情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
[9]
[10]
[11]
[12]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
村は数十年来の大事件に騒然としていた。
夜な夜な人を襲うという人狼が、人間の振りをしてこの村にも潜んでいるという噂が流れ始めたからだ。
そして今日、村にいた全ての人々が集会場に集められた……。
[湖のほとりに佇む宿。
酒場も兼ねた食堂に、ひと気はなく。]
― 宿 食堂 ―
[カウンターの向こう側で、黒髪の女はひとり、息を吐く。
その表情は冴えず、雪色の頬に睫毛が重い影を落とす。]
まさかこの村でも、あの噂を聞くなんて――……
[女は知らず、胸元で揺れる金緑石を握り締めていた――]
真夏であろうと、けして融けない氷の湖。
常冬の寒さに見守られた村に、蒼白い月が昇る。
凍れる水車は時を刻まずに。
再び流れるそのときを、ただじっと、待ち続ける。
ロラン が参加しました。
― 墓地 ―
風の音が、変わったな…。
[...は耳が千切れそうな勢いの寒風の中、毛皮のコートの襟を立てながら厚手の革靴の足跡を作りながら、村外れへと向かっていく]
聞いたか、――。
[いつしか足を止める。彼の目の前には他と変わりのない無骨な墓石。生者に語りかけるかのように、彼は話しかける]
隣村で騒がれていたあの噂、
この村にも伝播してきていたらしい。
[白い息と共に淡々とした口調。白い毛皮に隠れたその表情にも感情らしいものは窺えない]
こんな退屈な村は嫌だと旅に出たお前が、
隣村から凍った骸となって戻ってきた今頃になって、だ。
白い村が嫌いだと、緑のコートを着こなしてたお前はどう思う?
あの噂。気になるんじゃないのか?
[墓石に刻まれた名前はまだ新しく、はっきりと文字と為している]
ああ、そうか。
[暫く黙り続けた後、微かに眉を動かして言葉を続けた]
ここにはまだ、噂は届いていなかったか。
[村外れの墓地。しかも普段そう人が来る場所でもない。人の気配も、影も、言葉も、まだ何も届いていない]
出たらしい、――が。
[だから彼は報告した。墓石に伝える最初の人間になるべく。]
お前が死んだ原因の、な。**
フィグネリア が参加しました。
― 自宅 ―
[女は昼なお暗い部屋の中、
ロッキングチェアーの心地好い揺らぎに身を任せている]
ねむれ、ねむれ……
ははのみむねに……
[その唇が囀るは子守唄。
そっと下腹を撫ぜ、愛しげに眸を細めながら。
キィ…っとなる椅子の調べに合わせて、
唄を歌う]
早く早く……。
逢いに来ておくれ。
あたいの可愛いあかちゃん……。
[腹を撫ぜる手は、優しく慈しみに富んで。
この身体に宿る命への愛に溢れている]
[女は村の男と手と手を取り合い、
この退屈な村を逃げ出したのは何時の事だったか。
あの頃は、まだ若く。
愛する人さえいれば、どんな所でも幸せになれると思っていた。
そう。こんな退屈で辺鄙な村ではなく、
刺激に富んだ喧噪姦しい街にこそ、
幸せは有るものだとばかり]
[だけど、逃げ出した先で知ったのは。
裏切りと絶望。
ずっと一緒だと誓い合った手は、何時しか他の女へと絡められて。
帰らぬ男を待ちながら、
眠れる夜に枕を濡らし続けた事を知る者はいない]
[幾月幾年。
帰らぬ男を待ち続けて。
涙が枯れた頃に、女は漸く村へと帰る決意をする]
幸せは……あの人と共に、街にこそ在るのだと思ってた。
けれど……。
[眸を縁取る長い睫毛を震わせて]
幸せは、此処に――――
[いつの間にかこの胎の中、宿っていた命。
それを育む場所は、街ではなく生まれ育ったこの村だと。
裏切られ、ぼろぼろになって初めて理解する]
[身勝手な娘だと言いながらも、
受け入れてくれた両親の優しさに感謝しながら。
女は産まれてくる命に逢う事だけを夢見て、
今日もロッキングチェアーに身を揺らす]
ねむれ、ねむれ……
ははのみむねに……
[村に忍び寄る噂など知りもせず、
子供の為の子守唄を口ずさみ*ながら*]
オリガ が参加しました。
―宿―
[窓から見える湖は、今日も凍っている。
決して溶けない湖と、決して動かない水車。いつもの光景]
そうね、いつもの光景ね。
[何も変わらないわ、と呟いてしまうのは、どこかに嫌な予感を抱え込んでしまっているせいか。その嫌な予感が、『何』とは、はっきりと言えないのだけど]
[客室の窓を開け放つ。
冷えた空気に、薄い金髪が揺れる。
ベッドを作り直すためにシーツに指をかけて、吹き込んだ風のむこうをしばし見つめていた]
……何も変わらないわ。
[もう一度呟くと、自身の職務へと埋没するべく**]
サーシャ が参加しました。
― 自宅 ―
[弱い体に生まれつき、明日も明後日も知れぬといわれながらも生き延びたのは幸運だったのか。
両親の関心はもっぱら健康な妹へ向き、特にひどい扱いを受けたわけではないけれど、まるで自分は空気の様と自らをあざ笑う毎日。
いつしかあきらめることを覚えた女は、日がな一日2階の窓辺で過ごす。
外から聞こえてくる物音に耳を澄ませ、時には聞き覚えたうたを口ずさんで。
その手にはいつのころからかリネンの布と、まわりに広がる鮮やかな糸の色彩。
幼少期の高熱で半ば視力を失った身では図柄をしかと眺めることは出来なかったけれど、彼女にとって指先こそは眼にも等しく、ひと針ひと針丁寧に刺繍をほどこせば鮮やかな図柄が浮かぶ]
いつまで・・・。
[生き延びるのだろうとつぶやきかけ、この身を気にかけてくれる愛しい妹の姿が眼に浮かぶ。
今は昔ほど頻繁に体調を崩すわけではないけれど、夏でも氷の解けぬ極寒の地ではいつ果てるともしれず]
もう少し・・・もう少し・・・。
あの子が半身を見つけるそのときまで・・・。
[どうか生かしてくださいと、みえることのない相手にすがる様につぶやく**]
ミハイル が参加しました。
[紫煙がたなびく。]
[吸いもせずに、指に挟んだまま。]
[何か考えるふうに、顎に手を当てた。]
[そう見えるだけで、何も考えていない。]
[ぎい。]
[ぎい。]
[扉が揺れる。]
[風に揺らされ、扉が鳴く。]
[しかし、耳には入っていない。]
[あるのは、髪がなびく感触だけ。]
イライダ が参加しました。
― 研究室 ―
[一軒の家。
階段を降りて地下室に降りれば、そこは先生が研究に使っていた部屋。
散乱する書類の一枚を拾い上げる。
何となしに、それに目を落としては]
