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―ノア内部・旧玉座の間―
[闇が倒れ]
[光が立っていた]
・・・魔王殿、俺は忘れませぬぞ。
天と、地と、人と、全てを受け入れられる器になれと貴方は申しましたな・・・なれば『魔』を受け入れる事もできましょう。
世界は何かを阻むほど狭くはないはずですぞ・・・誰かが憶えている限り、その存在が消えない限りは受け入れてくれる。
例え過去に何があろうとも、未来という名の世界では違う。
我は愚者―――愚者とは、全てを己の力で護るつもりでいるだけの愚か者ですが・・・憶えている事は出来るはずです。
この町で出会った全ての者達、勇者と呼ばれる者、聖女と呼ばれた者、偉大なる魔を統べる王・・・全てを憶え忘れずに・・・全ての思いを込めて、『英雄』として語り継いでいきますぞ。
『忘れられし者は―――いない!』
これが俺が語り継ぐべき、最後の新しい予言!
[倒れたままこちらを見る魔王に向き直り]
魔王殿ッ・・・・・・・・・・・!
[勢いよく頭を下げる]
ご指導ッッ、ありがとうございましたァァァァァァァァァァッ!!!
[消え行く魔王はどのような表情を浮かべていただろうか]
―箱舟内部―
[ぐらり。揺れる、箱舟。]
[――そして。]
[ぐらり、揺れる、世界。]
…………っ、ぁ……
……………………だ、大丈……夫。
[崩れる。終焉(おわ)る。世界。せかい。
膝をついた、少女の幻影が一瞬、透ける。ぶれる。
もう少し。あと、少しだけ。]
まだ…… 終焉(おわ)らせない。**
−喫茶まろん(中立亭)での一幕−
[箱舟で死闘が繰り広げられているかも知れないそんな時、喫茶まろんではDVD鑑賞が行われていた]
『やっぱり第4期はいいね!』
『いや、初期がネ申だろJK』
『るーこ様は時期で区別できるほど浅くねーぞ』
[ニュースに怯えた人たちからの提案で、ナニカ心が落ち着くものを流して欲しいとのリクエストだったが……。
ここのマスター、まじかる☆るーこDVDフルコンしてました]
保存用もどっかにあるのかな……。
「だいじだいじ?」
[そんなやり取りをしつつ、アリア自身も結構懐かしいな〜とか言いながら見てたりして]
[暫くすると、店内ががやがやしてきた]
『4期の良さが判らんとは……』
『そういう区別は無意味だといってるだろうがっ』
いや……店内で揉め事は困ります……。
「けんか、めっなの〜」
[しかし、店内はヒートアップしていくばかり]
『んだと、やんのか?!』
『そちらから売って来た喧嘩であろう?』
や、やめてk……。
『『うるせぇ、一般人は引っ込んでr……』』
[皆まで言わせず、アリアは笑顔で――眼は全然笑ってないが――子猫を引っ掴むと]
どっ☆せい
[投げ放った。
子猫が、くるくると猛スピードで回転して口論していた人々を掠め、尻尾が壁に突き刺さって止まった]
……一般人、舐めんな?
『『『はい……』』』
[びええええとか子猫が泣く以外、店内に音を立てるものは存在しなかったとか]
ッ
[ユーリと一緒に駆ける箱舟の中で。世界が一瞬、ぐらついた]
―箱舟内部―
ゆー!
[くずおれ、切れ切れに言葉を漏らすユーリ>>16を、腕の中に抱きしめて。その名を強く呼ぶ。だいじょうぶ?とは、聞かない。
辛いのは、ゆーなんだから。そのゆーがだいじょうぶって言ってるんだから、だいじょうぶじゃなくても、だいじょうぶにさせてみせる]
けど…
[世界だけでなく。箱舟も大きく揺れている。
それは、制御していたものが消えたということなのだろう。舟を。超時空ジェネレーターを、制御していたメイアルが。
結局自分は、メイアルを止めることはできず。予言はまた一歩、滅びに向かった。
自分は、結局。覚悟したとほざいても、その言葉さえ、果たすことはできず。
ならきっと、ユーリエッタとの約束だって、果たせな]
せぃやッ!!
