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……悲鳴?
[扉に掛けた手が止まる。
列車前方の闇に目を凝らした。]
………誰の?
いや、前に居るとしたらシャノアールか……
[その筈なのだが。嫌な予感が拭えない。
後ろの車両にちらと目を向け、それから前方車両へと走る。]
[特等車か、それとも別の部屋だろうか。
扉を開けた先に広がるのは、およそ想定を超えた情景だった。
床に広がる鮮血と。
座り込む小さな身体と………?]
――――!!
どういう…ことだ………?
[シャノアールは恰も隠れんぼでもするかのように前方へ消えたはずだ。何故血の海の中で座り込んでいるのだろうか。
首を振る。分からない。
罠だろうか、しかし―――
恐る恐る近付いて行く。
乾かぬ血が、靴を濡らした。]
−食堂車−
[もみ合う3人を離れた場所で見つめていた。
サンドラは間に合ったようだ。
けれど、カチューシャは捨てぜりふを残して、前方車両へと消える。
とりあえず近くにあった救急箱を手にして、サンドラの側に駆け寄る。
そして、その時に聞こえた赤い囁きに苦笑を浮かべた。]
[運転手の死体の傍で、少女は涙ぐみながらぺたんと座っていました。赤く赤く染まって。運転手の喉は、どうやらナイフで掻ききられてしまったようです。少女の手の中の、ナイフによって。]
…べるおにーさん…?
[からん、と。少女は呆然としたように、ナイフを取り落とします。訳がわからないといったように。まるで、悪夢でも見ているかのように。]
あはっ、お見通し、だった?流石、賢者様、ね。
もしかしてベルナルトさん籠絡失敗も想定の範囲内?
でも、私、あなたのことを積極的に殺すつもりはないのよ。
死んでも構わない、と思ってるだけで。
後、やっぱり“人”のことが好きみたい…。
ジョーカー、あなたのことも嫌いではないけどね。
[返ってきた囁きに、なるほど、と感心していたが、
最後の言葉にしばしの絶句。]
…今、運転士室?先頭車両にいるみたい。
運転士を殺したって。早く行きましょう。
[サンドラがふらつくようなら支えながら、先を急いだ*]
― 運転士室 ―
シャノアール………?
[少女の手からナイフが離れる。
赤く染まった刃の意味は、運転手の死体から溢れる血を見れば一目瞭然だろう。]
いや、カチューシャ……か?
まさか。でも、あいつ………そんな筈は。
[困惑に首を振り、疑念は消えない。
しかし、血の海に膝を付き、手は自然と伸ばされる。
有り得ない万が一、その可能性に引き摺られるように。*]
………、……。
[涙を見れば、言葉に詰まる。
カチューシャをよく知る者であればこれが本来の少女であるかどうか判断がつくのだろうが、自分には分からないのだ。
苦渋の表情の末、結局は、少女の目の前に座り込む。]
……こいつは、お前がやったんじゃない。
大丈夫。大丈夫、だから。
[涙を流す少女に言い聞かせようと繰り返す。
運転手を殺したのは、「カチューシャ」ではないのだと。
血の付いたナイフを一瞥しただけで遠ざけもせず。]
べる…おにーさん…。
[縋るように、少女はべるおにーさんの胸へと飛び込みます。まるで、助けて助けてと、叫んでいるかのように。涙を溢れさせながら。]
[どん、と。袖口から出したもう一本のテーブルナイフを、その胸に突き刺します。突き刺し、そしてねじり込むように。抉り込むように。]
……。
だから、云ったのに……。
―――ぐ、あぁッ………!
[急所を辛うじて逸れた人狼の爪跡から、ほど近い場所。
胸を突き刺し抉るその刃は、息も出来ぬ程の衝撃と激痛とを伴って、深々と身体に埋まり]
…っ……は……っ、
は、はは……やっぱり、か。
シャノア……ル……ッ……
[渾身の力を振り絞ってシャノアールを殺そうとしたのだろうか、腕が伸ばされる。
しかし、その手は少女の首元を掴む事無く静止した。
腕の中の少女の眼は、見慣れてしまった女の物で。
冷ややかなその色を捉えれば、憎悪と、憤怒と、悲哀と、ありとあらゆる感情が綯交ぜになり、最後に僅かばかりの安堵とが浮かんだ。
それぞれの感情が何に対しての物なのか、薄れ行く意識の中ではもう分からない。]
…………、………
[止まった指先が僅かに空を切り、やがて静かに背中へと下ろされた。泣いていた少女を宥めるような、撫でるような動きで掌が数度上下した後、落ちる。
シャノアールが離れれば、男の身体も容易に床に崩れただろう。]
−食堂車−
[>>77ナタリーの手当てを受けながら、椅子に腰をかけて深呼吸をする。]
ありがと…。平気…。なんかあんたに迷惑ばっかかけてるね。
[ナタリーの分析を黙って聞いていたがベルナルトが危ないと聞くと]
ああ、追いかけよう。
[迷わず立ち上がったが、わずかにふらつく。ナタリーがそれを支えてくれたが、大丈夫と首を振った]
[ナタリーに武器を探すように言われ、周囲を探すがあまり手ごろなものは見当たらない。
細い棒のようなものが見当たり、なんだろうと取り出してみるとシュテファンの私物だったのだろうか。破損した三脚のようだった。持ち手の部分を破けたスカーフで縛り滑り止めにする。
こんなものかね、と調子を見ていたが、>>78ナタリーの言葉に度肝を抜いた]
運転手を殺した!?
この列車はどうなるんだ!?
あのバカ娘・・・・・・・!
ベルナルトは…
[...は痛む傷を押さえながら前方へ急いだ]
>>87
背徳の賢者には、騙されるなよ?
[そう云うと少女は、擦れ違う様に。どさりと、支えを失ったベルナルトの躰が倒れる。]
……。
[ごしごしと、袖で涙を拭う。]
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