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言語学者 ビョウ=ヤ=ナギ に 2人が投票した。
エンジニア キア=ラキ=スイ=レン に 1人が投票した。
言語学者 ビョウ=ヤ=ナギ は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、エンジニア キア=ラキ=スイ=レン が無残な姿で発見された。
闇が村を覆い、村人達は自らの過ちに気付いた。人狼達は最後の食事を済ませると、新たな犠牲者を求めて無人の村を立ち去っていった。
[スイ=レンの口づけが思いの外熱かったのは、発熱のせいなのか、それとも…?]
ヤ=ナギの遺体を…。
[二人で、遺体を安置する]
とうとう、二人きりになってしまいましたね…。
[スイ=レンに向かって言うが、どことなく上の空のような言い方であった]
一人きりにしないでね…。
[と、無理は承知で言ってみる。叶わない願いとは知りつつ]
…ああ、そうだな。
[穏やかに眠る青年を、睡眠カプセルへと安置する。
かつての友の弟。年下の青年。
──穏やかに、自らの責任を果たそうと真直ぐに生きていた青年を。]
………、ナギ。またな。
[カプセルを閉じる前、遺体にそう語り掛けた。]
───…。
[ローズの言葉には答えず、僅かな時間沈黙が帰る。
やがて振向き、微笑みを見せた。]
ローズ。
KK=102を見に行かないか?
─コントロール・ルーム─
[基地の中は、しんと静まり返っている。
人の気配はなく、それが無機質な隔壁を一層寒々しく見せていた。
その廊下を歩き、コントロール・ルームへと至る。
ここの窓から正面に、KK=102がうつくしい姿を見せていた。]
綺麗ね…。
[KK-102は、この騒動に関係なく、いつも通りに美しかった]
ね、睡蓮って呼んでもいい?
[唐突な質問を]
ああ。
お前の、髪と瞳の色だ──…
[KK=102を見つめ、目を細める。
そうして、彼女の問いに首を傾げて笑った。]
睡蓮?
おかしなアクセントだな。
いきなり、どうした。
KK-102の、お花の名前。スイ=レンと同じ発音。アクセントが違うけど。
綺麗なお花よ。池に咲く花。あの星の神様の宿る花。
基地のみんながね、それぞれ、お花の名前をもってるの。再会したときには、その花の名前で呼び合うようになるはずよ。
だから、今から慣れておこうって…。
[くすっと笑った]
池に咲く花、か。
…………、似合わないな。
[ローズの笑みにつられるように、ふと笑う。]
けれど、ローズ。
それでは、お前のような花もあるのか?
そんな花があるなら…それは、見てみたい。
ええ。ローズって、そのもの。薔薇っていうらしいわ。
いろんな種類があるんだけど。
睡蓮は、神秘的なお花よ。あなたにぴったり。
ね、睡蓮。
薔薇…、か。
ローズ、ローズ……ああ、やっぱり俺にはこっちの呼び方がいい。
きっと、綺麗な花だろう。
ははっ、神秘的か。
悪くはない、が……
[呼び掛けに頷き、不意に彼女を抱き寄せる。
そうして、水色の髪に手を添えて耳朶に口元を寄せた。]
───ローズ。
[すまない、と小さく囁く。
表情は互いに見えず、ただ──
いつもよりも高い体温が、何よりも雄弁に事実を語るだろう。]
[予想はしていた]
ん…。
言わないで…。せめて、最後まで。
そして、逝く時は、
『先に行ってるよ』って、言って。
お願い。
───…分かった。
[彼女は、どのような表情を見せるだろう。
それを怖れるように──宥めるように、抱きしめる腕に僅かに力が篭る。
微かな嗚咽が、胸元から響く。
もう一度、すまないと言いかけ……]
……ローズ。
[彼女の名を呼ぶ。
何よりも大切な、その名前を。
背後には、KK=102が青い姿をうつくしく浮かび上がらせていた**]
―KK=102 テツヤの自宅―
うおお、すげえ、すげえっ!
[ベッドに寝っ転がって、もらったハンカチ>>6:+47を折ったり開いたりしながら眺めていた。そして左腕に被せてたりしてみる。…なぜか、これだ、という確信が心の中にあった。自分はこれを探して、赤い布地に執着していたんだと]
…早く出来ないかな。
[カホには、無理やり自分の携帯の番号を押し付けてきた。初対面の相手に、随分唐突な頼みごとだったが、あの様子なら、きっと何かしらのものを作ってくれそうだ]
―――カチッ、カチッ、カチッ。
見たこともないディスプレイが、次々と世界の各地を移していく。
それも僻地ばかりだ。砂漠の中の荒地、ツンドラの湿地帯、大洋の孤島……。
その下に表示される、わけの分からないデータを見ながら、自分の口が呟く。(ココモ、ダメダ…)と。
(ヤハリ、ココシカナイカ…)
映し出されているのは、極点に程近い大きな島の海岸近く。寒冷な気候に加え、険峻な地形でとても人間が入り込めそうにない。だが、水源や動植物の確保は出来る。地下資源も期待できそうだ。
(ヨシ……)
自分の太い指が、器用に不思議なキーボードの上を舞う。その度に、わけの分からないデータがパラパラとスクロールされて行った…。
変な夢だったなあ…。やけにリアルだったし。
大体…、あんな人気のカケラもないようなとこばっか、調べて…、あれ、なにやってんだろ。
[カバンから、世界地理の勉強をしているノートを取り出した。あのカホという女の子から返してもらった奴だ]
最後のあれ…。どこだったっけな。
うーん。ちょっと調べてみっか。
[まだ夜明けには程遠いが、すっかり目が覚めてしまった。テツヤは部屋のパソコンを起動し、地図ソフトを起動し慣れた手つきで地上を探していった。夜が明けるまで…]
-ヤ=ナギが逝ってから29日後-
[スイ=レンの容体が少し変化してきた様子に気がつく。小康状態が続いていたので、少し安心しかかっていたのだが…。
ローズは、最近、+裏+
表:調子がおかしい
裏:特に変調はない]
-ヤ=ナギが逝ってから81日後-
[スイ=レンの容体が少し変化してきた様子に気がつく。小康状態が続いていたので、少し安心しかかっていたのだが…。
ローズは、最近、+裏+
表:調子がおかしい
裏:特に変調はない]
/*
うきゃ…。連投乙…。
>>29はなしで…。
29日後…一ヶ月後くらい後ね…。で、やっぱりローズが最後ということで…。
看取ります。
村の設定が変更されました。
あ、終わってる。
参加姿勢で皆様にはご迷惑をおかけ致しました。
すみませんでした。
細かい約束事すら確認してなかった。
『おまかせ』にしてて、役職村人だったのは、心底ほっとしました。
[ここに、携帯電話を取り出してふるえる手で電話をかけようとする人間がひとり。]
うう……緊張します。
[ハンカチが欲しいと言われた相手にいきなり携帯電話の番号を渡されて戸惑っていたカホだったが、連絡先を教えなければとの義務感があるのか、テツヤに連絡を取る事にした。]
それに、なんかあの人とはもっと話をしなきゃいけないような、そんな気がするんです……。
あの人からかかってくるのを待つばかりじゃ、チャンスが逃げて行っちゃいますし……。
[呼び出し音が鳴る。テツヤは出てくるだろうか。]
…もしもし。>>32
[読書中のテツヤは、鳴り響いた携帯を普段の調子……、つまりものすごく無愛想な声で答えた]
あ…、カホさん!?
[しかし、恐る恐るカホが名乗ると声は途端に明るくなった]
今、いいよ。どうしたの?
あの、赤いスカーフは、まだ出来ちゃいないよね?
兄貴 コ=バノ=ラン=タナ が見物しにやってきました。
村の設定が変更されました。
[今日も二人で除草作業を行っていた]
ねぇ、睡蓮、もう適当でよくない?
いっそ、基地中全部植物園にすればいいのにー。
[きっちりした睡蓮の性格上、そういう訳にはいかないのは十分分かってはいるのだが。
ただ、今回は久しぶりにスイ=レンの方から、歌を聴きたいというリクエストの結果の除草なので、いつものようには愚痴はこぼしていない]
じゃなければ、睡蓮、あのシールド造れない?キサナドの影響を防ぐやつー。睡蓮頭いいから、造れると思うのー。
ねー、これって、グッドアイディアじゃない?
[手をポンと打って、スイ=レンの方を振り向く]
[振り向くと、こちらに背中を向いているスイ=レンの姿が。じっとして動かない]
ね?睡蓮?
[一瞬固まって]
睡蓮?
[そっと近寄ると、スイ=レンが真っ赤な顔をして、力いっぱい歯をかみしめていた。額からは脂汗が流れていた]
具合良くないの?医務室行ける?
それとも、何か持ってきましょうか?
[ローズは少しオロオロした。ついにその時が来たのかと、恐怖に陥る]
[動けそうな感じがしないので、とりあえず、医務室に向かい、点滴などの道具を一式用意して、再度スイ=レンの元に戻る]
点滴用意したわ。そこに横になって。
[持ってきた毛布を敷き、そこにスイ=レンを寝かしつける。点滴をセットして、スイ=レンの腕に刺す。
あれから、何度か注射を行ってきたので、大分慣れていた]
[スイ=レンが、何か言いかけたので、制止して]
大丈夫よ。少ししたら、落ち着くから。
落ち着いてからでも遅くないから。
[宥めるように言う]
大丈夫、わたしはここにいるわ。
[手をそっとスイ=レンの胸に当てると、少し落ち着いた感じがする]
(発作の間隔が短くなってきている…)
[先に逝ったメンバーとスイ=レンの症状には若干の違いがあった。発症からここまで約1か月を要し、しかもここまでは症状が比較的軽い。
なんらかの免疫が生じてきている可能性はあるのだが、残念ながら、ローズの専門外になってしまうので、理由はその程度の推測でしかない]
(こんな時に、キィ=キョウがいてくれたら…)
[そんな思いが巡る]
─ヤ=ナギが逝ってから、ひと月の後・月基地─
いや、あとここだけだ。
……お前な。
基地全部を植物園にしたら、システムが停止するぞ?
そもそも───…
[もう何度目だろう。
半ば習慣のようになった、除草作業を2人で行う。>>36
ヤ=ナギが静かに眠りについてから、暫くのこと。
発病後、小康を保ちながらも、
──緩やかに、ウィルスは身体を蝕み続けていた。>>28]
『──お前の歌が聞きたい』
[そう願ってしまうのも、幾度目のことだろう。>>36
我ながら、懲りないものだと思う。
けれども、彼女の歌。
歌う彼女を眺め、その声を聞く。
それこそが、今の最大の慰めであった。
鈍く続く痛みすら、和らぐような気持ちがする。]
──…コントロール・ルームにまで伸びるとは─…
[言葉が途切れる。
ぐらりと、視界が霞んだ。
熱の塊が喉をせり上がり、呼吸の自由を奪う。
ローズの声が、不意に遠くなった。]
(──…まだだ。)
[無意識に、歯を食い縛る。>>38
ローズの声が遠い。
意識を失わないよう、倒れこまぬよう己を支えるのが精一杯だった。]
(────まだ。)
[まだ、早い。
ローズには、彼女をひとりにしてしまう。
彼女の笑顔を───]
[息が、途切れる]
…………、…。
[ああ、と声を出して頷いたつもりが声にはならなかったらしい。>>39
手早く点滴を用意する彼女に促されて、漸くぐったりと横になった。
固い床の上、肌に当たる毛布が僅かに温もりをくれる。]
────…。
[ろーず、と。
唇だけが言葉を紡ごうと形をつくる。
だが、そっと優しく宥められ、そうして深く息をついた。>>41
細い指が胸元に当てられる。
それだけで、喉元に詰まった熱の塊がほっと落ちていくような心地がした。
───息が、戻る。]
……指。切ったのか。
[彼女の手を取り、指の先に細く切り傷を認める。
除草の際に、引っ掛けたのだろう。
微笑いかけて、その指先を口元に当てた。
傷を唇に含んで舐める。]
もう、今日の除草は──…充分、だ。
──…は。シールドか…。
早く思いつけば良かった。
[頭を巡らせれば、漆黒の空間に青くKK=102が浮かんでいる。
何故だかその姿が、酷く目に沁みた。
恐らくは、もう長くないのだろう。]
そうすれば、もっと──…
[言葉が途切れる。
見れば、彼女もまたKK=102を見つめていた。
青い、青い惑星。生命の星。
───彼女の瞳と、同じ綺麗な色だ。]
(─────…よ。)
[何に祈ればいいのか。
神か。サージャリムか。宇宙にか。
……それとも。]
(─── どうか。)
[転生の希望。未来への希望。]
[けれども──]
(────…彼女を。)
[けれど、いま。]
……大丈夫だ。
[繰り返す。静かに、発作は収まっていく。
──やがて。
終わりのときを迎えるのは、数日後のこと**]
[そして、スイ=レンいや、キア=ラキ=スイ=レンとの別れの時が、刻一刻と迫っていた。スイ=レンはあの発作から、ほとんど寝たきりになっていた]
睡蓮…。
[ここ数日、寝ていない]
二人で、KK-102に行こうね…。
[ぼやけた意識の中で囁く]
[コクリ、コクリと半分寝かかっている。
そんな中、ひとつの夢をみていた]
睡蓮…。
[愛するその男性を呼ぶ。ぼやけた視界…]
ああ、ようやくこの人に出会えた…。
[夢は短く終わる]
[目が覚めると、スイ=レンも薄めを開けていた]
睡蓮、今ね、KK-102で、転生したあなたと会っていたわ。
ようやく会えた…って、転生後のわたしが言っていた。
─私室─
……、大丈夫だ。
お前は休んでいるのか?
