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傷病者 マイダ に 2人が投票した。
酒場の女主人 ヤーニカ に 1人が投票した。
傷病者 マイダ は村人達の手により処刑された。
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか。
暗雲が去り、まぶしい光が降り注ぐ。――全ての人狼を退治したのだ!
全てを隠す様に風が吹き抜ける
全てを清める様に雨が流れ落ちる
冷たい炎を腕に抱いて
全てを見届けた嵐は去って逝く
死の気配
血の匂い 紅を隠す様に
暫し霧が立ち込めたあと
生きる力を与える様に陽が降り注いだ
[聖母に抱かれて、命が終わる>>4:117>>4:118
憎悪の対象のはず。
それなのに、恨めない。
苦しさだけが沸き上がる。
どうしてこの結末しか無かったのか。
考えても詮無い事だろうが。]
馬鹿。
[幻影の火>>4:120に包まれるマイダに、
涙が止まらなかった**]
……なにか、作って食べましょう。
食欲なんて沸かないかもしれないけど……
[茸のオムレツは、何か理由を付けて作るのをやめておこう。
修道服の袖で顔と鉈の刃を拭いながら、心の中で呟く。]
これから……しなければならない事が、山積みですから。
[雨が上がり結社が来るまでに出来る事をしておこうと、疲労の残る顔で、ヤーニカに振り返り告げた**]
私は……
……人狼の容疑で追われていると、言いましたよね。
[当時、貧民街の住民が人狼の影に怯えていたこと。
そのために、自警団が“生贄”としての“人狼”を求めていたこと。
雇い主を死なせた自分がその生贄に選ばれ追われる事になったこと。
それが“いつ”起こったのかという、“ステビア”の存在を匂わせるようなことは言わず、ヤーニカへ告げる。]
結社員になれば……
人狼としての容疑はひとまず晴れるでしょう。
ですが……ひとを死なせた事実は消えません。
恐らく処刑されることも捕まることもないでしょうが……
けじめは、つけに行きたいんです。
[だから、自由に動けるようになったら。
まずは貧民街へ行きたいのだと、そう述べた。]
それから……
“クリスタ”も、ひとから借りている名前だから。
本物のクリスタさんが死んでいた場所に、墓標があるから……
そこに、彼女の持ち物を返しに行きます。
[特にロザリオは彼女の名を示す大事なものだ。
首から下げていたそれを外し、握りこむ。]
[もし、彼女から本当の名前は何なのかと問われれば、少しの逡巡ののち、応えただろう。
私は、シャルロッテです、と。]
マコト様……。
私、結社員になったら……
皆様の弔いを終えたら、故郷へ行こうと思うんです。
酷いところでしたけど……
もう、家族がどこに住んでいるかも忘れてしまったけれど……
……それでも、私の生まれた場所なんです。
貴方を、連れて行きたいんです。
一緒に……旅をしませんか。
[彼が答えるはずなどないと判っているけれど。
もう視線の交わることのない彼の顔を見つめながら、目を細めた*]
― 雨が上がって ―
[ほどなくして、施設の傍の土を掘り返した。
男手がないためかなり時間はかかったが、死者たちを外へ連れ出し、組み上げた薪の上に載せていく。
自分のするべき――いや、したい事をしているだけだから、負傷しているヤーニカへ手伝いを頼むことはしなかった。]
…………。
[最後のひとりを連れ出すため、娘はそのひとの部屋を訪れ、扉を開いた。]
貴方は炎は要らないと仰ったけど……
貴方が汚らわしいなんて、思わないけど……
……私には、これしかできないから……。
[そして、これからも一緒にいて欲しいから。]
[眠るそのひとへ歩み寄り、ベッドの端へ腰掛ける。
頬へ手を添えて、少しの間その寝顔を見つめた。]
――――……。
[瞼を閉じて、首を傾げれば。
くちびるを伝うものは、冷たい死の感触――]
[やがて全てを横たえると、彼らの骸が紅い炎に包まれた。
