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ちょ……。
[予想外の状況に思わず言葉を詰まらせて。
思わず周囲を確認する。]
――、家どこだ。
近けりゃ送ってやるから。
………色々と危ない、いや本当に。
……あぶな、い……?
な………にが、だ。
[青木さんは言葉を詰まらせる火浦真を見上げた。
見つめる瞳も暫しの間。再び瞑って、息を吐いた。]
………家、か。
帰る……家が、
……あ…れば、よかった、のだけど……ね……。
………………、
青木総合病院を……知ってるかな……。
そこが、私のウチ……だ…よ。火浦、まこと。
………ここ数ヶ月、帰っていないけど……な。
[悪戯がばれた子供のように、青木さんは笑いました。]
最初に俺が危なくなって、
次にお前が青木が危なくなる。
っと、本当に辛そうだな。
[もう一度辺りを見回して、
一番手頃な空き部屋の扉を開ける。
恐らくは今は消滅したサークルが使用してた部屋だったのだろう。
いくつか放置された椅子の一つに青木をゆっくりと座らせた。]
ああ、あのでっかい病院な。
……なんだ、家出でもしてんのか?
[笑う意味が良くわからず、
少しだけ首を傾げる。]
…?
私が危なくなる、は
…なんとなく、分かるが……
………ありがとう。
[椅子に座らせられれば、幾分か楽になる。
近くの机に身を預けてた。]
……そうだな。
家出、のようなものだ。
最近は、構内で寝泊まり…している。
……内緒だぞ。火浦真。
[しい、と自分の唇に人差し指を寄せた。]
理性的な意味で俺が危なくなって、
性的な意味で青木が危なくなるってことだよ。
[特に悪びれする事もなく、さらりと言う。]
まぁ、戻りたくないってんなら何も言わないけどな。
……それで大丈夫なのか?
― 翌日 本棟の何処か ―
うー、まだ頭ががんがんする……。
[昨日は、あのあと突然「鬼畜になれええええ」というサラウンド念波爆弾が脳裏に響き渡ってふらふらになってしまい、体調を崩して学校を早退してしまった。らしい。]
昨日のあれって結局なんだったんだろ。電波ドラッグか何かが可聴域外で鳴ってたりしたのかなぁ。怖いなぁ。
[ときおりふらつきながら、空は歩いている]
更新時間が24時間延長されました。
…せ、
[火浦を見た。]
…………
[右を見た。]
…………
[左を見た。]
………な、
なるほどな。
理解……した。
…ばかひうら。
[どこでもない場所を見ながら呟いた。
血流がよく聞こえるのはきっと貧血のせいだろう。]
…………
帰りたくない。
[顔を机にうずめた。]
帰っても……
………
…例えば。
例えば火浦は
やはり、夫人を獲得するとして
……この国の暗黙に、従うんだろう?
[一夫多妻。
一夫一妻は白い目でみられるアレ。]
理解してもらえたなら結構だ。
……言わせんな恥ずかしいとでも言っておけばよかったか?
[なにやらさ迷う視線を見て
思わず笑いを噛み殺す。]
帰りたくないってんなら何も言わねぇさ。
……まぁ、暗黙っつーか。
男が少ないってのは嫌でもわかるからな。
事実。俺とモリスン、それにサブロー他、数えるほどしか男いねぇし。
でもまぁ、だからって無理矢理女作る気なんぞない。
好きな奴は好きだし、どうでもいいやつはどうでもいい。
結果的に好きな奴が一人だってんなら、
それで良いと俺は思ってる。
それで文句言われるってんならあれだ。
その一人と10人ぐらい子供つくって周り黙らせてやりゃいいんだよ。
………、
[顔を向けて、火浦真の声を聴いていた。
彼の表情はいつもより真剣のようにも見える。]
ふ、ふふ。
10人、か。
……さぞかし、賑やかになるんだろうな。
火浦真の……家族は。
夢みたいな話だけど。夢の無い話より、楽しそう…だ。
名前も、ちゃんと、決めて…やれよ。
……途中、から、いい加減になったりすると
後で、うらまれるぞ。
当たり前だ。
他でもねぇ、俺と俺が惚れた奴との子供だぞ?
俺以外の一体誰が名前をつけるっていうんだよ。
っと、こんな鬼が笑うどころかヘソで茶を沸かす話をしても仕方ねぇな。
[苦笑をして、頬杖をつく。]
どうだ、少しは楽になったか?
横になりたいってんなら運んでやるぞ。
そうかな…。
火浦真ならきっと……いいひとが現れるさ。
火浦真は、意外といいやつ、だからな。
[突っ伏していた机から、体を起こす。]
……ああ。起き抜けの無茶分は、取り返せたよ。
魅力的な提案だけど、あまりぐうたらしていると
一日なんてすぐに過ぎてしまう。
[窓の外は、まだ青い。]
その"いいひと"とやらに立候補してくれると
俺は嬉しいんだけどな。
[体を起こすのを見れば
何もいわずに見守って。]
ん、そうか?
あんまり無茶はするなよ。
……はは。
私が立候補したところで
火浦真の夢のような話は――夢のままで終わってしまうよ。
[立ち上がっても、起き抜けのじんわーは来なかった。]
ありがとう。
重労働はしない、と思う。
本を読んでいるか、散歩をしているか、絵を描いているか。
…………、
[足元は不安定だったが、歩けない事は無い。]
火浦真さえよければ、
………………。
いや。なんでもない。
また、な。
[火浦真に振り返り際、笑みを置いて、その場を後にした。*]
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