 哂う。
その姿を視界に入れながら。
赤の替わりに青。
青の替わりに赤。
哂う面の替わりに泣く面。
持った姿が静かに近づく。]
ヤア泣き虫君<<ピアニョーネ>>よく来たね。
[背後…少し離れて気配を感じる。
誰か…を見る必要もないだろう。
仮面は振り返りもせず。
ただ首を微かに傾けた三日月が、
近づく静かな気配に向かってカラカラと嗤う。]
帰れ
[肩を微かに震わせれば、振れた鈴が小さく響く。]
……と、ボクは言ったはずだけれど。
それとも、何か忘れ物でもしたのかい?
6人目、お花畑の ハル がやってきました。
[ぽかぽかと、あたたかな日差しが降り注ぐ。
お花畑の真ん中で。
ふわふわ。
ふわふわ。
少女は、いつも楽しそうに笑っている]
嘲笑の《ボウラ》
[ダハールとは呼ばれない。
自分も姉の名前を呼べず。
替わりに、今は見えない仮面で呼ぶ。]
忘れもの………忘れ、もの。
――――――ヴェル、に何か?
[杖をつく。やはり鐘の音は鳴らない。
替わりに鈴の音が聞こえる。
曖昧なまま、いつもどおり、結論は出さない。
横顔、見える位置まで、歩く。
肩より上で切り揃えられた髪が揺れた。]
7人目、無口 ローザ がやってきました。
[空を見ては俯く。
それを幾度か繰り返して
少し、不機嫌な表情を浮かべる。
花が咲き乱れる丘の上。
高い位置からは少女たちが見渡すことができる。]
― →花畑へ ―
[右の腕には太陽を象るブレスレット。
その手にジタバタと跳ねる袋を持ち、
ミズキは秋の野山を上機嫌で越えていく]
――――♪
[鼻歌混じりに越えた野山の先は、 春。
一面の花畑。ここから先は自身の「領域」ではない]
人聞きの悪い呼び方をするものだね泣き虫君。
こんなにも愛らしく笑う子を捕まえて嘲笑だなんて。
そういうときはsorridereとでも言うものじゃないのかい?
なんだい? キミの忘れ物はヴェルなのかい?
[言葉とは裏腹に気を害した風でもなく、ただケラケラと嗤いながら、夢の少女が去っていった先を見据える。]
帰りたいと言っていたのさ。
どこへ帰りたいんだろうね?
水の底かな?
花の底かな?
それとも空の底かな?
キミなら知ってるんじゃないのかい? 泣き虫君?
[近づいてくるダハールから離れよう…とはしなかった。
ただ、そちらには視線を投げかけず。仮面の代わりに、肩口から覗き込むように見つめる白蛇の小さな瞳が彼を捉える。]
[夏が来ることはない。
日が暮れることすらない。
時間の止まったお花畑]
できたあ。
[弾んだ声でそう言って、両手で掲げたのはシロツメクサの花冠。
満足気に出来栄えに頷いたところで、元気な声が届いた]
あっ。
ミヅキちゃんー!
[手を振ろうとして、両手が花冠で塞がっていることに気づく。
壊さないように気をつけながら、右腕にそっとかけると、こちらにやってくる少女に向かってぶんぶんと左腕を振り返した]
――――――……忘れもの、なんだろうね。
[否定するように首を振る。
結論は出ない。出さない。曖昧なまま。
自分自身わからない、そんな風に首をかしげ
軽口のリヴリアを見た後仮面をつける。
泣き虫、その言葉がさすように 涙の仮面。]
嘲笑の。 ヴェルの様子、見てくる。
[それでも、世界の果て。歩き始めた姿。
気がかり、彼女は何を思ったか?
結論が出た気配に足を向ける。]
8人目、星売り カスミ がやってきました。
ん〜〜〜〜。
[少女の視界の真ん中で、ビンの中に詰め込まれた「星」達が、めいっぱい存在を主張している。
耳をすませば「わたしを売って!」という声が聞こえてくるかもしれない。
しかしそれは錯覚に過ぎず、聞こえるのは少女の唸り声ばかり]
[暗い、部屋。
天井の明かりは頼りなさげに少女を照らす。
窓は無い。壁を埋めるのは大きさも形もまちまちな鏡。
こんな部屋で「星」を売る以外の時間のほとんどを過ごしているせいか、
真っ黒なワンピースからのぞく手足は陶器のように白い。
その手が、灰色の「星」をひとつつまみあげ、
おもむろに口に運んだ]
……甘い。
[今日の「星」は金平糖。
夜空でちゃんとした星になれずに落ちてきたカケラくずに似た、
丸くてとがった形の甘いもの。
ビンのふたを閉めると椅子から立ち上がり、鏡のひとつに歩み寄る。
「星」達はテーブルの上でお留守番。
天井の明かりがひとりでに動き、鏡の前に立つ少女を照らす。
厳かなスポットライトのように]
しゅうかく?
[目と口をぽかんと開けて、じたばたと暴れる袋を見つめる。
ほええ、と口から感嘆の声が漏れた]
ミズキちゃんはすごいねえ!
えーっと、今日の、ばんごはん?
[にっこりとそう問い返す少女に、"今日の夜"が訪れることはない。
少女が口にするのは、いつも"3時のおやつ"]
可愛い? ありがと!
ミズキちゃんにあげる!
[花冠を褒められると晴れやかに笑って、そっと持ち直したそれを少女の頭に乗せようとした]
― みずべ ―
[十分に体が乾いたみたいで少女は起き上がった。
ふるふると翼を震わせると水滴が散る]
――……。
[裸足の足を水の上へと滑らせる。
少女の背で翼が羽ばたき綿毛のような羽根を水面に散らした。
水面の上でしゃがみ込むとまるで
水鳥が水の中を覗き込んでいるようだった]
ああ、行っておいで。送っておいで。
探しておいで。泣き虫君。
見つかるといねぇ。忘れ物。
[仮面を付ける様子に一瞥をくれることもなく。
手も振らず、カラカラと嗤いながらただ歩き始める背を見送った。
私は彼の名前を呼ばない。『泣き虫』と呼び続けていた。
あの時からずっとずっと……]
[姉と言われたことはあっただろうか?
現実の話を聞かれたことはあっただろうか?
……名を呼ばれた事はあっただろうか?
全ては夢の彼方──
彼方で問われたとしても仮面は真実は語らず。ただ否定していた。
お互いが誰であるか? それはきっと分かっている。
彼とはここの夢ではなく、また別の夢でも逢っていたのだから。
それでも仮面は名を呼ばず、否定する。
仮面の中に、真実をひた隠し]
その仮面はキミには似合わないよ。
……ダハール。
この世界も…ね。
はやくお帰り。キミの世界に。
[仮面は彼の名を呼ばない。
だから、これは微かに外し、仮面から垣間見える下弦の月の──
──戯言]
9人目、岬守 シン がやってきました。
−海岸線−
[蔓で編んだ歪な籠抱えて、潮の染み込んだ砂にひとりの足跡。
満ちていれば押し寄せる波も、この時間は随分遠い]
…今日も、収穫は上々。
[砂上へ置き去りにされた椰子の実、拾い上げて籠の中。
茶色い外皮の下にのぞく、硝子の破片に大きな巻貝。
見上げれば太陽は揚々と眩しく、白鴎はまるで空に捺した印影]
ふぁ
[丘の上は心地よいそよ風が吹いており眠気を誘った。
小さなあくびをすれば声が漏れる。
甘くて、まるで綿菓子のような声。
この声が好きじゃなくて多くを喋ることがない。
ふわふわとした髪の毛に甘い声。]
……… 忘れ もの。
[リヴリアの言葉を、ひとつ訂正する。
物 か 者か。それさえも曖昧に。
答えを出せない。答えを出さない。
背中に 響く笑い声。
仮面の中で一度、目を閉じた。そして、あける。
ここからは、道化師 姉が言うには
結論を出したらしき少女の下へ。
結論をいくつ見れば、
結論というものがわかるだろうか?
世界の果てで佇む。後姿。]
─ 在りし日の 夢 ─
さあ、もうすぐめざめの時間よ。
またあっちで逢いましょう?
暖かい朝食と、ミルクと一緒に
始まる一日を貴方と共に
[そう告げて、彼の背を抱きしめる。
そして手を振って彼を送り出す。
私の夢から、彼の現実へ。
繰り返される日常
夢と現で回る輪舞曲
過ぎ去りし永遠の日々
なくしてしまった少女の幻]
[魚と、目が合った。
真ん丸の目で見つめると魚も見つめ返してくる]
――そう。
ずっとむかし、ここにいたにんぎょさんは。
もう、いないのね。
[少しだけ寂しそうに微笑んで。
少女はくるりと踵を返した]
――……。
[草木のクッションが恋しい。
この世界に生れ落ちた時、卵の殻を覆っていた巣を。
少女はずっと探し続けていた。
岸に戻ると羽ばたくのをやめ。
翼を引き摺って、歩き出す]
[鼻高々の様子のミズキに、大真面目にうんうんと頷く。
遊んでばかりの少女とは大違いなのだから]
えへへ! いいの!
だってミズキちゃん、みんなにばんごはんをお裾分けするんでしょう?
ハルはこんなのしかできないから。
その花冠、ミズキちゃんにお裾分けする!
[少し照れた様子のミズキににっこり笑って、少女はまた大きく頷く。
"花冠のお裾分け"は実際そんなに珍しいことではない。
星売りの少女に払える代価だって、それくらいしかないのだし]
[結論が出せない。
結論は出さない。
今はまだ、そのままで………――]
ヴェル………何を見ているんだい?
笑わないのかい?
泣きたいなら、僕 が、泣いてあげるよ?