これから、どうしよう。
[自分独りしか居ない、この部屋で。
自分にすら聞こえないような小声で、呟いた]
やっぱり、ここも片付けなきゃ、ダメよね。
[上の階。
先生が使っていた身の周りの物は、ある程度片付けた。
残るのは研究室に残る、これら。
書類と、高く積まれた本。
その本の間に、一つの写真が挟んであるのを見つけて。
ゆるりと頁を開く]
― 自宅→外 ―
[暫し揺り椅子の上でまどろんだ後、
閉じこもっていてばかりでは駄目だと。
水車小屋の方まで散歩へ出かける]
…………っ。
[季節は夏だと謂うのに、
身体を突き刺す様な冷たい風に身を竦めて。
ゆっくりゆっくり、転ばないように歩みを進める]
[暫し歩みを進めれば、その先に見えるのは凍れる水車。
氷に閉ざされた湖にて、死したように動かない水車は、
見るたびに不吉な予感を女の胸の裡に届ける]
――――…気のせいだと、判っていても。
あまりぞっとしないのよねえ、あれ。
[紅い眸で一瞥した後、
冷たい風に金の髪を嬲らせながら。
こんこん、と。宿屋の戸をノックした]
はぁい、アナスタシア。
相変わらず、辛気臭い顔してるのね。
[いつもの軽口を謂いながら中へ。
子供の頃からの知り合いである彼女とは、
こうして軽口を言い合うのが常となっていた。
何度も訪れ、勝ってしったる様でスツールに腰を下ろし]
ウォッカ…って謂いたいけれど……、
ミルクを頂戴。昼間からアルコホルは、この子に悪いものね。
[今まで友人に見せた事のない母親の顔で微笑み、
下腹をそっと撫ぜた]
[しばらくして、カウンターにことりと音を立てて、
置かれる湯気の上がるマグ。
それを手に取り、ふぅ…っと息を吹きかけながら]
はちみつの香りがする。
ふふ、あたいの好み覚えていてくれてたのね。
……スパシーバ。
[マグへ口を付ければ、
ミルクとはちみつの甘さが、女の凍えた身体を優しく温める]
……ん、甘い。
[マグの縁を親指の腹で一度拭った後]
で、そんな辛気臭い顔をしてどうしたの?
[と、女主人の顔を曇らせる理由について、
尋ねる様に紅い眸を向け*微笑んだ*]
[本に挟まれていた写真には、亡くなった父、自分。そして先生が写っている]
先生、何処に行ってしまったのかしら。
『研究で森に入ってしまったのだろう』
『森の奥深くまで入っては出て来れない』
『見つからないのだから、きっと森に行ってしまったのだろう』
[二週間も姿が見えなくなって、村の人々は口々にそう言う。
そうなのかもしれない。
違うのかもしれない]
[しん、と静まった研究室。
写真の端を、指でそっと撫ぜる]
……。
[先生は居なくなった。
だから、もう居ないけれど、死んでいるとは限らない。
今日も、ここにある物を片付けてはいけない気がして。
ぱたんと本を閉じると、積み上げてあった場所へ戻す]
ん。
[軽く息を吐いた所で、玄関のある方から呼ばれた気がして。
研究室の扉を鍵閉めて、階段をあがっていく]
『イライダ、これを』
私への、手紙?
ごくろうさま、ありがとう。
[村にいる配達係が手渡してくれた手紙。
それは「アナスタシアの宿へ」との趣旨が書かれた、役場からの手紙だった**]
― 村長邸 ―
[家に戻ると、暖炉のある居間では火の側でミリーツィヤ(警察)の人間と老父がなにやら深刻そうな表情で話をしていた。父は専ら聞き手に徹し、喋り続ける役人に対して時折頷くだけだった]
『小さくなったものだ』
[厳格な父。上の兄達は勉学の為、多大な援助を受け続けていたが、末の子である自分はただこうして眺めるだけの存在でしかない]
それでも――
『この村が嫌いなわけではない』
[あの日、共に村を出ないかと言ったアイツにも答えた言葉。一緒に村を出ていればどうなっていたのだろうか]
身勝手な噂と、無責任な想像力、疑念が都合の良い結論を急き立てる。
[異郷の地で首に痣をつけた友は、遺体であっても友のままだった。牙が伸びた跡もなく、鋭利な刃物で割かれた腹に人肉が詰まっている事もなかった]
くれぐれも無根拠な噂に対し、村人は軽挙妄動せず、各々留意されたし。
[必要とあらば村に廻す為の書状の下書きを書き終えると、文鎮を置き直して筆をおいた。後は父がこれを見て、注文をつけられてから清書すればいい。そもそも書状そのものすら出さない可能性も高い]
些細な事だ。そして
(どうでもいいことだった**)
[手紙が来ているとの母親の言葉に、怪訝そうに首をかしげる]
・・・私に?
[大して外には出ないといってもずっとこの村にいるのだから、大概の人は見知っている。
時折、窓の下から声をかけてくれる人も心配して訪ねてきてくれる人もあったけれど…そこは同じ村の中の話の事、手紙のやり取りをするような距離ではなく彼女個人を指して手紙が来るなどとても珍しいことだった]
宿に来るように・・・?
[部屋に戻って封をきれば、趣旨の分からぬ依頼が記されている。
彼女にとっては村はずれに行くことはずいぶんと難しいことで、見越したように迎えをよこす旨が記されている]
―宿―
[客室の掃除を終わらせて、一階に下りると、女主人の友人の姿が]
フィグネリアさん、こんにちは。
[ぺこりと礼をし、邪魔にならないように静かに食堂のテーブルを拭き始めた]
[妹が口をつぐんでいるから、不穏なうわさは未だ耳に届いてはおらず。
妖魔の森の伝承も、家からほとんど出ない彼女にとってはどこか遠く聞こえるものだった。
差し出し先は役場となっており、迎えまでよこすといわれては断るのも難しく思えた]
さて、どうやったらあの子に不審がられずに出かけられるかしら?
[しかし、視力が失われた故か、幼いころから死に近く曝されたが故か、彼女の感覚が不安をささやく。
妹にありのままに伝えてはならない、と]
― 自宅→宿 ―
[さいわい妹は出かけている最中だったので、療養とでも両親へとうまくごまかしてもらえるように頼むことにして。
何か予感がしていたのか、むかえの来るそのときまでに仕上げてしまおうと一心不乱に刺繍を施す。
完成間近の妹のための赤い花嫁衣裳に――。]
・・・出来たわ。
[迎えがきたなら、両親へと衣装を託して宿へ。
凍りつく寒さに身を震わせながら]
[宿へと到着したなら迎えは宿の従業員だったようで、彼女を食堂へと案内したなら裏方へと引っ込んでしまったよう]
こんにちは。
あの、何かあったまるものをいただけますか。
[疑問を口にするよりもまず、寒さが身にこたえた]
あ……こんにちは。
いらっしゃいませ。
暖かいものですね。お酒にします?ミルクにします?