彼らへ向けられた憎悪や傷がこれで癒えるか、娘にはわからないけれど。
あのひとの村の“風習”が、少しでも彼らの救いになればいいと願った。
無論、あのひとにとっても。]
……一緒に、いきましょう。
[火が消えたあと。
あのひとのからだだけは、小さな壺の中に収めた。]
[死者たちの埋葬を終える頃には、結社員もここへたどり着くだろう。
そうなれば、恐らく施設を移ることになる。
もう、共にかまどの火を見つめることはないけれど、これからはきっと、ずっと一緒だ*]
― そして ―
いってきます。
……また、お会いしましょう。
[ヤーニカにそう告げて彼女の傍を離れてから、ひと月ほどが経つ――*]
− 礼拝堂 −
[炎は神とやらが下した審判なのか、
それともそう言う存在だったのか。
最後の言葉>>4:118は修道女には呪詛に、
自分には心臓を動かす血肉となった。]
人狼と言う化け物も信じられなかったけど、
もっと信じられない光景だね。
[その最後を見届けながら、もうこれから
何が起きてもこれ以上は無いだろうと予想が付いた。
化け物が化け物たる能力も、悲しみも、苦しみも、
そして希望も見て来たのだ。]
そうだね……。
食べなきゃ、生きていけないよ。
[疲労に満ちた修道女>>4に頷いた。
手にした包丁は血に染まってはいない。
ポタージュ位は作ろうか。
ぽつり呟いた後は、これからやらなければならない事を
成そうとする修道女の手伝いを。]
あたしは。
[この先を問われ>>5、一瞬目を伏せた。
だがすぐに小雨になってきた空を見上げ、薄くなった
雲の隙間を見つめながら口にする。]
あたしは、この力をちゃんと使えるように修行するよ。
結社が自由にさせてくれるとは、思えないけど。
[能力者が少なくなって来ていると話は聞いていた。
だからおいそれと単独で動く事は許されないだろう。
もしかすると。]
何処かで、あたしたちみたいな生き残った人達を、
選別する事もあるかもしれないね。
[籠の鳥かもしれない。
それでも生きていくと声に力を込めて。]
そうかい。
気を付けてね。
[修道女の告白とこれから>>6>>7を聞き終えると、
あんたらしいと微笑んで見せた。
彼女の真の名前等、過去などどうでもいいけれど、
彼女にとって大事ならそれは大事なものだ。]
本当に手伝わなくても良いのかい?
[死んでしまった者達を、火で送りたいと願った
修道女を止める事はしなかった。
その言葉に誰かを思い出させたけれど口にはしなかった。
ただ彼女は彼女の、自分は自分の出来る事をする。
紅い炎と煙が、天に届くのを見つめていた。]
道標、みたいだね。
[煙がまるで彼らが歩いて逝った足跡の様に見える。
無事にそれぞれが心休まる場所に辿り着けば良いと
願いながら、火が消えるまで見つめていた。]
行っておいで。
いつでも帰っておいで。
あたしは待ってるから。
[旅立つ日>>11
宿を発つステビアに掛けたと同じ言葉を掛ける。
あの時は抱きしめて送り出そうと手を伸ばした。
けれど今は、彼女を抱きしめるのは自分ではない。
彼女を抱きしめる相手は彼女の傍にいるだろうから。
代わりに箱を差し出した。]
アップルパイ。
悪くならないうちに食べとくれよ。
[笑顔と共に押し付けた餞別のパイを
彼女がやはり笑顔で食べてくれる事を願いながら、
手を振った*]
[新涼を感じられる季節へ変わったとはいえ、早く食べないと悪くなってしまう。
立ち寄った小さな村のベンチに腰掛けて、胸元へ大事に抱いていた壺を膝の上に置いて。
肩にかけていた大きめの鞄から箱を出して開けば、甘酸っぱい香りが鼻腔をくすぐった。]
……貴方と、一緒に食べたかったです。
[本当に自分はこればかりだ。]
ちゃんと、かえります、ヤーニカさん……。
だから、待っていて……。
[一切れぱくりと頬張れば、瞼をきゅっと瞑った。
涙が出てきたのは、きっと、少し酸っぱかったせいだ*]
―雨が上がって―
[燃え上がる炎の中から雨上がりの空を見上げる。
朝焼けのような色が周囲を照らし、煙が遥か彼方へと昇っていく。
