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さすがにドッジボールはないよね〜。
がはは。
[参考書は開いているけど、読んではいない。
ポーズ、ポーズ]
藍葉どのは運動神経がいいんだから、なんでもできるよ、きっと。
[もちろん合格が前提ではあるけど]
あ。飛行機雲。
[窓から外を見ると、遠く一直線に白い筋が伸びていた]
10人目、内通者 銀脇 が顔を出したよ。
内通者 銀脇 は肩書きと名前を 受験生 脇坂余一 に変えちゃったよ。
── 朝 ──
[布団の中でぬくぬくと眠って居れば、突然冷やりとした足が絡みついて来た。]
つめた!!
明美さん。冷てーよ!
[一気に目が覚めて、背中から抱き着く人を見やれば、キャミソール一枚の女性がニコニコと冷えた手を自分の腹に押し当ててくる。]
って。マジ遠慮ねー。
ほら。肩出てる。
[諦めたように溜息を吐くと、布団をもふっと被せてしまう。布団から目元を出した女性が、『今日は受験じゃなかった?』と問いかけて来た。]
あーーー……。まぁ。はぁ。
受験、ねー。
[重い顔で呟くと、上半身を起こす。冷えた空気が入らないように、布団を整えて、一つ溜息。]
受験ねー。受ける意味、あんのかねー。
[壁にかけられた2(5)中学の制服。
最終模試の結果は94%だった。
だがそれが何になると言うのだろう?]
分かってる。ちゃんと受けるよ。
学生は学生らしく、青春しろって言うんだろ?
[ガキ扱いしやがって。とは、心の中で。
女性を跨いでベッドから床に降り立つ。]
明美さん。起きたら味噌汁飲むだろ?
大丈夫だって。まだそんくらい時間あるって。
玉ねぎと油揚げ。好きだろ。
作っておくから、温めて飲んで。
んじゃ、おやすみ。
[布団の端から出てる頭を、ぽんぽんと撫でると、部屋を出た。]
[世亜比無中では、まあ、目立ってたと思う。
2年の半ばに、急に黒髪を金色に染めた。
そりゃー睨まれる事もあったし、遠巻きにもされた。
明らかに夜のお姉さんと腕を組んで歩く姿も目撃されて、恋愛経験値?は知らないが女子からの反応は22ってもんだった。
まあ、そんな中でも声かけてくれた数少ないヤツには感謝してる。言わないけど。言わないけどな。]
[それまでは学年トップクラスの成績で優等生。
そんな男が突然の豹変。
先生方からも相当心配され、何度も生徒指導室に呼ばれた。
それまでは好意的だった女生徒も、掌を返した。
それでも寄って来る奇特な女子は……
遊んでそうな子か、ちょっと変わった子か。
幸か不幸か、成績は落ちなかったので、その内髪型も黙認された。
受験前には黒髪に戻せと散々言われたが、男は聞く耳もたず、今日の今日も金色の髪をセットして、世亜比無中の制服に身を包んだ。
受験会場には、ゆうゆうと遅刻ギリギリに顔を出せばいいやとでも思って居る。]
[その後受験番号を確認して、割り当てられた教室へと入る。]
同郷に戻ったような気分だ
[大袈裟である。だがその程度には顔見知りやらなんやらがいた、一通り挨拶をしつつ番号の机へと座った]
んー?
[穂乃果につられるように窓の外を見る
青い空にチョークで線を引いたような白い筋が見えた。]
あー早く終わんないかなぁ
[これからが本番だというのに、気持ちは青い空の彼方に飛んでいきたい気分だった。**]
[ 奈那と一緒にか、ひとりでか。やがてふらりと割り当てられた教室へ。松葉杖をついて歩く姿が目立つからか、側溝に落ちた女がいるという噂が出回っているせいか、入口に立つと少しざわついていた教室が静まり返った ]
おはようございます。
[ 一緒に来ているなら、罰が悪そうな表情を奈那に向け、軽く頭を下げてから席へ。松葉杖を机に立て掛けて座り、両手で顔を覆う ]
── のんびり歩いたつもりでも ──
[己のコンパスの長さが憎いね。
気が付けばもう学校の側。
味噌汁と卵と納豆とほうれん草のお浸し。
なかなかの朝食だったが、山を眺めて歩いてくれば少々腹も減る。
お好み焼き屋が通学路にあるのを見付けると、ちらりと店を覗き込んだ。
残念。まだ準備中だ。
帰りにでも食べて帰ろうかと、心のメモ帳にメモをして。
神楼学園の門が見えると、はぁ。と、一つ溜息を吐いた。]
[ 教室にざわめきが戻る。耳に届く会話。「あの子だよね、側溝にお」「その単語は縁起悪いよ」「痛いとテストに集中できないかもね、可哀想」
同情の声に混じって嘲る声も聞こえる。「あの子でしょ、仕えている家のご子息と」「まあ、はしたない。あんな下女の相手をするご子息にも問題はありますけど」
唇からため息が溢れる。お嬢様の弟のお坊ちゃまは、幼稚園児なのだけれど、どうしてそんな噂が流れてしまったのか、見当もつかない。 ]
― 受験会場 ―
[試験開始まではまだ時間があった。
各々励むものもいたが試験当日になぜか運動してしまった...は休憩。
窓からぞくぞくとやってくる受験生の群れも徐々にまばらになってきた頃。
見覚えのある煌びやかな金の髪の同中生徒>>58がのこのことやってくるのが見えた。
元々生徒数が少なければ興味がなくとも、噂に立ち上った事柄について>>54は耳にするぐらいのものであるし、自分も染めたとかいうのは知っていた。
メールでもするかー。とおもって、カバンをあさろうとしたが、電源を再度切り忘れるのも嫌なのでやめる。という程度には交流があったか。
そうこうしているうちにやってきたようだ]
11人目、受験生 吉橋ひより が顔を出したよ。
自信ない、なぁ…
[最終模試の結果、61%。
1(5)中学の制服を着た私は、息を吐く。
鏡に写る自分の髪に、色素は殆どない。
眼の色も、この髪色も。どうやら薄い外国の血が出ちゃったみたいらしい。
自分では嫌いじゃないし、中学でもそんなに何も言われなくなったから、いいの。]
[場留多中学の制服って、後何回着るんだっけ。
そう思うと何だか、ちょっと寂しくなるかも。
長いこと電車に乗って、辿り着いた神楼駅。]
……やれるだけやるしか、ないよね。
[実力出せれば、大丈夫なはず。
手をぎゅっと握って。力を入れてから歩くことにしよう。
自信ないけど、気持ちで負けていたらダメだから*]
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