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[窓の外を見る…雨は未だ止まない。再び井戸へ行こうとも思うが足が動かない。リズムを壊すことなく鳴り続ける雨音、原因はきっとそれだけではなく]
…色々と、零れ落ちるな…。
受け皿になるには…器としてはあまりに未熟すぎたか。
[皆のいる広間へと足を向け]
手当てをして呉れたのはすてら。
抱き締めて呉れたのはシャーロット。
[薔薇色の唇は笑みを引く]
[半分しか見えないけれど]
貴女は――温かかったのだわ。
[問い掛けには被りを振る]
大丈夫よ。
[先程ミッキーに告げた如く]
[其れは嘘かも知れないけれど]
[カーテンから覗かせる貌は以前と同じ]
[揺れる紅い巻き毛も以前と変わらず]
私の方こそ、ごめんなさい。
気を遣わせてしまうくらいなら、
そっちへ行っても良いかしら?
[小首を傾げると包帯が覗く]
[招かれる手に誘われて]
[忍者の元へと歩み寄る]
[ゆらり] [ゆら] [ゆらり]
[背後でカーテンが揺れ]
[さす日傘をくると回す]
お邪魔します、かしら?
優しい…のかな?
[首を傾げて]
ひょっとしたら残酷なのかもよ?
[どこか冗談めかして言う]
優しさってのは時々残酷な物だから―受ける側には、だけど。
[その瞳を過ぎるは過去の日々―皆の優しさが残酷なまでに自分を切り裂いた。受け入れられる毎に罪を思い知らされた―]
[冗談めかして告げられる言の葉]
[片方だけの石榴石はすと細まる]
そうね、残酷だわ。
けれど私は嗤われるよりは、
残酷な優しさの方が好きよ。
嗤われたら貴方を殺してしまうもの。
其れに優しさに傷つける程に、
私は未だ判らないのだわ。
[忍者の瞳を覗き瞬く]
優しさが、痛かったの?
心は見つかったんだな。というよりみんな心は持ってると気付いたんだな。
色々難しいからはっきりとは言えないだろうけどなんだな。
ヘンリエッタはまだ心はいらないと思ってるのかなんだな。
違う…何が…芹菜には何かが見えるのか…
[一人、言葉を零しながら廊下を歩く。一度皆の居る場所へと赴こうとしたが人影を見るとやはり躊躇われた。代わりに足が向く先は雨の中。履いている草鞋が水音を鳴らす。]
…この楔からは逃れることができぬか…
壊れた欠片、直すことは…出来るの、じゃろうか。
[後ろ向きじゃ、と苦笑を零し]
…一体何が目的か…?
これが誰かの求める安住なのか。
[遠く呟き止まぬ涙の中、彼が消えていった井戸へと向かう]
嗤ったりなんかしないよ―俺も醜いから。
[そう言う...の姿は他の者から見ればそこそこ良い方に入るだろう。だが本人の中では一体どう映っているのか―]
―昔の事だよ。
[覗き込む目をじっと見つめ返す]
[視界の端に黒衣が過ぎる]
[つい、と窓の向こうに視線を投げ、次いで空を見上げ]
……行くのか。
[死者を嘆く彼女の声を思い出す]
見つかったのならおめでとうかしら?
[問い掛けに長い睫は緩やかに瞬く]
心が震えれば私は腐れてしまうのだわ。
醜く腐れて棄てられるのはもう厭なの。
其れに仮令棄てられずとも、
此の侭に腐れ続けては壊れてしまうわ。
[包帯の巻かれて居ない白い小さな手]
[彼の頬へ伸ばし厭われなければ触れ]
貴方の身は腐れて居ないわ。
[逸らされない眼差し]
[奥底に映る色を探す]
今は?
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