熱さは感じない。
炎は冷たい身体を包み、傷も、憎悪の痕跡も、全てを灰へと還していく。]
炎は穢れを浄化する。
[今まで幾度も見送ってきた光景だ。]
……でも、俺にいらない。
[ふわ、と風に炎が揺れた。
天に上ることなく、男の亡霊は炎の外へと出る。
そこには、生き残った二人の姿。
部屋での事を思い出して、ほんの少し視線を惑わせるけれど。]
一緒にいきましょう。
[約束通り男は彼女の傍らに。]
― 旅立ちからひと月 ―
[修道服でなく一般的な民族衣装に身を包み、ゆるめの三つ編みにした長い青銀の髪を揺らす娘は、ある場所の入口で足を止めた。]
人狼騒ぎは収まったと、結社の方は言っていたけど……
[少しは治安もましになっているのかなと呟きながら、足を踏み入れた先は貧民街。]
― 貧民街 ―
[人狼の存在を捏造した自警団は、いつの間にかお縄についていたようで。
自分の罪状は雇い主を階段から落としたことの一点になったけれど、自分を追っていた自警団とは別の男達から「わざわざ出頭してくる奴なんて他にいねえよ」と笑われ、適当な事情聴取を受けるだけに留まり、すぐに返された。
殺人が日常茶飯事の貧民街において、故意でない人死になど取り上げる価値もないということか。]
また……
――して貰えなかった、のですね……。
[自ら――――ことは赦してもらえない。
けれど、他者の手によるものであれば。
どこかに抱いていた淡い期待は、あっさりと打ち砕かれた。]
……あそこで、働いていたんです。
今は、別の施設になっていますが……。
[覚えのある場所へ来た事に気づき、眉を潜めて壺を抱く手に力が篭った。
娼館だった建物は、賭博施設となっていた。
主を失い、瞬く間に廃れたのだろう。
自分が人狼として追われることになった際に自警団と口裏を合わせたらしい元の同僚たち>>1:95,>>3:27も、今は誰もここにはいない。
職を失い散り散りになったのか、自警団と同じようにお縄についたのか。]
[また、この街のどこかで、医師>>0:134が仕事を辞めたらしいという話も耳に入った。]
[以前と変わらない様子の貧民街は、けれど娘を取り巻いていた環境はすっかり変わっていた。]
「きょうはかわいいおようふくかってくれるんでしょ?
パパ、ママ、はやくいこうよ!」
[住んでいた場所は忘れてしまったけれど、賭博施設を避けながらなんとなく街を歩いていれば、若い夫婦の手を引っ張りながら無邪気に走る幼い少女とすれ違った。
どこか、幼い頃の自分と似ている気がした。
――あの子が闇へ沈みゆく事がありませんように。
親に愛されているであろう少女が、自分と同じ道を辿らないように祈った。
親の愛が憐憫でないことを祈った。
修道女を騙っているうちに、祈ることに慣れたのだろうかと内心苦笑しながら。]
[一瞬、夫婦の男の方と目が合った。
青銀の髪の男は、娘と同じ色の眸をしていた。
男はすぐに気まずそうに、目を逸らしたけれど。]
…………。
もう……里帰りは終わりました。
……行きましょう、マコト様。
[壺を指先で撫でると、これ以上ここにいる意味はないだろうと、貧民街を後にして、いつか昇った山道へと*]
[男だった。
火事場泥棒だろうか、賊だろうか。
いや、きっとどちらでもないのだろう。
あのひとが共にあるなら、きっと外敵に襲われることはないのだろうと、鞄の中へ一瞬ちらりと視線を移して、男へと戻した。]
あの……
どうされたのですか。
[声をかければ、男は旅人である女性を捜しているのだと言った。
聞いた女性の特徴は――自分の知るひとと、非常によく似ていた。]
その方は、生きています。
この村でも、次の場所でも、多くを失いましたが……
……それでも、強く生き続けています。
[場所を教えましょうかと尋ねたけれど、本当に知り合いである保障のない自分に軽々しく教えて良い事ではないのだろうと、男に断られた。]
私も旅の途中なので、ご一緒することはできませんが……
貴方がその方を強く求めれば、きっと、また逢えます。
