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俺はきっと君から見て歪んでいる存在なんだろう。
だが、俺はそれでもこの命を賭して手に入れたい未来がある。
ただ、それだけの理由でこの戦場に立っている。
・・・・・・磁星刀。
[切りかかってくる彼を目視した瞬間、彼の背中に背負われた巨大で特殊な鞘から5本の刀が飛び出す。
そして、彼を中心にくない2本と小太刀2本が地面に突き立つ。
そして1本の太刀は彼の両手へと納まり、そのまま姫倉の刀を受け流す]
陽極刀。
[そして太刀を右手だけで保持し、左手に引き寄せられるように小太刀が飛び込む。そのまま半身を翻し、姫倉の左脇へと飛び込むように小太刀のなぎ払いが襲い掛かる]
ちぇっ
[薙ぎ払いは弾かれ、明後日の方向へ軌道を。
連れて行かれそうになる体を何とか踏み留めれば、間髪入れず入ってくる小太刀。
魔力の気配。考えている暇は無い。]
あんたのどこが――
[後ろへ跳ね避け――少し遅い。脇を切った。
羽織がほんの少しだけ裂け、着地と同時に遅れて翻る。]
歪んでんのか、さっぱり俺にはわからんな。
歪んでる勝負やったら悪いけど、負けへんよ?
[色んな奴に「もっと自分のことを」とか言われた気がする。
それでも、培った性格は変えられなかった。
右手刀の先に魔力を集中し、空間を括る。
作った形は――紐。伸びた先にあるのは背後の酒瓶。
刀を振るうと、見えない紐に括られた酒瓶は独り手に浮き、無頼の元へと飛んでいった。
ラベルの色は――茶。意味する属性は、「土」。]
[無言でその一連の行動を見据える。だが]
陽極刀!
[回転させるようにして、その酒瓶へと伸びた紐を・・・・・・切断した。
それと同時に大きく酒瓶の軌道上から逃れ]
陰極刀!
[左腕に今度は地面に突き刺さった小太刀を引き寄せる]
ふう。
[刀の先から手ごたえがなくなる。
どうやら直感任せに後ろへ飛んで正解だったらしい。
などと分析していると――風がざわついた。]
……ほう。
何か面白そうなことでもしてくれそうな目ですね。
[ただ彼の目を見る。――赤い充血。
公園で見た時のそれと同じか、それ以上の気配。
彼が歪んでいると称したのであろうその力は――しかし。]
…なるほどな。
[――表情は物怖じず。
笑顔でその眼光を受け止め、「邪魔な」刀を鞘に納めた。]
――ほら、遠慮なく来い。
あんたの一太刀や二太刀で壊れる程、
「私」は安く出来とらんさかいに。
[そうして両の手で、傘を構える。]
反極刀。
[もう一本のくないを手元に呼び寄せ、今度は無頼の足元に打ち込む。
引極刀とは真逆の、重力に対しての反発力がかかり始める]
[そして、引極刀から紐を切り空を舞う陽極刀、その陽極刀からは今空を舞う陰極刀、そしてそれとは別に引極刀を無頼の手甲を引きよせる力にそれを後押しする反極刀。そういう磁場が発生しようとしていた]
磁力・・・・・・発生。
[空をいまだに回転しながら舞う陽極刀は、突如姫倉を背後から襲いかかり、その陽極刀へと引き寄せられるように今度は正面から陰極刀が姫倉に襲い掛かる。
そして、その直後には人間の動体視力では到底補足出来ない速度と威力で、魂砕きを振りかざした無頼が姫倉へ襲い掛かる]
お、…
―――っく。
[傘を構えたまま、突っ立っていたからだろう。
無頼の行動に対処できず、何らかの布石であろうくないの投擲を許してしまった。――致命的な後手。
その代償は、数秒経たず知る。]
っは――…
[小柄な体に、重すぎる圧力。
――いつも操る空間の重さなど――同じくらいだ。
それが、一気に自分に圧し掛かってくる。
傘を強く握る。決して離さない。
膝は決して折らず、敵からは目を離さず。
終いには周囲からの飛刀――突っ込んでくる無頼。]
こいつは――
[躊躇う暇など後でいい。
屈みこむ形で、――全身の力を使って傘に繋がったものを引く。
刀が飛び交う遙か上空。
構えた傘から真っすぐ伸びたそこ。
待機していた一つの空間重圧。
形は――焼夷弾。
引極刀の重圧に逆らわず、墜落してくる。
その先にあるのは姫倉の足元。
そこに作られた砲弾型の空間圧。]
――――ッ!!!!!
[ぶっ飛ばせ――そう叫ぶ言葉も、掻き消される。
空から落ちてきた焼夷弾と、地に生えた砲弾。
二つは激突に、互いを括った魔力で互いを「破り」合う。
そうして両者から、外のもの全てを弾き飛ばすように溢れ出た――無差別に周囲を叩く多量の空間圧。
破裂から数秒も絶たない内に、姫倉の体もあっというまに飛ばされた。]
・・・・・・
[正面で爆発。どうやら彼は空間に魔力を通じて擬似的な道具化が可能なようだ。
空と地面に弾が見えた瞬間、彼は磁場を解除し、無頼の手甲は逆に反極刀と引き合い無頼は急ブレーキをかける。
体を反動が突き抜けるが、慣れている。
陽極刀と陰極刀は姫倉の能力で弾き飛ばされたようだが]
戻って来い。
[ゆっくりと磁場を形成する。そして彼を中心にまた小太刀とくないの合計4本が地面に突き刺さる]
面白い能力だが、俺にとってはそれ以上でもそれ以下でもない。
[ふう、と息を吐き、ゆっくりと構えを解く。
そして地面に刺さる刀を1本1本丁寧に抜き取り、鞘に納め始める]
ここまでだ。
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