[泣いた仮面のまま、ヴェルの後姿に話しかける。]
[草地がやがて砂地になる。
少女はぱたりと立ち止まった]
――……。
[柔らかい羽毛を砂の上で引き摺るのは嫌なのか。
草のある方へ、どんどん反れていく。
ふと、点々と砂地に刻まれた足跡。
その先を目で追うと、籠を抱えた少女の姿]
[籠の大半を占領する椰子の実、それでも拾う手は続く。
足跡が伸びていく度に、籠の中で乾いた音。
砂の上で見慣れない子蟹を見つけ、力いっぱい沖へ投げる。
小豆のような色の小さな甲羅が遠くなって ぽちゃん]
…いい天気だぁ…。
[青々とした空を仰ぎ、ぽつりと呟く。
流されてきてしまった小さな蟹は、帰れただろうか]
[『こんなのしかできない』とハルは言う。>>48
でも―― 必要も無いのに好きでやっていることだ、
そんな風に言う必要もないのに。
ミズキは一度ふるりと首を振るけれど、
それを言葉にすることは無いまま]
…… ん。
それでは貰っておくことにしよう。ありがとう。
[にっとはにかんだ表情で笑いかける。
そして思案するように指先を唇に当てた]
しかしお裾分けを貰ったんだ、お礼を渡さなくてはな。
またハルの好きな「おやつ」を持って来よう。
果物や木の実―― ハルは何が好きだったかな?
[住人たちの好みも千差万別だ。
記憶をたどりながら問いかける。]
さーて、
[砂地に伸びた足跡が止まり、乾いた砂のある先を見る。
古びた建物のその傍ら、海辺の植物の中
見つける、紛れてこちらを眺めている渡り鳥の姿]
いらっしゃーい。
[籠を抱えたまま、大きく手を振った。
渡り鳥は、決して砂のあるほうには近寄ってこない。
だからこちらから近づいていくしかない。
尤もなところ、岬守もまた海辺から大きくは離れないけれど]
そう……そう、帰りたい、んだ。
大丈夫、まだ、大丈夫、だよ。
君の帰り、待っている人がいる。
君がこの世界から帰ってくるのを。
[世界の果てを見る少女にうなづき、言葉を返す。
世界を行き来する。だから知っている。
けれど、彼女に彼女の結論をもたらすことはできない。
結論を持たない自分には。
彼女に結論をもたらす姿、伝えなければ、と思う。
仮面の姿は周囲を見渡して]
[ぽちゃん。
水に落ちた子蟹に目を瞬く。
片手を口許に当て、小ちゃく首を傾げながら]
おてんき。
あめ、ふったりするの?
[夢の世界は住人次第で天気や時間すらも変わる。
少女は渡り鳥だからどんな場所にでも行くけれど]
[まぁるい瞳で微笑むと。
口許に当てていた手を小ちゃく振る]
あのね。
きょうは、おやまがちゃいろなの。
だいすきなベリーが、みつからないの。
くだもの、どこにいけばあるかしら。
[お腹がくぅと鳴った]
─ 再び道化師の夢 ─
[仮面にあてはない。
脈絡もなく夢を闊歩し、語り、踊り、謳い、嗤う。
脈絡もなく夢に現れ、聞き、見て、嗅いで、嗤う。
花を舞わすときもあれば、波をけたたましく弾くときもある。
ただ、ひとつお気に入りの場所はある。
そこにはよく足を運んでいた。]
…いや、今のところは降らないんじゃないかな。
[渡り鳥の言葉に背後の海を眺め
それから空を眺めて渡り鳥へ視線を戻した。
見上げても見上げても、青と白のモアレ模様]
大体、グレイは雨降ったら困るんじゃないの?
飛ぶ時、大変でしょ。
[先ほど振った手を大地と水平に、ひらひらと上下させる。
それから籠を軽く抱えなおし、古い建物へ向ける視線。
外へと張り出すような屋根の下、年季の入ったテーブルと椅子]
休憩していくなら、何か用意するけど。
[そうやって、しばらく風の息吹を感じつつ、その甘い風に囀る暇もあっただろうか?
とある気配が丘へ辿る頃には、鈴の音は丘からかき消えて行ったことだろう。
微かな残り香だけを残して]*
茶色?…ああ、秋なんだね。
グレイの好きな甘酸っぱいのは、上からじゃ見つからないよ。
[建物から渡り鳥へと戻す視線、口元緩めて教える秘訣。
足元を指差しても、ここには砂に混じる緑だけ]
秋なら背の低いところにあるっていうよ。
ミズキならきっとたくさんなってるところを知ってる。
あめ、ふらない?
[少し安堵したようにふにゃりと目元を緩める]
そうなの――あめだと、さむいし。
はねも、おもたくなっちゃう。
[こくり、頷いた。
岬守の視線の先、古びた建物を見て。
誘いに応じるようにまた頷くと、
翼を広げてふわり、彼女の傍へと飛んで行く]
[丘の上、向かいかけた足、止まる。
鈴の音 聞こえた気がして。
丘の上から目的の姿、探す心算だったが
考えを変えて 裾野 しらみつぶしに歩くことにする]
ミズキちゃん、良く似合うよう!
[貰っておくというミズキに嬉しげに笑って、お礼という言葉に瞬いた]
そんなあ。
気にしなくていいよう?
[とは言うものの、"おやつ"という言葉に零れる笑みは隠せない。
じたばたと元気な"ばんごはん"より、そっちの方が少女はずっとずっと嬉しい]
果物も木の実も好きだけど――――、
[つられたように少女も少し思案するような表情になって、けれどまた嬉しげに笑った]
あのね、ハルは野いちごが一等好き!
ん、あき。
[目をぱちくりさせて今度は表情を綻ばせた]
あきでもベリー、あるの?
みどりで おはな いっぱいじゃないと
みつかんないのかなって おもってた。
シンはとっても ものしり。
[足許を見下ろして、そろそろと砂に足をつけてみた]
ミズキ。
うん、あとでミズキに おしえてもらう。
ありがと。
[足を止める。
そこは星売りの部屋、その入り口。
星を売る以外では
いつもそこにいる。
行く先を訪ねるには不適当だけれど、
なんとはなしに、その戸口、たたく。
窓はないから、中の様子はわからない]
今日の星は、上々かい?
[日によって星もさまざま。
そんなこと、思い出しながらたずねる。
まだ、売りに出ていなければ、
部屋の主はいるだろうと。]
知ってるだけだよ。
本当に探しにいったことはないな。
見つかったら、教えてね。
[渡り鳥が近づいて、ふわりと空気が震える。
籠をテーブルの上において、渡り鳥を見てから椅子を引いた]
ベリーって、一つじゃないんだって。
春になるのもあるし、秋にも実るって──
[少し視線が空を仰ぎ、建物の中へ。
暫くしてから器と匙を持って現れる。
器の中に、よく煮詰めた果物の掛かる透明なサイコロたち]
寒天。たべていいよ。
[木匙の柄を向けて、器を渡り鳥の前に置く。
ことんという音共に、中の透明がぷるんと震えた]
野いちご――。
春の終わり頃、夏の…… いや。
[『夏のはじまり』と言葉にし掛けた口をはっと閉じる。
視線はハルの顔色を伺った]
うん。ともあれ、数日以内に持ってくるよ。
楽しみにしていてくれ。
[話題を濁すように慌てて続けた]
[どこか落ち着かない様子のミズキに、にこにこと笑ったままうんうんと頷いてみせる。
ミズキの日焼けした肌に、シロツメクサの白が眩しい。
いつも元気いっぱいのミズキは、まるで、夏の]
わわ!
ミズキちゃん大丈夫!?
[ぶるんと一度大きく首を横に振った。
じったんばったんと暴れる袋に目を瞠る。少しわざとらしいくらいに。
ミズキは、明るくて、元気いっぱいで、いい子だ。
大好きで、大事なお友達だ。
それなのに、あの季節みたいだ、なんてイメージが頭を過ぎるなんて。
どうか、している]
うん、みつかったらシンにもおみやげ。
もってくる、ね。
[物珍しげに建物を見回しながら。
ちょこんと椅子にお邪魔する。
背が小さいから、足がぷらぷら]
ベリーにもおともだちがいるのね。
もしかしたら、ベリーじゃないっておもってたのも。
ベリーだったり。
[いつも真っ赤な果実ばかり頬張っていたけれど。
戻ってきた岬守が手にした器、覗き込む。
透明で震える不思議な物体にベリーみたいな目が更に丸くなった]
いいの?
わぁ……いただきます。
[興味津々に木匙を受け取ると、サイコロをぷにぷに。
掬おうとするとつるんと逃げる。
拙い持ち方で何度も追いかけて――3(6)回目。
匙の上に乗っかったサイコロを嬉しそうに、
小さな口をめいっぱいに開いて頬張った]
ふにふに。
おいし――。
[煮詰めた果実のソースと食感にとろんと笑顔になった]
[きちんとミズキが袋を握りなおしたのを確認して、少女は嬉しげに笑った]
うん、野いちご!
あまくて、すっぱいの!
[とても美味しい、という同意を得られてご機嫌だ。
拙い言葉で野いちごの美味しさを力説して。
ミズキの失言には表情を変えなかった。
聞こえなかったのか、聞かなかったことにしたのか。
にこにこ。にこにこ。
わざとらしいほど、上機嫌]
うん! ありがと!
楽しみにしてるねえ?
[春の終わり頃。そんなのは、知らない。
だってこの花畑の春は、終わらないのだから]
……もう、売りに出たかな?
[返事の返らない扉。そうなると……
あくまで可能性。結論というよりも曖昧に。
疑問調で口にすれば。
ふらり、鳴らない鐘が突いた杖、
地面をつきながら歩く。
*音もなく 音もなく*]
うん、楽しみにしてるね。
[岬守の行動範囲は、渡り鳥ほど広くはない。
海が見えなくなるところまでは、行けない。
匙と寒天の追いかけっこを向かいの席に腰掛けて眺め
口に漸く入ったその様子を見ながら]
その赤いのも、ベリーだよ。
ちょっと前にミズキが色々持ってきてくれたのを
とろとろに煮て冷ましてある。
…気に入った?