[礼を言って村を後にした男を、娘は小さく手を振りながら見送った。]
……強く、求めれば……。
[男の姿が見えなくなったあと、娘は酒場の前で少しの間座り込み、ぎゅっと壺を抱いた。
項垂れた娘の表情は誰にも見えないけれど、その背は小刻みに震えていた*]
―旅立ちからひと月―
[ふと気が付くと見知らぬ景色がある。
亡霊というものはぼんやりしているものらしい。
彼女に話しかけられれば、その独り言に相槌を打つし。
無防備な状態の時は、意味がなくともあの雨の日のように見張りもする。
それでも、記憶はどこかぼんやりと途切れ途切れだ。]
[人混みの中、たまに視線を感じる事がある。
誰かはわからない。
霊能者と呼ばれる存在なのかもしれない。
話しかけられる事も、話しかける事もなく、きっとそういうものだと思っている。
憑狼のような『声』はあれから聞いていない。]
[ヤーニカの居たという村を訪れた時もそう思う。
生き残ったあの人を探す旅人を見送って、肩を震わせる彼女を抱き締めることだって出来はしない。]
……。
貴女を、苦しめるばかりですね。
[すいません、久しぶりの謝罪の言葉は亡霊の耳にも音として聞こえなかった。*]
― 森の中 ―
[あれからまた、数ヶ月。
かつての自分の足跡を辿りながら、老いた女性を埋葬した跡を見つけた。]
これ……お返しします。
クリスタさん。
……名前を奪ってしまって、すみませんでした。
ゆっくり、眠ってください……。
[修道服を墓前に置いて、ロザリオを墓標へかけた。
するべき事は終えられた。
同時に、“クリスタ”を返上した娘は。]
……これからの私は、シャルロッテ……
[自分だけの名前。
そしてあのひとへ向けた名前を噛み締めるように呟く。]
― 雪のちらつく季節になって ―
[無人となった村へ、再び足を踏み入れた。
白い吐息は、煙のようだった。]
[今でも鮮明に思い出せる。
自分が殺した人、犠牲になった人の顔を。
怨嗟を。罵声を。叫びを。懇願を。
それでも。]
……貴方が守ってくださっていたから、私……生き抜くことができました。
[人間の手から。人狼の爪牙から。
そしてぶつけられた声から。
直接庇われることはなくとも、自分はひとりきりではないのだと感じられたから。
最後まで折れることなく、生きることができた。]
[あのときは、彼がいた。
視線が交わることはなくとも。
確かに彼は最後までそこにいた。
けれど、今は。]
……どこに、いるのですか、マコト様……。
[雪を踏む音は、ひとりぶん。
一緒に行こうと呼びかけた相手は、今、近くにいるのだろうか。
わからない。
娘にはその存在を見ることも、聞くことも、感じることすら。
いつもいつも、虚空へ向かって呼びかけているようで。
今の自分の言葉だって、単なる独り言に過ぎない気がして。]
応えて……
応えて、ください……!
[村の中心で叫んで、その場に膝をついた。
柔らかな雪が、動こうとしない娘の肩へ積もっていく。]
ヤーニカさんは、一緒に生きようって言ってくれて……
キリクさんだったひとに、自ら命を絶つなって言われて……
……生きようと思った。
貴方が近くにいると思えば、生きられるんじゃないかって……
でも、だめなんです……
私には、貴方の存在がわからなくて……
こうやって話しかけるたびに不安で、逢いたくて……触れたくて。
私は……
あのひとたちの期待に応えられるほど強くないし、優しくもない。
あのひとたちを……貴方を裏切って、死にたいって、ずっと思ってる……
最低な人間なんです……。
どうして貴方は死んでしまったんですか……
どうして死なないといけなかったんですか……
どうして私は生きているんですか……
貴方のところへ行くことを赦されないんですか……
[生きようと思ったのは、騒動の終わりまでで。
それ以上、生きるつもりなんてなかったのに。
死に往くひとのことばが、
生きると決意したひとのことばが、
自分に死ぬことを赦してはくれない。]
……私は、充分貴方に守られました。
