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―凍るジンロウ町―
[すべてが静止したそこを。髪をなびかせ、疾り抜ける。加速は止まることなく、時さえ追い越そうとするように。ただ、だいじなひとのもとへ、駆けつけるために。]
…ゆー。
[勇者であり続けるっていう約束も、したけれど。それとは別に、もうひとつ]
[こんどは。こんどこそ、ずっとついてるって、いったんだ]
ゆーり…
[風に乗り、風を超えて、風を突き破り。ジャス天号は、ジンロウ町の中心街へ]
[あとでまたあおうなんて、まってなんかいられない]
ユーリエッタぁああああああ!!
[あとでじゃない。いま。すぐに]
[はらりと散る、あおいはなを、掴もうと、するように]
[そこにはもういない、けれど、胸元に、たしかに感じるあたたかさを頼りに]
[だいじな、だいすきな、ずっとずっとさがしていたひとのなを、よびながら]
[カンナギは、そこに、手を伸ばした]
― 回想・噴水前 ―
「ウチはジャスティス急便。そんなときは、配達一件お願いします、だよ。」(>>124)
えへへ、そうでした。
んじゃ、世界のジャスティス急便様。
ユーリエッタ=ル=ダルク様からのご依頼で、自ら役目を果たしたこの赤薔薇の配達をお願いします。
依頼主は、ユーリエッタさんなのでお代と領収書は、「ユーリエッタ様」でお願いしますね。
[そういって、悪戯っぽく二人へ微笑み、ジャス天号へ。]
― 玉座の間 ―
[いつもの1.61倍(当社比)のスピードでジャス天号は天を駆ける。
あっという間に玉座の間に到着]
お勤めご苦労様でした。(ぺこり)
あ、ちゃんと領収書を依頼主さんにお届けしてもらうところまでが、お勤めでした。
[カンナギに頭を下げると、慌ててグラジオラスの元へ駆け寄る。]
ただいまぁ!
[とびっきりの笑顔でグラジオラスに飛びつくのであった。]
―回想・玉座の間―
悪いがもう一度説明しなおしてくれ。
もっと解り易い例えで、だ。
[ユーリ達が去った後、玉座の間では静かな戦闘が2つ繰り広げられていた。
1つは箱舟中に咲いた魔法の花が自分達の居る所を避けて他所へと魔力を吸い上げるように宥める事。
もうひとつは…]
だから。
もう一度その次元じぇねなんとかの仕組みをだな…
[以後どうして行くのかの説明を聞いていたが理解の範疇を完全に越えていた為、ドンファンに何度も同じ説明をさせていた]
結局どうするのだ、壊すのか?止めるのか?それとも我々で扱えるように制御するのか?
しかし壊す・止めるにしても真下には町があり人々が居て…花達が生きている。安易な手段では全てを巻き込む事になるぞ。
[暗に、此処ではない場所へ行こうと言っているようなもの]
―回想・玉座の間―
…正直、この花達を抑えていられるのもそう長くはないのでな。本当に箱舟中に魔力が溢れ出ているというのに何故此処を…
[チラ、とジェネレーターのある方へを振り向いた]
なるほどな。
全く、魔力だけでは飽き足らずいじげんの力も欲するとは…グルメな花になったものだ。
どうせなら中立亭のカレーを食えば良いのに…
[中立亭の名を出した時、ほんの少し懐かしげに目を細めた。残ったアリアや皆は無事だろうか、と。]
―回想終了―
[凍りついた世界。冷気はほとんど感じないが、視角内に入るものはほとんど全てが凍り付いている。
カンナギがドンファンと会話している間に、彼女の動きを出来るだけ阻害しないように、グラジオラスを抱きしめながら話し始める。]
ユーリさんは「せかい」だったの。
さっきまでいたあのユーリさんはただの「幻影」で、本体が他の場所で閉じ込められていたの。
それで、「せかい」さんを閉じ込めていた檻の『鍵』になれるのが私しかいなかった。それが私の役目だった。
だけど、ちゃんと終わったよ。たぶんこうやって、いろんなものが凍ってるのも、解放されたユーリさんの力じゃないかな。
だってほら、こんなにカチンコチンにいろんなものが凍り付いているのに、全然寒くないでしょ。
これで、私の役目は終わりかな。後はこの箱舟を何とかしなきゃね。
[自分がやってきた事を一通り説明し、三人が不在にしていた間のこちらの状況を確認するだろうか。]
―現在・玉座の間―
[案がまとまったかまとまらなかったか、いずれにしても実行するには自分達だけではやはり足りない、とカンナギ達の帰還を切に願っていた]
「まいど」
[目を閉じて再び魔法の花の制御に集中しようとした時。
鋭い風と共に聞き慣れた言葉が飛び込んで来た]
良いタイミングだ、ジャス便。
最近は注文せずとも欲するものを届けてくれるサービスも行っているのか。
[ジャズ天号の後ろに視線を向けて大鎌を床に突き立てたまま両手を離す]
おかえり。
[一番最初の頃よりも幾分か優しくなった抱擁でシャルロットを出迎えた]
[不意に魔法の花達の動きが鈍りだす]
…?
