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狭間…
気付く…
[老人の言葉に思案気に呟き]
[去る老人の残した言葉にか]
[暫く後姿を見詰めるもあり]
舞葉は十姫を棄てたりはしないのでしょう?
[笑う十姫と少年を交互に見]
[老人へと掛ける言葉も聴きつ]
[すてらの向かった先を指し示し]
舞葉も十姫も、折角だから入ったら良いのだわ。
行きましょう。
やってみなければ夢物語のままじゃ。
ならばわしはやってみようと思うておる。
村という言葉があるんじゃ。
誰かが出来たこと、不可能ではなかろう。
[カラカラと笑い声をあげ、解かれた足の心地よさに目を細め]
しかし、慣れぬことをすると消耗も早いのぅ。
酒を飲むのは休息の後で構わぬか?
本当に羨ましいよ、その性格は。
[すてらにもやはり果実を渡して笑む]
酒はいつでも構わないよ。
尤も、用が済めば私は塒へ帰るけどな。
[ヘンリエッタに促され、怯えながらもすてらの後に続くように洋館へと入る。歩きながら建物の内装に落ちつかず好奇の目を向けている]
[部屋に入ると、すてらに声を掛けて来たソファーの上の人物に目を向けて]
え?…あ…兄者……?
[目を見開き息を飲む。しばしの間を経て我に返る]
……ごめん、知ってる人によく似てたものだから……
[心の動揺を抑えるように、抑揚のない声で謝罪の言葉を]
悲しい事なの?
すてらの云う事は難しいわ。
生に重きを置けば殺せないと思うの。
殺す為に作られたのに殺さなければ、
私はガラクタに成ってしまわないかしら?
[問い掛けなのか呟きなのか]
[舞葉が歩き出すのに従い]
[室内に戻りぐるりと見回す]
ウルズもお目覚めだったのね。
シャーロットはウルズとお喋りしていたのかしら。
お招きしておいて席を外してしまってごめんなさい。
[少年の声に二人を交互に眺め]
…そうか。
[目を細めたまま呟き、果実を受け取ると一齧り。甘みが口の中に広がるとほっと一息つき]
そう言ってくれると有難い。
塒を構えたか。
また場所を教えておくれ、遊びに行こう。
[真っ直ぐ辿り着けるかはまた別として。]
いや、予想通りだったな、と。
[ステラの問いに、シャーロットへと目配せして苦笑い。
後から入ってきたらしい少年の声に、目をやる。
呆然とこちらを見ている様子に、思わず見詰め合う形で視線を交わす。]
…知っている、人に?
[見覚えは無い、そう思ったが…彼の様子は気になった。
自分が忘れているだけなのかもしれない、と。
胸の中に、細波が立つ。]
[初めてきちんと会う相手に名前を告げるのみの自己紹介をし]
[身体の後ろで手を組みながら、部屋を見渡してどこか居場所を探して]
[なるたけ人の視線を避けるように、部屋の隅に腰かけて、交わされる人々の会話に耳を傾ける]
[舞葉の言葉に数度瞬き]
…知り合いか?
[二人を交互に見て、ヘンリエッタに緩く首を振る]
こんなに可愛い子がガラクタになる筈がなかろう?
そうじゃのう…お主の言う能力が必要になるやもしれぬ。
家畜は殺さねば食べることができぬ…
それは生きる為に必要なことじゃ。
その為に役立てて欲しいと、わしは思っておる。
いいや、気にしなくて良い。
[詫びる言葉に軽く返すとまたもすてらを顧みて]
ああ。もてなしは出来ないが、来ることは拒まないよ。
この近くの宿の一室を使っている。すぐ来られるよ。
……反対方向に歩いたりしない限りはね。
[少年の上げた驚きの声は軽く流して]
[ウルズの記憶がないのであれば、そういうことも有り得なくもないと]
[すてらの言葉に]
ううん、人違いだよ。ごめんね、お兄さん。確かに似てるけど……
[だって兄者はもうこの世にはいないはずだから……との言葉を飲み込んだ。何故だか言葉にしたくなかった。みんなの会話を聞きながら、ときどきウルズの顔をちらちらと盗み見ている]
解りやすい性格で悪かったのぅ。
[ウルズへと口を尖らせて呟き、伸びをすると芹菜の隣へとこてりと転がる。寝そべったままシャーロットに頷き]
酒瓶と肴を持って真っ直ぐに辿り着いてみせよう。
…此処に来たばかりの時より、少々変わられたか?
今のお主の纏う空気が、わしは好きじゃな…。
[とろとろと夢うつつな笑みを見せて、暫くするとそのまま*寝息を立て始めた*]
[木の実のひとつを手に舞葉へと歩み寄り]
[其の手に乗せようと差し出すだろうか]
元々はヒューバートとのゲームで、
貴方に持って行く為に取ってきたのだわ。
どうぞ、召し上がれ。
[調律師の首を振るのに瞬き]
人を殺すのはいけなくて、
獣を殺すのはいいの?
必要ならば次ぎは兎でも狩って来るわ。
[放浪者の言葉に緩やかに被りを振り]
そんなに怪我をしているのだもの、
身体は眠りを必要としているわ。
ウルズはどんな夢を見たのかしら?
[暗殺者の声に視線を移す]
お招きした時は戸惑わせてしまったみたいだけれど、
シャーロットも少しは慣れた?
[差し出された木の実とヘンリエッタの顔を視線は往きつ復りつ]
[川で会った時の魚屋の言葉が頭に浮かび]
ぼく、今君に提供できるものが何もないんだけれど……
[戸惑っていると、木の実に触発されたようにお腹がぐぅと一声]
ありがとう
[ぎこちない笑顔をヘンリエッタに向けて礼を言う]
(……まただ)
[誰かに言葉を伝えるたびに、忘れていた何かが身体の中を巡る]
[すてらの言葉に微笑んで返し]
楽しみにしていよう。
[その言葉は聞こえたかどうか]
[やがてすてらの寝息が聞こえたのを潮に部屋の隅──舞葉とは違う隅──へと下がる]
[ヘンリエッタに掛けられた言葉には]
ああ。
しかし、やはり少し疲れているかもしれんな。
すてらではないが、慣れないことをすると疲れるものだ。
[食べかけの果実を玩びつつ答えた]
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