[尋ねるその声は、頬杖をつきながら]
[口の中でもつるつる滑るサイコロが楽しくて。
ついつい夢中になったりしながら。
一つ飲み込むとまた次のサイコロを木匙で追い駆ける]
これもベリー? ほんと?
――ちょっとにてたかも。
でもこっちはなんだか、いつものよりとってもあまい。
[ちょびり、ベリーの部分だけを掬って舐めてみる。
とても上機嫌そうにこくこくと首を縦に振る]
シンはおりょうりもじょうずなのね。
あのね、またたべにきても、いい?
とっても、おいしいから。
[頬杖をつく彼女にこてんと首を傾げてみた]
煮ると、味が濃くなるからね。
グレイの食べるベリーより、掛けてあるほうのが
ずっとベリーの数が多いんだよ。
[舐めるほど気に入ったらしい様子が見え
次の強請る声に、手が両方ともOKサインを作ってみせた]
じゃあ、また天草が流れてきたら作ろうね。
今度はほかの子も連れておいでね。
[海草が流れてこなければ材料はやってこない。
今日流れ着いた椰子の実を見ながら答える]
しゅうかくって大変なんだねえ?
ずっと気が抜けないんだあ。
[まじまじと暴れる袋を見つめ、自分にはとてもできそうにないと少女は首を横に振る。
なにしろ、お花は逃げたりしない]
グレイちゃん?
グレイちゃんも、野いちご好きなの?
[美味しいもんねえ、と少女は唸る。
我慢させてしまうというのはなんだかどうにも申し訳ない]
あのね、あのね、ハルは野いちごじゃないものも好きだからね!
りんごも好きだしぶどうも好きだよう!
[戯れに花の蜜を吸ってみたりもするけれど、それではおなかは膨れない。
ミズキやカスミの届けてくれる"おやつ"は少女には貴重品。
だけど、誰も我慢なんかしてはいけないと少女は思う。
だって、ここは、優しい世界だから。
春が終わることはなく。
寂しい夜がくることもない。
少女がずっと笑っていられる、あたたかい世界だから]
うん、ミズキちゃん、ありがとねえ。
[立ち上がるミズキを見上げて、少女は春の陽だまりのようにほわっと笑った]
おおい……このベリーのが。
いっぱいいっぱい、つまってるのね。
[驚いたように綺麗な赤を見詰める。
もう一度はむ、と匙を舐めた]
うん! みんなでたべたら、おいしいの。
てん、ぐさ……?ぐれいへんも、おそらからさがすの。
そうしたらまた、たべられるもの。
[匙を持っていない方の手でOKサインを真似っこする。
丸いほっぺに寒天を頬張りながら。
空になった器に両手を合わせる]
ごちそうさま、なの。
あさから、ごはんみつからなくてぺこぺこだったから。
すっごく、ありがとうなの。
[ぺこりん、と頭を下げた]
はーい、
今日も空が青いからお星様は絶好調ですよお――、 ……?
[反射的に返事をしつつも「星」をすくう手は止めない。
違和感にようやく気付いたのは、手がビンと薄紙の間をきっかり3往復した後のこと]
……だあれ?
[ふわり、ふわり。
軽やかな足取りで扉に近付き、開ければ、見えたのは立ち去ろうとする道化師>>74の後ろ姿か]
わあ、さっきの声はひょっとしたら道化師さんですかあ?
せっかく来ていただいたのにおもてなしもできないでごめんなさいねえ!
[ぶんぶんと両手を振りながら非礼を詫びる。
ちなみに片方の手にはしっかりと、「星」を包んだ薄紙が握られている]
[見上げて笑う少女の笑みの中に、名前通りの春を見る。
春は好きだ。
風はあたたかく、陽の光がやさしいから。]
いいや、こちらこそ。 ――ありがとう。
[花水木の花言葉は「返礼」。
伸ばした手を再び空に切らせて、
春の花畑に背を向けた*]
[また匙を舐める様子に、かなり気に入った様子が見て取れた。
空から探すときいて目は丸くなったが
首を縦に二回振って笑う]
うん、たくさん集めたら皆で食べられるね。
色を抜くまで時間かかるけど…
[天草は天日乾燥と水晒しを繰り返して出来上がる。
両手を合わせて、頭を下げて。
小さい割に律儀な渡り鳥に合わせて、短い髪を揺らす]
おそまつさまでした。
…そうだ、ミズキに会ったら
ココナッツに合うものがあれば頂戴って。
[伝えて欲しいとひとつ伝言を頼みながら
空になった器と匙を下げるために席を立つ**]
[胸を張るミズキに、へええ、と心底感心したような声を漏らす。
こちらの真剣な訴えに噴き出されると目を丸くした]
山ほど? ほんと?
なあんだあ、それなら安心だねえ!
[ほうっと安心したように息を吐いて。少女は先ほどの訴えが少し恥ずかしくなって、少し頬を赤くして笑う。
恥ずかしいのを誤魔化すように、ちょっぴり意地悪げな表情を浮かべた]
でも、山ほどあるのに取り分が減ったら我慢しなくちゃいけないなんて、グレイちゃんは食いしん坊なんだあ。
[そういう少女も負けてはいないのだけど。小さいからだからは想像できないくらい、おやつは食べてしまうのだけど。
しばらく自分のことは棚に上げておいた]
いい子? そうかなあ。
えへへー。
[頭を撫でられると、頬を赤くして、ちょっぴりだらしない笑みを浮かべた]
ううん、ハルはなにもしてないよう?
ミズキちゃんが来てくれて嬉しかったよう?
またねえ。
[お礼の言葉にそう返し、背を向けるミズキにほわほわと笑って手を振った**]
[時間がかかる、との言葉に一瞬視線を落とす。
しかしすぐにとろんとした微笑を浮かべて。
屈託無く笑う岬守を見た]
ココナッツ。
わかったの、つたえておくね。
[ココナッツ、ココナッツ、と復唱しながら。
席を立つ彼女に手を振って。
ふわり、山の方角へと飛び立っていく。
後には一枚、白い羽根が机の上に*残っていた*]
― →山のログハウス ―
[家に帰ればまず、じたばたと動く袋の口を開いた。
本日の収穫、白兎の耳を掴み持ち上げて、
慣れた手つきでサバイバルナイフを滑らせる。
動脈を切れば血液がどっと流れ出す。
………はずが、流れない。
ここは、優しい世界。
ミズキの望みのままにすべてが在る。
故に、命の途切れる瞬間はとてもやさしく、安らかに。]
[しばらくすれば、まな板に綺麗に捌かれた兎肉が並んだ。
ここまではいい。
が、問題はその先だ]
だれに料理してもらおうか。
[肉を小分けに包みながら、
兎料理のできそうな顔を思案する。
まず思い浮かんだのは先日もベリーを渡した海辺の少女]
またシンにお願いするかなぁ。
いい加減嫌がられて無ければ良いのだが……。
あとは―――… 『星売り』。
[その顔を思い浮かべれば、快活な表情に陰が落ちる。]
[道化師が振り返れば、少女の人懐っこい笑みが見える。
自分の表情が、相手のそれと反射的に正反対になる性質を、少女は持ち合わせている。
道化師の仮面は涙を流しているかのよう。
だから、少女は笑う**]
[ここは、優しい世界。
ここは、暖かな世界。
何も怖いことも、嫌なこともない。 ――けれど。]
……論外、だな。
[ふぅ。と溜息を吐き出し、作業の続きに取り掛かる。
すっと伸びる瑞々しい手元で、太陽の輪が*輝いた*]
[仮面が斜めっている。
見られていないならよかった、と片手をおろし
寄って来る仮面に邪魔ではない、という風に
軽く首を左右に振った。]
…………。
[風に遊ばれる銀色に目がいった。]
ここは世界がとてもよく見える。
花も海も…風も…星も太陽も…微睡みも
…いろんな世界が見えてくる。
[視線を気にすることなく。仮面は丘から世界を見渡していた。
常春の園からお裾分けを頂いたかのように咲く丘の花々。
程なく近いこの場所からなら、花守の娘と彼女の側で輝き咲く向日葵が如き太陽の娘の姿も見ることができただろうか?]
花守の世界、太陽の世界
合わせ巡り世界は回るのだろうね。
…キミの世界もここから見渡せるのかなぁ?
[見上げるように頭をぐいっと反らせた後で、頭だけをぐるりとローザに向ければ、その拍子にたなびく髪が大きく揺れる。
陽光の下で、白に近い金髪は一層輝いていく。
見やった視線の元、仮面に描かれた眼は何かを映すことはなかったけれど。
その代わりにボロを辿って肩口からひょっこり現れた白くて長い…現実と随分乖離していてもいたが蛇に見えなくもないナニカが、さながら「こんにちわぁ」と顔を出して、興味深そうにつぶらな瞳で彼女を見つめてもいたか]
[道化師の視線を追うようにして同じように花守と太陽を見る。
さっきまでミていた相手だ。
問いかけられた言葉尻を感じ、道化師に視線を戻す。
風に舞う髪は白に近い金色。幻想的にキラキラと輝いて見える。
それをぼんやりと観ていると、視界の端がにょろりと動いた。]
かわいい・・・・。
[道化師の言葉に返事をするよりも蛇に対する感想が口を飛び出した。
はっとした様子で口をつぐむ。しかし視線は蛇に向いたまま。
真っ白な蛇は奥底に潜む感情をくすぐる。]
[一瞬きょとんとした…のは仮面ではなくて蛇らしきそれの方だった。
仮面は相変わらずローザを見据えたまま動かない。代わりに蛇っぽいなにかは恥ずかしげに一旦ボロの中へと身を隠してから、そぉっと顔だけ出して口をつぐんだ彼女を眺めていた。
そんな見つめ合う時間が少し続いて]
く…あはは
[一瞬仮面が震える。漏れる声色は嘲笑とも愉悦とも…いや、単純に可笑しさがこみ上げた笑い。
最初声を押し殺していた仮面だったが、やがて堪えきれなくなって腹を抱えて笑い出した]
かわいい? あはは、ボク以外でははじめて言われたんじゃないかな?
