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…まぁ、こんなもんか。
[名簿とペンを元の位置に戻し、適当にそこらにあったソファに腰を落とす]
なんかよくわからんが、慌ててもしょうがないしな…
―左舷廊下―
[紺色のつなぎ姿で洗濯室から出てくると、裸足でぺとぺと乗務員区画をうろつく。
誰にも遭うことはなく、やがて細く開いたままの通用口を見つけると窓を覗き込んだ。]
――♪
[口の中で何か呟き、扉を押し開ける。出たところはフロントだった。]
― メインカウンター付近 ―
[再び名簿を見、白杖の少女とおぼしき名前を見つける。
そして彼女に近づくと、落ちている布を拾い上げた。]
「迷子です」……迷子かぁ。困ったね……
[綺麗に縫われた文字を、不思議そうに眺めている。]
……あー…と、言葉が通じてない…のか?
[頭を掻きながらどうしたもんかとぼやく。]
――…や、オレがわからんだけっていう可能性もあるか。
お前、オレの言葉、わかるか?
[となるべく口を大きく開けてゆっくりと問いかけた]
わかるんなら、頷いてもらえるといいんだが。
[首を傾けて頭を掻く男を見ている。]
…。 ――!?
[びっくりしたような声をあげて、手をぶんぶか振った。]
――! ―――!
[少し早口で何事か言い、しょんぼり肩を落とし。]
――…。
[船員らしき人物も見あたらないので、
メアリーに声を掛け、手近なソファーに座らせる。
エルナがそうしたように。]
とりあえず、ここにいれば見つけてもらいやすいと思うよ。
てりー。
てりー!
[テリーを指して、にこにこと頷く。]
てりー。
…。
――?
[自分を指差そうとして、はて?と首を傾けた。
爪先で赤い革の首輪を引っかく。
少しきつそうに巻かれたそれ、微かな金属音をたてるのは銀色のチョーカートップのようだ。文字が彫り込まれている事に相手は気付くだろうか。]
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