[コントロール・ルームで倒れてから数日の後。
熱が引かず、遂には私室のベッドで横になっていた。
この数日、彼女が休んでいないことは容易に知れる。>>56
そして、スイ=レンもまた、意識を失うとき以外は、
時を惜しむように、じっと彼女を見つめていた。
───2人になってから、少し後。
別にしていた部屋をひとつにして、日々を送っている。]
転生後のわたしって、どんなんだろう…?
みんなの顔は知ってるのに、自分のだけ知らないわ。
そうよね、自分の顔って、鏡で見ないとわからないものね。
[どうでもよさそうな話をする。
ここ数日返事のないスイ=レンに、このように一方的に話しかけるローズだった]
────……。
[そうして]
[熱に浮かされ、時折夢を見る。]
(───…おまえ、どこかで─…)
[目を覚ましたときには、忘れてしまう夢。
懐かしさで、不覚にも泣き出しそうになる夢。
彼女も何か夢を見ているのだろう。>>57
頼りなげに傾ぐ白い首を、さらりとかかる青い髪を見つめて指先でそっと梳く。]
──…ああ。綺麗だな…。
[どこか、うわ言に似た答え。
ふと、穏やかな笑みを浮かべる。
夢を見るような目が、宙を彷徨った。]
……KK=102を…見たいな。
[私室の窓の向こう。
カーテンの向こうに、今もKK=102は青く輝いているのだろう。]
綺麗?KK-102ね…?
[KK-102を眺めることのできる窓のカーテンをよく見えるように少し引く]
見える?
───ああ。
[溜息に似て、熱を帯びた吐息が漏れる。]
ここから眺めるKK=102は…、綺麗だな。
[熱に浮かされ、赤く潤んだ目で窓の外を見遣る。
青い惑星が、ぽかりと漆黒の空に浮かんでいた。]
───…お前の、瞳の色だ。
綺麗な、い、ろ──…
────────……ッ!!!!
[身体を折って咳き込む。
ごほりと零した咳を受けた掌が、赤く染まっていた。]
綺麗ね。
[瞳…と言われて、少し赤らんだ]
…わたしたち、あそこに還るのよ。
今、そう思ったわ。皆、あそこに還るの。
[”ツキノムコウヘカエリタイ”スイ=レンのキィ・ワードを思い出した]
────…ローズ。
[ごほ、と咳を払う。
自らの赤い血に構うことなく手を伸ばし、ローズの腕を握る。
瞳は、魂に刻み込むとでもいうように彼女を真直ぐに見つめていた。]
(────…どうか。)
[祈りは、KK=102へと。
うつくしい青い、あの星へと。]
(彼女を───…)
[祈りは光に。
そうして、未来へと──届くだろうか。]
ひとり、には──…
……先に。
待っている、かな、らず──…
………ッ!!
[弱く咳き込む。
もう一度、血を吐く力は残されていない。]
─────…愛している。
俺の、──……。
[言葉はなく、見交わした視線が最後。
そうして、その瞳は永遠に光を*失った*]
睡蓮!睡蓮!睡蓮!…
[何度も、何度も、その名前を叫んだ。転生後も、その言葉を忘れないようにと、祈るかのように]
[30時間後、ゆっくりと動きだし、スイ=レンの身体を引きづりながら、睡眠ルームへ運ぶ。
運びながらも、その瞳からは涙が止まらなかった]
(ついに独りになった…)
[それでも、孤独感はなかった。もうすぐ皆に会えるという期待だけを胸に…]
───
……………
[スイ=レンとキィ=キョウの亡骸の収まるカプセルの間にもたれながら、ローズは何かと口づさみ始めた]
───
……………
[キサナドを口づさみむ]
[それは、長い、長い、キサナドのメドレー。
順不同ではあったが、前編を網羅する長編であった。しかも、それは、何度も何度も繰り返し、繰り返し…。
永遠に終わることのないとさえ思われる叙情詩であった。
やがて、基地内には、植物たちがはびこり、基地内を埋めていく。
それでも、ローズはやめることがない]
[キサナドを歌い続けて3日目、基地内は植物園そのものだった。それでも、ローズは歌い続けていた。
その想いは……
皆が、無事に転生できること。
そして、再会できること]
う…。
[キサナドが途切れた]
ごほっ、ご……
[吐血]
(ようやく、迎えが来てくれた…?)
[思い残すことはなかった]
[不思議な夢を見た]
[夢の中に現れるのは、空の色をした青い髪の少女]
[そして、その少女に寄り添うように。
傍に侍る、私――]
[頬を伝う涙に構う余裕もないほどに。
”私”は彼女を求めていた。
今まで感じていた違和感は、きっとそう。
彼女が、
ここに、
”いない”から――]
─KK=102─
[キア=ラキ=スイ=レンという名の男が、息を引取って何年か後のこと。
──秋葉カホという学生が街を歩く、その時代と時を同じくして>>4:+1、無愛想な青年が一人歩いていた。]
『冬城ーーーーッ!』
[冬城 忍(フユキ シノブ)。
愛想のなさと、どことなく人と距離を置く様子から、友人の数はあまり多くはない。
理系に優秀な成績を誇り、将来は天文工学を目指す学生だ。
…その自室に、青い星のポスターが貼られているなど、ロマンチストとも言える一面を持っているのは、ごく一部の友人にしか知られてはいないことである。]
『お前、早いよ、あっ、これさあ!!』
[賑やかな友人をあしらいながら、足を進める。
何故か昔から、この手の人間にはどうも弱い。]
──…あれ。
[ふと、花屋の前で足を止める。
珍しい色のバラが、どうしてだか一際目を引いた。]
…ブルーヘブン?
[札を読み上げる。
清楚で凛とした、淡い水色の薔薇がすくりと咲き誇っていた。
匂いたつような、青の薔薇だ。]
『冬城、お前ってば花に興味あんのー?』
いや、別に。
『分かった。女の子にあげるんだろー。』
違うと言って……。
[違う?ホントウニ?
魂の奥深いところが、何かを訴える。][けれど]
─────…。
[遠く、空を見上げる。
僅かに目が霞んで、目を細める。
目に沁みるのはきっと、光の所為だろう。
──蒼穹に白く、月の姿が浮かんでいた**]
あなたがどんな姿をしていても、
私は絶対あなたを見つけるわ。
私のサージャリム……。
いいえ、サージャリムにだってあげない。
私の、私だけの……愛し子――
[言葉に出さず、唇だけで彼女の名前を呼んで。
叶わなかった、想いを馳せる。]
今度こそ、あなたのずっと傍に。
[眸を閉じれば、
瞼の裏へと浮かぶ空色のビジョン。]
――……愛してる。
[雨上がりの放課後、柳(りゅう)は文化祭の準備の最中に顧問から突然の呼び出しがあり、部室へ向かってる。]
まだまだやる事あるんだけどなあ。
[部室は校舎の奥に併設されているので、そこへ行くには生徒の群れを抜けていかなくてはならない。]
―あれ、どうしたん? 準備は?
[声をかけてくるのは小学校からの友達。親しい友に声をかけられて柳の目が穏やかに緩み、笑顔を返す。]
なんか、先生に呼ばれてさ。
[へー。と言って友は彼の隣を歩く。友を見るとその方向から光が目に差し、柳は目を細める。友の先には輝く新緑、水滴から光が反射する。]
別に付いてこなくてもいいのに。
[と悪戯に笑うと友も いいじゃん、と同じ笑顔を返した。
部室に到着すると、先生が嬉しそうに柳を迎える。]
―この間の展覧会に出したお前の絵、な。特別賞もらえたぞ。
[驚きのあまりに棒立ちになると、友が彼の背中を叩いて先に喜ぶ。柳は痛いよ、と肩をすくめて照れるように逃げた。
まるで自分の事のように喜んでくれる友に、何か懐かしい気持ちを感じる。]
[文化祭の準備が長引き、下校しようとすると辺りはすっかり暗くなっていた。柳は親友と供にに帰宅する。]
―…おまえ、進学どうするの?
[友が進路について尋ねてくるのは初めてではなかったが、そのたびに決めていなかった訳でもないのに、柳は言葉を濁して答えないでいた。
同じようにしていると今日は友の方から先に口を開いた。]
―俺、いつかあそこに行きたいんだ。
[と、友は夜空に輝く満月を指差した。]
[それはずいぶん壮大な夢だなあ、と柳が言うと、友は「絶対実現する。」とにかっと笑った。
柳も月を見上げて目を閉じる。思い出すのは深い蒼。いつか見た夢の中に佇む、暖かく優しい誰かの瞳。]
…俺ね。やっぱ絵が描きたい。あのくらいの賞じゃまだまだ難しいと思うけど、美大、受けてみようと思う。
[友は柳が答えた事に一瞬驚きの表情を見せ、それから彼の頭をくしゃりと撫で、彼に聞こえないように何か呟いた。]
[柳は親友を振り返り、一瞬何かを思い出したような不思議な表情をさせたが、やがて気のせいかと思い直し帰途に着いた。
月の光は蒼くやさしく、ただ黙って彼らを照らしてた。]
[6(6)回目の呼び出し音でようやく出る]
は、はい、私カホです。秋葉カホ。
ええ、この間のハンカチの人です。
[悪いタイミングに声をかけてしまったかもしれないと少しあたふたしながら3(6)回深呼吸をして落ち着こうとする]
[それから[[1d]]秒後、用件を切り出す]
あの、あの……。
連絡先を教えていただきましたよね?もし完成した時になかなか会えないと困りますから連絡先を教えようと思いまして……。
えーと、この番号にかければ大丈夫です。あとメールアドレスですが……。
[完全にこちらから連絡を取る気でいるように見えるかも知れないが、カホはそれに気付かない]
[それから5(6)秒後、用件を切り出す]
あの、あの……。
連絡先を教えていただきましたよね?もし完成した時になかなか会えないと困りますから連絡先を教えようと思いまして……。
えーと、この番号にかければ大丈夫です。あとメールアドレスですが……。
[完全にこちらから連絡を取る気でいるように見えるかも知れないが、カホはそれに気付かない]
[電話から暫くしての事。]
ショウさん。
[カホの夢の中に出てきた人物が話をしている]
……ショウさん、その……無理にとはいいませんが、出来れば右側に来てくださった方がありがたいです。
私、事故で左の耳が聞こえなくて、左に立たれると話が聞こえなくてわざわざ首を傾けなきゃいけなくて……。
[カホも同様に生まれつき左の聴力がない。それ故の苦労はよくわかる。]
ううん、そうじゃないです……。
[数多くの夢を見てきた中で、何故サフラーの夢をノートに書き記したのか。そして何故それが強く印象に残っているのか。]
サフラーさんの気持ちはすごくよくわかります……何でかって、サフラーさんは……。
[不意にショウとサフラーの会話がまた聞こえてくる]
え、左側に立ってくれれば、ずっと俺の顔を……見ててくれるからって……。
そうですよね。左側にショウさんが立っていれば話は聞きにくいですが、その分ショウさんの顔が見られますから悪くはないですね……。
……そうです。
私は……サフラーさんなんでした。
ショウさんが大好きで大好きでたまらなかった、サフラーさん。
だからだったんですね……夢の中のショウさんに惹かれていたのは。
[カホはこの瞬間、サフラーとして覚醒した]
だけど私には私の人生があります。
ショウさんがいるならば見つけたい気持ちはありますが……今の私はサフラーでは無く秋葉カホです。
[カホが恐れていたのは自分がサフラーになってしまい秋葉カホでは無くなる事だった]
−良かったです。そう言ってくれて。
[目の前にいるのは自分よりも綺麗でかわいい感じのする女性。自分の夢で見たサフラーそのものの。]
サフラーさん、ですか?