でも……貴方がいなくなってまで、守られたくはないんです。
[この呪われた人生も、貴方に出会う為だと思えば幸せなものだ。]
[けれど貴方と別れる為にあったというのなら、やはり私の人生は呪われている。]
[あのとき彼が裂いたものは、彼自身の首筋だけじゃない。
身は守られても、心はずたずただ。]
[空を見上げる。
顔の上へ雪が落ちても、止めどなく頬を伝う熱いものが溶かしていく。]
貴方には今、私の目が見えていますか。
私には……貴方の目が、見えないんです……。
[吸い込まれそうな黒の眸と交わったとき。
その瞬間だけは通じ合えた気がしたのに、すぐに彼は手の届かない場所へ行ってしまった。
視線が交わることも、なくなってしまった。]
……マコト様……。
どこかで見ていてくださっているなら、
私を、連れていってください……。
[浄化が貴方の役目だというのなら、
私は、貴方に抱かれて逝きたい……*]
− それから −
[結社所属の占い師によって人間証明された後は、
新たな能力者としての一歩を踏み出す事になった。]
あたしは、あたしの力は悲劇も希望も生むだろうけど。
それでも少しでも多く生き残る者も生みたいんだ。
[占い師は真っ先に狙われる対象。
人狼の憎悪の対象。
人間も人狼は憎悪の対象だが、今はまだ憎み切れなかった。]
[大事な存在を根こそぎ奪われた。
だが、もしかしたら人狼も同じなのかも知れない。
言葉も通わぬ存在なら憎めただろうにと思わずにいられない。
人間にも人狼よりも恨みを買う様な者もいるだろう。
人間同士で殺し合いもする。
それよりももしかしたらマシなのかもしれない。
本部に連れて行かれ、能力者として
力をコントロール出来るように訓練を重ね、
人間と人狼の戦い、どれだけ人狼が恐ろしい存在かを
学ばされるうちに、そう言う思いが強くなった。
ただどちらも生き残りたいだけ。
そして自分が人間なだけだ。]
クリスタ、元気にしてるかね。
[能力を持たぬ結社員は地方に向かい、
人狼の情報を得るための旅を続けている。
一方で自分は安全な場所で守られて。
それがとてもとても苦痛だった。
この手を綺麗なまま大事にされる事が。
結局手を汚す事も無く、聖女に命を抱かせてしまった。
彼女は今、何処の空の下にいるだろうか。
風が冷たくなれば、喉を痛めていないだろうか、
身体を冷やしていないだろうか。
暑くなれば体力を消耗していないだろうか、
誰か悪漢に襲われていないだろうか。
そんな事を考えながら日々を過ごしていた。]
[派手な髪は黒く染め、身を飾る物は無くローブを纏う。
ある程度力を使いこなせるようになると、
珍しく人狼騒動から取り残されたような
平和な支部で過ごす事が出来た。
身を案じながらも結社員として働けるか
テストのようなものだったのだろう。
だが、残念ながらそこで結社員として振る舞った覚えは無い。
そこだけは本当に平和で、
何も知らない昔へ戻ったようだったから。
その日々は自分でも判らないほど傷んでいた心を癒してくれた。
笑って、泣いて。
自分より年上の男性や、年下の結社員達に囲まれて
薪を割り、料理を作り、怠惰な連中がいれば喝を入れ、
少女には化粧や縫物を教えて、その成長に目を見張る日々。]
[こんな暮らしが続くならこのままここで死んでも良いかと
思っていた。
勿論長く続く筈は無かった。
2年持たずに本部に連れ戻され、人狼騒動に駆り出される。
幸い優秀な狩人もいた。
あの支部から才能を見出され、修行し、
ある意味パートナーとして行動するようになった狩人。
彼のお陰で命拾いする事も多く、
比例して人狼を退治する結果も生んだ。
徐々に地位が固まりつつある中、
幹部達の話を聞いてしまった。
嘗て心を癒してくれたあの支部に、
再び憑狼が混ざり込んでいる。
あの地区に人狼騒動が起きないのは、結社に憑狼が
入り込んでいるからだ。]
―― 支部ではないどこか ――
ねぇ……お兄ちゃん?
――違う。
ねぇ……ランスさん?
――違う。
ねぇ……『おにいちゃん』?
