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[たまに前方を確認しながら木片をナイフで削り、暫く経った頃だろうか…後方から声をかけられるとは思わず、控えめな声に驚いたように振り返り]
……おっと…ここに来てから注意力散漫になったかな…。
[指先に小さな痛みを感じてその場を強く握りしめながらゲルダに微笑み]
…こんにちは。様付けはしなくていい。
今日は休みなんだろう…?って〜…もしかしてお風呂入ってた?
[濡れた髪に少々気まずそうに目を彷徨わせた後、御用という言葉には緩く首を振って]
うん、用事って程じゃないんだ。
ちょっと会えたらいいなって思っただけだから。
その服もよく似合うね。
[目を細めてから笑いかけ作っていたアザラシの形の木彫りをゲルダに軽く投げて渡そうとし]
…今、辛くないかい?僕が居て君が辛いようならやっぱりやめておこう。
[ふいに笑みを消してゆるりと首を傾け]
トムさんはお料理好きなのですか?
本格中華…作ったら是非味見させてくださいね。
[楽しげに相槌を打ちながら話しを聞いて。
やがて東屋の椅子にハンカチが置かれれば驚いたように]
…私、お嬢様じゃないですから…そんなに気を遣わなくても大丈夫ですよ?
でも……、ありがとう御座いますね。
[折角の厚意は受ける事にしたようで、ちょんと其処に座り。
手際よくセッティングするトムに感心気味に見つめている。]
何だか至れり尽くせり、ですね。
[見ているだけの自分は女性としてどうなのだろう、とも思うが。]
いえお風呂ではなくて泳いでました。
…あっ…大丈夫ですか?ゴドフリー…様……。
突然声を掛けてしまいまして申し訳ありません…。
[様付けをしなくても良いと言われても、いきなり何と呼べばよいのか分からずに結局いつもどおりに。指先を押さえるゴドフリーに、反射的にポケットに手をやって]
あ…メイド服じゃないから絆創膏が…。
あの、お時間をいただきましたら取りに行って…。
[困った顔で心配そうにゴドフリーの指先を見詰めていると、ひょいと木彫りを投げ渡され、落とすまいと慌てて両手を差し伸べて掬い取るようにして受け取る。
その拍子に、代わりにぱさりとタオルが床に落ち、しっとりと濡れたままの髪の束が肩に流れ落ちた]
えっ…?辛いとは…?
[両手の中のアザラシの木彫りとゴドフリーの顔と指先を順繰りに見ながら、意味が分からないと首を傾げる]
[ ケヴィンさんが手を取ってくれた時に微笑み ]
有難うございます。
・・・と、先に、温室の方に行きませんか?
温室の中に、綺麗な花が色々と咲いているみたいですが・・・
泳ぐ前に、一緒に、のんびりと愛でたいかなって。
[...は、ナタリアの考えにはまったく気付かず、てきぱきとセッティングを終えるとナタリアの向かいの席に座った…テーブルの上には、おにぎりと、たまご焼きやから揚げ、煮物やサラダなど、ありふれた家庭料理が並んでいる]
えっと…ナタリアさんの口に合うかちょっと心配なんですが…バジルさんにも味見してもらったので、そんな変な料理にはなってないと思います。
では、食べましょうっ
いただきます。
あ、何か嫌いなものがあったら残して下さいね?
それは次の時には作らないようにしますから。
[...は、そう言いながらも、自分は手をつけずナタリアの動きに注目している…]
[ヴィヴィアンの言葉に頷く]
いいですよ。
よく考えたら、温室にはいったことが無いです。
行きましょう。
[手をつないで、温室に向かう]
では、いただきます。
[どれから頂こうかと視線が彷徨い、やがて黄金色のたまご焼きに目が留まる。
お箸でそれを持ち上げてぱくりと一口含み、ゆっくりと咀嚼する。
こくんと飲み込めば、にっこりと。]
……美味しい、です。
なんだか優しい味がしますね。
あ、好き嫌いはないですっ。
[と、言ったところでやっとトムがまだ食べていない事に気づく。首を傾げて]
……トムさんは食べないんですか?
それとも、食べさせて欲しいのでしょうか。
[先ほどと同じ要領でたまご焼きをトムの口許まで運んで、あーんして下さい、等と無邪気に微笑んでいる。]
じゃあ、プールにいたのかな?砂浜では見かけなかったから。
[少し戸惑う様子に不謹慎ながら笑みが零れてしまう。小さく咳払いして誤魔化してから指先を軽く振り]
いや、大丈夫だよ。
それよりも君と話したいから…ね?
[立ち上がると同時に切った方ではない手でゲルダの足元に落ちたタオルを拾い上げてゲルダへと差出し、首を傾げると同時に揺れる濡れた髪の動きを目で追いながら]
…うん、その話も含めて話をしたくて。
…先ずは…昨日は泣かせてしまってごめんね?