−はい、ディ=オシュ=サ=フラ=ワー。そっちの言葉では紅花の意味があって、紅花油は別名サフラー油ともいいますし、地域限定のハンバーガーのお店としてサフラーバーガーなんてのも……。
[このどうでもいい雑学をよく話すのもサフラーであり、そして紛れもなく自分自身だ]
−えーと、何の話でしたっけ……そうそう、初めましてです。カホさん。名前はサーじゃリズムのうんたらで予めこっちは知ってるんですよ。
それはともかくとして。私もカホさんと同じで、カホさんの生きたい道を優先するのを考えてて、私の気持ちを押しきるつもりはありませんでした。
私は生まれ変わってもショウさんと一緒にいたいですよ。だけど、生まれ変わったショウさんが望まなかったり貴方が望まなければそうしろというつもりはありません。
私はあくまでも前世の立場でありますから今の人生にあれこれ口を出したりするのは間違っていまそから。
Mammy?...え?日本に移住?
[父がなくなってから2年、いずれは来ると思っていたが、母から聞いたのは、突然の話だった]
わたしは、ここ(NY)にいたいのにー。
[母は頑として聞かなかった。確かに、最近の母はおかしかった。若干ノイローゼ気味と言えば言えなくもない]
そう…。わかった。
[しばらくの口論の後、真梨亜の方から引いた。このまま放っておくと母にとって、あまりよくないと思い至ったからだった]
[引っ越しの準備は大変だった。女二人の準備はおぼつかない。特に学校を転校する手続きたるや、複雑怪奇。真梨亜にはさっぱりだった。
不幸中の幸いは、カソリック学校である母校に老年の日本人シスターがいて、いろいろと世話を焼いてくれた。
しかし、学期の開始が日本とずれていたり、単位が異なっていたり、申し出が遅かったため、1年遅れての転入の扱いになってしまった。
本来であれば、高校3年を迎える年なのに、また再度高校2年からやり直し。合計で高校生活を4年送ることになるのだが、日本語に慣れるための助走期間と考えれば、無駄でもないかもしれない、そう思った]
[その老年の日本人シスターは、ショーコ・ハマザキと言った。戦後アメリカに移住してきた人である。敬虔な信者であった、父のことも多少知っていた]
『マリア、気をつけてね』
ありがとうございます、シスター。色々とお世話になりました。
[深々とお辞儀をする]
『いえ、向こうに行っても、達者でね』
[老年の女性は、深く刻まれた皺をさらに深くしながらほほえんだ]
では、行ってまいります。
[軽くシスターに手を振って、その場を去った]
『サージャリム様のご加護を…』
[その呟きは真梨亜の耳には届かなかった]
[日本に着いて、しばらく母とホテル住まいを経験し、住まいを探す。母の実家である東京都内に住むことに。
実家には母の両親と母の妹の家族、つまり真梨亜の叔母家族が住んでいるので、一緒には住めない。
市中の不動産屋で実家の近所を探すことに。不動産屋に紹介されたマンションは、いかにも日本的な建物であったが、母が気に入ったので、そこに決めた]
[初夏の風が街を彩る頃、
休学届を学校に出した後、女は一人街を彷徨っていた。
夢の中で出会った少女の名前を唇の動きで紡ぐ。]
……はやく、はやく。
あなたに逢いたい――。
『日本ではね、向かい三件両隣と言って、ご近所さんにはごきちんとご挨拶するものなのよ』
[という母に付き添われ、お隣さんにご挨拶に行く。
向かって右隣が、西村さん。日本語のおぼつかない真梨亜にはちょっと言い辛い名字。仲の良さそうな老夫婦だった。
左隣が斎藤さん。気の良さそうな母親が出た]
『あらま、にゅーよーくから?あらまー遠いところを…。
引っ越しそばですが、あら、懐かしいわね。今時。おほほ。いただきますわー。
うちにもね、お宅の娘さんと同じくらいの子がいるんだけどね、ついこないだ、旅に出る、って、急に学校も休んで出て行っちゃったの。もう、急な話で、わたしも参っちゃったんだけどねー。
もし戻ったら、仲良くしてあげてねー』
[初めての「おばちゃん」に真梨亜も衝撃を受けた]
(こ、これが、噂のオバタリアン…?)
[暫くそうして彷徨った後、尽きかけたお金を取りに家へと戻る]
……今日も、見つけられなかった。
[ぽつり呟いて。
ふと前を見れば、空き家だった隣家に誰か引っ越してきたのか、人影が見えて]
ずっと空き家だったのに……。
この時期に引っ越し…?
[引っ越し後、最初の夜、夢を見た]
『綺麗ね』
[瞳…と言われて、少し赤らんだ]
『…わたしたち、あそこに還るのよ。
今、そう思ったわ。皆、あそこに還るの』
───────────────────────
What?
[起きると、見たことのない部屋]
あ、そっか、引っ越したんだっけ…。
日本かぁ…。
[頭をポリポリと掻いた]
[隣家の話をする母親に適度に相槌を打ちながら、
考えるのは、夢の中の少女の事。]
明日はもう少し遠くまで足を伸ばしてみよかな。
この辺りにはいないみたいだし……。
[ぼそりと呟く。]
……え、なにお母さん。
ごめん、考え事してて話聞いてなかった。
[自分の話を聞いてもらえずに拗ねる母親に、
しれっとそう返して。
明日の予定を簡潔にまとめると、自室へと*戻った*]
−カホさんの生きたいように生きるといいです。
−遠慮しないでくださいね。……カホさんはショウさんにお会いしたいですか?
[サフラーに問われてカホは考える。]
私は……。
[夢の中でのショウの姿を思い浮かべる。優しくてかつ強かった前世でのショウ。
カホもまた夢の中でのショウに惹かれていた。それは自分がサフラーであったからだけとは言えない所はある。
秋葉カホとしてもショウに惹かれていた。]
私も、ショウさんに会いたいです。
サフラーさん、言っていましたよね。生まれ変わっても一緒にいたいって。約束したんですから、最低限の物は守らないといけませんよね。
−そうですか。
−あなたが生まれ変わったショウさんにお会い出来る事を願っています……。
[そうして、サフラーは姿を消す。]
[生まれ変わったショウを何も無い中で探すのは困難である。
しかし、カホにはある確信があった。]
もしかして、あのテツヤさんでは無いでしょうか……?
いきなりあんな事を言われて面食らいましたけど、あの人がショウさんならば説明は付きます。
だけど……テツヤさんにもテツヤさんの人生があります。
無理矢理覚醒を促すですとか、嫌がってるのにああだこうだは言いたくないです。
[それはサフラーの意思にも、カホの意思にも反する事であった
極端な話ただ見守っているだけでも満足であった]
―――自分の、太い左腕に、女が頭を乗せている。
(……、クルシイノカ?)
自分の問いに、女は答えない。
美しい女性だ。そして…、とても大事な女性だ。でも彼女はもう答えない。自分もそれを知っている。
彼女は、苦しんでいた。幸せそうに微笑みながら、それでも熱病に苦しめられていた。…だが、もう彼女は苦しんでいない。苦痛から永遠に解放された。
彼女を、ベッドに寝かした自分は、どこかへ電話をかけた。そして、機械のような声で告げる。
(……イッタヨ)
……それから、机の上にあった、鮮やかな紅い布を取り上げ、左腕に巻く。彼女が最期に頭を預けていた場所。彼女が幸せそうに微笑みながら息をひきとった場所。
そして、布の両端を強く*縛り上げる*。
次の瞬間、頭の中で激情がスパークする。
(……!)
手の届くところにある、ありとあらゆる物を破壊したい衝動が全身を駆け巡り―――
―桐嶋テツヤの自宅、深夜―
うわああぁぁぁっ―――!
[テツヤは飛び起きた。
呼吸は乱れ、全身に汗をびっしょりかいている]
……なんだよ、今の…。あれも夢なのか?
[あのリアルな夢を見て以来、テツヤは似たようなおかしな夢を見ていた。…どれも、他愛のない夢だ。見知らぬ青年と酒を飲みながら(テツヤ自身は飲んだことなどない)訳の分からない話をしていたり、宇宙基地のような場所ででかいリモコンの飛行機みたいなものを手入れしていたり…]
[しかし、今回のは違う。格段のリアルさ。そして、最後に自分を襲った激情と衝動は…、到底夢の中のものとは思えなかった]
……あの、女。何だよ。
確か、他の夢にもちらちら出てきてたような気がするけど…。
[…ふと、左腕を見る。ランニングシャツから出たむき出しの腕には…、赤い布がない。テツヤは、それがひどく不自然に思えた。まるで、皮膚を一枚剥がれているかのような、そんな感じを受けた。
それは、あのリアルな夢を見るたびに強くなっていた]
[思わず、頭を抱え込む]
俺、どうかしちまったんじゃないだろうな…。
あの子…、カホさん。あの赤い色のスカーフ、いつ出来るんだろう。あれがないと…、あれじゃないと、俺、多分、ダメなんだ。
[しかし、それだけ焦れているにも関わらず…、カホから電話がかかってきても、テツヤは無茶な催促はしなかった。出来ているか尋ね、まだと聞いて落胆する。
なぜ、そこで彼女に強く言ったりしないのか…、テツヤ自身、その事に気づいていなかった]
……くそっ!
[汗でぬれたシャツが気持ち悪い。テツヤは手近なTシャツをつかむと、シャワーを浴びに風呂場へ向かった**]
ショウ……さん?
[胸が苦しい。強く悲しみを感じる
それは何なのだろうか。ただわかるのはこれがショウの物であるという事だけ]
もしかして……苦しんでいらっしゃるのですか?
