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[別に、無いなら無いで良いし、すっきりしたくなかったわけでは断じて無い。と言うか、そんな程度の悩みだったら、ユウトにお願いすることは無かったのだし。
今度は、いつかは、本人を誘えたら良いなんて考えてはいるけれど、それはまだ、かみさまにお願いするには早くて、自分でどうにかしなければならないことで。
ぱく、と甘味のこびりつく割り箸を口に含んで、むむ、と唸りながら。
こういうのにご利益がありそうなお守りってあるのかな、と売店に足を向ければ]
り、りりりブリギッテさん……?!
[すっごく目を惹くひとが、そこには居た。
髪にあつらえたかのような袴の色も、そのするりと直線に落ちる髪も。
凛とした佇まいを更に引き立てる装いに、動揺のあまり噛み砕いてしまった割り箸が、口の中に刺さる。痛い。
しかしそれで、はっとして。
当初の目的を思い出すと、ぎくしゃくと売店へ近づき]
こ、こんにちはっ、良いお日柄なのですねっ!
[これ頂きたいのです、とバレンタインにチョコを突きつける女子のような勢いで、ブリギッテへ差し出したお守りが、果たして何のお守りだったか自分も知らない。
そうして、ひとりあわあわと、常なら気をつける靴音の騒がしさを消すのもせずに、売店から逃げ出し]
……あ。御神籤、忘れてたのです……。
[そもそも、何に悩んでいたのか。
無残な姿になった割り箸を、ごみ箱に落としてやっと、思い出し。
うぅん、とまた唸りながら。
杏飴を手に、再び人ごみに消えていった*]
ユ、ユト?
[空いてる所がないなと思っていたら突如抱きしめられて。]
え、わ…
[浮遊感に、驚いて。ユウトに抱き上げられているのだと理解すると、内心慌てたけれど。]
は、い、届き、ます…
[腕を伸ばして、結びつけた。]
――…結べました、です
よかった。
[そういって、ゆっくりと、大事に。
その体を下ろして。]
おまじないが、本当なら、いいね。
[はは、と笑って見せて。
もう一度、その手を握り締めた]
ゲルダ!
[祭の喧騒が一瞬止むほどの声を出しながらゲルダに駆け寄った
しかし、手や肩に触れることは全くできなかった。
自分でもまだしっかりと掴めないゲルダを前にしたときの
独特の浮遊感]
(あと10年早く生まれていたら、抱きとめられたのだろうか)
[違うだろう、年齢の問題ではないのだ。でなければホリーの手の甲に
ハンカ越しとはいえいとも容易くキスなどできなかったはずだ
それも…何も解っていない『人を診ろ』それは『自分も見ろ』
という暗喩であったことをこの男はまだ解っていなかったのだ]
ゲルダ…本当にすまない。名前などただの記号と言ってしまって
もしよかったら…ファーストネームもセカンドネームも
発音付きで綴りをしっかりと教えてくれないか?
僕は『君と一緒に居たい』と…残念ながら半ば我儘のように
思ってしまっている。
でも!でも!君にとって何番目でもいいんだ!2番目の男でも
移動手段としてでも…君と…少しでも一緒にいたいと思っている
[クリスタルのペンダントトップを取り出した。母の形見だ]
ほんとに些細なプレゼントですまないが
受け取ってくれないかな?
[返事を言われる前に浴衣の帯に忍ばせた。『無くしたく』は
なかったが『無くなる』に分には全く構わない心境だった]
―神楼例大祭・前日 ホリーの部屋―
[しばらくの沈黙の後]
でもね…。
[口火を開いたエレノア]
あれから、考えたんだ。いろいろ。このままじゃいけないって。どんなに苦しくっても。いつまでも逃げちゃだめだって。
わたし、頑張る。頑張るから、一緒にいて。横で見ていて。
お願い。
[そう言って、ホリーの手を取った]
[本当は、ほんとうは。
かけたい、言葉がいろいろあるけれど。
自分にその資格があるのか、言い出せるのか
それすらもわからなくて
たいせつなのに、
なにがたいせつなのか、
こんがらがってしまって。]
[だから、そっと。
みんながみていたかもしれないけれど。
そう願うシルヴィアを、無言で、ただ、抱きしめた]
[甘い林檎の色のルージュ。
わずかに乱れた浴衣から覗く白い肌。
吸い込まれそうに、真っ直ぐこちらを見つめる瞳。
意思に反して目が逸らせなかった。
時を縛る鎖を打ち砕いたのは、彼女の謝罪]
あ、ううん。
レリア、怪我はない?
[彼女の腕や足を確認する手は、どこかぎこちなかった**]
[ユウトが自分を抱きしめようとするのが、まるでスローモーションかのように見えた。
祭の日。伝説の木の下。
もちろんそこには人目があって。
さっきみたいに後ろからじゃないから、拒むことだって、できただろうけれど。]
ユト…?
[そんな気は、全くおきなくて。
ただ大人しく、腕の中におさまる。]
[少しして、すっとその腕を解いて。
人前だということに気がついて、急に恥ずかしくなって、顔が真っ赤になった]
ご、ごめん。
……その。伝えなきゃいけないことがたくさんあって。
でも、うまくまとまってなくて。
ぐるぐる考えてたら、つい。
ごめんな、せっかくのデートなのに、こんなこといって。
あー、なにやってんだろうね、俺。
[そういって、もう一度。
その暖かい手に、触れる]
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