僕は…僕が君にやること全てが、君を傷つけているんじゃないかと思った。
仕事で悩んでいる君にそんなことで負担を増やしたくはなかった。
だから、君が傷つくのなら僕は近付くべきではないと思った。
…君にとって僕は…なんなんだろう…?
それがわからなくて君にどう接していいのかわからなくなる。
ただのお客様…なんだろうか?それともそれとは違うものなんだろうか。
[上はないだろう、ただのお客様以下かな?と困ったように眉尻を下げて笑い]
[温室にたどり着く。中には色とりどりの様々な花]
へー、こうなってたんですね。
私、花のことは正直って良くわかりません。
でも、すごく綺麗なのはわかります。
ちょうどあれと一緒ですね、カーラさんやナタリアさん、そしてヴィヴィアンさんが引いていた曲と一緒です。
理屈はわかんない、でも大事なとこはわかります。
[ニコニコと笑う]
[...は、予期せぬナタリアの行動にどう対処したらいいのかとまどったが、断っては悪いと思って照れながらも口をあける]
あーん。
[...は、ナタリアからのたまご焼きをもぐもぐ食べているが、緊張の為、味なんかわかっていない]
あ、ありがとうございますっ
えっと、こういう時はお返しをした方がいいのでしょうか?
ナタリアさんもあーんってして下さいねっ
[...は、お返しに自信作の芋の煮物をつまむとナタリアの口元へ運んだ]
[部屋からでて、バルコニーにて]
…ここ…で…だな…。
[ここ数日だけ、もう、届くことがないだろうと諦めていた彼女に触れ合えて。]
…それだけで、十分…、だろう…?
[恋人が急に居なくなった彼女に、何か出来ることはないか、と思えど]
…何も、出来ないどころか…な…?
[取って、代わりたい、などと、醜い自分の中のおぞましい欲望に気づかされて]
……応えてくれなくて良かった、だろう…?
[ ケヴィンさんと一緒に温室に入り、
中の色とりどりの花などを見 ]
わぁ・・・ケヴィンさん、とても綺麗ですよねっ。
私も、ここに咲いているお花の中に、
分からない品種のも、そこそこ有りますが・・・
綺麗で、その気持ちを共有する事が出来るのって
とても素敵な事かなって。
[トムが食べる様子をにこにこと見つめていたが、煮物が口元へと運ばれると――まさかお返しがくるとは思わずに一瞬固まり]
…え、えっと…あの……
[頬が仄かに朱に染まり、琥珀の瞳が揺れて。声が上擦りそうになるのを必死に堪えて少しの躊躇いの後におずおずと口を開いて、芋の煮物を口に含む。]
……。
…………これも、おいしい、です。
[やっとの事でそれだけ言うと、はにかみながら食事を続けるだろうか。]
[有難う、と彼女からの、唯一つ、自分へ投げられた言葉を胸の奥底に仕舞い込み、感謝するのは、寧ろ、自分の方。]
…今頃…ポール殿に……。
[会いに行ったと信じたい、風のように、自分の中を透り抜けて行った彼女だからと思い込んで]
―――…。
[ここに来てから久しく吸っていなかった煙草を懐から取り出し、火を点け。
*噛締める苦い味*―――……]
はい、プールに…浮かんでました。仰向けになって。いくらでも浮かんでいられるのです、私は。気持ちいいですし。…ありがとうございます。
[指先を振る様子に「大丈夫なのかな」といった表情で。拾ってもらったタオルを礼を言い受け取り、片手で髪を押さえながら]
お話…はい…。
[ゴドフリーの言葉をじっと聴きながら、何とはなしに木彫りの削り痕に視線を彷徨わせ、考える。確かにゴドフリーの言葉で、辛いと思ったものがあった。しかし全てがそうだったかというと…明らかにそれは違う]
昨日のあれは、悲しいとか辛いとか、そういう理由での涙ではないのです。なぜか流れてしまって止まらなくて。熱があったので、そのせいではないかと思うのです。
少なくともあれは理由があっての涙ではなかった…と思います。それまでに積もり積もったものが流れたのかもしれませんが、ゴドフリー様の言葉は単なるきっかけに過ぎなかったと、そう思っています。
[思わず、苦笑いが零れる。いつかは流す涙が、単にあのタイミングで流れたに過ぎない]
私にとって、ゴドフリー様が…?
[質問の意図が掴めず、首を傾げ考え込む]
…良く分からない方。
[素直な感想だった]
[周囲に咲き誇る花を見渡す]
私は仕事柄、花に触れる機会なんてほとんどありませんでした。
でも、こういうのもいいものですね…
[ヴィヴィアンの言葉に笑みを浮かべ]
そうですね。
私もヴィヴィアンさんとこういう気持ちを、時間を共有できること、幸せに思っていますよ
[しばしその時間そのものを楽しむ]
さて、次はどういたしましょうか?
[笑顔でヴィヴィアンの手をそっと取る]
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