[ショウの苦しみが手に取るように伝わってくる。いても立ってもいられなくなり、テツヤに電話をかけた]
あ……、カホさん。
スカーフは……、そう。いや、いいんだ。できれば早く欲しいなって。
[*悪夢*の事を思えば、それでいい筈はないのだが……、テツヤは強い返答はしなかった。
自分では気がついていなかったが、カホの声を聞いている時には、あの不気味な焦燥感がしなくなるのだ。無意識のうちで、カホが電話をかけてくれなくなる事を恐れていた]
いえいえ。
ところでテツヤさん。
今何か不安な事とかってありますか?私でよろしければ何かお力になれないかと……。
その、何だか疲れているというか大変そうというかそんな感じがしたんです。
知ってる人が辛そうにしてたら、どうしても放っておけなくて……。
[それはカホとサフラー、どちらも今のショウの姿を見て思った事。]
え……、うん、いや、いいんだ。最近、何か夢見が悪いけど。いや、大した事じゃないよ。
なんかさ、俺、君の赤にとりつかれちゃったみたいだ。あれを見てないと、すっごく不安になってさ。いや、もの作るのってすげえ大変だって思うから、せかしたりしたくないけど。スカーフ、早く出来たら嬉しいな。頼むよ。
-授業初日-
[先生からクラスメートに紹介され、一通り自己紹介。名字は母方のを名乗る]
阿部真梨亜です。よろしくお願いします。
[母方の名字を名乗ると、あまりにもベタなので、本当は言いたくはなかったのだが、本名を名乗るのも何か都合が悪いらしく、学校からも、母方姓を薦められた。
それでも、青い瞳はクラスメートの注目を集めた]
(I don't understand at all!!)
[授業開始5分で真梨亜はギブアップした。
日本語がさっぱり分からない。授業をいくら一生懸命に聞いても何を言っているのか分からない。
途中で諦め、外を眺める。初夏の風が吹いていた]
[休み時間になると、案の定クラスメートが寄ってくる。まずは女の子から。積極的な子が一人、質問係に]
『ねー、NYって、どんなとこ?』
『ハーフなの?』
『生まれはどこ?』
『いま、どこに住んでんの?』
会話程度であれば、聞き取りは大丈夫なので、意味は分かるが、返答が若干たどたどしい。
NYは、東京と変わらない。あんまり。もっと…きたないけど。
ダディが、ユークレイニアン…ウクライナ系の…アメリカン。マミーは日本人よ。
日本生まれで、5歳にNYに。
[質問の応酬にも気にはしない]
住んでるのは、そこのマンション。
[そう言って指をさす。学校からは目と鼻の先]
[男の子は当初遠目で見るだけだったが、昼休みには少しづつ近づいてきて、話に交わるように。ローズを囲んでほとんどのクラスメートが集まる。
それは、まるで花に群がる蜂の集団のようでもあった。
やがて、下級生に青い瞳の転校生が来たという噂は学校中に広まるだろう**]
[───それは───夢───]
『──、……綺麗だな。』
[夜明けの光と共に、消え失せる…]
『───…お前の、瞳の色だ。』
[はかないゆめ]
─自室─
………っ!!!
[ハッとして、目が覚める。
目覚まし時計が時を知らせるまで、まだ少し。
カーテンの向こうは既に、仄かに明るい。]
な、に……
[心臓がどきどきと鼓動を響かせる。
酷く切迫したような、焦りに似た感情。]
────……。
[ぽたりと、気がつけば涙が頬を濡らしていた。
慌ててそれを拭う。
ぽたり、ぽたり。
空白の記憶の中、感情だけが前を走る。]
なんなん、だ……?
[流石に今まで、このようなことはない。
ふと、壁を見上げる。
カーテン越しの光に照らされて、青い星が浮かび上がっていた。]
『──綺麗ね。』
[幻聴。
ふと、何かの気配が掠める感覚。
それは掴むより早く、するりと脳の片隅を駆けて逃れていった。]
くっそ……。
[がしがしと髪を掻き混ぜる。
もう、寝直す時間でもない。
諦めて布団に別れを告げて、その日はいつもよりも少し早く登校をした。]
─学校─
『なあなあ、聞いたか?』
『───転校生の噂!美人だってよ!!』
『帰国子女かあ……』
[校内が(主に男連中だったが)妙にざわめいている。
2年生、1級下に青い目の帰国子女が転入してきたのだという。
どうやら、校内はその噂で持ちきりなのだ。
───暇な奴らだ、と眺めて参考書を広げ──]
『おーい、冬城!!』
『お前さあ、本当に冬って感じだよなあ。もっと笑え、笑え!』
『はあ?!ばあか、参考書より、大事な青春があるってーの!』
[べし。と、背後から叩いてきたのは、同級の友人だ。
性格のまったく異なる男だが、将来の話だけは妙によく合う。
物理方面に強い、優秀な男であるの、だが。]
『そんなんじゃ、月までだって行けないぜ!!』
[いつものポーズ。ぴっと真っ直ぐ、天を指す。>>103
妙な男である。
隣クラスの柳という大人しい男とも、随分仲良くしてるらしい。>>102
まるで似てない友人関係は、妙に人目を引いているのに、
──どうやら当人達だけが気付いていないようだった。]
『で、だ。気になるだろ?例のさ、下級生。』
『年は同じだって話なんだよな。何よりも美人ッ!!!』
『なーなー、一緒に行こうぜ。つきあえよーー』
……………、お前な…。
[軽い頭痛をおさえる。
今朝方の妙な夢で、それでなくとも調子が出ない。
妙に落ち着かない。
だが、断っても断りきれるものでも、どうやらなかった。
こんな時の友人の勢いには敵わない。]
(……やれやれ)
[目立たぬよう、そっと息を落とす。]
見るだけだからな。?
───ほら、それじゃ行くぞ。
さっさと済ませて、戻りたい。
[諦めて席を立つ。
───先手必勝。
要は付き合ってしまえば、文句もあるまい。
友人を従える格好で、さっさと2年生の教室方面へと歩を進めると、
どうやら目当ての人物の周りには、既に人垣が出来ていた。>>146]
…………。見えないな…。
[呆れたように口にする。
暇人が多すぎるだろう。
偵察も何も、あったものではない。
そう──、決め付けかけた。]
[そのとき。]
──────────ッ!?!!
[人垣が途切れた刹那。一瞬青い瞳と視線が交わる。
───あおい、あおい瞳の色がふと胸を突く。
…は。と漏らした息が、酷く遠く感じた。]
(───カナラズ…)
『………?おい、どうした?冬城?』
『おーーーーーーーい。』
[怪訝そうな友の声に、ハッとする。
なんでもない、と首を振って返す。
なんでもない、と自らにも再び繰り返す。
その時は、まだ何も気付いて*いなかったのだ。*]
[放課後になると、クラスメート以外に他のクラスの男の子達も揃い始めた。中には上級生も混じっているらしいが、真梨亜には区別はつかない]
[放課後になっても、周りを囲むクラスメートは減るどころか増える一方。それでも、真梨亜はあまり気にしない。
アメリカでは、人を囲んでの話し合いは日常茶飯事。逆に無視される方が堪えたかも知れない。
話題は豊富だった。NYの話、アメリカ人の話、そして、父のh話等々、どれも、日本人の高校生にとっては興味をそそられるらしい]
『こらぁ、いつまでクラスにだべってんだー?帰れ、帰れー!』
[ある教師がクラスに入ってきて、注意した。
クラスメートの一人が、「ね、一緒にミスドいこー」と誘い、真梨亜は、「ミスド?」と疑問符を投げかけつつ、そのクラスメートについていくことに。数名の女子生徒もそれについて行く]
[なんでもない。
もう一度心に呟き、踵を返す。
教室への帰りは、酷く無口だった。]
────……。
[青い瞳を、ふと思い出す。
何故だか、壁に貼っている青い星の姿を思い出していた。]
[「ミスド」はドーナツ屋だった。NYのドーナッツプラントが懐かしい。スタイルの違いに少し戸惑ったが、甘い物好きは、万国共通らしい。すぐに慣れる]
[結局クラスメートが真梨亜を放免してくれたのは、それから5(6)時間後。自宅に着く頃には暗くなっていた。
母にはメールしておいたので、心配はしていなかった]
[帰りがけの道すがら、ふと、道ばたの植木に目をやる真梨亜]
日本は、植物も顔つきが違うのね…。
Hello.
[なんとなく呟いている]
[すっかり身の入らなくなった参考書を諦め、自習室を後にする。
3年生、もうこの時期に遊んでいるわけにも当然いかない。
───そのはず、なのだが。]
……ったく。
[落ち着かない。
そんな気分に顔を顰めて、前髪を掻き揚げる。
家へと向かって、いつもの道を歩いていた…その時。]
───…ん?
[また、昨夜の花屋の前で足が止まる。
ブルー・ローズ。
水色にも見える、淡い青の薔薇の花。
立ち止まって眺めていたら、店員に声を掛けられてしまった。
已む無く数本を購入して、家へと持ち帰る。
珍しい息子の姿に、母が仰天して何事かと随分問われた。]
Hello、って言っても、分からないかなー?
日本の植物だと…。
[含み笑いして、独りごちる。ふと、周りを見回す。誰もいないのを確認して、帰路につく]
『おかえり』
[母が先に帰っていた]
ただいま。
『どう?新しい学校は?』
ん。大丈夫。友達もたくさんできた。
[今日の出来事を説明する。聞いて、母も少し安心したようだ]
(───…歌を。)
[青い瞳に、同じ色の髪をウエーブさせた女性が悪戯っぽく微笑む。
きらきらと輝く瞳が、とても魅力的だ。
彼女の額には──赤く、何かの印がある。]
(うたを、きかせて───)
『…ね、睡蓮って呼んでもいい?』
(──ローズ)
<花の名前…?>
『そうね、ローズの方が、響きが好き。』
(………きっと、綺麗な花だろう)
<何を言っている?>
『ローズ…』
[誰かに呼ばれた気がした。しかし、振り向いても、誰もいない。しかも、ローズって…誰?
未だに時差ぼけで眠れない]
─翌朝─
[登校して、ぐったりしていると友人に心配をされた。
元気がないと言われて、よもや夢見が原因だともさすがに言えない。]
っさいな……。
[教科書を開いても、不意にあの夢が蘇る。
───睡蓮。
そう呼びかけられたときに、妙に強い確信があった。]
(あれは───……自分だ。)
-翌日-
[少し睡眠不足のまま登校]
おはよう。
[クラスメートに挨拶をする]
『おはよう』『おはよう!』
[今日も朝から皆は元気がいい]
[授業は相変わらず意味不明の説明。それでも、時々隣の子が科解説してくれながら、フォローをしてくれるので、昨日よりは分かりやすい]
ありがとうね。
[隣の子に礼をする]
…………。〜〜〜〜ッ!!
[苛立ったように頭を押さえ、参考書をばさりと閉じる。
青い瞳。青い星。
醒めても、どちらが夢なのか──現実感が増していく。
奇妙な程の現実感。]
(あれは──…)
[──”彼女”の青い目。
あれがきっかけだ。
確信がある。
何度考えても、何度辿りなおしても結論は同じこと。]
-お昼休み-
[クラスメートの女の子達とお弁当を食べている。アメリカでは弁当というのがなかったので、おもしろいやら、めずらしいやら]
[しかも友達のお弁当の中身との違いなど、興味は尽きなかった。
また、友達からは、またアメリカ話をせがまれ、色々話をする]
あー……。
[勢い良くやってきたまでは良かったのだ。
だが、いざとなると何をどうしたら良いものだか対処に困る。
帰宅部であるから、後輩に知り合いの居るわけでもない。
結局、酷く中途半端に廊下に佇む形となってしまった。]
(……怪しいよな。)
[このままでは、流石に怪しい。
まだ注目を浴びてはいないようだが、校章の色で学年などすぐ分かる。
───人目に立つのは、避けたかった。]
ちょっと、WC…。
[「お手洗い?一緒にいくー」という友人を伴って、教室を出る。その際、廊下をうろうろする男子生徒を目撃するが、気にしない。
友達が、「あれ、上級生よ」と、声をかける。「真梨亜狙いじゃない?」と]
やだ、なに言ってんの…。
………ッ
[不意に、目指す相手が廊下へと出てくる。
咄嗟にそれへと声を掛けられず、再び軽く額を押さえた。]
何やってるんだ……?