驚いたりは怖がられたりはあったけれどね。
ほら、言われ慣れてないからこんなにも恥ずかしがっちゃってさ。
[笑い疲れて肩で息をすれば、やはり仮面が邪魔だったようで、ほんの微かにそれをずらす。
かいま見えた隙間からは、仮面を写したような下弦の月がちらりと見えただろう]
[少女の願いを映すお花畑。
少女の願うままに在るお花畑。
金色に咲いているタンポポもあれば、真っ白な綿毛になったタンポポもある]
たんぽぽー。
[丘の上からの視線には全く気づくことなく、少女はころんと寝転がると、タンポポの綿毛をふうっと吹いて、空へ飛ばした]
飛んでけー。
[舞いあがる綿毛を目で追いかけて、空を見上げ。
きらきらしたお日様に眩しげに目を細める]
― 山のログハウス:玄関前 ―
[包んだ肉を腰から下げたポーチに収め、ログハウスを出る。
玄関先には花水木の樹。
シロツメクサの花冠をところどころ彩る花と同じ、
季節外れの赤い花が咲き誇る]
ん…… んーぅ。
天高く、馬肥ゆる秋。 ……か。
[一つ伸びをして天を見上げる。
目に入るまばゆい太陽の光に、青葉の円い目を細めた。]
−海岸線の家−
[木匙の入った器を手に、優雅に空へ舞い上がる少女見上げ
手を振ると、テーブルの上にひらり残った白いひとひら拾い上げ]
…天草、あとどれくらいあったかなあ…。
[平面は海岸からテラスへ、テラスから室内へと続く。
渡り鳥の残していった白い羽は、棚の壜の中。
使った器の片づけを終えると、テーブルの籠の元へ戻る。
片手には水が入った器、もう片手には"どうぐばこ"。
籠の中に手を入れて、取り出すのは大きな巻貝]
こいつは手強そうそうだなあ…
["どうぐばこ"とラベリングされた箱から
取り出したのは撓む気配もなさそうな、見た目にも固い紙。
適当な大きさに破りとると水に浸し、
浸した紙を巻貝にあて、徐に擦りだした。
辺りには波の打ち寄せる音と、巻貝を磨く紙鑢の乾いた音ばかり]
― やま ―
ここなっつ、ここなっつ。
[秋色の山へ向かってふわり、ふわりと漂いながら]
ベリーはどこにかくれてる?
[きょろきょろ、上からじゃ探せないと岬守の少女は言っていた]
ここなっつ、どこなっつ、ここなっつ。
[少し高度を下げると落ち葉と土の香り]
――……?
[名前を呼ばれて。
きらり、山の中で太陽が光った]
ミズキ。
[少し目をこすって。
光の元を認めるとにこっと目を細めた]
さがしてたの、ミズキ。
うんとね。
ちゃいろのおやまに、かくれんぼのベリー。
ぐれいへんはベリーがみつからないの。
それから、えっとね。
シンがちょうだいって、いってた。
なっつ、なっつ……ここ、こなっつに にあうもの?
シンがおりょうりするんだって
こなっつ、どこそこなっつ、ここなっつ…… ああ!
それはきっと――― ココナッツ、だね?
[ぽん!と手をひとつ打った。
合点承知の笑顔ひとつ、ふむりと記憶を辿りつつ]
ココナッツに合うものか。
それならちょうどいい、昨日面白い果物が採れたんだ。
あとで届けに行くこととしよう。
伝言をありがとう、グレイヘン。
おいで。ベリーのある場所に連れて行ってあげよう。
[太陽飾る右手をそっとグレイヘンへと差し出した。]
[ぱたり、ぱたりと羽ばたきに合わせてゆっくりと高度が下がる。
花水木が傍まで駆け寄ってきたら、指折り呟くのをやめて]
ん。しょ。
[朽ち葉の上に着地しようとしてそのままぽてんと尻餅をついた。
ベリーがぱちぱち、吃驚したように瞬く。
ふんわりとしたスカートからやせっぽちの膝小僧が
はみ出してしまっていたけど。
また指を折りながら首を傾げる]
えぇと。
どここの、なっつ? こここのなっつ。
シンのかご、いっぱい。
まぁるい、おっきな、こーんなの。
[両手で自分の顔くらいの大きさを作ってみた]
[ここなっつ、花水木の言葉にこくこくと頷く]
そう、それ、ここなっつ。
おもしろい、くだもの?
おいしい?
[差し出された手、嬉しそうにとろんと微笑む。
大好物のベリーの居場所を教えてくれると分かると、
そわそわと翼が蠢く]
ミズキはかくれんぼの めいじんさん。
ぐれいへんはかくれんぼ へたっぴなの。
おそらからじゃだめだってシンがいってた。
[グレイへンの手の動きに合わせて>>111
自身もまぁるくかたちを作ってみる。
こくこく頷かれ、神妙な顔つきを笑顔に変えた]
コ・コ・ナッツ。
きっとそれはペンギンの雛のように茶色くて、
ごわっとしているんだろう?
[差し出した手が取られたならば、
尻もちをついた少女を起こしてあげよう。]
ふふん…… 見たらびっくりするかもしれないな。
トゲトゲゴワゴワの果物だ。
美味しいけれど、とてもとても酸っぱいんだ。
[南国の果物は夏の山にもなかなか生らない。
たまたま手に入ったそれは、
きっとココナッツにもよく合うに違いない]
こ、こ、こ、なっつ。
ぺんぎんの、あかちゃん?
――ここなっつ、かわいい。
[目をぱちくりさせて考え込んだ後。
あのけむくじゃらが鳥だったらと考えてくすりと笑った。
手を引いてもらって立ち上がる。
そのまま親鳥の後ろをくっついていく雛のように]
とげとげ、ごわごわ。
かみついたり、しない……?
[繋いでいない方の手を口許に当てた。
頭の中にはとげとげつんつんのおばけの果物が口をあけていた。
ふるり、想像して震える]
[鳥はちょこちょこ拙く、一生懸命ついていく。
歩調を合わせてくれるのが分かって、にこりと笑った]
おちびちゃんのベリーなのね。
はずかしがりやの、かくれんぼさん。
[なるほど、見つからないはずだと唸る。
分け入った茂みの中は翼がちょっぴり引っかかって。
翼の隙間に草が挟まる、こそばゆい]
うぅ……ベリー、どこ……?
[ぎゅっと翼を縮めながら周囲を見渡す。
花水木の後ろから樹の根っこを覗き込んだ]
んんー、 今日はここじゃない?
こっちはどうだ。
[なにせ朝が来る度に生える植物が入れ替わる野山だ。
前に来た時と獲物の場所が違うのは日常茶飯事。
背後の渡り鳥の声を聴きながら分け入って行く]
かーくれんぼベリーさん、でーっておーいでー♪
……っと、おっ。
噂をすれば、みーつけたっ。
[草の陰にすっくと立つ、刺を生やした一本の細木。
ぶら下がる黒いつぶつぶの実をひとつ取って、
覗きこむ渡り鳥へと差し出した]
んー? 仮面かい?
[ゆるやかなそよ風に乗って、彼女の柔らかな声が耳元へそよぐ。
その声にか、それとも微かに浮かべた笑みに気をよくしたのか……
仮面を戻すでもなく、そのまま下弦の月を微かに晒しながら、じぃと彼女を見据える]
これでも恥ずかしがり屋なんだよ。ボクは。
ほら、キミも恥ずかしくなったら顔を隠すじゃないか?
それと同じ……
[仮面を掌で抱えて、ゆっくりと外していく。
徐々に露わになる素顔は、その体躯と変わらず青白く、けれど、それ故に光を湛えぬ深緋の瞳と、その瞳を切り裂くように描かれたペイントは目立っても見えただろうか?]
キミのように可愛らしい子に見つめられたら赤面してしまうのさ。ほら、真っ赤だろう?
[覗き込むように深緋が細めて、嗤いかける]
こんにちはあ。
[間延びした声に、
ざらざら、ざらざら という音が僅かに、重なる。
少女が振り回す腕の先で、包み紙の中の「星」が静かに音楽を奏でる。
その音が急に―――ぴたり、と止まる。
少女が腕を振り回す動きを止めたから。
「星」の入った包み紙と視線を交わす様は、
道化師のもとへ行きたいか否か、「星」の意見を伺っているかのよう]
……よければおひとつ、どうです?
[軽やかな足取りで駆け寄り、両手でふわりと捧げ持った包み紙を、
道化師の前に差し出した]
[獣の真似にびくっと襟のリボンを握った。
羽毛がぶわりと警戒信号を出して逆立つ。
すぐに青葉色と目が合ってぱっと手を離す。
ほっぺを少し赤くしてこくこくと頷いた]
ほ、ほんとに?
ミズキはさわっても へいきなの――?
[繋いだ手を見る。
日に焼けてしっかりとした体付きは
やせっぽちでちびの自分と違って強そうに見えた]
[中々姿を現さない赤い宝石]
ベリーさん、ベリーさん。
いじめないからでておいで。
[草の影を覗き込んだり、呼びかけてみたり。
そうしていると、棘のついた樹が現れる]
ベリーさん、いた?
……ふぇ。
[遠巻きにじぃっと花水木がそれに近づくのを見ていたが、
黒いつぶつぶ差し出されると恐々と両手を差し出した]
――これ、がとげとげのがおーさん……?
[差し出された”星” それは金平糖。
彼女の差し出す星の中では、
ちゃんとした物な星の部類。
彼女の手の中、袋の中で、動くたび
ざらと軽い音を立てる]
……それは光栄。
けれど、僕は 御代 を何も持っていないけれど?
[大仰に貴族の礼を差し出された星に。
そうして、泣いた顔の面を上げて
いつもの言葉を口にする。
何か対価になるようなもの。
少女が好む類のもの、持ち合わせはなく。
ゆるく首を傾げれば、もう一人の道化師と違って
肩の上で切られた髪が揺れた]
キレイかい?