[食堂で仕事をしていたついでに、現れた人影の注文を取る。
あまり見慣れぬその姿に軽く首を傾げるも、従業員としての笑顔は忘れず]
村の設定が変更されました。
・・・お、お酒?
いや、ミルクでお願いします。
[人と接することにはあまりなれてはおらず、どこかおずおずとした物言いとなる。
オリガの笑顔につられて頬が緩む。
わずかすぎて笑顔とは見えなかったかもしれないけれど]
あ、はい。ミルクですね。
[アナスタシアとフィグネリアが談笑を続けているのなら、その横をそっと通り過ぎて。
温めたミルクをマグカップに注ぎ、サーシャの前に差し出す]
ちょっと熱いかもしれませんので、気をつけて飲んで下さいね。
[彼女がちらりと口元を緩めたのを見た。
すると、こちらの口元も自然に緩まって]
あ、ありがとうございます。
[差し出されたミルクと忠告に礼を言うが、微妙に焦点があっていないことに気がつくかもしれない。
声の調子で感情の機微は見当がつくのだけれど・・・]
あったまるわ。
[すぐには口をつけずに指先を温め、ほっと一息をつく]
よかったです。
お口に合わなかったら、いつでも仰ってくださいね。
[相手の感情を、表情で読み取ることは難しい。
でも、声の調子は何となく違うと聞き取れる。
トレイを片付け、再びテーブルを拭き始めた]
[オリガに礼を言ってミルクを一口口にすると、ふわりと優しい甘さが口の中に広がる]
美味しい・・・。
[見えぬ目で宿の様子をものめずらしげに眺めながら、ゆっくりとミルクを*すすっている*]
ジジイの命日、か。
[形見の時計は、未だ右腕で時を刻みつづけ。]
[緩慢たる動作で、上体を起こす。]
[質素なソファから立ち上がろうと、して。]
[一旦、やめる。]
[それから、欠伸をひとつ。]
[軽くこめかみを押さえ。]
[ようやく、立ち上がる。]
[郵便受けなどという、高尚なものはない。]
[あるのは、壁の穴ひとつ。]
[毛布としての責務を全うしていた、襤褸同然のコートを羽織り。]
[玄関マットとしての役目を担う郵便物たちは、見もせずに襤褸同然のポケットに突っ込んだ。]
[ドアを開ける。]
[寒風が通り抜け、扉は外の壁に叩きつけられる。]
[ドアを閉める。]
[寒い。]
[一息吐くと、ソファへと戻った。]
**
[静かな時間に耳を傾けながら、ゆっくりとテーブルを磨く。
それからふらりと窓の傍らに立つ。
凍った湖をぼんやりと見やりながら、鳴らぬ水車の音に思いを馳せて**]
― 村長邸 ―
「ロラン、話がある」
[部屋で本を読み、居間に戻れば、既に客人の姿はなく。
暖炉の前の老父が自分を見つければ、聞こえるか聞こえないかの声で自分を呼んでいた。いつものことだった。聞こえなかったり、聞きそびれる事がないのは慣れのせいなのか]
なんですか、御父上。
[椅子に座ったままの老父の側にしゃがみ込み、囁くような声を耳に拾う。必要以上の声量を出す事すら惜しむかのような父。昔はこれほどではなかった筈だが、と思いながらも話の内容を丁重に聞き取った]
わかりました、そのように致します。
[Нет. (いいえ)と言ったのはいつが最後だっただろう。子供の頃ぐらいは反抗しただろうか。もう覚えていない]
[書斎に戻り、言われたとおりの手紙を書く。二番目の兄に帰郷を命ずる手紙だった。父が戻れと言えば素直に次兄は戻ってくるだろうか。それとも仕送りの途絶と引き換えに、あちらの生活を選ぶのか。多くの村の若者が街に消えていったように]
まあ興味はない。
[そして恐らくは、興味を持つ必要もなくなる筈だった]
では、行って参ります。
[したため終えた手紙を投函すべく、再び外套を着こんで、白く冷たい世界へ]
― 宿の前 ―
ああ、寒い。
[それは凍てついた大きな湖の、氷の絡め取られたままの水車。
村の旧い大人でさえも、水車として働いているのを見たという者は知らない。
...はその水車のある大きな建物に足を運ぶ。
纏わりついた白いものを手で払い落としながら、最後に]
ああ、寒い。
[もう一度呟いてから宿の中へと]
― 宿 食堂 ―
アナスタシアさん、こんにちは。
軽食を用意してくれませんか。
それと例の件についてですが……。
[宿の従業員に外套を預けながら宿の女主人の姿を目で探すと、カウンターで先客と話し込んでいる(>>49)のが見えた。話に入っていたせいでこちらの呼びかけは気づかれなかったようだった]
フィグネリア姉さん、来てたんだ。
[あいつよりも前に村の男と二人で逃げるように村を出て行ったフィグネリア姉さんは、あいつと入れ替わるようにして一人で戻ってきた。出戻りを囁かれながらも、受け入れられているのはこの村が過疎だというのが一番の原因だろう]
話の邪魔をするのも悪いな。オリガは…
[代わって外套を掛けていた従業員に話しかける。
女同士の会話に首を突っ込むのは悧巧ではない、そんな共通認識を確かめ合うように軽く息を吐いて見せた。
その奥でテーブルを磨いている女性従業員の姿が見えたので声を掛ける]
こんにちは、オリガ。軽食を頼む。
ああ、暖かいものならなんでもいい。
[注文を済ませて、テーブル席に向かえば女性客が隅で一人、何か熱そうなものを飲んでいた。
もしそれがサーシャであると気づいたならば、外出など滅多にしない彼女の姿に驚きを隠せなかっただろう**]
―村の中心部―
[赤や緑の雪の道。]
[眼球を刺すような明るさに、眉を顰める。]
[結局。ソファ周辺から発掘されたマフラーを3つほど装飾品に追加して。]
[煙草の火は点けたまま。]
[銜えてはいるが、吸ってはいない。]
[物心ついたときから、両親の姿は既になく。]
[墓守だった祖父に育てられ。]
[その祖父が死んで、3年。]
[墓の管理はとてもよく行きとどいていないと、もっぱらの評判である。]
あー。
[空を見上げる。]
財布、忘れたな。
**
― 研究室 ―
[手紙を読んでから、ざっと家の戸締りをしていく]
アナスタシアさんの所だし
遠くは無いから、沢山の荷物はいらないでしょうね。
[少しの着替えと、数冊の本。
それを小さめの鞄に入れ、左肩にかける。
最後に玄関の鍵を閉めて、外に出ようとした時。
ふ、と。
さっき見つけた写真の中にいた父と先生が、誕生日にプレゼントしてくれた指輪を思い出す]
指輪…
つけていこうかしら。
[自分の部屋へ戻り、鞄をベッドに置いてから。
指輪の入っている箱を取り出して、かぱ、と開ける]
……綺麗。
[レッドスピネルの指輪を、自ら指にはめて、その深い赤をじっと見つめ]