[呟いた声は、周囲には聞こえないほど。
何やら背後から、華やいだ囁き声が聞こえた気がして居心地も悪い。]
[帰りがけにも、まだその上級生は廊下にいた]
『やだ、まだいる…』
[友人が囁く]
やめてよ、そういう言い方…。
[友人と教室に入る]
────…。
[苛立ちが表情を険しくさせる。
2人連れの女子生徒が戻ってくる。
それへ、──ぎろり。と、鋭い視線を向けて立ち去った。
一瞬青い瞳が視界に入ると、更に表情は硬くなる。]
『なんか、さっきの上級生、睨んでたわよ…』
[友人が他の女の子に言いふらす]
『えー。大丈夫?』
[なんだか話が違う方向に行きそうになるのを]
ちょ、ちょっと、やめようよ…。
それで、さっき、何の話だっけ?
[話を逸らす]
[真梨亜の脳裏に、一瞬、何かがフラッシュバックした]
…。
『でね。…真梨亜?真梨亜?』
あ、ごめん、えっと、なんだっけ?
『だからー…』
───…俺は一体、何やっているんだ!???
[教室へと戻り、酷く不機嫌な表情で参考書を睨む。
ばら。と、不自然にページが捲れそうになるのを咄嗟に手で押さえた。
ばし!と紙を叩く音に、幾人かの視線が向けられる。]
くっそ……。
[物理を手に取ろうが、幾何を手にしようが目が滑る。
手にしたシャーペンを、やる気なさげにくるりと回した。]
(────…リム様の……)
[ぱらぱらと捲ったのは、物理の教科書。
片隅に、この青い惑星の写真が掲載されている。]
(………の、瞳の…)
[時折、パシッと何かが脳裏に触れる。
そうして、常にあの青が心の隅に引っかかり続けていた。]
──…ったく、冗談じゃない。
[頭をごつ、と叩いて参考書を仕舞いこむ。
深々と溜息を落とし、席を立った。]
『おい、お前大丈夫かー?』
[友人が心配して声をかけてくるのに、ただの頭痛だと返す。]
───……。
[結局のところ、名前すら知らない下級生だ。
再び深く息を落とし、そうして学校を*あとにした*]
[今日も夢の少女を探して回った後、ふと学校へふらりと寄って]
あ、そういえば……ロッカーにカード起きっぱなししてた、かも。
[ぽつりと呟くと、私服のまま校内へ。
教室のある棟へ向かう]
[数日ぶりに会うクラスメイト達に捕まり、帰国子女の話を聞いて]
ふうん……。
こんな時期に物好きね。
[興味なさげに呟いて、ロッカーに置きっぱなしだったカードを手に取り、財布へとしまった]
[適度に会話を楽しんで。
教師に見つかる前にと、その場を立ち去るだろう。
途中なんとなく足が向いて。
向かう先は――+表+
表:下級生の教室
裏:裏庭]
[なんとなく気が向いて向かった下級生の教室棟。
教師に気づかれない様に足音を殺しつつ、なんとなく廊下の窓から中をのぞき見て]
帰国子女、ね……。
ほんと、物好き。
[季節外れの転校生に向けたものか。
それともその転校生がいる教室棟へ来てしまった自分に向けたものか。
自分にも判らないまま、呟いた]
[覗いた先の教室には、
誰よりも熱心に授業を聞いている(ように見える)少女がいて。
その様子を、夢の中の少女と重ねてしまうだろうか]
そういえば……あの子もお勉強の時はあんな感じだったっけ。
判らないのを無理して、聴いて。
……なつかしい、な。
[ぽつり、小声で呟いた]
[しばらくそうして見つめいてると、終業の鐘が鳴る。
教室から出てくる少女を見詰めて――]
――…ローズ?
>>208
[すれ違った上級生が何か呟いたが、何を言ったかは聞こえなかった]
『でねー。あそこにさー…』
[友達が話しかけてくる]
[呼び止められて、振り向く]
…?
[いきなり手を取られて、びっくりする]
な、名前?
真梨亜…。です…。
[急だったので、思わず、正直に名乗った]
あ、ごめん……。
[ぱっと手を離して]
探してる人に、あなたが似てたから……つい。
[恥ずかしそうに視線を反らして、頬を指でなぞる]
探している人…?
[離された手が宙に]
そうなんですか…。
[そう言われても…とは思う。
友達が、真梨亜の袖を引っ張る。構わないで行こう、とのジェスチャー。確かにこの上級生の態度は何か変なところがある]
じゃ…。
[軽くお辞儀をして友達とその場を去る]
――でも、見つけた。
あの子を。
私のサージャリムを。
この惑星(ほし)で、あなたとの約束通りに。
[立ち去る背中を見つめながら呟く声は、誰の耳にも届かないけれど。
ようやく巡り合えた喜びに、自然と涙が頬を伝い*落ちた*]
『真梨亜って、男子だけじゃなくって、女子にももてるんだね…上級生にも…』
[友達が冗談めかして言う]
やだ。ただの人違いでしょ…?
[そうして、また友達とミスドでダベってから帰宅することに**]
―――山に、彼女と登った。
山師の親父を持った自分は、山に慣れっこなのは当然だ。大学の夏休みを利用して、実家近くの山で登山のガイドをするのは、いい小遣い稼ぎになった。
彼女は山に慣れてない。大学の夏休みを利用して、高山の植物を研究しに来た、という彼女に真新しく頑丈な服や靴はまるで似合っておらず、足取りは危うかった。
(…インキナオンナダナ)
それが、第一印象だった。
だが程なくその印象は変わった。
(ナンダ、ワラウトカワイイジャナイカ)
二人で山に入り、珍しい植物や美しい花を見ると、彼女は無邪気にはしゃぎ、よく笑った。
そして、数日を共に過ごすと、さらに複雑な印象を抱かせた。
彼女は人前では表情を見せない。
でも、山に入ると、周りに人がいなくなると、彼女は途端に表情豊かになる。
(インキナンジャナイ…、コッチガ、ホンモノノカノジョダ)
研究といいながら、ありふれた紅い花を摘み集めて楽しそうに笑う。
この楽しげな表情が本性でない訳がない。
あの、沈んだ影のような表情こそが、本来の彼女を覆い隠してしまう仮面なのだ。
(モット、ワラワセテミタイ…)
どうすれば、人前でも彼女は笑えるようになるのだろうか。
柄にもなく、そんな事を考えるようになった―――
―桐嶋テツヤの自宅―
[静かに目を覚まし…、まず深々とため息をついた]
…あのよお。俺にどうしろってんだよ、これ。
俺に、その銀髪の女を探せってのかよ。
[さらに、軽くため息を一つ。そして、ガリガリと右手の指先で頭を掻き]
どう見たって外人じゃねえか。世界中から、女一人探せ、ってか?
それに、…やっぱ、大人だよなあ。ちっこく見えるから、何か微妙な気分だけど。会ってどうすんだよ。クエスト出すなら、もうちょっと目的を見せてくれっての。
とは言え、なあ……。
このままじゃ、本当にどうにかなっちまうよ。
[何気ない仕草で、枕元から赤いハンカチを取り出す。
―――それが目に入った瞬間、さっきの夢の一シーンが目前に蘇った。紅い花を摘み集めて楽しそうに笑う、あの銀髪の女性が]
……なんだ?
どうしてカホさんのハンカチで、さっきの夢が…。
これ…、何か、関係があるのか?
[電話はいつもカホがかけて来ていた。テツヤにしてみれば、スカーフの出来上がりを待っている訳なので、自分からカホに連絡をとっても意味はない。せいぜいが催促だが…、なぜか、テツヤはそれをしたくなかった]
[しかし、この悪夢と関係があるならば…]
…カホさん、もしかして、あの銀髪と知り合いだったりすんのかな。染物の師匠だとか。
でも、あの銀髪…。
[テツヤの表情が暗くなる。これまでで飛び切りの悪夢>>131が頭に蘇ったのだ]
絶対、死んでるよな…。多分、病死だと思うんだけど。
こんな話…、特に親しいって訳でもねえカホさんにしていいもんかよ。
[…結局、頭を抱えてベッドに寝転がる。
しかし、この時初めてテツヤは、秋葉カホと夢の中の女性との間に何らかの繋がりを*感じた*]
─教室─
『おい、冬城ー。そんなんじゃ受験、落ちるぜぇ?』
[落ち着かない風を察してか、友がにやにやと笑う。
それを適当にあしらい、参考書に何度かトライしたところで諦めた。]
───ダメだな。帰る。
『はいはい。またな、忍ちゃん。バーイ。』
[手を振る友人に、手を挙げ返して教室を出る。
陽の落ちかかった路上、夕刻。
街には、まだ楽しげに談笑する制服姿が混じっていた。
今しも、下級生だろう。
黄とオレンジの、明るい装飾を施した店から女生徒たちが出てくる。
見るともなしに、それを見て歩いていた。]
─帰宅路上─
『じゃあ、またねー!』
[彼女たちがそれぞれに散っていく。
そのうちのひとりと、少し同じ方向に歩いた。
それだけ、のはずだったのだが──]
………?(なにをしてるんだ)
[いきなり、路上で植物を熱心に眺め始める。
それだけではなく、なにやら語り始めたではないか。
宗教かも知れない。
怪しげな風景に、少し距離を取りかけた──その時。]
お前──…
[大股に歩み寄る。
無愛想に真剣な表情を浮かべ、彼女からは怖くすら見えるだろうか。
そのようなものに、頓着している暇はない。]
…お前、前に会ったことないか?
[───遠い、夢が交錯する。>>4:50]
──────!
『……先に行ってるよって、言って。』
[誰かの声。
目前の少女と同じ、青い瞳が此方を見つめてくる。]
………、ずっとアメリカか?
日本にはいなかったのか?だから……
(───チガウ。)
[何かが、胸の奥で呟く。
深く溜息が落ちた。]
──冬城 忍だ。
[名を問われれば、そう答える。
彼女の名を聞き、その時は僅かに眉を上げた。]
Ave Mariaか……。
[ふん、と軽く頷く。
そうして、彼女が逃げなければ少しの間会話を重ねただろう。
帰宅後。
忍は、いつになく気分が明るくなっていることを自覚した**]
ローズ…。
[優しく触れられた手が、愛情いっぱいに自分の中に溶け込んでいく…]
キィ=キョウ…。
[見つめるその眼差しに感じるのは、どこか、遠い、それでいて近い記憶。
母に感じる、親友に感じる、そして大切な人に感じる、それであった]
『私のサージャリム……愛して、るわ……。』
『――ずっと、一緒。
私の魂は、ずっと貴女の傍に。』
待って、キィ=キョウ!置いていかないで!
[キィ=キョウと呼ばれる女性が遠ざかっていく。そして、それを必死に追おうとしている自分。やがて、その姿は消えていく]
『キィ=キョウ!しっかりして!
目を覚まして!逝っちゃやだー!』
[しかし、何もかもが懐かしい、そう感じる夢であった。懐かしくもあり、悲しくもあり、そして、愛しくもある、そんな夢だった]
>>228>>229
[ミスドを出ると、自宅に向かう道すがら、また植物たちと会話をする。
ようやく日本の植物にも慣れ、なんとなく意思疎通ができるようになっていた。
まさか、誰かに覗き見されているとは知らずに]
>>232
[いきなり、手を捉まれる。ふと振り返ると、無愛想な顔が。少し恐怖に感じる]
(昼間の上級生?)
『…お前、前に会ったことないか?』
What? What're u talkin' about?
[驚きで、思わず英語がでてしまう]
あ、いえ…、わたし、5歳からずっとアメリカなので…。それ以前に?
[それはないと言われ]
私も最近こっちに、引っ越したばかり。会ってれば、分かる。と思う。
あの、それより、手、離してください。
[ごめん、と言って、手は離すだろう。ちょっと手首が痛んだ]
あの、どなたか人違いでは、ないですか?
[つい先ほど、別の女子上級生にも似たような聞かれ方をされた。多分、自分に似ている人がいるのかも知れない]
あの…学校のセンパイ、ですよね?
