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―ログハウス1階・廊下―
[皆がバーベキューで盛り上がる中、こそりと建物の中に滑り込む。
真夜中に色々と探索する気でいたが、よくよく考えると、暗闇で物を探す事は極めて困難だ。
バーベキュー用のなんらかの道具を探すふりでもして、工具を発見、もしくは辺りをつけておいた方がいいだろう。]
……。
[急に人がいなくなった建物は、妙にしんとして、少し落ち着かない気持ちになった。]
[そうこうしているうちに
焼き上がったバームクーヘン。
処遇については双海の指示を仰ぐ。]
二越と双海は息がぴったりだな、
見ててなんだか微笑ましい。
ああ、焼きそばも作ってるのか。
…あれ、御手洗は?
さっきまで居たろう。
[居なくなるものが多いことだ、と首を傾いだ。]
[壁の下の方に取り付けてあるコンセントの位置を、横目で確認しながら調理場の方に進む。]
…ん?
[モニター室の前を通りかかると、誰かが大の字に床に寝転がっている姿が視界に映る。
誰だろう、と部屋の入り口から覗き込んで見て、思い切り顔をしかめた。]
……ほっとくか。
[倒れている人物を確認すると、放置したまま調理場の方へ歩く。]
[調理場に着き、壁際の引き出しを物色していく。
工具だけを持っていたら、万が一隠しカメラがあった場合バレてしまう恐れがあるので、カモフラージュに他の物も手に取っていく。
フォーク、ナイフ、果物ナイフ、アイスピック
何個目かの引き出しに、ドライバーのセットが入っているのを見つけ、先が小さめの物をこそりと手持ちの食器類の中に混ぜ込んだ。]
[立ち上がり、ドライバーだけをこそりとポケットに忍ばせると、調理場を後にする。]
……。
[そのまま一度はモニター室を通り過ぎたが、数歩進んだ所で後ろ向きに後戻りし、むぅ、という顔で部屋の中を覗きこむ。
結城は起き上がる気配も無く、何やらうなされているようだ。]
…放っておくのも寝覚めが悪いしな。
ちっ。
[小さく下打ちすると、モニター室の中に足を踏み入れた。が。]
っだ!!
[へりに躓いて転びそうになり、手に持っていた食器類が宙を舞い、倒れている結城の方向へ。]
、、、。
[うっすらとまぶたを開く。
見えるのは天井。どうやら自分は寝かされているようだがどうしてこうなっているのだろうか。]
あれ、僕......。
[考えようとした刹那。
ガシャガシャガシャガシャガシャン!!
我が身に降り注ぐ食器の雨。
哀れ結城丈二の命は今度こそ潰えて、、、。]
〜〜〜っっ!!!!???
[いや、生きていた。
奇跡的に降り注いだ食器は全て丈二の身体を避けて落下した。が、それらはいずれも丈二の頭部を掠めるようにして床へと激突。
その衝撃的展開に、丈二は声を出すこともできず凍りついていた。]
……だ、だいじょうぶ、か?
[おそるおそる結城を覗き込むと、ひとまずケガは無かったようだが、身体が硬直している。]
おーい、バーベキューはじまってるぞー…
[ポケットからドライバーを出すと、それで結城の頬をつんつん]
−外 バーベキュー−
[焼きソバのほうも完成し、今は順次焼きあがった物を貪り食っていた。
日は既に沈み、建物からの明かりと竈の火が辺りをささやかに照らしている]
あーやっぱ肉だな肉。
魚や野菜もうめぇが、肉がねぇと始まらんわ。
[矢口と更科で行われていた会話は幸か不幸か耳には届いていなかった。
もし聞こえていたなら……どうなっただろうか?]
[じわりと、瞳に涙がにじむ。
ドライバーでつつかれてよりさらに一拍の間を置いて。]
ひ、、、ひどいよ都ちゃん!!
[勢いよく飛び起き、涙目のまままくしたてる。]
昔っからそうなんだ。都ちゃんがなにかすると必ず僕がひどい目にあって…幼稚園のときだって小学校の遠足でm
[股間に激痛。]
○△×◇@ω〆??!!!
[悶絶して突っ伏した。]
ー外・バーベキュー中―
[此処にいないものといえば
危うく安らかでない眠りにつきそうになった結城もだ。
焼きそばの横の肉をつつき、箸を唇に添えたまま
ログハウスの方をみた]
結城も、そろそろ起きてくるだろうかな…
…動けるかどうかは、別か
[性別の壁は、大きい。
理解できないが死ぬくらい痛いんだろうとは思う。]
肉、持っていってやるかな…
[危機一髪状況なぞ知らないので呑気なものだった。]
[モニター室用に皿に肉を積んでみる。
ふと視界に風峰が入れば
何とはなしに見てからすぐ眼を逸らした。
ー―他にはどう見えているのだか、
言われると気になるのは致し方のないことだった。
少しだけ難しい顔になった。]
むぅ……旨い、旨いんだが。
[何かが足りない、と呟く。
顎に手を当てて暫し考えた後、その答えにやっとたどり着いた。]
そうだそうだ、アレがねぇとはじまんねぇだろ!
[皿と箸をその場に置き、ログハウスのほうへ走っていく。
10分後、再び喧騒に溢れたバーベキュー会場へ戻ってきた風峯の腕には、大量の缶と瓶。]
へっへー、やっぱ酒だよな。
[大量の酒をその場に置いた後、幾つかのジュースと見紛うラベルや色をしている物を、事前の置いてあった飲み物群に紛れ込まし、コップに注ぐ。
その行為は喧騒に紛れ気付かれずに終わり、顔には悪戯小僧の様な笑みが浮かんでいた。]
さーて、用意も終わったし俺も飲むかぁ。
[缶ビールを一本手に取り、先程まで自分が食べていた場所へと戻る。
その途中で、更科の視線が此方に向いていた事に気付くが……。]
ありゃ、もしかしてバレた?
[その視線の意味は、見当はずれの方向へ解釈していた。]
[―ー尚こちらは酒の混入に気づくはずもない。
想定していないせいもある。
焼きキノコを飲み込んでから、皿を手にした。]
ちょっと結城の方見に行ってくる。
飲み物はこれをもらっていいな?
[と、尋ねた。
うっかり酒だったがやっぱり気づかない。]
ああ、もうっ…
[懐からハンカチを取り出し、涙ぐんだ結城の目元をそっと拭う。
それはとても慣れた手つきで。]
昔の所業を喚かれても……
…お前は男だろ、泣くんじゃない。
もっとしゃんとしろ、しゃんと
[昔から、何度も繰り返してきたセリフに、思わず苦笑した。]
ん?お、おぅ。
好きに飲んでくれ。
[あれ、気付いたんじゃなかったのか?と思ったが口には出さなかった。]
あー、そういや結城っていやぁ。
[先程飲み物を取りに行く時、ちらりと視界の端に入ったモニター室の様子を思い出す。
その時は酒を盛ってくることしか頭に無かったので、声を掛けなかったが……。]
誰かと一緒だったな、全然見てなかったが。
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