うん
やっぱり、つけていく事にしましょ。
[少し目を細めた]
[何がご利益がある、そんな指輪ではない。
特に値打ち物という訳でもない。
けれど、自分にとっては、大事な指輪]
……大事に、しなきゃ、ね。
[数分してから、再度鞄を手にし、玄関の扉を開く。
返事が無いとわかっていても、いってきます、と口にして]
[かちゃん]
[そして、今度こそ、玄関の鍵を閉めて*歩き出した*]
あんたも、相変わらずその仏頂面は変わんないね。
[久し振りに逢った懐かしい顔に笑みを浮かべて]
ああ、そんな所に座ってないでこっちにおいでよ。
久し振りに姉さんと積もる話でもしようじゃないか。
……って、出戻りの阿婆擦れ女と話してたって知られると、
あんたん家に善くない噂が流れちまうかね。
[からからと笑った]
[彼女は思考の海に身を浸し、聞き覚えのある声には気づかなかったよう。
古い・・・記憶・・・彼女がまだ光を失っていなかった頃の――]
あの子(妹)が生まれて・・・あの人たち(両親)の関心はすべて奪われたような気がして・・・。
[嫉妬のままに妹の大事にしていた水晶の欠片を持ち出した。
妖魔の森に捨ててこようと―この身が行方不明になって心配をかけてもかまわないと思っていたのだ―して、方角を誤ったのだ]
そう、井戸にたどり着いたのだわ。
[深い、深い、底の見えぬ井戸を覗き込んで恐怖した。
自らにまとわり付く死の影を目の当たりにしたようで・・・。
恐怖にすくんだそのときに、水晶の欠片は手を滑り落ち・・・今も井戸の底に沈んでいるのかもしれない――]
あの後、高熱を出してこの眼は光を失ったのだわ。
[凍りついた空気の中、どれだけ着込んでいようと体の弱い子供が調子を崩さないわけはないのだ。
今考えれば当たり前に分かることでも、あの頃は罰が下ったのだと思っていた―]
ふふ、ばかね。
[ふと井戸にいってみたい気もしたけれど、あの頃のように迷ってしまうのが落ちだろう。
あの時も結局自力では家に帰り着くことは出来なかったのだ]
イヴァン が参加しました。
―村の中心部―
[カラカラと台車を引く音が、舗装されていない村道に響く。年季の入ったその台車には、薪が束になって積まれていた]
おばちゃん、元気してたかい?
普段より早いけど、いつもの持ってきたよ。
[白い息を吐きながらも、道端の村人へ笑いかけた。手慣れた手つきで薪を持ち上げ、家の裏へと運んで行く]
宿屋に呼び出されたみたいでさぁ。
いつまで用事がかかるのか分かんないけど、
薪を切らしちゃ大変だろ。
風邪なんか引かず、長生きしてよ。
[軽口交じりの会話を幾らか交わし、再び台車を引く音が始まる。白い雪の道に、くっきりと跡を残しながら**]
― 凍湖 ―
[自分の背にある湖は、夏と言う季節なのに凍っている]
は…ぁ…。
[大きめに息を吐けば、視界が少し白く染まる。
そのまま森の方に視線を移す]
凍れる湖に。
[先生は言い伝えの起源をどうにか知ろうと頑張っていたけれども。
自分は、それをただ手伝うだけで。
自ら、何かを知りたいとは、思ったことが一度も無かった]
言い伝えのある森……。
[ひゅうひゅう、と風が、凍湖から森へ駆け抜ける。
髪を押さえながら、その音を聞き、しばらく森を見つめる]
……ん。
[再度、息を吐いてから。
鞄の中から薄荷煙草を取り出して、咥えれば。
息を吐いた時とは、違う白が、視界を染めた**]
[ミルクを飲み終えたならアナスタシアかオリガに問いかける]
あの、ごちそうさまでした。
今日はこちらでお世話になるということでいいんですよね。
[手紙がきたことを伝えて確認し、理由を知っているかたずねる。
返答がもらえたなら、部屋への案内を頼んだだろう]
できれば角部屋がいいのですけど…。
[夏とはいえ、寒風吹きすさぶ中の外出に少々疲れている様子が見える]
[もしもそのやりとりに気がついて、誰かが話しかけてきたならば返答しただろう。
部屋に案内されたなら、礼を言ってしばし寝台にてまどろむ]
…ああ、水車小屋みてみたかったな。
[実際に見えるわけではないけれど、起きた時間が夕飯までに間があるようなら誰かに案内を頼んでみようかと思いつつ…**]
[村の大半を回り終えた頃、前方によく知った人影を見つけた。
一人っ子のイヴァンが、兄のように慕っていた相手]
……ミハイル兄さん?
[切り花と渋い顔をして睨めっこしているその姿に、きょとんとしてから思い出す。
ああ、そうか、今日は]
兄さん、はい。財布忘れてたよ。
[そう言いながら、自分の財布を飄々と相手に手渡す。中身は多くは無いが、切り花くらいなら買える筈。
それから彼が買おうとしていた花へ視線を落とした]
きれいだね。
[白い息を吐きながら零した声は、何処か寂しげだった**]
(サーシャ…)
[驚いたのは引き篭りの彼女が招かれていた事を知らなかった事。だがすぐに納得のため息に取って代わる]
(確かに。数合わせと考えれば納得の人選だ。誰にとっても)
あ、いやなんでもないよ。
[後で話す機会は幾らでもあるだろう。
美味しくも不味くもなさそうに、...は淡々と食事を*再開した*]
連絡……?
[弟の様な幼馴染の言葉に、女はゆるりと首を傾ぐ]
いいや。
なんだい、それ。
[初耳だと謂わんばかりに返して、ロランからの説明を聞き]
……そう。
ただの噂だろうに、面倒くさい事だね。
[やれやれと、肩を竦める]
あとで返す。
[何処か寂しげな声に。
彼の耳元に、小さく呟くと。]
[灰の眼を僅かに細めた。]
ありがとよ。
……なんだ、お前。 どっか行くんか。
[財布を返しながら。軽く、首を傾げて問う。]
[台車を引くのには、やや早い気がした。]
[こちらの向かう先は、云わずとも。]
[祖父の眠る場所はひとつ。]
[湖。]
**
[夏でも凍れる湖。
付近にある質素なベンチに積もる雪を軽くはらい。
腰掛けて、薄荷煙草の二本目を取り出す]
行かなきゃいけないんだけど…。
[宿には行かなくてはいけない。
役場から名指しで来た手紙に逆らう事は、自分は出来ない性分だ。
けれど、呼ばれる理由がわからなくて。
研究室を出たのはいいけれど、すぐに行く気にはなれないまま]
もう少し、だけ。
[コートの襟をそっと立てると、二本目に火をつけた**]
[ロランの食事が終われば、また後でねと。
軽く手を上げ、宿を辞した。
外へ出ると、途端に冷たい風が身を切る様に吹きつける]
……っ。
[外套の襟を立て、風を避ける様にしていると、
どこからか紫煙が流れてきて]
誰……?
