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[ロザリオはカチューシャの手に渡ったのだろうか?]
[しかしその時には違うことを考えていたのでよく見てはいない。]
ヴェロニカさん、武器持ち出してる…
吸血鬼のこと、用心しているんだわ。
[自分は?どうする?]
[吸血鬼の存在を知って、用心は…しない?]
[そんなわけはない。]
[部屋に戻る前に自分も何かを探すべきだ。]
それじゃあ、ユーリーさん、皆さん。私は部屋に戻りますね。
[ここにいた方が安全なのはわかっている。]
[けれど、そうでないかもしれないことも。]
[ぺこりと礼をして、礼拝堂を後にした。]
ありがとう、ナティア・コサリコフ。
[運んでいた毛布をいったんチャーチチェアに置き、蝋燭を探し出して届けてくれたナタリーを祭壇――ニコライの傍らへ案内する。
ロザリオを持って去るヴェロニカには、その自衛の意志を励ますようにひとつ頷いた。]
礼拝堂の扉は夜中、あいていますから──
何かあったら遠慮なく。
[献灯を終えて、戻ってゆく者たちにそう声をかける。]
-- 自室 --
[それから、大広間の壁から、飾ってあった青龍刀を拝借した。]
[そのために飾り棚の上に上ったのは秘密だ。]
あまり切れそうにないけど…時間稼ぎくらいにはなるわ。
[脚力には自信がある。]
[実際吸血鬼がどのくらいの力の持ち主かはわからないが―]
[でも。]
もし、あの人が襲ってきたら…。
[トリストラムは、力はありそうだと思った。]
[手を引かれたとき、握られたときの印象で。]
―――………。
[険しい表情をして、刀をベッドから手の届くところへ置いた。]
[ナタリーの神妙な面持ちに、ふっと小さく息を吐いて。
……不安げな色までは判らないが、顔色が優れない事にはは気付いた]
…では、私も失礼するわ。
服を…着替えなければ、いけなくて。
[頷いたユーリーに深く礼をすると、手元の剣を掲げて見せた。
…そうして、カチューシャが居ればその手をとって、本棟・自室に向かって歩き出す]
―本棟→礼拝堂―
……あれ?
[窓の外に目を向ける。
礼拝堂に、人の影がある?]
夜中だぞ。
でも、人がいるなら――
[軽く舌打ちしつつ、踵を返して礼拝堂に向かった。
薔薇の香りに紛れてはいるが、――血の匂いは、確かにそこに存在する。
誰かとすれ違えば、井戸の傍でロランの遺体を見つけたことを伝えるだろう]
[美しい声で問われ、無邪気な笑みで返す。>>74]
いいえ。私はお姉様を探しに来た訳ではありませんわ。
確かに、数年ぶりにお逢いできるのなら嬉しいですけれど。
[家の者たちは娘がここに来た理由を、姉を探し連れて帰ってくるためだと思っていただろう。
しかし、その心算は初めからなかった。]
お姉様の願いを邪魔することなど、私にはできません。
私は、貴女に逢いに。
お姉様の心を捕らえて離さなかった貴女に、一目で良いからお逢いしたかったのです。
[幼い頃から慕っていた姉が家を出た事で、興味を持った。
初めは姉が心奪われた物に対して興味を持つ事で、姉になろうとしていたのか。]
[しかし、姉にはなれない事は、自分自身が一番知っている事。
それでも興味が失せる事はなく、逆に大きく胸を覆ったのは、やはり自身も、出逢う前から魅せられていたのかもしれない。]
一目お逢いして。そして、できれば。
──お姉さまと共に、貴女の傍にいることをお許しいただけたら。
[姉が1年前に死んだ事は未だ知らない為に。
そう願う。]
―自室―
[割れるような頭痛。ひりつく喉。
サイドボードに置かれた二本の瓶――一つは赤に満たされ、一つは無色に満たされている。
厨房の奥、貯蔵庫からかっぱらってきたものだ。]
おのれ……糞、あの阿婆擦れ……。
[譫言を繰り返し、震える手で赤に満たされた瓶を取る。
コルクを爪で抉り取る。中の赤を、手元の白いハンカチにたっぷりと浸み込ませた。]
はぁ、 はぁ、 ――くっ!
[べたりと左の首筋に貼り付けた。
アルコールの気化によるが冷やりとした冷気。焼ける痕。
焼き鏝を首筋に当てているかのような痛みに声を漏らす。]
――効かんか。やはり。
[半刻程耐えても、何かが変わる兆しはない。]
―礼拝堂―
[蝋燭の灯火。
横たえられているのは、ニコライの遺体だろうか。
――一番目にしたくないものが、立て続けに眼の中に飛び込んでくる。
叫びだしたくなる気持ちを抑え、その場に残っている人間に声をかけた]
……ロランが、井戸の傍で……
背中を、刺されて、もう、息が――
[顔色は蒼白。
声が上ずる。死体。血の匂い。ここは戦場じゃない!]
誰か、一緒に来て下さい!
[忘れかけていた悪寒を振り払うために、叫んだ]
― 三階→二階 ―
[階段の踊り場に立っていた。
丁度降りようとしているところに見える]
――あら、こんばんは。
[自室へ戻ろうとするヴェロニカに逢えば、静かに会釈した。
ドレスはやはり喪服に似た黒で、今はルビーのネックレスはしていなかった]
お休みになるの?
[そこでニコライへの献灯のことを聞けば、嗚呼、と瞬いた]
そう――私も行かなければ。
リディヤという子にも、未だ祈っていないのよ…
[衝撃に色を失ったベルナルトが懸命に知らせたロランの死。
その顔の青白さは、不死の魔物のそれとは違う――人を案じるからこそのもの。]
──案内を頼む。
[ベルナルトの不自由な足を気にしつつも、躊躇することなく即座に現場へと戻らせる。]
― →井戸―
あ――はい。
こっちです。
[祭壇に横たわるニコライに心中で謝罪する。
時折軽くよろめきつつも、何とか井戸の傍まで辿りつけば、
少々の躊躇いと共に、コートを捲る。
刃が月明かりに光る――]
……この、短刀なんですけど。
グレゴリーさんが使ってらしたのを――見たんです。
―自室―
[ワインボトルに口をつけ、一気に流し込んだ。]
――ふ、ふう。
[一息で飲み干し、ゆらりと立ち上がる。]
この程度では酔えんか……。
[胃から上がってくるはずの熱も、酒に呼応して大きくなる鼓動も感じない。
――あ、手っ取り早く酒に強くなるにはいい手じゃね?
下らないと首を振り、サイドボードに空き瓶を置いた。]
酔えん酒ほどつまらんものはない。嗚呼――寒い。
[一度背筋を震わせてから、外へ。]
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