[弱気になりかかる頭を。強引にジャス天号のハンドルにぶつけて、弱い考えをたたき出す。いまは、弱気になってる暇なんて、ない]
[アニュエラからの留守番電話が届いたのは、そんな時]
…ありがと。あにゅー。
[その内容に。一つ一つ、あらゆる状況に対応しようと知恵を絞ってくれた言葉に。感謝して。携帯電話にこつりと、額を寄せる。
チャンスは、見えた]
行くよ、ゆー。
絶対、このままじゃ終わらせないから。
だから、しっかり掴まってて!
[声をかけ、腕の中にユーリを抱えて、走り出す。
予言は、ここまで、止めることはできなかったけれど。
少しずつ、でも確実に、ずれてきている。
人の手が創った超時空の力によって。
魔王から予言の筋書きを奪い取ったメイアルの手によって。
あるいはそれに立ち向かった魔法少女と。彼女に意思を伝えた魔法少女の手によって。
そして。まだ。箱舟には、魔王と人の手で育てられた英雄がいて、自分がいて、ユーリもいて。そして。
今はまだそのことは知らないが。鍵となる赤い薔薇と。彼女を守る花の戦士が、乗っている。
予言を止めるなら。
否。
予言がすべてを終わらせるというなら。
予言が集約し、成就しようとしているいまこのとき。
無理やりにでもテーブルをひっくり返す]
…ぐらじー!
説明してる暇ないから、移動してる間にこれ聞いて!
[告げながら。彼女に留守番電話の入った携帯を押し付けて。
一緒にいたシャルロットごと、横合いから掻っ攫う]
[連れて行ったのは、戦いの後の残る、玉座の間。
そこに残った、硝子の欠片やハートや星型の破壊痕に。そこで何があったのかを、察して。
でも、まだ後悔はしない]
ぐらじー、お願いしたいこと、分かってくれた?
魔力の理屈とかは分かんないけど、中心があるとするなら、たぶん、ここ。
おねーさんが船を動かしてたのが、ここだから。
[ここからなら。アニーの残してくれた種を、一番効果的に芽吹かせることができるだろうと。
口にして、頼む。
おりしも玉座の間は制御の外れた超時空ジェネレーターが光を溢れさせていて。その光を浴びた、シャルロットに。その姿に、うっすらと重なって見えたのは]
赤い…薔薇?
[それは、鍵となると言われた、青薔薇の対]
そう…
[そのことに気づいて。知らず、笑いが漏れたのは。あんまりにもできすぎたこの状況を招いた、世界に対してか]
[そうしている間にも、魔力を吸いだす根は箱舟の中をめぐり。
一時なりとも暴力的に震えた箱舟は、その動きを止めただろうか。それでも、多少のずれはあるものの、それは世界を終焉に導く災厄。抑えられるのも一時のことだろう]
かくて予言は最終節に至り。
果たしてその果てはどうなるものか。
…ねぇ?ドンファンくん?
[向けた言葉は。視線は。遅れて玉座にやってきた、彼に向けて。ユーリをかばうように、その背にしながら。
グラジオラスとシャルロットを、玉座の前に据えて。
答えを待つように、彼に対峙していた**]
[魔王が消え行く姿を頭を下げたまま見送り]
[黄金の闘気を消す]
やるべき事はまだ残っている・・・!
魔王殿、またいつか、必ず会いに行きますぞ!!
それまで、さらばですっ!
[炎の柱でぶち開けた天井の穴を見上げ跳躍する]
[次々と登っていく]
残る使命は次元の力を持つ者としての責務!