[燻る紫煙を追ったさき。
初めて見る顔の女へ、*声を掛けた*]
あまり変わっていないよ、姉さん。
この村が変わらないように、村の中にいる限りは。
[刺激と変貌を欲すれば、村の外に出るしかない。
ここにあるのは停滞と緩やかな退廃]
(だからこそ…)
[頭を撫でられるのを厭わず、食事を続ける]
(頑なに村は変わる事を拒絶する。研究所の存在だって、中央の意向さえなければどうなっていたものか)
ごちそうさまでした。
[フィグネリアと一旦別れれば、アナスタシアを物陰へと誘う]
地下牢の掃除はここを出る前までに、従業員の方にお任せします。使われる事などないとは思いますが。
薪は後で村から持ち込まれる手筈になっていますので、
今以上の補充は考えなくても問題ありません。
[などと、村長からの意向の伝達やら、今後の準備への打ち合わせなどの話を手早く済ませた**]
[寒空。震える風。
歩を進め、彼女の風上に立てば、森を指差す]
森の近くに一軒の建物が見える?
あそこで森と湖の研究をしていたの
……はじめまして、かしら。
[彼女が村に遊びに来た旅行者には見えなくて。
誰?と聞かれれば、答えない理由は無いと感じ。
至極手短に自分の事と、これから宿へ行く事を説明しただろう]
― 2階 階段脇の角部屋 ―
[まどろみよりの目覚め。
自室とは異なる空気に、自らの在り処がつかめず視線が泳ぐ]
ああ、そう・・・。
[宿だったと思い至るにはわずかばかりの時間を要す]
[無意識に長い黒髪をかきあげると、ざらりとしたその感触にため息をつく。
およそ健康的とはいえない――]
どれぐらい・・・
[寝ていただろうと考えるけれど、夏の日没は遅くいまだ日は明るい。
まどろみに夢見たのはあの日の雪原――]
・・・そして、水車・・・?
[記憶の底から浮かび上がる凍れる一対の風景―水車と湖の――]
― 2階→食堂 ―
[ベッドより身をおこすと、手になじむ杖を手にする。
慣れぬ場所に少々危なっかしくも階下へと向かう。
いつか見た風景を求めて]
あっ。
[わずかばかりにでも急く気持ちがあったのか、最後の一段を踏み外す**]
[首を左右に振って]
煙はそれほど。
村に返ってくるまで、一緒に住んでた人も吸ってたしね。
[謂いつつも、自然と手は下腹をそっと撫でていた]
研究所……?
ああ、あたいが出てってから出来たって噂だけは聞いてるよ。
こんな村に何の研究しに来たのかは、よく判んないけど。
[軽く肩を竦めた後、
同じように簡単に自己紹介をして。
イライダも宿へ呼び出された事を知って]
あんたも噂に振り回されて大変だね。
……ったく、良い迷惑だよ。
[もしすぐに自分と気づかれなければ「ロランだ」と名乗りつつ]
サーシャが、というかもう来ている人がいるとは思わなかった。
[一人で来られたのか、付き添いは、家族、特に妹さんは――
そんな質問は頭に浮かんだが口には出さず]
どこかに出かけるのなら付き添おうか。
それとも誰かを呼ぶか?
[アナスタシアは無理として、オリガか他の従業員に頼むか。それとも彼女の家から誰かを呼ぶべきかなどを考えつつ、]
ああ、すまない。
[身体に触れたままだったことに気づいて、*身を離した*]
[危ないと認識したそのときには手がさしのべられ、誰ともわからぬ相手に身をすくませる]
あ、ロラン兄様…?
[いつも気にかけてくれている親しい人の声に、知らず詰めていた息を吐き出す]
ありがとうございます。
でも、どうして…?
[ここにいるのだろうと首を傾げ、自分と同じように呼び出されたのだろうとあたりをつける]
兄様もここに…?
でもアナスタシアの宿で、ゆっくり出来ると思えば
……悪くないかもしれないわ。
[彼女のフードに、肩に、雪が落ちていくのを見ながら]
今日はますます寒くなりそうね。
フィグネリアも、何か用事があるのであれば
早めに済ますほうがいいかもしれないわよ。
[身体を冷やしては良くないだろう、と。
彼女を促すように、軽く背に触れてから、にこりと微笑んだ]
何かあったんてんならともかく、ね。
[もう一度自然と下腹を撫でる手]
あんたも災難だったね。
まあ……暫くナースチャの手料理でも堪能すると良いよ。
彼女のビーフストストロガノフは、絶品だから。
[街でもあれを超える物はなかった等と思いながら、
女は気さくに笑う]
[肩に触れる手が雪を払うのを見れば、スパシーバと笑みを返して]
用事って謂っても、荷物を取ってくるだけなんだけどね。
あたい、散歩の心算で此処に来たから。
役場からの呼び出しとか、ロランに聞いて知ったくらいだしね。
[肩を竦めて笑った後、
一度家へ帰るよ。と、手を振って。
凍れる湖と、イライダに背を向けた**]
― 宿→外 ―
[フィグネリアが去ったその後、ロランに支えられつつ外へと]
私、なんだかこの場所をみたことがある気がして。
[十にも満たぬ頃のこと―]
子供は雪の中を駆けることで、
元気を養ったものだからね。
[サーシャの望むように身を寄せながら、歩幅を合わせてゆっくりと隣を歩く]
今は子供の姿は殆ど見なくなったけれどね。
―宿→水車小屋―
[食堂の光景を横眼で見ながら、湖に思いを馳せていたが。
雑巾を片付けると、金髪を払って食堂を出る。
向かう先は、動かぬ水車小屋。
聞こえない水車の音と、凍れる湖。止まった世界と凍った音。
しばし立ちすくみ、聞こえぬ音を聞いていた]
ふふ、そうですね。
[駆け回ってみたかったという小さなつぶやきは空気に溶けて]
そう、そうですね。
私達がまだ小さな頃にはもっと子供の声がしたものでした。
[見えぬ眼で、それでもなにかをみようとするようにあたりを見回す]
兄様は、この村をでようとは思わなかったのですか?
