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―回想・アンナの部屋の前―
イェンスが立ち去った後。
分かってはいたがオレはアンナの部屋の前に居た。
―ワタシ…ハ……
アンナの声に導かれるように、オレはそこに居た。
ドアを開けると、確かに彼女は死んでいた。
……ざまぁねぇ。
オレはオレを罵る。同時に咽喉をかきむしった。
―自室―
[ベッドに腰かけ、体を縮め、震わせている]
[恐怖と、それ以上に悪い予感が...をそうさせていた]
この感覚。
ししょーと一緒に「しごと」してる時に感じるのと同じ。
イェンスくんの方から、感じたような気がする。
いつものイェンスくんと、何か違う……
もしかして、イェンスくんが!?
もしそうなら、あたしが……
あたしが、何とかしないと!
[依然として体は震えているが、しっかりとした口どりで、そう言った**]
―深夜・自室前―
[イェンスと別れ、一度周辺を見回ってから自室へと戻って来ていたのだが]
――疑わしきは叩く前にこの眼で色を見ろ、か。
…誰も、見て居ないと良いが。
[何事かを呟き、荷物から小さな袋を取り出し、そろそろと室外へと出る。
誰も居ない事を確認した後に、袋の口を開けて逆さまに向ける。]
―アンナの部屋
[……は化粧道具を使い、アンナにエンバーミングを施している]
ったく。
オレの正体、ばらしたくなかったんだがなぁ。
……確かに脚本家だし、役者でもある。
同時に、遺体修復の専門家とくりゃあな。
[……は丁寧に傷を縫い合わせた。足りないパーツがあるが、それは人狼の胃袋だから仕方が無かった。]
アンナ、安心しろ。
ある程度は元通りになったからよ……。
[耳元で、彼女が例を述べた……様な気がした]
[袋から、小さな小さな透明なガラスの玉がいくつも零れ落ちた。かつん、かつんとガラス玉達が床を叩く音が廊下へ響き、一瞬…誰も起きて来ないかとそれぞれの部屋の扉を見上げた。]
…対象はイェンス。その血、人のものであるか…あたわざるや否やを知らせん。
[静かに呟き、仮面を両手で外す。
その表情は一瞬で怯えたものへと変わるが、その目の光だけは蒼く強く。]
――行け!
[ガラス玉達は静かに廊下を滑り、ある一室の前で集まり、そして弾けた。]
……赤い…。
[...は立ち尽くす。
イェンスの部屋の前には透明だったガラス玉が全て真紅に染まり、砕け散っていた。]
―部屋―
[気づくと、部屋が明るかった。どうやら泣きつかれて寝てしまったらしい。]
……!!。
[突然ビクッと震え、途端に涙がこぼれる。]
ア…ンナ…さ……
[まだ10歳を過ぎたばかりの子どもが、凄惨な現場を目の当たりにしたのだ。そのショックは計り知れないものがあるだろう。]
……は、早く此処を…離れないと、でも…。
誰かに、これを伝えなきゃ…。
怖い、怖い…誰か…。
[仮面を取り落とし、自分を両手で抱き締めるようにし、震えながらガラス玉の破片の中心で座り込む。]
早く、早く…戻らないと……!
イェンスは…人狼だ…。
じゃあ、アンナを殺してから皆の元へ……!?
[真紅の欠片はそのままに、誰も見ていない事を願い、またイェンスが部屋から出て来ない事を祈りながら、呟いた。
しばらくの後、這うようにして仮面を拾い、急いでその場を離れて自室へと戻って行く。
真紅の欠片はそのままに。**]
―部屋→食堂―
[いくら悲しみにくれていても、体は食べ物を要求する。そのもどかしさ、苛立ちを胸にしまい食堂に向かう]
あれ?…だれもいない…。
[マスターも厨房のおばさんもいなくなっていた。
人狼の噂が事実であるゆえに逃げ出してしまったらしい。]
[...の心がスーッと冷たくなるのを感じた]
(自分の身は自分で…か)
―部屋→食堂
[アンナを担いだ状態で、食堂に下りる]
リン、声を掛けたんだがな。
お前に頼みがあったんで部屋を訪ねたんだがな。
……アンナが死んだのは悲しい事だ。
遺体をみてショックだったのも分かる。
でも、ある【程度修復した】から、もう大丈夫だ。
[……はリンの傍でそういった]
[...はザジから口紅を受け取る]
アンナさん…こんなにきれいな姿、初めて見たよ。
[ぎこちない仕草でアンナに口紅を塗る。まだ化粧を覚える前の...では上手くできず、すこしはみ出てしまった]
上手にできなくて…ごめんね。
[ザジのほうを向いて口紅を返しつつ]
アンナさんに「ちゃんとしてよね」って文句言われてるかな
[...は、かすかに微笑んだ]
[……は、アンナの表情を見、優しく首を振った]
いや彼女は喜んでる。
「リンのお陰で、綺麗になれた」
って言ってるぜ。
[受け取った口紅をしまい、アンナを抱え直す]
っと、オレは彼女を埋葬してくる。
オレに「誰が人狼で、誰が人間か分かる力があればよかったんだがなぁ……。出来るのはこれぐらいしかねぇよ。
……リンも、いくか?
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