[何故だろうと思いながらも、片腕で大鎌を持ちもう片方でシャルロットを抱き。しばらくの間の話を聞いていた]
青娘が、世界…
自然などではなかった、もっと大きなものだったんだな…道理で花達が怯え・そして尊敬の思念を送るはずだ。
私達が生きる世界そのものなのだからな、当然だ。
しかし囚われて居たとは…またその鍵がお前とは大任ご苦労だったな。って、凍っているだと!?
[言われてみれば寒いような気がする。外を確認したら全てが凍り付いているのが見えるだろう]
そうか…それでこの花の動きも。青娘に感謝せねばな。
こちら側は箱舟をどうするのかという話…しかしていないな。私の解らない言語が多すぎて何度も説明を求めていたのと、安易に行動に出られない状態だからな。
[状況を確認すると、ドンファンとカンナギに視線を向けて]
向こうでも話してるけど、あっちで意見が割れちゃったら私達も動きようがないよね…
ところで、
[周辺は全てが凍っている。人間はほとんど寒さを感じないが植物のグラジオラスはどうだろう。
寒さをいたわるように引き続き抱きしめながら]
グラジィちゃん、へーき?
[同じように視線をカンナギとドンファンに向けて]
先からいつもの奴ららしくないしな。
だがそうなるのも仕方がない、拳でどうにもならん事は…山ほどあるのだからな。
[この冷気ならしばらくは大丈夫か、と大鎌から手を離し]
…少し、寒いがまだ大丈夫だ。おそらく青娘が手加減してくれているのだろう、器用な奴だ。
[いつものワンピースでなくて良かったと軽く笑いながら、少しだけ抱き締める腕に力を込めた]
―回想・砲撃直後―
ぐっ・・・これは!?
[玉座の間を揺るがす激しい振動とジェネレーターとの共鳴が二重に危機を伝えてくる。 同時に次元の力が膨れ上がり、...にしか見えない周囲の風景を歪めていく。]
(次元が・・・歪む・・・!?)
[異変に気付いた者達が外へと飛び出していく中、カンナギが厳しい表情を崩さずに言葉を投げかけ、拳を軽く当ててくる]
・・・!
[無言で深く頷き、ジェネレーターへと向き直る]
―回想・玉座の間―
[残るグラジオラスが花達へ集中している最中、簡単に次元ジェネレーターについての説明と憶測を何度か話す]
要するに、アレは人の手で作り出した不完全な力なのだ・・・そして今はそれが暴走し、次元を歪ませている。
今はまだ危ういところで均衡を保っておるが、下手に力を加えると本格的に暴走する可能性がある。
だが、放っておけばこの辺り一帯が次元の狭間に飲み込まれ・・・ジンロウ町自体が世界から消え去る・・・
簡単に言えば、この船自体が破壊力の高い爆弾のようなものだ。
対処は・・・今、ここでジェネレーターを破壊しても何も解決しないまま自滅となる・・・そうだな、周りへ被害が出ても影響のない場所で、大火力を持って箱舟毎異次元ジェネレーターを壊す・・・だろうか。
クソッ、そんな場所も方法も・・・思い付かんッ・・・!
