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―中央ブロック→西ブロック―
[街灯の波より高く。飛行機の翼端灯より低く。
西の空で時折爆ぜる白光目指して、ひたすら足を動かした]
……は、……っ、……公園、か。
[方角から割り出して向かうも、珍しく息が切れている。
そして、背に刻まれた魔術刻印か、それとも天性の勘か、身体はこれ以上西の元凶を拒否するようで]
他にも居そうじゃな。
[交戦中の者だけではない。
公園付近に取り巻くように点在する幾つもの気配に、感覚が狂って一つが絞り出せなかった]
[追って上昇するライダー。止めることはない。
戦闘経験が必要――たとえあのような強大な魔が相手でも。
それは自分にも言えること。
やはり、無限空間を我が物にしなければ彼には勝てない。]
……。
[自分は、今の自分に出来得る限りのことをする。
早く止めなければ、彼の体は壊れてしまうだろう。
集中を重ね、刀から空間を括る。
周囲に、見えない、巨大な檻を作り出す。
炎が弱まった今なら、捕まえることが出来るだろう。
問題は彼をこの中に追い込めるかどうか。
そして、追い込んだなら――最大の攻撃で迎えてやろう。]
―中央ブロック―
[矢に射抜く意志はなく、
地に刺されば光の粒子と溶けて霧散する]
……。
[じっ、とランサーを見据えたままいたが、
やがてすっと弓を下ろした。]
…――そうか。
不義は私も好かぬところ。
……貴殿の理由は知らぬが……
…なれば、今宵の戦いは預けよう。
―――ランサー。
[静かに告げる。
弓兵も、今は主から宝具の解放を禁じられている身]
…必ずや次は全力で。
――……ん。タツオは、あれ、何を――……?
[断崖を駆け上るがごときに、星瞬く夜空を目指すなか。
眼下で、刀を翳す主が、大気の精を揺らがせる。
生じた不可視の違和感は、まるで囲いのように天に屹立する]
……なるほどね。
[主の意図は、察して。ならば、それを果たそうと]
――いけえっ!!
[雷鳴轟かすゼウスの遣わす牡牛に命じ。
回避を強要すべく、出力を抑えた拳大の雷球を、立て続けに放つ。
元より魔力消費はさして多くはないが、連発すれば当然、主に負担はかかる。
何より、魔槍の主は生身であるし――主の罠へ追い込むための、牽制なれば]
[マスターはサーヴァントの言葉にどんな顔をしたか。
小さく浮かんだ苦笑は隠さないまま]
…潰しあってくれれば、なんて
考えてしまう私はきっと罪深いのでしょうね。
[浮かんだのは自嘲の表情。
何かを言おうと唇が動きかけて
止まって、もう一組を見る。朱の瞳を、まるで試すかのように向ける。
完全に手を組む前に止めるなら、今のうちだと]
[牽制を、全力で放つ意味などない。
生身の人間には、たとえ、最小出力の雷撃とて脅威となる]
――上手くできたら……〆はお願いね、タツオ。
[ちらと、眼下の主を見遣って。ぽつり]
―西ブロック―
[本能は引き返せと、それ以上進むなと訴える。
この身は何より、危険に飛び込む無謀さを拒み、周到にして慎重な作戦行動をこそ理念とするが]
――ッ!
[まだ続いている。
神々の怒号のように、低く低く雷鳴が鼓膜を擘いた。
樹那川に架かる橋を越え、その速度は鈍ることなく]
嗚呼、すまねぇな。
俺も未だ、ちぃっと全力は出せてなくてね。
今宵の戦に不満があるって訳じゃねぇですが……。
出来りゃ、お互い全力で討ち合いてぇって話で。
[体は、本来の人の姿へ。]
なぁに、二度も三度も会えてる訳でさ。
なら、次もあるってのが道理って話ですわ。
[それじゃ、と。
その場から去ろうとした瞬間、
何かを思い出したかのように振り返る。]
嗚呼、そうそう。
さっきの矢の借りは、必ず返させて貰いますわ。
―西・森林公園―
[令呪の反応にしたがって向かった先にいたのは、いつぞやの所帯じみたサーヴァントと中世的なマスターだった]
やぁ、君の言うイレギュラーとやらは本当だったんだね。
僕はサーヴァントを失ってしまった……。
[情報交換をしたサーヴァントにいつものように飄々と話しかける。
もちろん真っ赤な嘘である。
自らのサーヴァントは健在だ、ラインがそれを証明している]
―中央ブロック―
――それはどうやらお互い様であるようだな。
[全力で。その言葉に互い違いの色の目を細め]
…同感だ。
[ランサーが人の姿へ戻れば弓は完全に下ろす。
雷が目の前から消え失せ、ふ、と知らず息を吐いた。]
では、その“道理”に期待しよう。
[見送るつもりでいたのが
去り際に不意に振り返られ、]
…――?
[ひとつ、瞬き。]
ああ、……別段、気にすることでもない。
[果たしてそれは逆だった。
無数の閃光は地から放たれ空に吸い込まれていく。
稲妻を操るものが複数、アーチャーも苦労しそうだと懸念しながら、公園の樹林へと踏み込んだ]
誰じゃ……ッ
[密集し入り乱れるサーヴァントとマスターの気配を、絡まった糸のようなそれを解きほぐしていく。
ぞわ、と首筋の毛が逆立った。近い。]
[ランサーは、笑みを浮かべた後 去っていく。]
……、まこと、よき武人であることだ。
[ひとりごちる声に敬意と高揚の残滓。
戦いの余韻もそこそこに、
アーチャーは西の方を見遣る。
繋がった径《パス》を辿り、跳躍した。
後には奇妙に幹の消え失せた街路樹ひとつ、
離れのベンチに眠る酔っ払いがひとりきり――]
ちいっ!!
[雷撃をかいくぐるように飛行を続ける]
さすがにここいらで潮時みたいだな。
あいつも近づいてきているみたいだしな・・・・・・
[雷撃に誘われるままに飛翔を続けるが、真打の登場の予感に自分の出番がそろそろ終わりである事を察する]
だったら最期は派手にいってみるか、あん!?
[奪われた炎が再度噴出す。今までとは違う、多少なりとも魔力を使った動き。即ち無頼の魔力の回復を意味する。
いつの間にか、ただぶら下がっていただけの無頼がしっかりと両手で槍を握り締めていた]
―西ブロック/森林公園―
オルグロスではないか。
迷子のサーヴァントが探しておったぞ。
[既に合流済みのアサシンが潜んでいる可能性もある。
植込みの影から、いつでも腰の小太刀を引き抜ける姿勢で声をかけた。
昼の絢爛な和装とは似ても似つかぬ、夜の色をした忍装束姿で。
オルグロスが練っていた虚偽を、一言でぶち壊したのは知る由もない]
…貴方は。
[ルナとセムルクの返事が帰る前に聞こえたのは
商店街で顔を会わせた姿。
朱の視線を二人からはずし、
現れた姿に視線を移す]
…そうでしたか。
では、何故ここへ?
英霊の守護もないまま。
無謀も いいところではないかと。
[告げて首を傾げる。
響く草踏みの音に微かに意識をそらす。
英霊は英霊以外感知出来ない。
マスター同士の反発が残るのなら、そこにかけるしかない]
えーっと、服が違うけどモチツキコショウだっけ?
いきなり出てきて何を言い出してくれるのかね……。
あとでネタ晴らしした方が面白いのにさー。
[予想外の展開だった、不意打ちで芝居をぶち壊された。
すぐにばれる嘘だったからそこまでは気にしてないが]
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