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……そうかい、娘さんよ。
酔っぱらいのオッサン共々、随分と災難なことに巻き込まれちまったなァ……
生きて帰りたいなら……人殺しをするしかない、がな。
[ブランデーの瓶を勢いよく煽る。
瓶が空になったのを確認すると、今度は仮面を被ったスタッフにおかわりを*催促した*]
ヘェ。俺以外にも騙されて連れてこられた人が。
あのお嬢ちゃんに至っては、「売られて」きたとかね。
[自分がここに来た経緯を思うと、顔が真っ赤になる。
満月のように浮腫んだ顔が、火星のように。]
[嘲りを含んだ男の問いは、自分に向けられたものではなかったけれど。]
生きてるねぇ……。
アンタが殺したいと思うなら、俺たちは生きてるんだろうな。
アンタは、生きてるものを殺したくてここに来たんだろう?
ただ殺したいだけなら、戦場に行っちまえば良かったのに。
[嫌悪を隠すことなく、そう聞いた。
けれど、その嫌悪が男に対してなのか、自身に対してなのかは分からない。
”その手に銃を握れ”
先ほど歌っていたのは*中年女だっただろうか*。]
[ケネスの言葉には]
いいえ、だって私には自分の行き先を決める自由すらありませんでしたから。売られた者はどこに行くかなんて関係ありません。売られていった先で言われたことをする、もしそれが嫌なら・・・どうなるかは分かりません。だって言うことを聞かずに生きて戻ってきた人なんていませんから。
[そうケネスに告げた。それ以前に売られた者が帰ってくるということ自体が稀なことではあったのだがそこまでは言わなかった]
生きようと足掻かないのなら、生きる価値もない。
詰まらん。
俺が闘う意味がない……。
[少女を見詰める瞳から、急速に興味が薄れたようだった。]
[そこでギルバートの声が聞こえ返事をするかしばらく迷うも]
・・・私はこうして生きています。ある詩人の言っていたように「自分で行き方を決められない者は生きているのではなくそこに在るだけだ」という意味なら違うかもしれませんけど。
[去り行くその背中にその声は届いたのか。背中を見送った後*一息ついて傍にあった椅子に座った*]
[横合いから掛けられた髭の男の問いに、温度のない男の瞳だけが動いてそちらを見た。]
じゃあお前は生きてるものを殺したいから殺したのか。
[何の感情も篭らない、*冷静な問い返しだ。*]
[ずっとテーブルに着いていた老人は気付いた。一人でポーカーはできない。]
ぬ…。誰か暇な奴よ。暇でしょうがないから相手を頼む。
そうそう、儂が一つ教訓を教えてやろう。
――戦友は持つべきものだ。良き友であり、良きライバルであり、良き思い出であり、そして良き身代わりである。――
[そう言って座ったまま、あまりの退屈さに絶えきれず眠りに落ちた。]
生物はどうして群れを作るのか?それは簡単だ。
群れを作れば群れ自体は攻撃されるが、自分自身が攻撃される確率は下がるからだ。極端に言ってしまえば他人を身代わりにしている。
よって身代わりなど卑怯でも何でもない!当たり前なのだから!むしろ戦地での身代わりは美しい話だ!友の為に撃たれるとは、なんと美しい話だろうか!
だから、このゲームで儂と「群れ」を作る「友」は居るか?儂の気が向いたら身代わりにでもなってやろう。もちろん、逆も有り得るがな…。
儂はしばらくこのテーブルに着いている。判断の正しい者が儂の所へ来るのを待つとしよう。
[そう言って、まだ始まらないテキサス・ホールデムのテーブルに着いて*大きなあくびをした。*]
――ブウン。
――カジノ、レストラン、出場者の個室。
――ありとあらゆる場所に設置されたモニタに、キャロルの顔が映る。
『ハァイ、みなさん。ごきげんうるわしゅう。
これから、このゲームの説明をさせていただくわ。
生き残る上でとーっても大切なことを喋るから、
各自メモするなり頭にたたき込むなり、
よー…っく覚えておいて頂戴ね。』
まずこのカジノの中には、普通の参加者のフリをした
『ギャングスター』が2名紛れているわ。
彼らの目的は、『カジノを占領すること』。
夜な夜な「普通の参加者」を殺しに来るから気を付けて。
『ギャングスター』の数が、普通の参加者と同数かそれ以上になったら、そこでゲームは終了になるわ。
彼らには秘密の通信ができるように、通信機械を持って貰っているわ。『ギャングスター』以外には聞こえないようになってるから、耳をそばだてていても無駄よ。
普通の参加者の皆さんは、彼らにカジノを占領されないように、
毎日1人ずつ『ギャングスター』とおぼしき人を処刑してね。
『ギャングスター』が居なくなった場合も、ゲームはおしまいになるわ。
もちろん『ギャングスター』も殺されないように必死だから、普通の参加者さんをミスリードすることだってあるけれど……ね。そこのところも気を付けて頂戴な。
ああ、それから。
『ギャングスター』探しに、力強い助っ人が3名いるの。
ひとりは、『生きている人間がギャングスターか否かを区別できる人』。
ひとりは、『死んでいる人間がギャングスターか否かを区別できる人』。
もうひとりは、『参加者をギャングスターの夜襲から守る人』。
……どう?私だって意地悪じゃあないわ。
彼らの力をどうやって活用するかは、本人と他の参加者さん次第よ。
ああ、でもね。
『ギャングスター』の正体を知っている「普通の参加者」も1名だけ居るのよ。
彼/彼女には、基本的には『ギャングスター』の味方をして貰うわ。
いわば、「普通の参加者」から見れば裏切り者。
名付けて『ブラック・オペレーター』。
ただし、『ブラック・オペレーター』さんも「普通の人間」としてカウントされるわ。
そして、『ギャングスター』は誰が『ブラック・オペレーター』かを知らないの。
そこのところは気を付けて頂戴ね。
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