ふふ…そうはっきり言われたら照れてしまうよ。
[言葉と裏腹に照れなど欠片も見せぬままクスリと嗤い、地面に向けた彼女の視線を更に追うように顔を近づける]
同じ言葉をキミに贈ろう。
その太陽と風に祝福された柔らかな髪も
空を映すような澄んだ瞳も
たゆたゆと浮かぶ雲のようなその声も
キレイだと思うよ? ねえお前もそう思うだろう?
[淡々と謳うように言葉を紡ぎながら微かに口元を歪め、肩の白蛇の頭を指をそっと撫で上げる]
この世界は綺麗さ
そこに住まう人たちも。
そういう世界だからね。
たいようの、めぐみ。
[きらきら光る太陽は小麦色の肌によく似合っていて。
視線を上げると青葉の眼差しとぶつかった]
ミズキは おひさまがだいすきなのね。
だからきっと。
おひさまもミズキをたすけてくれるの。
[鮮やかな花を飾った少女が笑う。
小鳥は口許だけでちょっぴり微笑んだ]
ミズキは。
おひさまといっしょが、しあわせなのね。
これ、ベリーさんなの?
[うそだぁ、という目つきで真っ黒な果実を見た。
くるくる手のひらの上で転がしてみたり、摘んでみたり]
ぶらっくべりー。
[少女が口に入れたのを見てから、同じようにへたをとる。
ちょっぴり瑞々しい香りがした。
ぱくり]
――〜〜。
[真ん丸おめめとお口がきゅっとすぼまる]
かたくて、ちょっと、にがい……。
ぐれいへんのしってるベリーさんと、ちがう。
また今度でいいですよう!
[泣き顔の仮面に清々しいほどの笑顔を向けて、あっさりと言ってのける。
こうして御代を後回しにするのは道化師相手に限らず、
誰にでもやっていることだ。
それでも単純にして現金な少女は、貰えるものは遠慮なく貰っていくのだが。
たとえば、常春のお花畑の花で作られた冠。
たとえば、寄せては返す波の音を閉じ込めた巻貝。
たとえば―――]
そんなことより、これからどこに行くんですかあ?
[話題転換。
こてり、首を傾げる動きに合わせて、真っ黒な髪が揺れる]
では、お言葉に甘えていただきましょう?
[また今度。]
[いつも差し出され、いつも御代がないといい
いつもまた今度と言われる。
そう言われれば、いつものように受け取る。
白い、白い手から受け取った包み紙。
その中で星が、ざら……といった
仮面の隙間から口にする、甘い]
ああ、探しているのですよ。
人、それか、鳥を。
星売りのお嬢さん、
無口な少女と、渡り鳥、見かけていませんか?
[笑顔に泣き顔の面のまま返す。
彼女の表情に、ふと、姉の面を思い出した]
[やせっぽちの手が僅かに彼女の手を握り返した。
とても小さな、小さな力。
ただそこにある存在だけを伝えるように]
――おひさまは、いつだってミズキのことが、すき。
よるだって、くらいもりのなかだって。
きっといつでも、みていてくれてるのね。
[幸せそうな笑顔を見て、ゆっくりと瞬いた]
ミズキはしあわせに、きづける。
それはとても、しあわせなことなのね。
[甘い甘いラズベリーはきっとグレイへンの口にも合うだろう。
ミズキはポーチから取り出した採集袋に、
黒い方のベリーを詰めていく]
これはシンか誰かにお願いして、
ジャムにしてもらおうな。
煮詰めたら、美味しくなるんだ。
[袋いっぱいのブラックベリーを見せて、*笑った*]
[ごっくん、ころころ硬い実を飲み込んで]
うー……いつものベリーさんもいるのに、
ミズキかくしてた……。
[真っ赤な果実、ちょうだい、ちょうだいと手を伸ばす]
やっぱりこっちのベリーさんがいい。
[ぱくん、口に含むとほんわり嬉しそうに頬を緩める。
すっかりげんきんに。
だけど何処となくいつもより大人しく落ち葉に目を落とす]
そうだよぅ?
全てが優しくて
全てが暖かくて
全てを叶えて
全てを溶かして
全てが消えゆくセカイ
[揺らぐ瞳の色を知ってか知らずか、じぃと捉える深緋が妖しげに色を奏でる。
誘うように、堕ちるように…耳元で囁く]
なぁんてね。
ボクにはそんなことはわからないけれどね。
[不意にケラケラと嗤い出して、彼女の髪をそっとひと撫ですれば立ち上がる。]
さっきも言っただろう?
ここからはいろんな世界が見える。
花守の世界 太陽の世界
合わせ巡る世界が見えるから、
ボクはこの丘が好きなんだよ。
この子を可愛いと思ってくれたセカイも
ボクをキレイだと言ってくれたセカイも
キミのセカイがそう魅せてくれてるのかもしれないね。
なら、この丘もこの風もその髪もその瞳も
その可愛らしい声も
キミの築くセカイなのかもしれないね。
[わかっているような、わかっていないような
真意を紡ぐのか ただの戯れ言なのか
酷く曖昧で、酷く虚ろに
仮面の中の仮面もまた嗤う]
じゃむ。
[岬守の名前にベリーのソースを思い出す]
――おいしく、なる?
それならぐれいへんも てつだうの。
[草木がちくちくするのも我慢して。
繋いでいた手を離すと一緒になって
ブラックベリーをぷちぷちと摘んでいく。
やがてスカートにいっぱい、黒い粒。
途中で見つけたラズベリーはもれなく小さなお口の中。
やがて小鳥のお腹も満ちる]
いっぱい、とれたの。
[とことこ、スカートを掲げて彼女の元へ。
袋の中にベリーを移し変えるのを手伝ってもらって。
一息つくとしきりに羽根を手で撫でながら。
ひっかかった葉っぱや小枝をぱたぱた、ゆすり落として。
抜け落ちた羽根を一枚、つまみ上げた]
――あのね。
いつか。
ミズキとおそらを、とんでみたかったの。
ミズキのだいすきなおひさまに。
てがとどくような、きがしたから。
[小鳥の手を離れた羽根がはらりと朽ち葉の上に、落ちた]
――ありがとうございます!
[「星」の入った包みは道化師の手へ。
ひらり、と別れを告げるように振られた片方の手は、
程なくしてもう片方の手と合わさり、何かを包み込むような形になる。
手を開けば、いつの間にやら「星」の入った包みがひとつ、ちょこんと乗っている。
代わりに鏡の部屋の机の上からは、
包みがひとつ、忽然と消える]
わたしはどっちも見かけてないですよう。
でも、鳥さんの好きそうなところなら知ってますよう。
渡り鳥さんも、そこにいるかもしれないですねえ!
おしゃべりじゃない子は……知らないですけどお、
――鳥さんの好きそうなところ、案内しますよう!
[現在渡り鳥が秋の野山にいるとは知らず、得意そうな笑顔で告げると、
道化師に先立って歩き始めた。
くるり、くるり。
歩きながら一回転する。両の手は包みを掲げ持って真上へ。
右腕で星が、ちかりと瞬いた]
でも。
ミズキがとっても、しあわせそうだったから。
[それを彼女が望むかどうかは分からないし。
あの笑顔を見ると自分がとても小さく思えて。
言葉を切って、木々の合間から空を見た]
――また。
あそびにくるね。
[逃げるように一歩、二歩、駆けると]
ベリーおいしかったの。
[小鳥は翼を翻た――]
― そら ―
[風を掴まえて空の上、小鳥はたゆたう。
柔らかな巻き毛が戯れるように揺れている]
――……。
ヴェル。 さがさなくちゃ。
[渡り鳥が空を行く姿は道標。
もしもこの標を求める者がいるのなら。
鳥は彼らを見捨てるわけにはいかない*から*]
[受け取るほうが言うべき言葉を
渡したほうが口にする。
彼女は 星 に何を思うのだろう?
自分の中では、ただの甘い金平糖だけれど。
けれど、聞かない。答えは得ない。
結論は出ない。結論は出さない。]
[此処ではない場所、ではありえないこと。
それが目の前で起こる。
物理法則などという理に邪魔はされない。]
そう、鳥が好きなところ、案内してくれるんだね。
それはありがたい、ありがたいなぁ。
鳥のように、飛び立ちそうな子、なら見たのだけれど。
[踊るように、星を空にささげる様に
くるり、まわる星売りの後ろ、
鳴らない鐘がついた杖を突きながら歩く。
ふと、ヴェルの話題を出したのは
くるり、回る姿、変わらぬ笑顔が、どう感じるか知りたくて]
[少女は翼を持たない。
足を軽やかに動かして目的地を――水辺を目指す]
鳥のように……ですかあ?
[道化師が話題に乗せた少女に興味が向かう。
ぱたぱた、と、翼を羽ばたかせるように両の手を動かし]
……どこへとんでっちゃうんですかねえ?
お星様いっぱいの夜の向こう? それとも……。
[きゅうっ、と眉が下がる。
道化師には見せた覚えがない、泣きそうな表情]
光 の向こう?
[夜を追い越し光の向こうへ去っていく少女。
なぜか、そんな光景が頭の中に浮かぶ]
……… わ。
[手の中からぽろりと「星」の包みが零れ落ちそうになって、抱きとめるようにそれを防いだ]
鳥さんや、渡り鳥さんは、ちゃんとかえってきますけど、
あの子も、 ……かえってきますよねえ?
[かえって。
その言葉が妙な重みを持って少女の口から放たれる。
この世界こそが自分だけでなく、他の少女達の帰る場所でもあると信じているため。
それからしばらくの間は、妙な沈黙をまとわせながら。
道化師を案内する少女は丘のふもとへとさしかかろうとしていた**]
[無邪気に、羽根のように手を羽ばたかせる。
黒い袖が揺れて]
さぁ……どこ、だろうね?
[本当は知っている。此処ではない場所。
けれど、結論めいた言葉、口にしない。
道化師は、道化師らしく、話はぐらかせて。]
…………光の向こう、だったら?
