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……いや。
[なんでもない、と首を振る。>>45
仄かに紅潮した頬に視線を止めて、黙って微笑む。
水色の髪に、さらりと指を滑らせた。]
なあ、ローズ。
キサナド以外でも、やはり植物は伸びるのか?
[ふと、そんなことを訊ねた。
首を傾げるローズに、笑う。]
機器に、影響させるわけにはいかないが…
───また、お前の歌が聞きたいな。
[口にしたのは、ひとつのささやかな*願い事*]
>>46
[キサナド以外でも…と尋ねられて]
わからないけど…。
わたし、以前はキサナドを歌ってもこんなに植物が伸びたことないし。
[キチェが濃くなったのと何か関係があるのかも…とは思ったが、自信はない]
以前より影響が大きいみたい…。
歌ってみる?
[ちょっと悪戯っ子の様な顔つきで伺ってみる]
[植物園の子(植物)たちが、「うたってー」「うたってー」とせがむようになったのも最近。
もしかすると、あの子たちが、ここの行く末を知っていて、その主達がいなくなる前にと、なにかの影響をローズに与えているのかも知れなかった**]
子守唄でも歌ってやれば、ナギの気分も良くなるんじゃないか?
[と、眠る青年の顔を覗き込んでみるのだが、]
…ばか。
[悪戯っ子の表情に、額を小突く。
だが、そのまま笑って頷いた。]
───聞いてみたいな。
[医務室の機器と言っても、アナログな点滴とあと少し。
多少植物が伸びたところで、別条はなかろうと結論する。
キィ=キョウが亡くなった時に、ローズの育ててしまった草花がある。
彼女の耳に、彼らの声は届いているのだろうか。]
頼む。
[そうして、口を閉ざして耳を傾ける。
彼女の歌を心に刻み込もうとするように**]
>>50>>51
[キサナド以外の歌というと、ほとんど思い浮かばないのが本当だった。キサナドでさえ、嫌いでなかなか覚えなかったくらいだ。
ただ、歌を唄うこと自体は嫌いではなかったので、楽園以外での生活をするようになってから色々聴くようにはなっていた。ただ、ここで唄うのに相応しい曲というと、なかなか思い浮かばない。
ふと思い浮かんだのは、リアン達が唄っていた歌だ。確か自然を称える歌で、昔からリアンの間だけに唄われた歌。
もしかすると、スイ=レンも知っているかも知れない。そう思い、まずは口ずさむように歌い始めた]
明けし日ののぼりゆく────
森の静けさよ────
緑の木々の────
…………………………
[ハミングのような口ずさみが、やがてはっきり聞こえるようになり、部屋の中に響き渡るようになる。それに呼応するように植物たちは成長を続け、やがて、横たわるヤ=ナギをも包み込んでいく。まるでそれは、病に伏した人間を優しく治癒するように]
[ハミングのような口ずさみが、やがてはっきり聞こえるようになり、部屋の中に響き渡るようになる。それに呼応するように植物たちは成長を続け、やがて、横たわるヤ=ナギをも包み込んでいく。まるでそれは、病に伏した人間を優しく治癒するように]
与えし生命を────
享受するわれらの────
感謝の歌を────
今唄う────
[歌い終わると、ローズは満足したように、微笑み]
やっぱり、伸びちゃったわね。
[と、小さく舌を出した。
そして二人で、医務室の除草作業をしながら、ヤ=ナギの目が覚めるのを待っていた]
[それは子供の頃。
体が丈夫でなかった為、よく熱を出しては寝込んでいた少年時代。
元気盛んの兄は、その日も夕暮れまで遊んで帰ってくる。弟に団栗のお土産を包んで。兄の帰還は遠く離れた部屋からもわかる。
足音を立てて弟の部屋に入る兄の笑顔。手渡されるいくつかの団栗。汚れた服で弟に触れる兄を叱る母。母の怒りからそっと兄を逃がす父。
兄から貰った団栗が、窓から差し込む夕日に照らされてオレンジ色に光る。キラキラと。
命の終わりを告げる暗い深淵から、聞こえる何かが彼を救い上げる。それは最後のキチェスの神聖なる歌声。]
…………夢……?
[細く目を開けると、緑色が眩しい。まるで森林で昼寝でもしてしまったかのような錯覚を覚えた。反射的に体を起こそうとするが、異常なだるさのせいで力が出ない。
新緑の隙間から見えるのは、空のように青く輝く長い髪。すぐ横には黒い服の青年が穏やかな表情で座っていた。
無理に体を起こすと腕に刺さった点滴が引かれ、ガタン、と音を立てた。それが自分と繋がっている事を確認し、管を降りる液体を眺める。そしてようやく残酷な現実を思い出す。
二人は物音に気がついたろうか。ナギは掠れる声を振り絞った。]
…ショウさん、は…?
[呼んでから感染の事が微熱でぼやけた頭をよぎり、近寄るなと指示を出す。が、彼らが防護服を着込んでいない事に気がついた。
覚悟してるのか、と一層切なくなる。
自分が倒れてからどのくらい時間が経ったのだろうかと、ショウを置き去りにしてしまった事が気にかかった。
スイ=レンの応え>>39に安心し、起こした体を再びベッドに預けた。]
まだ、横になっていて…。
[起き上がろうとするヤ=ナギをそっと宥める]
ショウさんは、さっき、スイ=レンがちゃんと安置したから。安心して。
点滴したから、少し熱は下がったみたい。大丈夫よ。
[そう言って、ヤ=ナギの額に触れる。先ほどより少し熱が高い感じがする。やはり一時しのぎでしかないのかと思うが、できるだけ表情には出さないようにする]
何か、食べ物か飲み物ほしいものある?
[点滴のおかげか今朝よりは熱は下がったように感じる。だがこの呼吸の苦しさを和らげる何かを思いつくことは出来ないまま。
それでもローズの優しさ>>60が嬉しくて水を頼んみ、そしてスイ=レンを呼び止めた]
…スイ=レンさん…あなたに…僕のキィ・ワードを…預けます。どうか自由に…。
[喋りすぎたのか呼吸が乱れ、大きく咳き込む。落ち着いてからレンの目を見据え]
兄の名前です。
僕のキィワードは、”コバ=ノ=ラン=タナ”
…兄の名前です。
[スイ=レンの反応はどうだったろうか。ナギは痞えが取れたような気持ちになって、体の力を抜いた。]
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