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[データによると、クロノの母星は戦争によって滅んでいて、原因を自分達で調査しようにも母星に降りることができないためそれすらもできない状態だそうだ。
それ以上に詳しいことは書いていない]
…………。
[修理工場の面々の中には情報通の者もいるため、訊ねればさらに詳しい事情(>>1:55)が分かるだろうが、詳しい事情など分からなくとも、クロノが絶望の中にいるのだと分かれば]
兎さんには……いるのかな……
[思い出されるのはまだそう遠くない過去]
[少女の、灰青色の瞳が潤む。
どこかで、ぱきん、と何か壊れる音を聞いたような気がした。
虹色の彩りを纏った『禍珠』を前方に突き出し、唱える]
“墜滅せよ、空の灯火。”――『レゾナンス・ロスト』。
[球体の表面が虹色から赤へと染まる。
同時に、『ファフニール』の機体中心から赤い光が膨張、一瞬後に収縮。それで、全てだった]
え… なんだよ、どういうこと?
コアを護る……?やっぱり、あの墜落…何かおかしかった。
けど、どうやって、護ればいいのさーーーーー
[思わず大きな声になる。声は、それきりしなくなった。
ロジャーは両手を胸の前で組んで、少しの間考え込んでいたが
難しいことを考えるのは苦手だった。とにかく、空へ。
メテログラフを追う。
バリアのチャージを終えると、操縦桿をぐっと握る。
アルトキュムラスはふわりとピット内で浮かんで止まる。]
[思い出したようにポケットから、ビスケットを1枚、取り出した。
ぱくり、と一口で食べてしまうと、優しい甘さが広がった。
小さなポットに入れた水を飲んで、よし、と小さく呟く。]
[アイボリーの機体は再び滑るように空へ飛び出してゆく。]
『消し跳べェ――――!!!』
[主である黒い兎人の叫びに答えるように、眼前の天球から生み出される弾幕が激しさを増す。同時に背後からのレーザーにもさらされ、リトルアースの小さく薄い外装は、一気に焼け焦げていく。けれど勢いは止まらない。
纏った光刃が被害を最小に押さえ、機体を前へ前へと推し進めていく。そして、まさに激突しようとする、その刹那]
…フルムーン!!
[突撃中に連結を解除された弾幕兵装が、敵機天球内部の輝きに呼応するかのように、一瞬だけ、瞬いた。本来ならば、機体の出力を上回るそれ。至近からならば、搭乗者であるニーナ自身から、青い光のほとばしりが見えただろうか。
その一瞬で機体は光刃の軌道から離れ、敵機に激突するその軌道の頭上をくるりと宙返りして…]
[各地で上がる閃光、爆音。北側にひらけた広いスペースを追いつ追われつ進む二機の姿。
トリガーを引いて射出されるミサイルは二門。
それは彼らの目の前で炸裂し、薄膜金属の紙吹雪を散らす。
レーダーと通信電波を遮断し、光も散らすその吹雪のような煙幕にまぎれ、光子刃の翼はデルタ機の真上から急降下をかけた。]
…小官の相手は、貴官一人に限りはしないつもりですので…
スターダスト!