[その男はフユキと名乗った。相変わらず無愛想な、表情。返しに名前を問われ]
阿部、真梨亜です。
[と、答えると、一番発音してほしくない方法で発音され、ちょっと恥ずかしかった。
その後、矢継ぎ早に質問を投げかけられ、困惑しながら答えいく。正直すぐにでも離れたかったが、その真剣な眼差しがそれを拒んだ。
しばらく、その応酬が済むと、男は満足したように、軽くだけ挨拶して、その場を去っていった]
What's the hell...?
[真梨亜は、困惑のまま、呆然と、あまり良くはない言い方で、その男の後ろ姿を眺めていた]
[テツヤの電話を受け、一生懸命に急いでハンカチを完成させる。電話ではなんとも無さそうにしていたが、とてもではないがそうは見えなかった。
何となく、というか勘のようなものである。]
あの人を安心させる唯一の手があるとしたら……このハンカチしか無いんですから。
(>>238の続き)
[朝ご飯を食べながら、今朝方見た夢と、昨日の不思議な上級生二人を思い出す]
何だったんだろ…?
[二人に何らかの繋がりがあるようには思えない。
ましてや共謀して何かをしようとしている訳でもない。
しかし、何か共通するような雰囲気があるのは、何故かしら、真梨亜の感じるところだった]
マミー。わたしって、5歳の時に、NYに行ったんだよね?
『そうよ。どうしたの、今頃?』
その後、日本に帰ってきたことある?
[母は不思議そうな顔をしたが、ない、と言った。そして、何度か聞いたことのある、夫婦のストーリーと、渡米に至った経緯を話した。
結果、何度聞いても、あの二人と以前に会ったことがあるとは思えない。子供の時に会ったとしても、お互い覚えているわけもなく]
『あ』
[と言って、母が口を閉じた]
どうしたの?
『あのね。あなたには言ったことないかも知れないけど…』
[と前置きして、母は、過去に一度だけ不思議なことが起こったと言った。
それは、真梨亜達がNYに着いてしばらくした時のこと。真梨亜がしばらく、ホームシックにかかり、毎日のように帰りたい、帰りたい、と駄々をこねたことがあった。
そんなに日本に帰りたいのかと、聞くと、違う、とにかく帰りたいとの一点張りだったという。
そんなある日、NYのアパートの部屋から、真梨亜が忽然といなくなった。焦った母はあちらこちらを探し回り、警察に連絡しようと思った矢先に、元居た、居間に戻っていたのだと。そして、どこに言ったのかと聞くと、
「月」
と答えたのだと言う]
[不思議な話であった。作り話なのかと思いもしたが、母はそういった冗談を言うような人ではない。ということは本当だたのか…。
母は、多分どこかにかくれんぼしていたのだろうとは言ったが、未だにそのことを覚えているということは、未だに納得はしていないのだろう。
昨日今日の出来事がなければ、真梨亜は気にもとめなかったであろう]
月…?
[そう言えば、今朝方と、引越当日に見た夢の中では、基地らしい場所から、KK-102と呼ばれる惑星を見ていたような気がしていた。
それこと、まさに、いま、真梨亜たちが住んでいるこの星だとは、まだ気がついていない。しかし、何か結びつくものがあるような、ないような、そんな不思議な感覚をもった]
じゃあ、学校行ってくるね。
[そう言って、真梨亜は、毎朝恒例の、部屋の中の観葉植物への挨拶をしてから、玄関を出た。
その様子に、母は目を薄めて微笑んで、真梨亜を送り出した]
[玄関を出ると、隣の斎藤さんのオバチャンとばったり出会った]
『あら、真梨亜ちゃん、登校?いってらっしゃい。
あ、そうそう、うちの娘がね、帰ってきたの。で、また学校行くって言い出してね。今度紹介するから、仲良くしてあげてね。今日は早く出るって言って、先に出ちゃったもんだから』
[真梨亜は、苦笑いして、わかりました、と言って別れた。まさか、昨日声をかけられたのがその「娘」だとは思ってもみない]
[登校途中。昨日、あの上級生、フユキに植物たちと会話しているのを目撃されたので、今日は我慢して歩く。
ときおり、「おはよー」とか声をかけられると、つい答えたくなるが、心の中で返答するにとどめる。
まもなく学校に着くだろう]
[学校に着くと、友達が声をかけてくる。未だに真梨亜の周りには人が寄ってくる。NY時代もそうだったので、真梨亜にとってはごくごく当たり前のことであった]
[それから暫くして紅花染めのハンカチが完成した。]
ふぅ……お気に入りの色を出すのに苦労しましたけど、でもこれであの人も気に入ってくれると思います。
[とても美しい色に染まったハンカチ。今までの中でも一番で気が良かったとカホも自称しているほどだ。]
綺麗ですね……。
[ふと、それを見てかつてのサフラーの願いを思い出す]
そうだ、ショウさんに渡したかった物でした。
KK=102の綺麗な綺麗な色の染物をショウさんに渡したかったものです。
─自室・夜─
[───夜は、不思議な夢を連れて来る。]
『兄は多分、僕に皆を会わせたかったんだと思いますよ。
特に、スイ=レンさんとショウさんに。』
(お前は……)
『…スイ=レンさん…あなたに…僕のキィ・ワードを…預けます。』
[───何故。
何故、彼は微笑めたのだろう。
何故、そんな風に思ったのだろう。
───何故、俺たちは再び出会ったのだろう。]
(───ヤ=ナギ…)
[2つ年下の青年の面影。
彼が最後に遺した、一枚の絵。
その面影が、もの静かなひとりの少年の上に重なった。]
『……愛してる。』
[KK=102と同じ色の瞳が、美しい宝玉のようだと思った。
空色の髪が光を受けて輝くのが、眩しかった。
透き通る声が紡ぐ歌を、永遠に聞いていたいと思った。
柔らかな声が、自分の名を呼ぶのが酷く愛しかった。]
(───どうか…。)
[遠い祈り]
(───どうか、彼女が独りで泣かないよう……)
[美しき、青き惑星《KK=102》へと願う。
───彼女を、見守って支えてください。]
[深く、深く息をつく。
思い返すのは、困惑を含んだ美しい青。>>242
けれども表情は浮かず、再び長い息が零れた。]
……やっぱり、KK=102の物は違いますね。
[サフラーの研究では、この紅花がどこからの起源の物であるかはわかってはいないが、KK=102の物の方が色が綺麗である事はわかっていた。
それをショウに見せられなかったのが、心残りの一つにあった。だからこそ、出来上がるまでに時間がかかったのだ。]
中々この色、出なかったんですよ。
……だって、人にプレゼントする物ですから、いい加減な気持ちでは作りたくなかったんです。
それに、ショウさんに渡す物ですし。
―――どこかの研究所。
おい、なんだよ。ずいぶん可愛い嫁さんもらいやがって。
クマとリスの夫婦、って奴かあ?
目の前の友人がからかってくる。
一言で言って、奇人だ。
外出するとき、帽子を被るようにピエロの面をつけて出歩くような、別格の大ばか者。
……だが、本当に肝心な時には、頼れる。
ギリギリの決断を一緒に渡ることが出来る。そういう男だ。
サ=フラ=ワー、さん、ね。へえ。初めまして!
俺はですねえ…。
(…オマエハ、ヨケイナコトヲイウンジャナイヨ)
何をおっしゃる。いいじゃないですか。
ちょっと挨拶するだけですよ、旦那。
─学校・朝─
[登校すると、クラスの前に珍しい姿があった。
その姿にふと目を細め、声をかける。]
───柳?お前、どうした。
[知らぬ仲ではない。
友を──かつてのランを挟んで、軽い雑談くらいは今までにも交わす仲だ。]
ん?あいつか…。
……寝坊でもしたんじゃないか?
[その彼を探しに来たらしい。
はは、と笑う姿は──夢で見た、あの肖像と同じ姿。
短く沈黙した冬城に、柳は不思議そうに首を傾げた。]
あ、いや。すまない。
…あのさ、柳。突然で悪いんだけど…さ。
柳って、夢はみるか?
[夢?と首を傾げる。
おかしなことを聞いてしまったか、と口を開く前に、
柳は思慮深げに、静かな口を開いた。]
―桐嶋テツヤの自宅―
[テツヤは、自宅で目を覚ました]
…ふう。
何だ、あのピエロの大バカは…。あれがダチ??
……とは言え、あいつ、助けられたな。
ようやくクエストに特上のヒントがきやがった。
…へえ、お前美大を受けるの?
いや、おかしくなんかねぇよ。
お前の絵、いいと思うぜ。俺は好きだな。
素直で、明るくて…なんか、お前っぽいし。
[夢、をストレートに解釈したらしい。
素直に将来の夢を口にした彼に、目を細める。
───彼は、未来を見つめている。]
ふうん、そうか。
……あ?ああ、俺は宇宙工学志望のままだけどさ。
ああ、あいつは月に行きたいって言ってんだろ?
ったく、少しは悩めっての。
[あはは、と明るい笑い声が弾ける。
それじゃあまた、と挨拶をする。
隣の教室へと戻る柳の姿に、前世の話など無用のもの思えた。]
『一人きりにしないでね…。』
[楽園では、友がいなかったのだと言っていた。
キイ=キョウ一人が、友人だったと言っていた。
一人になりたくないと、泣いていた。
寂しさに怯えてすらいるようだった。
───最後に願ったのは、]
(──…彼女が独りで泣かないように。)
───…今は、違うな?
[友人と笑い合う、今の彼女の姿が浮かぶ。
楽しげに笑い合う今の姿に、悲しみの影はない。
本当は同い年なのだと言っていた。
──ならば、願いは既に叶ったのだろう。]
(───… ロ ー ズ ……)
(───…阿部、真梨亜……)
[過去と現在、交じり合う魂がひとつの名を呼ぶ。
ふと、自嘲めいた笑みが口の端に上った。]
──碌に知りもせずに、か?
[かわいい娘だと思う。
綺麗な声だったと思う。
けれども、今。
阿部 真梨亜の、一体何を知っているというのだろう?]
サ=フラ=ワー…。多分、あの、銀髪の名前だ。
あの、俺が乗り移ってる、みたいな、あのぶっとい腕の野郎が、ええと…。
[長い、聞きなれない語調の名前。しかし、一度聞いただけのその名前は、テツヤの口からするっと出てきた。…まるで懐かしいもののように]
ディ=オシュ=ホウ=ビ=ショウ…、だった。うん、間違いない。
[テツヤがショウであると決まった訳ではない。
しかし、電話の度にどこかハンカチを気にしているような様子はショウのものなのではないかと思わせる。
そして、催促できる立場であるにもかかわらず、自ら出来ないかと全く催促に来ないのはショウの不器用な所もある優しさらしいと言えばらしい。]
催促すれば急いじゃうとか、負担をかけちゃうとか考えたんでしょうかね……全然そんな事は無いのですが。
寧ろ逆に、待たせてしまった事でテツヤさんをがっかりさせてしまったのではないかと……。
テツヤさん、喜んでくれるでしょうか。
[携帯電話を取り、テツヤに電話をかける]
[ぼんやりしていたところへ、携帯が鳴る。>>281 …なぜか、とる前から予感があった]
あ、カホさん。どう?新しいハンカチ…、出来たの!?ホントに?
すげえや!
遅い?そんな事ないよ。ホント、サイコー!
で、さっそく取りに行きたいんだけどさ。どこ行けばいいかな?
[テツヤは、カホに(どこか適当な)待ち合わせ場所を聞いた]
…あ、そうだ。それからさ。もう一つカホさんに聞きたい事があるんだけど。
[やはりこの報は喜んでくれたようだ。
まだ渡してすらもいないが、実際に喜んでくれている声を聞くと嬉しくなる]
そう言って頂けるとは、作った甲斐がありました。
私のようなものでよければ是非に……。
ごめん、突然へんな話で悪いんだけどさ。
カホさん、サ=フラ=ワーって女の人、知ってる?銀髪で、外人の人なんだけど。
…いや、ごめん。大した話じゃないんだけど、もしかしたら知り合いかも、って思ってさ。
じゃ、俺すぐ行くから。そこで会おうね。また後で!