[彼の兄たちのようにとは胸中でつぶやく]
役場? ……なんだ。
またどっかで、悪戯でもして来たんか。
[冗談めいた口調で。]
ああ、またな。
[イヴァンに背を向け、軽く手を挙げると。]
[煙草を銜え直し。]
[再び、雪を踏む。]
[遠ざかる台車の音は、耳に入っていたかどうか。]
[昔、少年は台車の上で揺られていた。がたごとと心地良い振動に揺られながら、大きな父の背中を見上げていた。ときどき古い台車は大きく傾いて、積まれた薪に押しつぶされそうになって慌てたけれど。
必死に枠にしがみついて、心配して振り返る父には強がって笑顔を見せた]
(―――樵のシマトフ一族は短命だ。妖魔の森を侵しているから)
[そんな言い伝えを、気にも留めず笑い飛ばしていた父]
(呪われているんだ)
[両親は早くに亡くなった。病死だった]
(別に木を切って生活をする必要は無いんだよ。生きる術は、他にいくらでもあるのだから)
[自分を気遣ってそう言ってくれる村の大人たちもいたけれど、青年は今、村で唯一の樵として暮らしている]
(だって、そうは言っても、この村には薪が必要だし。それに)
[あの日の少年は、雪の降る中、無邪気に笑っていた]
(呪いなんて迷信だよ)
村を出て何かをしたいというのはなかった。
兄達のように父に命じられればまた違ったかも知れないが。
[学を積み、偉い立場になり、家名を高めよう命じられた彼らの消息は知っているが捗々しいとまではいっていないようだった。失望させるほどでもなかったが]
(だからこそ、一人呼び戻すことを考えている。――の代わりに)
ここは静かな村だ。嫌いじゃない。
[賑やかな世界に身を投じる自分を想像できなくもある]
『ロラン。なあロラン。
僕と一緒に旅に行こうよ、ロラン』
『どうして決めつけるのさ。わからないじゃないか!』
『僕は戻ってくる。その時にはロランが想像もできないような話を持って帰ってくるからな』
『なぁ…本当に来ないのか。ロランさえ居れば僕はどんなところだって…』
(兄よりも、あいつの誘いの方がずっと魅力的だったな…)
ああ、すまない。
すこし、ボーっとしていた。
[サーシャが求めるがまま隣を歩き、*案内を続けた*]
そう、私もこの村は嫌いじゃないです。
だけど、出て行きたくもありました。
[そう語る眼差しは、未来には向けられず――さりとて未来を拒むでなく]
ああ、やっぱり寒いですね。
[その当たり前の事がうれしく感じて笑みがこぼれる―いつもと違う場所にいることをかみしめるように]
ふふ、変な兄様。
[ぼーっとしていた様子の彼に小首を傾げると、しばしば散策を*楽しむ*]
[からからと、車の回る音がする。
凍った世界に、音が刻まれる。世界が動く。
顔を上げて、振り返った]
――……イヴァン?
どうしたの?
[肩の上を髪が滑る。
首を傾げ、ちいさく微笑んだ]
あぁ、いや。
[相手が振り返ったことで我に返ると、冗談めかした笑顔を浮かべた]
綺麗だなって。見惚れてた。……後ろ向いてたからかな。
[照れ隠しの軽口を挟み、台車の取っ手を軽く持ち上げて見せる]
薪を届けに来たんだよ。
人が集まる予定なんだろう?
[それから、彼女が先ほど見つめていた景色を視界に収めるように顔を上げた]
オリガは此処で、何か考え事でもしてたのかい。
お世辞言っても、何も出ないわよ。
でも、ありがと。……綺麗って言われて、悪い気なんてしないわ。
[軽口に軽口を返す。
だが、先程よりも微笑みは大きなものになっただろう]
そうみたい。
たくさんお客様が集められてて……わざわざもってきてくれたの?ありがとう。
[台車を見やりながら。
考え事をしていたのか、と問われれば、少し目を伏せた]
少し、休憩していただけ。
考え事をする……というより、落ち着きに来たのかな。そんな感じ。
そりゃ良かった。
なら、今度は注文の時に綺麗だって言ってみよう。
[何処まで本気で言っているのか。
ただ、深くなった彼女の笑みを見て、嬉しそうに肩を揺らした]
……どういたしまして。薪を届けるのが、僕の役目だしね。
僕も呼ばれてるんだけど、何の要件なのか良く分からないんだ。
[何か知っているかい、と続けながら首を傾げた]
休憩?
[目を伏せるオリガは、何処か元気が無いようにも感じられて]
あ、そうだ。良い気分転換なら、今、一つ思いついた。
[悪戯好きの子供のような表情を浮かべながら、台車を目で示す]
うしろ、乗ってみない?
子供の頃は君を乗せて走ろうとして、転んじゃったけど。
今なら大丈夫な気がする。
[視線は自然と、冷たい風の流れる先、髪を靡かせる少女へと移される**]
―村はずれへ―
[あちらとこちらは、風が違う。]
[村の外れ。特に湖のまわりは。]
[動かぬ湖面が視界に入る。]
[そこに人影はあっただろうか。]
[あったとしても。こちらから気づくことはないだろう。]
(――確かに、この宿には あれ がある。
……だけど……)
[噂と事実と、そしてロランの言葉が頭を過ぎる。
――やがて女は、何かを振り払うかの様に頭を振り。]
……夕食の準備、しなくちゃ。
[厨房に用意された食材は、牛肉と玉葱、そしてサワークリーム。
もしもオリガが手伝いを申し出てきたなら、「大丈夫よ」と返すだろう。]
村の設定が変更されました。
ウートラ が参加しました。
― 湖→宿 ―
[からりからりと音がする]
?
[少しづつ近づいて、そして止まった音。
思わずそちらの方を見やれば]
あら、あれは
イヴァンと…オリガかしら。
[彼の近くにある台車。
音の正体はそれと知り、なるほどとばかりに頷く]
[薪を買う時などにはイヴァンと。
休憩時間に宿に来た時などにはオリガと。
すごく頻繁に、では無いけれども、話した事がある。
どちらからだったろうか。
それともイヴァンとオリガが一緒にいた時だろうか。
二人は幼馴染だと、そう教えてもらった為に、二人の組み合わせには特に疑問を感じる事も無く]
[水車小屋の近くで柔らかい表情で話す二人の様子を、少し離れた場所から目にして]
ふふ
邪魔をするのは無粋ってモノかしら。
[くすりと微笑みながら、宿に向かって歩く。
玄関前ポーチで、雪と一緒にコートについた寒さを払うように、ぱたぱたとしてから。
綺麗な細工がなされた扉を、静かに開いた**]
[父と母はどこにいるのかと、尋ねたことがあった。]
[好きな花だったのかどうかは、知らない。]
[それでも、祖父がいつも置いていたから。]
[灰が落ちた。]
[俄に陽が沈みはじめた。]
[見上げた空に。
鬱陶しそうに、目を細め。]
[銜えていた煙草を捨てた。]
また、来るな。
[紫煙を吐き出し。]
[湖に背を向ける。]
[足が向かう先は、住み慣れた家。]
**
ありがとうございます、兄様。
[わがままにつきあってくれたことに礼を言う。
台車をひくカラカラという音は、耳に届いたとしても気のせいと片付けけられるほどに遠く]
こんなに近かったんですね。
[なにもいわず、ただつきあってくれるのがありがたく感じる。
井戸の縁をそっとなでて、深遠をのぞき込む。
どこか吸い込まれそうでふらとよろけたなら、再度戻ろうとの言葉がロランからかかる]
[今度は素直にうなずく。
わずかに赤らんだ顔は寒さにさらされたせい]
戻りましょう。
わがまま言ってごめんなさい。
[宿へと帰る―赤光があたりを染める頃]
[知識として井戸があることは知っていたけれど、なんだか幻のように思えたのだ]
ああ、やっぱりちょっとはしゃぎすぎたのかもしれません。
[宿の前に着いたなら、わずかに咳き込む]
ドラガノフ が参加しました。
― 宿 ―
[暖かい宿へと入れば、従業員が一人やってくる]
ん。
役場から手紙を貰ったのだけれど……?
