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がきんちょ がどこかにいっちゃったみたい。
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少年は旅人の記憶をたどっている]
のこってるのは、かわいくないよ 幽、双子な狼のほうの 幽さん、双子な狼のほうの ましゅさん、ましょうじゃないよ ましゅ、個性が欲しい ウエティ、あったかコーラ大好き シノン、飛び込め ユーノ、マスケラード仮面 そらたか、スッチー snowfox、黒百合姫 ああむ、くみちょう るる、伊達マスク 龍全、ちょこれーと ミミ、湯上がり ケニー、魔性ではなく魔族 人師、生まれ変わった がる、睡眠不足 anno蓮華、変態包帯 せんちゅの18にんだよ。
●
今までの事を思い出してみた。
私は孤児院に来た。
何故か何度も現れた兄さんや少女化した母や国家認定陰陽師化した母やこんな所にあるはずが無いだろうマクドナル○の事は全部夢だったということで記憶の中から消却しても良いだろう。
あの双子…ホットコーラを酷い飲み物などと言っていた時点で普通ではないと思っていたが…そしてあの処刑台…手首らしきもの…真っ赤に染まった床…思い出しただけでもゾッとしてきた。
とにかく、これ以上、こんな恐ろしい所にいるのはごめんだ。
早く家に帰って、温かいコーラを飲みながら、「剣八×愛染」本を読んでゆっくりしたい。
私はこの孤児院から脱出するべく、部屋を後にした。
しかし…入り口は何処なのだろうか。
■
「あは。過去の挑戦者たちはわずか数分でリタイアしてたね。
いや、一人だけ惜しいところまでいったんだけど結局ダメ。
――――貴方が抱いている人形のことだけどね…くすくす。
…それじゃあそろそろゲームスタート。
君がこの部屋からの脱出者1号になれるよう願ってるよ。
グッドラーック。
…くすくす。」
――――ブツンッ
反応を返す間もなく、モニターは切れた。今のはなんだったんだ。
さてどうする…?むやみに動くと罠がありそうで怖い。
私はぬいぐるみをぎゅっと握り締めつつどうしようか考えていた。
■
しかし、いつまでもこうしている訳にはいかない。
私は立ち上がると、まずは部屋を隅々まで調べ始めた。
一面に書かれた赤い文字を、一つひとつ読む。
何かの手がかりになる言葉があるかも知れない。
暫く読んでいて気付いたのだが、書かれていた文字には、どうやら法則性はないようだ。
助けて、死にたくない、と言ったメッセージ性のあるものから、そんな装備で大丈夫か?といったような訳のわからないもの、あるいは魚、苔、と言った名詞。
大量の文字を読むのに疲れたので、休憩を取る事にした。
その間の手慰みとして、まだ一面しか読めていないが、読んだ部分までの壁の文字を並んでいたように記述しておく事にする。
■
太陽 雲 鳥 ほしい かしつけ
つき ばつ
死にたくない 出して
生`
罪 いけにえ
許して
どうして
たすけて
そんな装備で大丈夫か?
むだ いちばん
地図 とが いいのを しみず
くさ 岩 鯉 魚魚 たのむ
出られない 鰻けいたい 苔
開かない いけ 権利
■
記述していて気付いた。
下の方に、やけに水関連の言葉が多い。
それに、「地図」と書かれた文字はやけに新しく見える。
地図の切れ端を取り出し、裏返して見る。
「おまえさん、このまえ」
この文字の意味が、ようやく理解できた。
そうか、そういう事なのか。
私は「いけ」と書かれた辺りの壁を、そっと押してみた。
動いた!隠し扉があったのだ!
●
入り口を探して歩き出したはいいが、出鱈目に走ってきたせいだろうか?
ここが孤児院のどこらへんなのかも把握できていない。
白い壁に手をついて、少し足を休める。
壁にべっとりと付いた赤い手形が警鐘を鳴らしている。
少しでも、一歩でも。あの子供達から遠くへと。
●
「うふふふふ、出口なんてないんだから」
幻聴か、現実か、私を嘲笑う声が聞こえる。
落ち着こう。闇雲に歩いてもダメだ。
そうだ、壁を伝っていけばいつかはたどり着くはずだ。
部屋をしらみ潰しにしていく事にした。
■
「おめでとう。早かったねぇ?