[悔しげにジェネレーターへと視線を移す]
[グラジオラスの「らしくない」と言う言葉には]
二人とも「正義のヒーローさん」だから、いろんなものを背負わなきゃいけなくて、大変なのかも。
あっちもこっちもって、いろんな事を考え過ぎてどっちに行けば良いのか迷ってるのかも。
私はね、グラジィちゃんに護ってもらいながら、二人が一緒にいられる場所があれば何でもいいんだ。
だから、グラジィちゃんがそばにいてくれれば、自分がやるべき事に真っ直ぐ向かって行けるんだよ。
[と、自分なりの感想を述べ、
「少し寒いが大丈夫」との言葉には]
えへへ、良かった。こうしていれば寒くないよね。
―回想・凍りついた時の中―
[一瞬にして全てのものが凍りつく]
[あれほど激しかった振動も静かになり時が止まったようではあるが、自分とグラジオラスのみが動けるようだ]
[次元の歪みを引き起こしていた力―――次元光も止まる]
これは・・・ユーリ殿の力か?
流石は聖女殿・・・しかし、いつまでも保つわけではないだろう。
なにか対処法を探さねば・・・!
[それは偶然か、もしくは奇跡に分類されるのだろうか]
[時が凍ったその空間で、次元の歪みが固定されている―――その先に見える者達は]
[最初に見えたのは穏やかな笑みを浮かべながら立ち上がる]
[魔法のステッキを手に持つ初代魔法少女の姿]
『それじゃあここいらで大団円、くるっと解決、しちゃいましょうか?』
トメ子殿・・・!
[次に姿が見えたのは激しい喧騒の中にいながら声を出している]
[魔砲使いの少年]
『──君らに、全部掛かってるんだよ!
だから……皆、頑張れッ!』
カルロ殿も・・・!
[次元の裂け目は、既に次元の向こう側へ飛ばされた者達のいる場所へと繋がっているようで]
[次々と声が溢れ出てくる]
[カンナギが「…じゃあ。ここは、任せたから。」と告げながら、こちらにどうするかを聞いてくれば]
私は、逆にこの場を離れる理由が無いので、ここは任せられます。
こちらは私達で何とかするので、カンナギさんは、早く行ってあげて下さい。
[そして、ドンファンに]
二度手間になっちゃいますけど、おねーさんとお話しした事をもう一度聞かせてもらえますか?
[と尋ねて、二人の会話>>142の内容を把握するだろう。]
[次々に映るジンロウ町の住民の中で一際目立つのは]
[魔法の杖を構え妖艶な姿]
『仕方が無いから……協力してあげましょうか。』
アニュエラ殿っ・・・!
『大丈夫よ。こちらには、魔王に怪人に魔法少女に科学者に……とにかくなんでもかんでも、人材がそろってるんだから!
そこの5人で額を突き合わせてるより、はるかに出来ることは多いわ。 アナタ達だけで何でも背負おうとしなくていいのよ。』
[こちらの様子を全て見ていたかのように語られ、一つの可能性に思い当たる]
[これらの声はグラジオラスにも聞こえているはずで]
グラジ殿・・・ジンロウ町の力を、信じてみませぬか?
[映る景色には桜が咲き乱れ、立ち上る気迫に揺れる]
[渋い表情ながらも不敵な店主の姿]
『仕方あるまい。
どれ、もうひと仕事するとするかの。』
店主殿・・・かたじけないっ・・・!
[桜が揺れ散る中、静かに杯を煽り置く]
[やる気や気迫を纏わぬ、常時の姿をそのままに存在する]
[魔を統べる王の姿]
『魔が王を動かしたくば相応の道を示してみせよ』
示しましょうぞ・・・魔王殿を動かすに値する答えをっ!
見ていてくだされ・・・そして力を貸してくだされっ!!
[希望はそこに、あった]
[神父が、影が、一般人が、科学者が、正義が、悪が、]
[全ての者達が揃っていた・・・彼等こそがジンロウ町そのもの]
グラジ殿、対処は決まりましたぞ・・・!
聞いてくださるか?
場所!
それは次元の向こう側にある異次元空間!
破壊方法!
それはジンロウ町の者達全ての力を一点に集め吹き飛ばす!
手段!
・・・俺の持つ力を全て使って、この箱舟をあの異次元空間へと転移させましょうぞっ!
[希望を見つけたのならば、後は突き進むのみ]
―回想・終わり―
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