[従業員に鞄を持ってもらいながら食堂の方へ。
アナスタシアから「部屋は何処にします?」と言われれば]
そうね……三階がいいわ。
一度、そこから景色をゆっくり見てみたかったの。
[宿の三階、階段近くの部屋の鍵を渡して貰い。
先に手荷物を置く為に階段を昇り始める。
そのあたりで、ロランとサーシャが宿へ戻ってきたかもしれない]
―自宅―
[ドアも閉めずに、そのまま机の傍へと歩みよる。]
[引き出しを開ける。]
あ?
[引き出しを開ける。]
[引き出しを開ける。]
[引き出しを開ける。]
……ねーな。
どこやったんだ……?
[掌におさまるほどの大きさの、木彫りの人形を手に取り。上着のポケットに突っ込む。]
[右、左、右、下。最後に後ろを振り返り。]
あ。
[古びたテーブルの上の、練炭を手に取り。上着のポケットに突っ込む。]
[屈んで、その下に手を伸ばす。]
あった。
[それから立ち上がると。]
[拾ったそれを上着のポケットに突っ込み。]
[足早に、再び家を出た。]
ナタリー が参加しました。
― 井戸 ―
[早足に井戸に駆け寄ると、縁に手をついて。
その左手には役場からの封筒が握られている。
底を覗く。
深い底は闇の中でいくら目をこらしても見えない]
……。
[ゆるりと周りを確認すると、ぽそり、と井戸へ呟きを落とした]
―宿―
おい。イヴァン来てっか?
[玄関の扉を開けるなり、声をあげる。]
[そのままずかずかと上がり込み。イヴァンがいないとわかると]
じゃあこれ、渡しといてくれや。
[ロランが近くにいたのなら彼に、そうでなければアナスタシアに。]
[練炭を、放る。]
――あ。間違えた。
[どちらにせよ、アナスタシアの怒声が飛んだ。]
[イライダに挨拶する声が聞こえたなら、ロランに倣う]
ありがとうございます、兄様。
私ったらいつまでも子供みたいね。
[自らに向けてつぶやくけれど、自嘲の色はなくどこかうれしげ。
ロランが戻ってくるのを待つだろう**]
[毎日、毎日。
井戸に通って底に向かって呟きを落とす。
今日も同じ。
井戸の底に呟きを落とす。
それから、深く、ため息を]
さあ、行かなきゃ。
[毛皮の帽子をかぶり直した**]
[借りた部屋。
コートをかけ、鞄を置いて、手櫛で軽く髪を整える]
さすがに、冷えちゃったわ
何か暖かいものでも貰おうかしら。
[赤いロングスカートをふわりとさせながら。
階段をかつんかつんと降りていけば、自分とは逆に階段を上がってくる二人]
あら、ロラン様にアレクサンドラ
こんにちは。
二人も此処にいらしてるのですね。
[挨拶されれば、会釈を返し。
その姿が一室に消えるのを、軽く見おくれば]
ふふ。
[口に手を当てて、微笑んだ]
この練炭は…あ、すみません。
それと水道、お借りしますね。
[従業員の一人に練炭を渡しつつ、黒ずんだ手を洗いに行く。
その際、サーシャの飲み物の注文をしようとするが、オリガの姿はなくアナスタシアがミハイルにかかりきりなのを見て軽くため息]
(自分で淹れるか)
ほら!僕だって成長してるだろ?
[嬉しそうな声を響かせる。それから彼女の方を振り返ろうとして、バランスを崩して]
……うわッ。
[足が縺れた]
[慌てて支えたから、何とか台車の横転は免れたけれど。その反動で、青年は見事に雪へ倒れ込む格好となる]
[白い大地に、軌跡が刻まれる。
鳴らぬ水車の音の代わりに、耳に響くは台車の車輪の音。
そのうち瞳を閉じ、その音に聞き入り――]
[がたんと台車が止まった]
い、イヴァン?
もう、……何やってんのよ。
[言いつつも声は笑み混じりで。
ふわりと台車から降り、雪に倒れ込んだ青年の前に屈み、片手を差し出した]
[客に物を放るなと怒鳴られた。]
なら、あんたが渡しといてくれよ。 姉、さ、ん 。
[じゃら。]
[乾いた音を立てて、硬貨が数十枚。
カウンターの上に、詰まれ散らばる。]
[値段など覚えていない。
多いかもしれないし、少ないかもしれない。]
じゃあな。
[そのまま出て行こうと踵を返すと。]
[ここに残れと呼び止められただろう。]
……は?
[召集の便りは、未だ封を切られておらず。]
[白い大地にうつ伏せになる。肌に触れる雪の冷たさ]
―――――……。
[手を差しだすオリガの姿が、幼い頃の彼女のそれとぼんやり重なる。
確か昔転んだ時も、彼女は手を]
……ちょっと調子に乗りすぎたかなぁ。
[苦笑を浮かべながらも、相手の声に笑みが混じっていることに気づけばほっとする。差しだされた手をそっと取って、立ち上がった]
[それとほぼ同刻、茜色に染まりかけた空に鳥の群れが羽ばたいて行った。もうすぐ夜が訪れる合図だ]
じきに暗くなるね。
戻ろうか。
[空を見上げながら白い息を吐く。彼女の手を静かに話して雪を払うと、台車を持ち直して笑いかけた]
いいのよ。
そういうところが、イヴァンのいい所だと思うもの。
[苦笑を浮かべる青年の手を引く。
己の細い腕を、寂しげに見下ろした。
ばさばさばさ。
見上げれば、夕暮の空を鳥が飛んでいる]
そうね。戻りましょう。
私もそろそろ仕事をしないと、アナスタシアさんに怒られちゃうわ。
[笑みには笑みで答えて。
雪原に足跡を残しながら、宿屋へと戻った]
― →宿屋―
― 村長邸 ―
立会人といいますか、予定に変更がなければ大人ではドラガノフさんが参加なされるのですね。
…もしかして、他にもいるのですか?