でも、ゴールはまだ先だよ?」
隠し扉が現れると、再びあの声が聞こえてきた。
と、同時に、ゴゴゴゴ…と地響きのような音も聞こえてくる。
大量の水が室内に、流れ込みだした。
「さあ、早く逃げないとおぼれ死ぬよっ!!
あっはははははははははははは!!!」
■
水はあっという間に部屋を浸食していく。
みるみる水かさが増えていく。
「くっ…!」
呆然とする間もなく、私は最大の危機に気がついた。
隠し扉は、回転扉式だったのだ。
一瞬にして水圧で扉は重くなり、その一瞬後には私が押す力と拮抗するようになった。
「どうすれば…このままじゃ…!」
必死になって身体ごとぶつかるように扉を押し続けたが、少しだけ押開けたスキマが段々と閉まっていく。
水はどんどん流れ込み、扉はどんどん重くなり―――
■
これまでか、と思われた、その時――…
びくともしなかった、あの、赤い扉が、開いた。
開かれた扉から溜まっていた水が溢れ出し、
その勢いに自分も少し流されてしまう。
少し水を飲んでしまったらしい。咳き込みながら顔を上げると、
そこには一人の旅人のような風貌をした人物がいた。
●
扉には
『この扉を開くとたらいが落ちます。』
と書かれた紙が貼ってあった。
ならば開けるときに頭上を注意すればいいのだろう。ふふん。
そんなことを考えながら、少し重い扉に手を掛けると
勢いよく扉が開き、室内から大量の水が溢れ出る。
「うわっ」
やられた。
タライというのはミスリードだったらしい。
流されそうになりながらも、なんとか扉にしがみ付いてやり過ごした。
そしてあらかた水が引いた…と思ったとき、足元にびしょ濡れのストレンジャー…が?
「お前は何者だ…ここで何をしている?」
この孤児院に入って以来、人に出会うと碌なことがなかったため、懐の拳銃にそっと手を忍ばせながら問うた。
■
「それはこっちの台詞だ・・・。ごほっ、ごほっ・・・。」
咳き込みながらその旅人をにらむ。
目の前の旅人は私の止めをさしに来た・・・?
それとも・・・?
●
「よけいなことを…」
しばらくにらみ合う私とその人との間に響く少年の声。
「どうしよう…」
少年はそう呟いたのを最後に声は聞こえなくなった。
私は再度、その人の方を見た。
「今の…声は…」
■
警戒しながら目の前の旅人と対峙していると、再び、あの声が。
『よけいなことを…』
『どうしよう…』
「今の…声は…」
旅人がこちらを見て、問う。
私は少し戸惑いながらも、小さくふるふる、と首を横に振った。
わからない。でも、この声は、
今までにも建物の至る所で耳にしている…。
もしかしてこれが、孤児院のどこかに居るという悪魔なのだろうか?
私は、旅人に、老人やウサギのぬいぐるみから聞いたことをかいつまんで話した。
■
「・・・全くわからない。落ち着いて話せ」
相手に理解してもらえるようにゆっくり喋っているつもりだったが、理性を若干失いながら話していたようだ。考えたら無理もないことではないだろうか。老人が獣に変わって望みを託され、喋るウサギのぬいぐるみと出会い、部屋に閉じ込められ溺死しそうになるなんて、昨日の私がどう予想できようか。
少し冷静さを取り戻して前の旅人らしき人物を目視する。拳銃は相変わらず私に向けたままだが、若干混乱したような顔つきをしてる。息は荒い。
顔面も服装も赤いペンキのような何かで真っ赤に濡れているのは、皮肉にも私が閉じ込められた部屋と照応しているようであった。
そこで私は思い至る。
「あなたも・・・招かれし人物なんでしょうね。私のように」
●
目の前にいる旅人の言っている事が全く理解できなかった。
ただ、自分がこの孤児院に来てから経験した事を思えば、嘘を言っているとも思えない。
私もこの旅人が言うように「招かれし人物」なのだろうか。
私は目の前にいる旅人に、この孤児院に来て経験した事の全てをミュージカル風にアレンジして説明した。
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