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今日もまた変わらぬ日。
どうやらこの中には、村人が1人、守護者が1人、聖痕者が1人、狂信者が1人、呪狼が2人、照坊主が1人、辻占狂人が1人含まれているようだ。
[おぞましい海のうちに沈みゆく太陽を想った。
深い深い水の底だけは、せめて青い世界なんだろうか。
太陽は、一日一日、死んでは生まれてくる。
青い星の片隅で生きる、ちっぽけな自分なんて気にも止めずに]
[ 悪い知らせだった。勿論、集積体が別の進路をとる事も考えられたが、それでも。
フランはどのような表情を浮かべただろう。]
ごめんなさい、急に。
[ 言い訳せずに、微笑を浮かべた。フランに避難を促したか、それともフランの決意を聞いて頷いたかは、夜の帳が落ちる中に隠される。*]
[男と話しをしている間にも陽は刻々と傾いてゆく。七色に輝く海に陽が沈み、街は夜を迎える。
夜になって移動が無理となれば仕方ないと諦め、早々に宿を探そとする。何時もの様に住居人が消えてしまった空き部屋を承諾もなく借りて一晩を過ごす事になるだろう。
もしその時男から申し出を受ければ、男の住む事務所へと付いていく。そうでなければ、廃ビルの方へと静かに消えていくだろう**]
何でもない………気にすんな。
[当面の課題は両者の間に流れる居心地の悪さの緩和である。
そう思った男は、いつもの癖でポケットに手を突っ込みお菓子を取り出そうとした――が、こちらも空振り。
甘いものなどとっくに切れていたことを思い出して、苦笑が零れた。
そのことで怪訝な表情などをされれば再度「気にすんな」と答える。
表情は先程よりも穏やかだった]
神父、なぁ。
今さら祈る神もおらへんと思っとったが………。
[身分を告げる言葉に答え、男は左のポケットから携帯端末を呼び出して操作した。
自身の名前と所属が書かれた名刺のような画面を呼び出し、相手に見せる]
………エヴァーグリーン斡旋所所長、
トレイス………まあフルネームはええわ面倒やし。
ここで会ったんも何かの縁っつーことで、
泊まる場所くらいなら斡旋したるけど、どーする?
[端末を白衣のポケットにしまって、神父の反応を見る。
好意的なものならば前方に歩を進めつつ着いてくるよう促し、
好意的に見えなければ引っ張ってでも連れて行こうとする。
そんな風にして事務所に戻ってきた時には、陽はとっぷりと暮れていた**]
[少しだけ目を閉じて呼吸を整えたのち、ぎこちなく微笑みを返す]
いえ……。
なんにしても、私は、ここにいなくちゃ。
もしかしたら、悪い夢やドッキリだった時のために。
[呟きは、半ば独り言のように。
一度気を取り直せば、近頃慣れたように、自分を誤魔化すのは簡単だった]
あの集積体、訳がわからないし。
今度だって何事もなく済むかもしれませんもんね。
[肝心な部分に焦点を合わせないように、でも目を反らしすぎないように。
水中をたゆたうようにしていれば、先細りした未来を怖いと思う気持ちが和らぐ。たとえ、根本的には何の解決にもならないと、とっくに分かっていたとしても。
リュミエールとフラットの言葉を聞きながら、ここを離れまいと決めたことを、改めて思う。
半ば諦めている自分からさえ目を反らし、少しでも元のようであり続けたいと、祈る*]
[「気にするな」と男が言うとそれ以上は何も追及しなかった。
男がポケットを漁り何やら取り出そうとして、何か思い出しように突然笑い出す。いきなりの事に眉間に皺を寄せると再度「気にするな」と言われてしまった。
何故だか穏やかな表情を浮かべる相手にそわそわと落ち着かず、ふいと他所を向く。皹の割れたコンクリートを見つめながら話しを続ける]
……神様は居ますよ。
[相手にとってはたわいもない話しのつもりだったのだろうが、神を否定する言葉につい反発してしまう。とは言えその声は小さなもので、相手が聞き取れたかどうかは分からない。]
[薄闇の中家路を辿る。予感があった。
きっと、あの時の夢を見るだろう。
今日の出会いや集積体の接近に揺さぶられて、穏やかな日常の夢にくるまれることは叶いそうになかった。
空に星を探そうかと思い立ち、隣に懐かしい影を探しかけて俯く。
家族も友もそばにはいない。もしかしたら、遠くにも?
炭酸水のように沸き上がる恐れ。いつまでも目を反らすことは出来ないとは、気付きつつある。
けれど、もう少し。もう少しだけと逃げる自分が情けなくもあって]
……。
[立ち向かうことは、自分には出来ない。
ただ、変わり果てた海に僅かばかりの青を求めるような、気休めの足掻きをするばかり。
……使いすぎた薬が効かなくなっていくように、限界が近いかもしれない。
背筋がぞっとするのを振り払いたくて、ほとんど走るように空っぽの家に急いだ**]
[>>7相手が何か寄越して来たのを察すれば、ソチラの方へ視線を巡らせる。携帯端末の画面に目を凝らした。知らない単語を目にして、思わずその単語を漏らす。]
……エヴァーグリーン?
トレイス……ですか。私は、ジムゾンと申します。
……。……宜しいのですか?
[知り合ったばかりにも関わらず親切にしてくれるトレイスに懸念を抱く。
>>8相手の申し出を断るべきか否か悩んでいたが、多少強引に事務所へと案内される。事務所に着いた頃には陽はとうに沈んでいた。
閉じられたカーテンをそっと引いて窓から外を眺める。故郷の街と違い外は静かだった。今頃集積体は何処に居るのだろう……。夜空を見て思いを馳せた**]
[見知らぬ客人にちらつく違和感は、まだ形とはならない。
しかしその目が。意志を宿しているかのように、
それでいてどこを貫くか分からぬままに。
フランと行動をともにしているのは、どうして。]
……どうも、初めまして。
この診療所で医者の真似事をしています。
電子的な技術の方も、いくらかは。
[ちらり、リュミエールを窺い見た。]
[右腕を押さえかけたフランを、気遣わしげに見やる。
無表情が役立って、彼女には気付かれまい。]
……あ、ええ。
診療所ですから、小さい部屋ならいくつかありますよ。
今のところ、すべて空いています。
しばらくの間こちらに滞在するのでしたら、
宿を見付けるまで、部屋を使って頂いて構いません。
[部屋を使う、入院するほどに長くもった人間がいないのだ。
手当が必要なものはそれだけでここを去り、
最早手遅れなものは死を待つばかりであった。]
[別に、親切心で言ったわけではない。
この客人はどうも、生きている香りがしない。
それを怪しんだためだ。
襲いかかられたとしても電気メスと医療機器があれば、
もしものときにも抵抗くらいはできるだろう。
自分には人を助けも死なせもする技術がある。
それに、誰も自分が死んでも困らない。
と、このように自らが怪しいと下した相手を
一般の家庭や宿にいきなり放り込むのもはばかられた。
もし素振りにおかしいところがなければ、
少しなら警戒を解いても良かろう、と考えて。
いつもの、にこりともしない無愛想な顔をふたりに向けた。]
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