[役場からの情報を確認しながら、村側の準備などの最終的な話し合いに顔を出す。話し合いと言っても村長である彼の父が一方的に話すだけの関係だが]
わかりました。
杞憂ならば、また何れ。
もし…ならば、御身体を御自愛下さい。
[仮に次兄が戻らずとも、老父は手を打つだろう。
自分が気を使うことではない]
い や で す 。
[そう告げると。]
[来たときと同じように、ずかずかと。]
[途中で、戻ってきたイヴァンやオリガとすれ違ったかもしれないが。
こちらからは気づかずに、宿を後にした。]
では、まだ宿に来ていない召集されている者の家に呼びに行って参ります。
後の事を考えれば、騒ぎに繋がりそうな真似は避けておきたいのでありますが…
[村としては役場の意向に逆らう素振りを見せることは得策ではない。かと言って、呼び出されている面々は愉快ではない事も承知している]
(ことがことだからな)
宿ではアナスタシアさんが取り計らってくれるでしょう。
[名簿を片手に、まだ宿に顔を出さない面々の家へと訪ね歩く。道中で見かければ直接声をかけるだろうが]
[こちらに気づいた様子の男に。
さくさくと雪を踏んで近づけば]
今朝ぶりですよ?
[相手を見上げてにっこり笑った]
なんて言うのは、嘘ですけど。
お久しぶりです。珍しいですね、宿に、御用?
[帽子をかぶり直して。
左手に持ったままの手紙をくしゃりとしながら聞いた]
……今朝?
[記憶を思い返してみる。]
[……………………]
[いや、朝なんて寝てた。]
……なんだ。
[嘘、という言葉に、微かに息を吐いて。]
[宿に用かと問われれば、眉間に皺が寄る。]
こんなところに、用なんてねーよ。
[左手の手紙には、気づいたか気づいていないか。]
[しかし、その音は耳に入っていた。]
そう云うお前は、用でもあんのか。
[相変わらず、相手の名前は思い出せないまま。]
[幽かに息を吐く様子をめざとく見つけて。
だから少しだけ、嬉しそうにくすりと笑った]
なんだとは、なんだなんだ。
[芝居がかって両手を腰に当てて言ったりするが。
男の眉間の皺は指摘せずに]
私も「こんなところに、用なんてねーよ。」って言いたかったんですけどね。呼び出し。
[はああ、と大きなため息をついて。
すでにくちゃくちゃの手紙をひらりとした。
相手が自分の名を思い出せないのはいつもの事なので、すっかり対応し忘れている。多分、手紙に宛名くらいは書いてあるだろうけど]
[イヴァンから聞いた話は覚えていた。]
[それが役場からのものだろうかと、思い当たるのは容易。]
[ひらり、と視界を掠める文字に、確信。]
お前もか。
……ナタリー。
[辛うじて文字が読めることに、感謝した。]
[――と同時に、彼女の腕を掴む。]
…………ぬ?
[なにか、記憶の底に引っ掛かるものが。]
お前も?
じゃあ、あなたも?
[名前を呼ばれれば、お、と小さな歓声を上げるが。
入れ違いの言葉にきょとりと瞬きして、男を見上げ。
ふと、腕を掴まれた]
へ?
な、なに?
[反対の手で毛皮の帽子を押さえつつ。
中途半端に声が裏返った]
[彼女の言葉は、半分ほども聞いていなかったが。]
[ふと、中途半端に裏返った声は耳に入った。]
……いや。
[手を離す。]
[その手でそのまま、上着のポケットの中を探ってみる。]
[知らず、何でもかんでも拾って詰め込む、悪い癖。
その中に。]
あ。
[いくつか、ばさばさと。綴じられたままの封筒が落ちる。]
[どうやら、目の前のくちゃくちゃとよく似た、ものが。]
[手を離されてもそのままの格好のまま。
ただ視線だけが男の仕草を追って]
……あ。
[ばさばさと落ちる手紙たちに。
しわくちゃ具合まで自分のと同じ手紙が見えて。
合点がいって声が漏れた]
ああ、あなたも、ね。
[屈んで手紙たちを拾う。
それよりどれほど入るのだろうと、男の上着のポケットに視線を向けた]
行く?
[まるで乗り気しない声音だった]
[彼女が拾った手紙たちを受け取り。]
[行く? と問われれば。]
…………
いや。
[引き止められたのは、これの所為か。]
[でもさっき、喧嘩売ってきた、ばかりだし。]
別に今日行かなくても、いいだろ……
[と云うか、行き辛い。]
[ポケットに入ったままの、木彫りの人形の首を片手で外したり、また嵌めたり、しながら。]
[どこか幻想の彼方を見ながら、頭を掻いた。]
行かない。
[のち、云いきった。]
[なにやら歯切れの悪い男を、ただただ不思議そうに見上げれば]
今日じゃなかったら、明日です?
[かえって行きづらそうだ。
結局頭を掻いて、行かないと言い切る相手に。
何処を見ているのだろうとついつい視線の先を探してしまうが]
そんなに嫌いなの、宿。
[眉間に皺寄せた男の顔を思い出してつぶやく]
今なら、私、強制連行してあげられますけど?
でも行かないなら……私も行ーかないっと。
[手をわきわきして見せて。
隙あらば腕を掴んで宿に連れ込もうと、にやりと笑ってみせるが。
それでも行かぬと言うのならば、自分だって乗り気じゃないからついて回る算段でからりと笑う**]
嫌い――
……好きなわけ、ねーだろ。 あんな……
お前は、好きかよ。
[血の繋がりがあるかは知らない。]
[それでも、祖父は彼女を孫と呼び、彼女は祖父を祖父と呼んでいた。]
[ならば、気にすることでは。ない。]
[ただ、幼少の頃から。 年上面で接してくるアナスタシアが、苦手だった。]
[そんな胸中が、目の前のナタリーに通じるかどうか。]
[それこそ、気にすることでは。]
[ない。]
――きょうせ……
[彼女の言葉に、わきわきさせる手に。気持ち1歩2歩ほど、引きながら。]
……お前、腹減ってっか?
[食べられる何かの匂いが、微かに漂っていたことを思い出した。]
[彼女が首を縦に振れば、諦めるやもしれないけれど。]
ごちそうさま
凄く美味しかったわ。
[食器を下げに来たオリガに笑い。
食事を取っていた数名と、軽く歓談した後。
カウンターから離れる]
[食堂とは違う、少し冷えた空気の中、階段をあがり。
部屋の扉を開ければ、そのまま真っ直ぐ窓際へ。
夜になって雪は完全にやんだのか、空には星が見え。
少しだけ窓を開ければ、森を見ながら、薄荷煙草に火をつける]
ん。
[森も、凍湖も、言い伝えの妖魔も、古井戸も]
お父さんや先生は、興味があるって
一生懸命調べていたけれど。
[何でそんなに熱心なのか。何が興味をひいたのか。何に惹かれたのか。
夢中になる、って事が、理解出来ない――。
きゅう、と胸が痛む。
自分には、そんな対象が無い。無かった。
わからない。見つからない。何も無い]
私にも見つかるのかしら……
そんな、何か、が。
[窓に、こてん、と額をつけて*しばし目を閉じた*]
(尤も、長居になるかどうかは…)
まあ、ほどほどに、だ。
[胸に沸いたものは表情に出さず、適当に会話を打ち切って、ドラガノフの方へ挨拶に向かった**]
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
[9]
[10]
[11]
[12]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新