[向かう先は次元の歪みを生み出している場へと!]
―玉座の間―
[歪みを発生させているであろう場所に辿り着いてみると、そこには見知った顔ぶれが揃っていて、代表するかのようにカンナギが振り返りながら視線と問いを投げかけてくる。]
[聖女を庇いながらその構えは油断なく]
『かくて予言は最終節に至り。
果たしてその果てはどうなるものか。
…ねぇ?ドンファンくん?』
ふっ・・・決まっておりましょうぞ!
正義と悪とが全力で闘って、死力を尽くした後のお話は必ず決まった結末が待っていなければなりますまい。
俺が未来に向けて残す予言書の最後にはこう記しましょう!
全員笑ってはっぴーえんど!
これしかありますまいっ!!
[快活な笑顔で高らかに言い切った]
[これまでは、ずっと過去に縛られていた。
失ったものばかりを振り返り、そして再び失うことを恐れていた。
ただひたすらに「無」を求めていた。
『最初から何も存在しなければ、失うものも何もない』
それを望むという事は同時に彼女自身の『停止』を意味していた。
だが、再び時は『動き出す』。]
なるほど、おみごと。
そんな予言書だったら素敵だね。
[快活に、高らかに。ドンファンが言い切る言葉>>26に、にこりと笑って]
でもね、ドンファンくん。
[笑みはそのままに、ジャス天号のスタンドをがしゃりと下ろして]
…ゆー、もうほんのちょっとだけ、待っててね。
[気遣うようにゆーの髪をくしゃりとなでて。ドンファンに向き直る]
君の言葉には方法がない。
手段がない。過程がない。
あるのは、理想と、単純に振り上げて振り下ろして砕く、拳だけ。
[一つ一つ、突きつけるようにはっきりと。ジャス天号から降りたその顔から、笑みは消えて]
前に言わなかったかな?
君の拳が当たらない相手に当たったら、どうすんのさ?って。
その答えを、いまここで、見せてもらう。
[それは、少し遠回しな、宣戦布告]
君の予言書は確かに素敵だよ。
でも。
わたし程度に邪魔されて書き換えられるような予言なら
[たった今、ここで]
散っていけ。
[言葉とともに。ドンファンの頭が存在する空間を。
背後からの蹴りが、なぎ払う。
ドンファンが、その蹴りに、耐えたか、避けたか、いなしたか…あるいは吹き飛ばされたのか。
確認することさえせずに、次の瞬間には大きく跳び退って距離をとり]
…ねぇドンファンくん。
君がどうして予言を知っているのかって、考えたこと、ある?
[投げかけられたのは、唐突な問い]
―回想・箱舟内部―
[2人並んで進む通路で思う事。今までは諦めや諦観に近い守護の決意だったものが、今ではそれが絶対の自信へと変わってグラジオラスの背中を押していた]
『勝利』グラジオラス 我等に平穏と安寧を
[今の今まで、決して紡がれる事の無かった自分の花言葉、それは勇気を奮い立たせる言葉。必ず2人生きて戻るのだという決意の表れでもある]
よし、何があってももう大丈夫だ。
私は………
[瞬間、視界が揺れた。
箱舟そのものが大きく揺らいで、落ちてしまうのかと思った程]
[様子の変わったカンナギに対し自然と構えを取る]
[聖女を庇った事で予想は出来た]
[覚悟も既に出来ている]
ならば・・・いざ、参られよ!
[背後からの神速とも言える不意打ちにも等しい蹴り!]
[避けられない・・・否、避けない!]
[受け止める!]
俺の言葉には全てが足りませぬからな・・・申し訳ない。
方法がなければ探すのみ!
手段がなければ片っ端から試すのみ!
過程とは結果を見据えて進む道のみにあり!
俺が唯一誇れるものがあるとすれば、数多の人に鍛えられ照らされた理想への道と―――この拳のみよッ!!!
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