情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
[9]
[10]
[11]
[12]
[メモ記入/メモ履歴] / 発言欄へ
……参加者1名確保、ね。
しかも、ほど良いロクデナシっぷりね。
いいセンスしてるじゃない。
オーケイ。いい感じよ。
その調子で頑張って頂戴な。
[携帯電話の向こうの様子を想像して、女はクスクスと笑っている。]
―ホテル廊下―
[あらゆる機会を逃さず出演者を撮影するために、ホテル内に無数に設置されたカメラの一つが、赤いカーペットの敷き詰められた廊下を映している。
その視界を横切るように、手前から奥へと歩いて行く人影がひとつ。
綺麗に撫で付けられた明るい茶の髪、長身の、肩幅の広い背中、金の掛かっていそうな仕立のスーツが人目を引く。
確かに金は掛かっているのかも知れない。そのスーツは綺麗にダイヤ柄の紋様が浮かんだ蛇革で出来ていたのだから……。
急に足を止め、パッとその人物は振り返った。
顔を斜め上に上げ、真っ直ぐにカメラをねめつける。
粗野な――だが意外に端正な顔を歪めて見せたのは、カメラのこちら側の人間を嘲笑っているのか、それとも……
喉奥から、吐息に似た威嚇音が洩れたのをマイクが拾った。]
[女は、紫煙の先にひとつの人影を見た。
サクラとしてゲーム開始まで配置しているエキストラが作り出すざわめきの中で――強い生命力を帯びたひとりの男が歩いている。
女プロデューサーは、携帯電話の向こうに一方的に語り掛けた。]
――「アレ」が、その一人よね。
随分とキレイに仕立てたものじゃない。いい仕事してるわ。
[それだけ言った女は通話を切り、男の姿を見つめた。]
[カメラに背を向け、再び歩き出した……と見えた次の瞬間、]
[ガシャン!!]
[通りがかったボーイの手から飲み物の乗ったトレイを引ったくると、カメラに向かって投げつけた。
カクテルグラスの砕ける音、転がるトレイ。]
[雑踏の中で、カクテルグラスが割れる音がした。
そこかしこから悲鳴が聞こえる。
視線の先に居たのは、先ほどから彼女の目を惹きつけてやまぬ、端正な顔立ちをした長身の男。]
………。
[きわめて冷徹な表情で、キャロルはそれを見ていた。]
[ウェンディは細い首をこてんと傾け、ディーラーの顔をそのまま注視した。]
でもさ、貴方達にも。契約書にサインをしたあたし達ほどじゃないけど、相応の補償が出るんでしょうね。
あんた案外若いみたいだけど、借金でもあるのかしら。
なら、いっそ、出演者になっちゃえば良いのに。
[人形の様な淡いグリーンの瞳がくるりと*動いた*。]
[男は全員の注視を浴びながら、それを全く気にした様子もなく平然と立っていた。
整えられた髪をぐしゃぐしゃっと片手で乱し、濃紫のワイシャツの襟を緩める。シルバーグレーのネクタイを引き毟って床に投げ捨てた。]
[女は、長身の男が見せる仕草に思わず噴き出した。
髪は乱れ、ネクタイは無惨にも床に落ちた。一瞬だけ見せたあの「文明的」な美しい男はどこへ行ったのか、と。]
あらあら。面白いこと。
彼は……ヒトのカタチをした、何者かしら?
ねえ?そう思わない?
[ざわつくエキストラを横目に、キャロルは男の様子を観察している。]
おい。
[シーンと静まり返った場の中心で、凍りついたように立ち尽くしている傍らのボーイに、男は声を掛けた。
びくり、とボーイの身体が震え、上ずった声で反射的に返事をする。]
食い物はどこだ。
[男が浮かべた鮫のような微笑に、引き攣った営業用スマイルを返すのがやっとの有様だ。**]
[軽く夜食にサンドイッチをつまんでいると、にわかに食堂の入り口辺りが騒がしくなってきた。]
・・・なんだってのよ?
[きょろきょろと辺りを見回すと、スタッフが小声で「アレが人かよ・・・」や「化け物が!」などと言い合っているのが聞こえて]
何だか知らないけどヤバげな雰囲気ね・・・触らぬ神に祟り無しだわ。
ご退場は願えそうにないし、こっちからとんずらさせてもらいましょ。
[混乱をいいことに厨房を経由し、食材搬入口より食堂を*後にした*
[突如として上がったけたたましい女の笑い声に、目の前の愛想笑いを浮かべたボーイから声の主である女へ、男の視線が移った。
色の薄い琥珀の目をすっと細める。]
何がおかしい。
[全く無造作な足取りで女の方へ近付いていく。]
………何が、って。
[男と同じように、女も目をスッと細めた。]
くっだらない「文明」の枠をブチ破ろうとしては失敗する人間と、「文明」の枠に入っていることに心から安堵する人間が……ね。
[じっと女を見詰める視線には、奇妙な熱意がこもっている。
口の端が微妙につり上がっているのは笑っているからなのか――**]
まあ、貴方達の事なんて
──どうでも良いわ。
[まだ出演者の揃わない初日のメインスペース。客を待つディーラー達がそれぞれの賭博の為のスペースに控えている。彼等をまるで空気の様に無視して、ウェンディは歩く。
妖しく点滅するライトに照らされたカジノの奥へ、場違いな水色のドレスを纏った不思議の国のアリスは進んで行った。]
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
[9]
[10]
[11]
[12]
[メモ記入/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新