惑星学者 オク=テ=キー=ローズは、生物植物学者 ディ=オシュ=サ=フラ=ワーさんに、感謝感謝!ありがとー!ショウ(テツヤ)さんとお幸せに!
えーと、待ち合わせの場所については……。
[考えて思いついたのは、通学路の途中にあった最初にショウの姿を見かけた場所。
校門でも良かったのだが、そうしなかったのは校門は他の生徒が居るためその目が気になってしまうというのもあった]
待ち合わせは……最初にショウさんとあった、あの場所にしませんか?校門でも良かったんですが、そこは人が多そうですし。
[やはり少しは人目を気にしているようだ]
……えっ?
[電話の向こうで意外な名前を聞く>>286。もしかしたら、とは思っていたのである程度の予感はあった物の、実際に聞くといきなりの事でしばらく言葉を無くす]
ええ、知っていますが……。
[隠す理由も無い。この名前を知っているという事はやはりテツヤはショウである事はほぼ確実になった。それに胸をときめかせる。]
はい、わかりました。
それではまた後でよろしくお願いいたします。
[明るい声で電話を切る]
[授業を受けながら、ぼやっと、今朝の夢について考えていた。それと、母の、昔話…「月」に行ってきた…って…]
んー。
[それと、昨日の上級生2名がどうしても気になる。どうしてあのタイミングで、同じようなこと聞いてくるのか…?
考えても、考えても、結論には達することはなさそうだ]
(よし!)
[真梨亜は決心した。というか、どこかから啓示があったのかもしれない]
(あの人に聞いてみよう)
[あの無愛想な上級生を思い浮かべた。かなり躊躇はしたが…]
〜♪ 〜♪
[鼻歌を歌いながら準備をする。]
そうだ、これも持って行きましょう。
[取り出したのは、今はかつてあった『事実』だとわかった夢の中での物語のノート。あれからも少しずつ書いている。それをショウにも見せたかったのだ。
ただ、結末は書いていない。この後のサフラーの運命を知っている立場としては、結末を書くのを躊躇う部分もあった]
[まずは、クラスがどこなのかを知らなければならない。
しかし、友達に聞くと、なにやら変な誤解を招きそうなので、却下。
上級生のクラスを練り歩くという手も考えたが、ただでさえ目立つ自分が上級生のクラスを歩くだけで目につくだろう。
下駄箱…。フユキという名前は、あまり多くはなさそう…ただし、それが、どんな漢字なのかが、分からない]
(先生にでも聞いてみるしかないかな…?)
U=-GMm/r
即ち…、……。
[気がつけば、手が止まっている。
気が散ってしまって、話にならない。
思い切ったはずなのに、定まらない自分の心に苛々とする。]
(……水でも飲むか。)
[この際、頭を冷やすことだろう。
そうして席を立つと、自販機の方へと足を向けた。]
[色々悩んだ結果、昨日つかまったあの場所で待っていることにした。あそこで会ったということは、多分下校コースなのだろう。受験生だから、自分たちより早く下校することはないはず]
(先回りして待ってみよう)
[誰かを待ち伏せなんてことは、初めてだったので、なんだかドキドキした。
ただ、昨日の感じだと、まだまだ話し足りない感じはあったので、変に思われることはないだろう]
[放課後。またミスドに誘ってくれた友達を、今日は用事があるので、と丁寧に断って、あの場所に先回りする。
フユキは多分、受験勉強で遅くなるであろう。時間に余裕はあるはず。
ちょうど、あの場所に近いところに、公園があったので、そこに座って、通りを眺めて待っていた]
───…。
[ざ、と勢い良く水が流れる。
透明な流れに、不意に何かがフラッシュバックする。]
『──植物園だな…』
……もういい。
[頭を押さえて、水を止めた。
ぽたぽたと落ちる、透明な雫を八つ当たりのように見遣る。]
[どうにか問題集を、自ら決めたところまでやり終える。
自習を終え、同級生達が三々五々帰宅の途につく。
それにならうように、冬城も下校した。
──もう、下級生の階へは足を向けない。]
[公園でぼーっとしていると、通りに黒塗りのワンボックスカーが止まる。
しばらくそのままにしていると、中から柄の悪い男性が2名ほど降りてくる。
周りを見渡したかと思うと、まっすぐに真梨亜の方に向かってくる]
『よー、ねーちゃん、暇?』
[NYのチンピラほどではないが、あまりよからぬ感じはする。できるだけ無視するに限ると、いままで座っていた椅子から立ち上がり、通りの方に向かう]
[暫くすると、テツヤがやってきた。]
テツヤさん、これ……約束のハンカチです。
……と、ちょっと待ってくださいね。
[物欲しそうにしているテツヤを一瞬制止すると、その腕に巻きつける。多分元々何かを巻いていたのはこちらの腕だったはずだ]
『無視すんなよ』
[一人が、真梨亜の二の腕をつかむ]
Stop! God'em it!
[もう一人が目を見開く]
『お、がいじんさんか?』
─────。
[ふと、何かに呼び止められたような気がして横を見る。
そこには、昨日彼女が話しかけていた小さな緑が茂っていた。
葉をつややかに、夕方の風に揺らしている。]
……、分かるのか?
[ふと、呟く。
植物と意志を通じ合わせた、彼女の姿が脳裏を過ぎる。
…その姿が、傍目には植物に話しかけていた彼女と同様、
些か奇異な行動であることは、今は意識に上らなかった。]
……良く似合ってますよ。テツヤさん。
[照れているようにも見えるテツヤに微笑む。テツヤの幸せそうな顔を見ていると、こちらも幸せになってくる。
ついこの間までの焦りというか苦しみはどこへ行ったのだろうか]
………ッ!?
『Stop! God'em it!』
[不意に、高い声が響く。>>301
聞き覚えのある声だ。
考えるよりも早く、身体が動いた。]
………何をしている!?
[悲鳴の方へと、駆け込む。
こっちだ、と確信があった。
怪しげな男が2人、真梨亜に絡んでいるのが見える。
彼女が手を振り払った瞬間───]
貴様ァッ!!!
『…ああン?』
[男の一人が振り返る。
真梨亜を殴り倒した、その男へと向かい拳を叩きつけ──
いや。
・・・・・・・
ただ、拳を突き出した。]
……えっ?!
[既にテツヤはいるはずなのに、『待っている』様子の自分がいることに驚く。そしてその言葉が出たことにも。
そして、口から出た名前が「テツヤ」で無い事も『待っている』人物が誰であるのかを知るヒントになった]
────…あ…。
[殴った手ごたえはない。
だが、男を突き飛ばした自覚は──多いにあった。
一瞬言葉に詰まる。
だが視線を巡らせると、男の片割れが恐怖を感じたように一歩下がった。]
[平手をくらい、その場に倒れた真梨亜は、叫び声を聞いて振り返った。
そして、その情景を見て、愕然とした。
それは、フユキと名乗った、あの上級生であった。拳を突き出すと、先程真梨亜を平手打ちした男がものすごい勢いで吹っ飛んだのだ。
その距離約5メーターはあっただろうか?]
サフラーさん。
[その言葉を聞いたテツヤが何かを言ったかもしれない。けれども、そうであってもそうでなくても事情を説明する心積もりで居た]
───…お前も殴られたいのか?
[押し切らなくてはならない。
咄嗟にそう判断し、冷えた声で男に対する。
低い舌打ち。
覚えてろよ!!!というお決まりの台詞で、
倒れて呻いている仲間の男を、車へと運んで去った。]
[しばらくその場で呆然としていた。スカートが少しまくれているが、そんなこと、気にならないくらいであった]
(何?何が起こったの?)
[すぅ……と小さく息を吐く]
こんな事を言ったら変な人だと言われるかも知れませんが……。
私……秋葉カホはディ=オシュ=サ=フラ=ワー……通称サフラーでした。彼女は私の前世で……テツヤさんの前世だったショウさんの妻でした。
[テツヤの顔をちらりと見つつ続ける]
……誰が覚えているか。屑が。
[低く呟き、真梨亜の傍らへと屈みこむ。
倒れたままならば、助け起こすように手を差し伸べて、]
───大丈夫か?
[極力声に感情を乗せず、そう訊ねた。]
前々から前世の夢を見て、その中でサフラーさんだけでなく、私もショウさんに惹かれていました。サフラーさん、凄く幸せそうでした。ショウさんみたいな人と一緒に暮らすことが出来て。
そして、私もあの時からテツヤさんに惹かれる何かがありました。前世の絆、なんて単純に片付けられるような物ではないです。
私の作ったハンカチを好きだと言ってくれて、そして出来るのをずっと待っててくれた。……だけど自分からは催促しなかった。
こんな事されたら……嫌でも心が動きます。忘れられなくなります。
[差し伸べられた手をつかみ、立ち上がる。それでも、目は見開いたまま]
あ、ありがとう…。
[まだ目の前で起こったことが信じられずにいた]
い、いまの。What happen?何が…?
───、──…。
[一瞬迷うような間。
視線が僅かに真梨亜のスカートへと彷徨い、開きかけた口を閉ざす。
そうして、敢えて視線を固定するように真梨亜の顔を、正面から見た。]
…何事かは、お前の方が知っているだろ。
絡まれていたんじゃないのか?
俺はたまたま、通りかかっただけだ。
[”吹き飛ばした”のを、しっかり見られていたとは思わずに、
斜め方向の答えが返った。]
……優しいです。ショウさんもテツヤさんも……。
そして……テツヤさんが苦しそうにしてるの、放って置けませんでした。テツヤさんが可哀想なだけじゃなくて、私の胸も何故か知らず知らずのうちに痛くなってて、どうしてでしょうか……。
私はまだそういうのはわからないかもしれませんが……テツヤさんやショウさんの事が好きなのかもしれません。
───…怪我、したんじゃないのか。
[彼女の頬が、赤く腫れているのに眉を顰める。
一瞬手が伸びかけ、途中で留めるように拳が握られた。]
……冷やした方がいい。
前世でサフラーさん、言っていました。
「生まれ変わっても一緒になりたい」って。
そして……サフラーさんと、私からごめんなさいです。
……一番辛い時に、一番悲しい時にそばにいることができなくて……ごめんなさい……。
[涙を流す。
どんな事があっても一緒に、と言った筈なのに自分が先に感染してしまいそれがかなわず、ショウが辛い思いをする事になってしまった。
それが心の中のひっかかりとしてあったのだ]
It's not...But...じゃなくって、どうして、とんだの、あの人?
離れてたじゃない?
[しっかりと目撃していた。その距離感は絶対におかしい。
そして、多分、しっかりとも目撃されていたらしい、スカートをほろいながら、居住まいを正す]
……今度も、二人で幸せになりたいです。
秋葉カホとサフラーのお願いです……。
あ、二人ではありませんでしたね。四人でしたね。
私と、サフラーさんと、テツヤさんと、ショウさん。
二人ならば悲しみが半分になって喜びは二倍になる、と言いましたけれども四人ですから悲しみなんて無くなっちゃって、喜びはもっといっぱいになりますね。
だけど、テツヤさんが……私と一緒に居る事を望まなければ、それはそれで構いません。
テツヤさんの幸せを、私とサフラーさんで遠くから見守っている。それでも私にとっては満足です。
──…あー…。
あれは……。
[問われて、思わず言葉に詰まる。
自らの拳に視線を落とし、そうして困ったような表情が過ぎった。]
……ショウさん、テツヤさん、大好きです。
[精一杯の気持ちを伝えると、どこか疲れたのかふぅ、と小さく息を上げた]
ったく…こんなところをウロついているからだ。
待ってろ。
[何故彼女がここに居たのかなど、知るはずもない。
息を落とすと、すぐ傍にある公園の水道へと歩み寄る。
蛇口を捻り、ハンカチを濡らして絞ると彼女の元へと戻った。]
──当てとけ。
>>334
ありがとう。
[熱くなっている頬に当てる。
ハンカチを手渡されるときに、ちょっとだけ手が触れあった。その瞬間、何かを感じた]
お前、いきなりどうしたんだ。
………、いや。
そんな気がしただけだ。
お前、知らないんだろ?