だったとしても、どうしてそんな顔、するんだい?
まるで、僕の表情を奪っていった顔だ
[泣いた表情の仮面で、泣きそうな顔覗き込む。
ゆるく首を傾げれば、姉よりも濃い金糸、滑り落ち。]
[零れ落ちる星、受け止める。
言葉も、零れ落ちる。]
さぁ、ねえ……僕は、その子じゃない。
その子は鳥じゃない。
帰ってくるか、帰ってこないか、わからないよ。
[結論は出ない、結論は出さない。
張り詰めた沈黙が立ち込める中
二人で近づいた丘のふもと、
静かに風が吹き上げて、草の葉*揺れた*]
そうだねぇ……
[即答はしなかった。いや、出来なかった。
それは今仮面を外していたからだろうか。それとも]
セカイを見るのは好きさ。
堆く積み上げられる憧憬、願い……偶像
じゃあセカイは?
どうなのだろうね?
見るのがスキならばスキなんじゃないかな?
輝く様も 消えゆく様も
[一度視線を外し周りをぐるりと巡らせる。
無機質な仮面を外しても、張り付く有機の仮面。
されど、無より出でし無機なるそれより綻びは微かに──]
認めなければ“無かったこと”にできるのだから。
無かったことにすれば……
[それは…風の音にかき消されるが如き微かな呟き]
[やがて、何かの気配が近づけば……近づかなくとも囀りが終わる時は訪れるだろう。
仮面を再び着けて彼女の前で軽やかにくるりと回って踵を返す]
ああそうそう、
この子が随分気に入ってしまったようだからね。
勿論ボクもね。
ここに来ればキミに逢えるのかな?
お邪魔でなければまた君の声を聞かせてくれ
ええと……
[そういえば、名を知らぬことに仮面の中で思わず苦笑する。]
そしてしゃらりと鈴の音を響かせて
仮面は消えるのだった]
ああ好きさ。
あのセカイよりよっぽどね。
でもね…甘き声の人
それでも本当は大嫌いなのかもしれないね。
[虚空の狭間で仮面はカラリと嗤った]**
─ 花畑へ ─
[丘を下れば群生する花々が辺り一面を彩りを濃くしていく。
うららかな日差しは眩しくもゆるやかにその花弁を輝かせ、常春の息吹はさわやかな薫りを奏でる。
この花園は、丘に咲く花々よりもより柔らかく、そして幼くも見えた。
そう思わせたのは、それだけ彼女の領域に近づいているからなのか、それとも…]
蒲公英…黄色い花…白い綿毛
春の雪…
[何処からか風に飛んできた小さな綿毛達
春の風が運ぶのか、彼女の吐息が運ぶのか>>103…それは仮面にはわからない。
ただ、舞い降り注ぐ灰雪がその影を仮面に落とせば、微かに見せた下弦の月は、もう一度舞い上がれと綿毛に風を送るだろう。
…冷たい冷たい北風の吐息で]
あはは
[考えを散らすようにカラカラと笑えば、飛び上がるようにして花畑に身を躍らせる。
軽やかにステップを刻む青白い素足。
跳ねて、駆けて、花びらも舞う。
合わせて舞うは纏うボロ。ひらりひらりと宵が揺れる。]
あはは あはは
[高く低く響く嗤いと高鳴る鈴の音]
[ハルの声を聞けば、踊るような足取りで
跳ねて、駆けてたどり着く。
暁を覚えぬ小春日和の微笑みの元へ。
そして嫌がらなければ、手をとって抱え上げて
くるりと廻す。
世界を巡らすように一回り。
花の輪廻を虚空に描いてから柔らかな花園に転がり込んだ。
…とれなかったら、きっと一人でひとまわり。
くるりくるりと道化の如く]
やあハルの子。こんにちは。
[ここへ来ればいつだってこんにちは。
おはようもこんばんはも紡がない。
真昼の花園 彼女の世界]
ここは気持ちがいいねぇ。
ぽかぽかするねぇ。
甘い甘い花の香りがするねぇ。
そういえば、近くの丘に可愛い子がいたよ。
柔らかな綿毛のような髪の毛に
綿菓子のような甘い甘い声の子が。
あの子はキミの友達かい?
わああっ。
[差し出された手を素直に取って立ち上がると、くるりと回され歓声をあげる。
ジャンパースカートがふわりと膨らんで、お花畑に2人で転がると鈴を転がすように笑った]
うん、ぽかぽかなの。今日もいいお天気でよかったねえ。
[にこにことそうお返事するけれど、いいお天気でない日など、来ることはないのだ。
ここはいつもぽかぽかとあたたかな昼下がり]
可愛い子? 誰かなあ。
ヴェルちゃんかな? それともローザちゃん?
[誰にでも愛想のいい少女は、お花畑にやってくる人はみんなお友達だと思っている。
星を売りに来る少女や、目の前のリヴリアのことも]
ちょっと前まで、ミズキちゃんがいたんだよう。
ハルが、お昼寝する前!
[仮面の知る限りほぼ一つの例外を除いて、この世界に住まう者達は皆成熟から離れた少女達だ。
うら若き少女たちがこの幻想郷を体現したような花園を忌み嫌う理由もないだろう。
きっと、大勢のの少女たちがここを訪れ、語らい、癒され
そして…やがては…
この子は仮面より長いこの世界の住人だ。
もとい自身より先にここに居たのは、この子と…グレイヘンぐらいか?
花守は知ってもいるのだろうか?
仮面が知らぬ世界の話を。
渡り鳥も知っているのだろうか?
仮面が知らぬセカイの話を。]
ふうぅん。おひさまの子もいたんだね。
一緒にひなたぼっこをしてたのかな?
楽しいお話でも聞かせてもらえたのかな?
とびきりの元気をわけてももらったのかな?
[無論丘から眺めていたので知ってはいたけれど、わざわざ告げるようなそんな野暮ったい真似はしない。]
― そら ―
[冷たい風が吹く。
たんぽぽの綿毛が翼と同化した。
小鳥が春へと逃げていく]
――にげても いいの。
[渡り鳥は一羽、その群れを見送る]
やぎさんは、おおかみさんから にげていいの。
あかずきんちゃんも、にげていいの。
とりさんも、さむさから にげていいの。
[逃げなければ死んでしまうなら]
[襟を少し引っ張りあげる。
ふるり震えながら辺りを見渡した。
陽射しが辛うじて暖かい]
ヴェル。
[静かに、羽毛を散らしながら渡り鳥は木陰に降りたつ。
夢を彷徨う少女がそこにいた]
――でてきちゃったの?
[自分の領域から。
少女達はそれぞれが自分の世界を持っている。
渡り鳥もかつてはただの鳥だった。
帰る巣が、あった。
今はもう場所も分からなくなってしまったけれど。
帰りたい。
そう呟く少女を眠たげなベリーが見つめる]
――だいじょうぶだよ。
なかなくても、だいじょうぶ。
ないても、だいじょうぶ。
だれもヴェルをせめないから。
[渡り鳥は両手を伸ばす。
二人を包むように翼が広がった。
消え入りそうな少女はひどく疲れているように見えた。
渡り鳥が木陰へと手を引いて連れて行く]
――つかれた、のね。
すこし、おやすみしよう、ね。
― こかげ ―
[泣いているのか、いないのか。
疲れた少女は誘われるままに渡り鳥の膝に頭を預ける。
毛布の代わりに翼を少女の上に広げた。
足まで覆ってやる事はできないけれど。
少しは温もりを感じられるだろう。
膝の上の少女の髪を撫でながら。
眠たげな瞳で渡り鳥は空を見た。
もう少し。
少女の心が落ち着くまで。
暖かい夢の中で――]
[慎重に気を払うような作業ではないけれど、
どことなく口数は少なくなる。
黒いつやつやとした果実は夜闇に似ている。
深く、考えないように。考えないように。
そう思う事自体が、既に考え込んでいるということだろうか]
― → 水辺へ ―
[『ちくちくがおー』を冷蔵庫から取り出して、
腰から下げるポーチの中に仕舞う。
容量を無視してなんでも入れられる不思議なポーチは
ここに辿り着いてからずっと使っているお気に入りだった]
――――♪
[目指すは岬守のもと。
明るく元気に口ずさむのは
どうしてもよく巡る思考を遮るような、鼻歌。]
[夢見る少女の髪を撫でながら。
花水木の事を思い出す。
途中口数が少なくなった事も。
飛び出してくる前の様子も]
――おぼれたら。
かなわないの。
[太陽は今日もとても綺麗だ]
でも。
[夢は叶えられないのに。
夢に敵うのはとても難しい。
なのにまだ夢を見ている自分は。
何処へ行き着くのだろう。
考えるのをやめてただただ微睡む。
この世界に溺れてしまわぬように]
−海岸線の建物−
[擦る。水をつける。擦る。繰り返す。
当たり前だがそれは簡単な仕事ではない。
実際には機会を使って行うべきようなことだ。
紙やすりなどで到底磨けない大きな貝は
磨き始めてから暫く、茶褐色の下に青碧をのぞかせる。
青碧の下には薄い白、その下に眩い真珠。
根気の要る作業は、黙々と続けられていた]
[丘の近くを通りかかる。
そふもと、少し遠目にふたりの少女の姿を見る。
泣き顔の方の仮面と共にいるのは
黒いワンピース。星売りの姿。
目を合わせないようにして足早に通りすぎる。
『 嫌い 』 だ。
理由を伝えたこともない。
けれど星の少女には、そんな顔しか見せられない。
わざわざ不快な思いをすることもないから、声はかけない]
― →海岸線の建物 ―
[いつ来ても趣きのある建物だと思う。
それでいてその場所にはまるで、
幼い頃夢想した秘密基地のような風情を感じて。
青葉の眼差しは好奇心を含んで弾み、
星売りの姿を見て曲がった機嫌も自然と元に戻る]
ごめんくださーいっ。
ミズキだ。 シン、いるかー?