[回りこんだ背後、ほぼゼロ距離の位置から、散弾を叩き込んだ。できることなら、これで沈黙してほしいのだけれど…ぼろぼろになった機体と、パイロットスーツ一枚に覆われ、痛む体で、真鍮色の機体を祈るように見つめながら。
ふと、直前の、鋭く尖ったクロノの声が思い出されて…]
…分かるわけがないではないですか。
分からせようともせずに当り散らすだけで…。
[気がつけば、呟いていた]
―回想 ピットインの少し前―
[Rainy Dayが使えない事を察してか、アルトキュムラスもこちらの支援に回っていた。
互いにピットに入る際に、単線の映像通信の連絡>>82が入っている事に気付いて切り替える]
……アルトキュムラスも、とても強いわ。
あの、援護してくれて、ありがとう…。
[掛けられた言葉と笑顔が嬉しくて...はマリンブルー・スネイルのデータに今の通信を記録させておいた。
ただ、すぐに表情は曇る]
私も修理が終わり次第クロノさ…いえ、メテログラフトを追います。
お互いに同じ方を追う事になりますが…くれぐれも注意して行きましょう。先程からのあの弾幕は容易に回避出来るとは…思えません。
[そうして、手を振ってピットへと入って行った]
―回想終了―
――回想:????――
「大丈夫だよ……」
[ささやくような声。]
「たとえどんなに深くて濃い、絶望がもたらす闇がお前を待ち受けていようとも、《HYMN TO THE INFINITE SKY》がきっと助けに来てくれる……私は彼とそう約束したのだから」
[それに私は「ほんとうに?」と訊ねる]
「本当さ。あの機体の製造に携わった時に……ね。だから、」
[風向きを変えようと、埒を開けようと、様々な機動を試すが流石一流と言わんばかりに食いついて離れ無い。
今も右後方向から放射状にレーザー線が蒔かれて追い付こうと――。]
[がつん、と機体に振動。
先程からこの調子だ、此の侭だと削り落とされる。
何か、何か。と思考がカラ回る。]
[視界の先に、二機のBFが見えた。何時も二番手で有名所な銀の機体と、三日月型の機体。
割り込んで乱戦に持ち込もうと操縦桿を――]
!?
[機体の少し先でミサイルが破裂。レーダー、完全にホワイトアウト。
機体に掠るのは金属箔のチャフだが、軽度のパニックに陥ったのか、さらに上空より飛来する白金色の機体には、気が付かない。]
―― 南エリア/最上層/戦闘空域制限バリア手前 ――
[それで終わりの筈だった。近接距離。
この位置からの被弾では、小柄な機体は墜落する筈だった。]
――くぅっ!?
[全方位モニタに捉えていたニーナの姿が青く光り輝く。一瞬のうちの激突―― 光が拡散した後に残っていたのは…
変わらぬ、天球儀。]
[否―――]
[ピシ…]
[ピシ] [ピシピシピシピ…] [ピシビシギシ…]
[パァン…!!!
乾いた音を響かせて、フルムーンに貫かれた環が砕け散った。真鍮色をした環は、二つを残すばかりである。しかし二つも、最早罅割れ、欠け落ち、まともに稼動するか分からない。
星型散弾を受けた機体本体外郭装甲に破壊の爪痕が見える。]
… … !
[離脱。内部機能に問題はないのか、リープを繰り返し、リトルアースから一挙に距離をとった。]
フン
貴様の口ぶり、知っていたと思っていた が
[被害状況がモニタ上に流れる。]
[極限の状況――だったことは覚えている――で、私はその言葉を信じた。
だから、見知らぬ町で右も左も分からなくても、なんとかやってこれた。
この広い宇宙のどこかに、かつて私を絶望から救ってくれた存在がいて、その存在が、再び私を救ってくれると信じること。
それだけで私は絶望の闇から這い上がることができた]
全く… どこのどいつだ 貴様 遊星の落とし子
[流れるデータで状況を把握。
機体破壊時、瞬時に冷静になったクロノだったが、緩やかに頭の隅に疑問が湧き出してくるのを感じた。データは、先程のリトルアースの瞬間出力を示す。]
頭上注意。
[ニンジャの如く真上から、落下速度も乗せて切り裂く。
傾いだ三角翼の機体からの苦し紛れの反撃を避け切れず幾つか被弾。
大きく旋回する背後から別な一団が撃ってくる。]
背中を取れば簡単に勝てるほど、世の中甘くないですよ!
[主砲2門は、後ろ向きについている。
桜色のエネルギー弾が背後へと射出され、大輪の華のように弾けた。]
[たとえその人が言ったことが嘘だろうと、その記憶が私の妄想だろうと――無論真実を知るすべは私にはないが――そもそもそんなことは絶対にありえないが《HYMN TO THE INFINITE SKY》が幻想の存在だろうとそんなことは関係ない。《HYMN TO THE INFINITE SKY》は私にとって大きな存在だ。
そういう存在は時にその人の力の源であり、時にその人がその人たる意義であり、時には単なる憧れであり、時には超えるべき存在でもある。
そういう存在を帽子の男の人――グレンさんはなんと呼んでいたか]
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