────知らなくて、いいんだろう?
[最後、苦く小さく呟く。]
〜〜〜、お前。
植物と会話するんだろう?
……似たようなものだ。
[詰まった挙句、そんな答えになってしまった。]
お前って…。
[いきなり、お前呼ばわりされて、戸惑う。
最後の呟きも聞き逃さない]
知らなくっていいって…?
それ、どういう意味ですか?
何か知ってるんですね?
わたしが子供の頃のことですか?
>>338
植物と会話?何言ってるんですか?
What're you talkin' about?
[一瞬ドキっとした。
母くらいしか知らないはずなのに。昨日目撃されていたとは思ってもいない]
────あ?
[真梨亜の突っ込みに、更に失態を犯したことに気付く。
一瞬天を仰いだ。>>339 ]
子どもの頃……??
いや。
子どもの頃に、何かあったのか?
だって、わたしは5歳までしか日本にいなかったんだし、もし、何かあるとしたら、それしかないじゃないですか?
アメリカには行ったことないって、昨日言ってましたよね?
やっぱり、何か知ってるんですね?
……。昨日、独り言を呟いていただろう?
それとも、道端で独り言を呟くのが癖か?
[どんどん話をすりかえる。]
独り言ですよ。当たり前じゃないですか?
植物と会話…なんて言う人、初めてです!
[なんだか頭が混乱してきた]
────…。
知っていたら、どうするんだ。
話したら思い出すのか。
思い出さなくても──幸せなんじゃないのか。
……ほう。
俺も、道端で独り言を呟く趣味の持ち主とは初めて出会ったんでね。
まだ相手があった方が、親切だろう?
それだけのことだ。
[売り言葉に買い言葉。
話はどんどん混線していく。]
どうして、センパイがわたしの過去を知ってるんですか?おかしいじゃないですか?
Tell me! 教えてください。
思い出します。
わたしのことなのに、センパイが知っていて、わたしが知らないのは、イヤです。
…幸せって…?なんのことです?
その独り言に聞き耳立てる方が、よっぽど悪趣味ですけどね。
[助けられた恩人に向けてけんか腰なのもなんだか、と思いつつ、挑発されたので、そう返す]
──お前のことであって、お前のことじゃない。
お前の過去でも、子どもの頃のことでもない。
[そう言葉を切って、迷うように口を閉ざした。
再び息をつく。]
だから───つまり。前世の話だ。
ちょ、ちょっと、待って…。
Well...
[頭に様々なヴィジョンが浮かんでくる。主に今朝、昨日と見た夢。KK-102、キィ=キョウ、そして…スイ=レン]
あ、あ…。
[頭を抱えて、蹲る]
……おいっ!!!
大丈夫か、痛むのか?
[蹲る真梨亜に、慌ててその顔を覗き込む。
先ほどの後遺症だと思った。]
あいつら…ッ
[聞き覚えのある声に顔を上げる。
たまたま通りかかった公園で、女の子の叫ぶような声が聞こえて]
ちょ…。今の声、なに?
[植物を植えてある敷地へと続く階段の方へと、走り出した]
………ッ、…ここだ。
ここに居る。
───もう、一人にはしない。
[そうして、怖れるように息を詰めて真梨亜の頬に手を添えた。]
───…大丈夫だ。
[階段を登り切れば、蒼い瞳の少女――ローズと、彼女の傍に佇む少年の姿が見えて]
私のローズに、なにしてんの……よっ!
[後ろから少年へとアタックしようと…]
[全く警戒していない彼の背中に、
表:私の鮮やかな蹴りが決まった。
裏:殴りかかろうとして、様子がおかしい事に気付いた。
+表+]
………うわっ!!!!
[どん!と何かがぶつかる衝撃。
不意打ちに思い切りバランスを崩して、倒れこむ。
倒れこむその方向、青い瞳の少女がいた。]
[いきなり、フユキの体勢が崩れ…自分に覆い被さるように…倒れ込む。
ドサッ
気がつくと…唇が重なり合っていた]
[倒れた振りをして、無理やりキスをする(ように、見えた)男に]
い、いやあああ!
私のローズが穢されちゃうーーーっ!
[思わず悲鳴を上げてしまう]
───…ッ!!
[咄嗟に、彼女を潰さないように地面に腕をつく。
──が、抗し切れずに丁度彼女を押し倒すような格好になってしまった。]
あ……
[唇と唇が触れ合う。
間近に、あの青い瞳があった。]
[押し倒されたままの格好で、硬直している]
(え?何?睡蓮?ローズ?)
[まだ、真梨亜とローズの記憶が交錯している]
……ローズ…?
[名を呼ぶ声に目を細め、ふと静かに微笑む。
そうして、混乱に瞳を揺らす彼女を労わるようにぽん。と撫でた。]
…すまない。痛くはないか?
[視線を落とす。だが。]
(わたしを、ローズと呼ぶ人。そして、わたしが睡蓮と呼び、桔梗と呼ぶ人…一体何者?
あの夢?
わたしの前世?)
[ひゅんっ!と、風を裂く音がする。
再び背後を見遣ると、鬼のような形相で鞄を振り上げる少女の姿があった。]
[振りおろそうとした瞬間、
真梨亜の口から、懐かしい名前が聞こえて]
ローズ、貴女……やっと目覚めたの、ね……!!
[久方ぶりに彼女の口から、自分の名前を呼ばれたことに。
感極まって、涙が目の端に浮かんだ]
ごめんね、桔梗…。あの、まだ、混乱してて…。
わかんない。まだ。なんだか…。
でも、この人、睡蓮。睡蓮なの。
そして、わたしは、ローズ…
なのね?
あんた……桔梗?
……ヨー=ハン=キィ=キョウか。
[鬼の目に涙が浮かんだ。
鞄を掲げた腕が、力なく降りる。
その姿と会話に息を呑み、再び少女を見上げた。]
[混乱している様子のローズに、こくりと頷き]
ええ、貴女はローズよ。
私の可愛いキチェス。
やっと貴女との約束、果たせたわ。
[ぐす…と涙が頬を伝う。
睡蓮と言われて冬城を見詰めて]
え……スイレンって……。
あの、いつも不機嫌そうだった、ひと……?
私も……ずっと貴女を探していたの。
[ぎゅっと抱きしめ返して]
愛してるわ、ローズ。
やっと、貴女に逢えた……。
ああ。
スイ=レン…だ。
[言い馴れないはずの名は、違和感なく口をつく。
桔梗の視線を受け、その瞳を見返して頷いた。>>380
僅かに苦笑が過ぎる。]
いつも不機嫌?
そうだったかな……そうかもな。
キイ=キョウには、いつも避けられていた。だろ?
避けていた訳じゃないわ。
男の人が…苦手だっただけ。
[拗ねた顔で言って]
でもスイ=レン…あなた……。
痴漢を働く様な人だったのね。
良くも私のローズを……。
[むぅ…と目つきが険しくなる]
…ああ。
慣れてないって、確か…。
[記憶を辿るように、眉根を寄せる。>>387
だが、続く言葉に思考は中断した。]
───は?!痴漢!???
誰がいつ痴漢を働いた!??
おま……ひとを蹴り飛ばして……
助けて…って、
普通は助けようとして、き、き、き、キスなんてしないと思うの。
[言いながら、腹が立ってきたのか。
真梨亜の唇をごしごしと拭おうとするだろう]
あなたが、いまさっき、ここで、ローズにしたでしょお?
こんな公の場所で、押し倒してキスしちゃうとか、
男の風上にもおけないわっ!
[水城を見る目には、殺気がこもっているかもしれない]
[真っ赤になって]
あ、あれは、あなたが、後ろから蹴ったせいで…勢いで、あれ、それ、で…。あの。
[なにか混乱しているよう]
…………。
押し倒したのは、あんたが蹴って来たからだろう。
キスは不可抗力だが──…。
[ちらりと視線をやって、言葉を切る。
落ち着いた風は言外に、初めてなどではないと告げるだろう。
───記憶の中で、あるにせよ。だ。]
──…確かに、公の場で見せびらかす趣味は、
スイ=レンにも俺にもないな。
[肩を竦めた。]
いい加減、解放したらどうだ?
[真梨亜を隠そうかという勢いで敵意を向ける桔梗に、
呆れたように声をかけた。]
ねえ、ねえ、それより、転生したら、睡蓮と、桔梗に必ず言わなきゃならないことがあったの。
だから、絶対二人に会わなきゃって思ってた。
ね、聞いてよ。
[また、ローズの口調になる]
ふたりとも、こっちに来て。
[桔梗の前に出て、ふたりを自分の方に寄せる。睡蓮は多分少し前屈みになるだろう]
[この後、3人のストーリーはどんな風になるのか、ローズも、真梨亜も分からない。
ただ、言えるのは、ずっと、この人達と一緒にいられるはず、という確信にも似たものだった]
…………ッ!!!
[青い瞳が微笑む。
生き生きと輝く、綺麗な瞳だ。
吸い込まれるようにそれを見つめ、そうして続く言葉に一瞬息を呑んだ。]
[そして、後日、残りのメンバー探しに乗り出すことだろう。そして、全員が揃った時点で、この物語の一つのピリオドが。
そして、また別の物語として、紡がれることかも知れない…]
[公園内…その後…。
桔梗とは、色々話をして、実は隣同士だということに気がつく。そして、一緒に家路につくだろう。
公園を、ローズが来た反対側、つまり、桔梗が上ってきた階段の方向に向かう…]
…ああ。
[破顔する。
そうして、愛しい彼女へと額を寄せた。
恐らくは、片方。
桔梗と共に、左右から抱きしめる形となったのだろう。]
[真梨亜の言葉に、思わずぽかんとした顔になる。
……が、すぐに笑顔を浮かべて]
私も。
[こくり、と頷いた]
ちょ……!
だ、大丈夫……?
[家が隣同士と云う事を知って、同じ道を帰ろうとしたところで、
階段を踏み外した真梨亜に、心配そうに傍へと駆け寄った]
──…、…。
[くすりと笑ったのは、誰からだったか。
家が隣同士だという彼女たちを、公園で見送る。
先ほどの男たちが気になったが──未だ陽はある。
桔梗の勢いにも押され、2人と別れて家路を辿った。
後日。
公園内に潜んでいた、別の危機の話を聞くことになるのは、
また別のお話──**]
そっか…
[てへっと、頭をかいた。
桔梗が撫でる前髪をかき分けると、額から四つの痣が浮かび上がっているのに気がつくだろうか]
[親友の祝福のキスを受けて]
夢?夢なんか見てたかしら…?
…かも知れないわ。
どんな夢だったかも、覚えてないけど…。
見えた?
同じ会話を、月基地でしたのよ。
あの時、貴女が見た夢は……この事だったのね。
[懐かしそうに眸を細めて、微笑む。
遠い過去を想って]
あら。
この私が、貴女の事で覚えていない事なんて。
あるわけないでしょう?
[くすりと笑って。
未だ座り込んだままの彼女に手を差し伸べる。
そんな二人の姿を、空に浮かぶ真昼の白い月が*見ていた*]
[ショウへの告白。もしかしたら、との不安もあったがそれは杞憂に終わる。]
え、本当ですか?
……良かったです……。
[ショウの目を見て微笑む]
……ショウさん。
一緒に幸せになりましょう、ね……。
[手に結ばれたハンカチをさらに強く、しかし優しく結んだ]
そうそう。ショウさんに見せたい物があったんです……。
[件のノートを広げる。]
[この後、前世同様にどこか風変わりなカップルの事が知人たちの間で話題になるが、また前世同様に仲睦まじいカップルを皆で見守るであろう。
二人がこれからどうなっていくのかはまた別のお話。]
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