[軒先から覗き込みながら大きな声を上げた。]
― 丘のふもと:水辺 ―
なるほど、小鳥が水を飲むのに
適した水辺だね、ありがとう、カスミ
[風、やさしく凪ぐ水辺。
葦が静かに揺れていた。
泣いた仮面をつけたまま、
奇妙な沈黙を破って、そう口にして、
また、大仰なお辞儀をひとつ。]
[一通り磨いてしまえば、貝は青碧へと変貌し
その一部分には白も覗いた。
水に浸して磨いて出た細かい粉塵を落とす手を
止めたのは自分を呼ぶ声]
はぁい、外にいるー。
[声のしたほうに更に声を投げ
手に余る大きさの貝からは微塵の混じった雫が器に落ちる]
…………
[その最中、視界の先、
ミズキの姿が見える。
足早に通り過ぎる姿。
その理由は彼女の目を合わせぬ様子に
ある結論が思い浮かぶ。
けれど、頭をゆるく振る。
結論は出ない、出さない。]
[丘の上に座り込んで、世界を見渡す。
世界の色は綺麗に輝いていて、それでいて、淡い。
高い場所から、世界を見る。
風が、笑っているような気がした。]
― 丘のふもと:水辺 ―
[さわり、さわり。
静かに吹き上げる風の心地良さに目を細めている]
どういたしましてえ。
夜になると星が綺麗なんですよう、ここ。
[道化師の大仰な礼にちょこんと一礼を返すその表情は、
すっかり、元通りの、笑顔]
そういえばさっき、かお、同じでしたねえ。
奪っちゃってごめんなさいでしたかあ?
でも、わたし、あんまり悪いことをした気になっていないんですよねえ。
ほら、どうしても同じ顔ができないですからあ、
お客様にはなってくれても、お友達だって見てくれないんじゃないかって……たまーに思うんですよう。
でも、ここの子達はだいたいいいひとだから―――
[陽気なおしゃべりが一瞬にして影も形もなくなる。
通り過ぎる花水木の少女>>186を視界の端に捉え、
すぐに視界から追いやった。
『違う』者とは、何故だかうまくいかない。
彼女が実にいい例だ。
何も言わない様子の道化師に、
何を思っているのかと、ゆるりと首を傾げた]
えへへ。みんなお花畑、好き?
だったら嬉しいなあ。
[でれでれとちょっぴりだらしなく頬を緩める。
ずっと、ずうっと少女はこのお花畑にいる。
7年という時間の概念は少女にはないけれど。
長い、長い時間、ずっと。ずうっと。
そしてこれからもずっと。……少女はそう信じている]
ミズキちゃんはね、"しゅうかく"を持ってたんだよう。
じたばた元気なしゅうかくだったなあ。
みんなにお裾分けするって言ってたよ?
リヴリアちゃんにも会いたいんじゃないかなあ。
[ミズキについて聞かれる>>171と、そう告げて、それから思い出して相好を崩した]
あのねあのね、ミズキちゃんね、今度来る時おやつに野いちご持ってきてくれるんだって!
あ、いらっしゃーい。
グレイから伝言聞いてくれたんだ?
そうそう、ココナッツが流れてきて…
[新たな客人に濡れた手を振る。
大きな貝を覗き込んだところで中には何もない。
洗ったために、少しばかり水が入ってはいるけれど]
これ?夜光貝だよ。
時間かけてよく磨くと、とっても綺麗になるの。
ランプシェードにしたりもできるし、
アクセサリー作ったりもできる。
それから
[大きな貝を両手で支え、添えるのはミズキの耳の近く]
波みたいな音がするでしょ。
楽器にする人もいるんだよ、これ。
[彼女の世界では夜が来るのだな、と
過去の少女の中には夜を追い出した世界を
持つ少女がいたこともふと思い出す。
ただ、その回想は彼女のおしゃべり、で途切れる]
ふふ、僕の表情、奪われてしまってたんだね。
……嗚呼、うん、悪いことされてる気もないよ。
お友達……どうだろうね?
お花畑の彼女なんかは、みんなと親しげ……
[ミズキに気づいたのは、
彼女の様子からだった。
ここは彼女たちの世界。
けれど、彼女たち同士で、軋轢があること
そこまでは彼女たちに排除しきれないのだろう。]
………お客様、より、お友達がほしい?
[うとうと、眠るでもなく眠らないでもなく。
夢見る少女がもぞりと動いて目を開いた。
ベリーの瞳は変わらず眠たげなのだけれど]
――……。
[首を傾げる]
――ううん、へいき。
[目をこすり少女が膝の上から離れる。
歩き出そうとするのを引き止めた。
小ちゃな手がスカートの裾を掴む]
ヴェル。
[少し背伸びして耳元に囁く。
少女は不思議そうに、だけどこくりと頷いた]
あはは、確かにあんまりお話ししてくれないねぇ。
ボクは名前も聞けなかったからね。
[思い起こす。
見上げた空。紡がれぬ声>>172
拒否の意ではなかったのだろう。嫌悪感は感じることはなかった。
ただただゆっくりと過ぎる時間。
あの瞬間だけではない。微睡む様、見つめる様、問うてくる様……
ローザというその少女の傍らでとてもとてもゆっくりと流れる時の歯車。
それは、時の止まるこの花畑にも感じるもの。
だからなんだろう……柄にもなく素顔を晒し、仮面の知るセカイの様を微かに語ったのだ。
……もっと待っても良かったのだけど
時間はそれを赦さなかった。
感じる気配は、良く知ったふたつ
ひとつはいい。
もうひとつは……だから仮面は花園へ下りたのだ]
ハルの子が友達だと思うのなら友達さ。
少なくとも、ボクよりあの子のことを知っている。
名前を知っている。
友と呼べることはとても良いことだよ。
ねぇ、ハルの子
ボクもキミの友達かい?
[少し、声を落として、囁くように尋ねてみる。
いまこうしてはしゃいで、笑って、語ってくれる。
優しいこの子なのだから、仮面を友達だと思ってもくれるのだろう。
そうは思いながらも、尋ねたのは
かつてボクはこの子を随分と傷つけたと
そんな思いが残るから──]
[そうして少女と渡り鳥は手を振って別れた。
くるり、渡り鳥は風に乗る。
淡色の風を感じながら辺りを見渡して。
日当たりの良い丘の上へ降り立った]
――ローザ。
しゅうかく? なんだろうね?
元気なら、野ウサギかなぁ?
野鳥かなぁ?
[傍らで仮面を介して彼女を見つめる。
嬉しそうに語るハルの話を聞きながら、緩む頬を軽く撫でたり]
そういえば少し逢ってはいないんだよねぇ。
では、お裾分けと再会を楽しみにしておくとするよ。
[さて、前に逢ったのは何時だったか?
共に子鹿を追いかけた時か? それとも43度目の駆け合いを演じたときか]
おひさまの子の山はいろいろなしゅうかくがあるからね。
野いちごかい?
そうだねぇ…ボクもキミに野いちごのひとつもあげたいのだけど、あいにくボクが持ってるのは蛇苺だからね。
美味しい野いちごはおひさまの子に任せるとしようか。
んー…ココナッツと一緒に着たんなら
名も知らぬ遠き島…から、じゃないかなあ。
[少し間があいて出てきた言葉、巻貝越しに耳に届ける。
うっすらと日の光に青碧が輝いていた]
元々は、もっと汚れがついてたり、茶色かったりするの。
これでも頑張って磨いたんだから!
[遠い潮騒を見つけれたらしい様子に目を細め、
結構な重みのある巻貝をテーブルの上に置いた。
テーブルの上の籠の中にはココナッツもいれば、
底のほうに磨耗した硝子の欠片なんかも入っている]
お友達? だったらいいなあ。
[リヴリアの言葉にふにゃんと笑う。
ローザが自身の声を嫌いなんてことは全然知らない。
語られないことを推し量る力は少女にはない。
だからローザは、少女にとって、ちょっぴりそっけなくて謎めいた女の子だった]
リヴリアちゃん?
リヴリアちゃんも、もちろんお友達だよう?
だから、ハルに会いに来てくれるんでしょう?
[それは少女にとって当たり前のこと。
だからちょっぴり不思議そうに首を傾げてそう言った。
傷つけられたことなんて、覚えていない。
日が暮れることのないお花畑のとろけるような時間の流れに、楽しくない記憶はあっという間に流されて消えてしまうのだ。
だから少女はいつも春の陽だまりのような顔で笑っていられる]
[丘からは広い世界が見渡せる。
無口な少女がこちらに気付いたのを見て
もう少し傍まで歩いて行く。
少し思案するようにくるり、瞳を上下させて。
それからぺたんと座り込んだ]
――ヴェルにね。
あって、きたの。
[背に負った羽根を少し撫でた]
ここには。
もう、なれた……?
[同じように首をかしげる道化師と、
真顔で見つめあうことしばし]
…………あ、えっと、
お客様はいるけどお友達が……って話をしてましたねえ、そういえば!
[ぽん、と手を叩く音が弾け、同時に弾けるような笑顔を見せる]
うん、ハルちゃんとは仲良くやれてますねえ。お友達と言っちゃってもいいかなあ、と思ってますよう。
[お友達はいる、けれど、お友達とはいえないひともいる]
できれば、みんなとお友達になりたいんですけどねえ。
[風が、凪いだ水面に波紋を立てる。
臆面もなくそんなことを口にする少女の心は、
花水木の少女の態度を思い出して、やはり僅かに波紋が立つ]
うさぎさん、かなあ?
ぴょんぴょんじたばたしてたよう?
しゅうかくって、捕まえたあとも大変なんだねえ?
[危うく逃げられるところだった、じたばたする袋を思い出しながらそう言って。
頬を撫でられると少し顔を赤くした]
蛇いちご? 蛇いちごは食べられないねえ?
あっ、でもねっ、ここにホトケノザ、咲いてるようっ?
ホトケノザはね、蜜が吸えるんだよ!
[小さなピンクの花をつまむと、ほらほらと蜜を吸ってみせる]
えへへ。あま〜い。
ふふ……ありがとう。
そうだね。友達だから逢いに来たし、これからも逢いにくるよ。
[思った通り、彼女は当たり前のように友達と言う。
傾げる首に、同じように仮面を傾けて、それからそっと頭を撫でる。
仮面がこのセカイに来て間もない頃の話だ。
今更といえば今更だ。
あの時も、何日かして見に行けばケロっとしていた。
……燻るのならばこんな笑顔は作れまい。
少なくとも私には無理な話だ。
だから、忘れているのだろう。そう思っている。]
ハルの子やさしいねぇ。
きっと、ローザも友達だと思ってるんじゃないかな?
[あの頃の私はもっと私らしかった。
もっと不器用で…もっと素直だった。
だから、あんなことを言ったのだろう……
今はもう言わない。ただ緩やかにそよぐ花の風に自らの刻と溶かすだけ]
…泳ぐよりは船とかのほうが
[いいんじゃないかなあ。
ぽつりと呟いてから、首を左右に横に振る]
まだ暫くは磨く仕事が続きそう。
…ところで、ここにきたってことは
ココナッツにあいそうな何かを持ってきてくれたってこと?
[ここに尋ねてきたその理由を問う言葉を
ミズキに軽く投げながら首を傾げた**]
[首を振る仕草にちょっぴり苦笑した。
だけど、ちょっぴり頷いた]
――このせかいは。 こわれもの だらけ。
ユメがこわれたら。
だれかのせかいも、こわれるの。
[何処か寂しげに空を見上げる]
わたしたちには。
こわれるような、せかいは――ないけど。
そのぶん。
だれかのユメをこわさないように。
おびえながら わたっていかなきゃいけない。
――くるしいね?
[友達と言われて、嬉しそうに喉の奥でくふふと笑う。
当たり前のことだと思っているけれど、改めて言われるとやっぱり嬉しい]
ローザちゃんも? そう思ってくれてる?
えへへ。だったら嬉しいなあ。
だけど、別にハルは優しくないよう。
[明るくて、社交的で、いつもご機嫌。
少女はそんな女の子だけれど、決してそれは少女が"いい子"だからというわけではない。
少女が優しくいられるのは、この世界が優しいから。
このお花畑が、少女に嫌なことも冷たいこともしないから。
だから、少女はいつもにこにこと笑っていられるのだ]
みんな……かぁ。
[弾ける笑顔と共に彼女が口にした言葉を
鸚鵡のように繰り替えす。
絵空事のような言葉。
ここ、でなければ、仮面の奥で苦笑したかもしれない。
ただ、先ほどの軋轢と、今の言葉、
現在は、みんなじゃないことはわかる。]
……ミズキとは、あまりおしゃべり、しないの?
さっきも、何も言わずに行っちゃったけど
……彼女にはお星様、売らないの?
[風で水面、波紋が広がっていく。
風で起きる波紋と、
言葉で起きる波紋は大きく違う。
むしろ……石を拾って、投げる。
大きな波紋が人工的に引き起こされた
そうだねぇ。お料理をしないと食べられないものねぇ。
美味しくないものねぇ。
けれど、お料理をしてくれる子もいるからね。
あれ? おひさまの子は料理できたのだっけ?
[このセカイでそんな形式を取る必要があるのかどうかは敢えて語らない。
いや、形は大切なのだろう。どんなセカイだって。
形があり、色があり…思いがあって初めてセカイは紡がれる]
んー? 甘いのかい? ボクも一つ頂こうかな?
[染まった薄紅の頬を写したような桃色の花弁
ひとつをつまみ上げ、並んで座れば仮面から覗かせた下弦の月にそれをそっとあてがった]
そうだった、そうだった。
すまない、すっかり忘れていたよ。
[ひょいっと顔を上げてシンを見る。
腰のポーチに手を掛けて、中をごそごそと漁り始めた]
ついでに料理を頼みたくてな――これと、これ。
それと…… 例の土産は、これだっ。
[小さな革のポーチのどこに入っていたのか、
包まれた兎肉、袋いっぱいのブラックベリーを
ごそごそとテーブルの上に置いていく。
そして最後にどん!と置いたのは、
とげとげちくちく。
大きな大きな、パイナップル。**]
お料理! そう、ミズキちゃんね、お料理は苦手なんだって。
ハルもお料理できないから、偉そうなこと言えないけどねえ。
お料理はね、
[そこで少女はふっと口をつぐむ。
いつか、ミズキに語られたことがあっただろうか。
ミズキが料理をお願いする相手。
海辺に住むシンという少女のこと]
――――あっ! うん、とっても甘いようっ?
リヴリアちゃんも試してみて!
[不自然に途切れた会話など、まるでなかったことみたいに。
少女はまたぷちりとホトケノザの花をつまむと、花弁を口元にあてがうのだった**]
……
[優しくないと告げる声を聞けば、仮面の中から見つめる瞳がすぅ…っと細くなる。
嗚呼そうだね。充たされているのならば、人はきっと優しいのだ。
充たされぬ時があるから、冷たい風が吹きすさぶから
怒りを、悲しみを、苦しみを、憎しみを覚える。]
ハルの子が優しくない子だったとしても
優しくしてくれたことは消えないさ。
笑顔はは、人を幸せにする。
小さな小さなことだけど、優しさをお裾分けするようなものさ。
それを忘れないでいてくれるなら、
ハルの子は優しい子さ。
[仮面は忘れない。
怒りも、悲しみも、苦しみも、憎しみも、そして……も
だから仮面は嗤うのだ。]
[ベリーの瞳がゆるり瞬く。
逡巡するような間が一瞬あったが、
ちょっと恥ずかしげに俯いてその手を受け入れた。
砂糖のように、甘い声が耳をくすぐる]
――そう。
[お仕事、その響きに誤魔化すように目元をこすった]
――もう。 いくね。
[じゃあ、また。
音には出さず口許だけでそう告げる。
しきりに目をこすりながら、
渡り鳥はのろのろと翼を引き摺りながら
丘を麓に向かって歩き*始めた*]
[――そう、それは、絵空事のような願い]
み、ん、な、 ですねえ。
[鸚鵡返しに鸚鵡返しを重ねる。ご丁寧に一音ずつ区切って]
…………。
ミズキちゃんは、お星様よりお日様が好きなんですよう。
そこがわたしとちがうから……
[少女とて、太陽は嫌いではないが、太陽の下では活動が制限されるのが現実。
具体的には――「星」を持たずに昼間外に出ると、数分で動けなくなる]
まさに「相性がわるい」ってやつですよう。
だからって、お客様になってもらうことも、お友達になってもらうことも、
諦めたくはないんですけどねえ。
[そう、ただ『相性が悪い』だけなら、まだ、望みはある。
花水木の少女の眼差しの向こうに垣間見える感情は見ないように。
直接告げられるまで、望みを捨てはしないのだ。
――ぽちゃん。
涼しげな音と共に、水面に大きな波紋が広がる。
思わず目を丸くして道化師を見た]
……お魚さん達がびっくりしちゃうかもしれないですよう!
んー? お料理は?
ハルの子の得意なことはなんだい?
おひさまの子にそれを魅せてあげたらいいんじゃないかな?
そうすれば偉そうにできるさ。
[途切れた会話を払うように『えっへんとね』と、胸を張ってみせてからカラカラと嗤う。
彼女が何につっかえたか、それは仮面の与り知らぬ所。
……知ったところで抉るつもりは今のところはないけれど]
ああ……甘いねぇ。
[花弁の蜜を喉に流し込み、音を立てて飲み込めば、傍らでやはり花弁を口元に宛がう少女をただじぃと眺め続けていた]**
[お日様がすき。ミズキのそのことに
こくりとうなづきながら聞き入る。
夢でなければ、相性という
どうにもできないものが横たわれば深追いはしないだろう。
それに先ほどのミズキの様子は………]
ふふ、僕はいい人、じゃないからね。
こうやって悪戯もするんだ。
[目を丸くする様子に、泣いた仮面の奥から
くつくつ、と、のど奥笑い。
そう言ってローブを翻す。]
きっと鳥がやってきても……ああ、けれど、
どうやら鳥は今は水飲みに来ないよう、だ。
案内してもらったけれど、僕はそろそろ
また別の場所に行くよ。
いいひとじゃない? ……お星様を買ってくれたのに?
[「星」を買ってくれた人=いいひと、という認識と食い違いを生じさせる道化師の言葉に、
頭上にクエスチョンマークが踊る。
ふわり、と水辺に近寄り水中を覗き込むが魚の姿は見当たらず、
揺れる水面を鏡代わりに、道化師のローブが翻るのを見て、振り返る]
そうですかあ、わたしはもう少しこの場所にいますよう。
それじゃあ、またお会いいたしましょうねえ。
[ひらり、と片手を振って、道化師を見送ると、]
ん、 ん〜〜〜〜。
[その場にごろりと寝転んで、空に向かって手を伸ばす。
しばらくころころ、転がっていたがおもむろに動きを止めて]
お星様……会いたいな。
[瞳を閉ざす。
次に目を開ける時には、一面の星空が広がっていることだろう**]
そう……星を買った、から……か。
[星の購入を判断基準にする姿。
ここ、ではなんていうことのない判断基準。
けれど、道化師には………
勿論、今、この感情をカスミに
少女たちに伝える気はなくて。
ただ、泣き顔の面が不思議そうな様子を無言でみた。
残るという言葉に、ひとつ、うなずいた。
背後で、草むら 何かが軽く倒れる音。
きっと、カスミが寝転んだのだろう。
その姿振り返らず歩く。]
[途中、金平糖を一粒口に運んだ。
口の中、砂糖の塊ともいえるそれが
もたらす味が口の中支配していく。]
――――甘い。
[仮面の奥、小さく呟きながら杖つき歩いた*
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
[9]
[10]
[11]
[12]
[13]
[14]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新