――違う。
[亡霊となって分かった事は、意外と死んでしまったモノ達の霊が残っているというい事だ。
故に、最初にやると決めたのは、死んでしまった所縁のある人達を探す事。
もっとも、それも難航しているけれど]
もしかしたら、もう……。
[亡霊も、やり残したことが無ければ成仏して消えるという。
なら、彼らも成仏してしまったのではないか。
未練たらしく探している私の方が異常なのではないか。そんな思考さえ芽生えてくる]
会って……話をしないと。謝らないと。お礼を――言わないと。
[兄には今までの事を話したり、ランスさんにはもっとよく話して謝ったり、『おにいちゃん』には……狂ってしまった時、私の事を偽りとは言え兄として接してくれたことは事実。
だから――彼にもお礼は言いたかった]
――どこかにいるかな?いるよね。
[ただの願望となっている呟きをしながらも、彼らを探すことをやめない。
時折見かける亡霊に話を聞きながら、やがて当てもない旅の終着点へと至るのは69年後の話]*
―季節は巡り―
[真っ白な空から、まるで灰のような冷たい雪が散り落ちる。
旅を続けた彼女はその村へと足を踏み入れた。
最初の犠牲者の見つかった場所は白に覆われ。
木に吊るされたロープは千切れ跡形もない。
ぽつぽつと住人の居なくなった建物を遠目に見て。
歩き慣れた小道のあった筈の場所を進む。
そして、辿り着くのは最初に出会った場所。]
[応える声は、聞こえなくて。
触れる感触も、わからなくて。]
――――っ、く……
うぇ……っ ひっく…………
…………ふ、っ……ぁあ……
……うわあぁ……ん
……マコト様……マコト様……
マコト さま ……。
[顔がぐしゃぐしゃになることも厭わず、天を仰いだまま娘は泣いた。
彼の名を何度も呼びながら。]
嬉しかった、のに、
貴方に嫌われてる、って思ってた、から
汚らわしいと思わない、って言って、くれて
……守られてる、って解って、
嬉しかった、のに……
……なんで、貴方は、
手の届かないところへ行ってしまったんですか……!
私のきもちも、聞かないで……!!
[涙と一緒に、あらゆるものが噴出してくる。
彼のことばも、また呪いのひとつだ。
この村での一部始終を知っている彼からのことばは救いだったのに。]
……綺麗だと、思ったんです。
汚らわしくなんてない。
処刑を引き受けて、罵られても、生きようとし続ける貴女は、綺麗だったんです。
酷い事を言う皆や。
何もしない俺の方が。
ずっと汚らわしくて……だから……。
[生きてくれ。
呪いだと知っていて願った。
それでも白い景色が滲んでいく。]
…………だめ。
[聞こえているのか、いないのか。
半ばうわごとのように、否定の言葉を口にする。]
[けれど冷えたはずの身体は少しだけ温かいような気がした。]
私を苦しめた……罰です。
ちゃんと、言って……。
[抱えた膝から顔を上げる。
青の眸に映るものは雪景色か、それとも。]
……一緒に居ましょう。
此処で待っていますから。
[そして、もう一度。
抱き締める様に、その場に縫いとめる様に、冷たい身体に腕を回した。*]
マコト様……
夢でも幻でも……ないのね。
貴方……なのですね。
ここに、いるんですね……。
[あの日から消えてしまった温もりは、確かにここにあって。
腕を伸ばせば、ほら、あのときなにも掴めなかった手はその背を捉えている。]
ひとを好きになる資格なんてないって思っても……
生きないとって思っていても……
止まらなかった……
貴方に逢いたくて、たまらなくて……
……貴方が、好きです。
一緒にいてください、マコト様……。
[泣き笑いの笑みを浮かべる。]
[いつの間にか、自分を支配するものは温もりだけで。
雪と空気の冷たさは、もう、感じなくなっていた。]
[ヤーニカさん。
ごめんなさい、こんなのずるいって思うけど。
往ってきます。
貴女のところへ、きっと還ります。
――また、会いましょう。*]
[初めて触れる温もりを、感触を感じた。]
ええ。
ずっと、此処に居ました。
ずっと。
これからも。
俺は自分勝手な酷い人間です。
結局、貴女を引きずり込んだ。
[隔たれた距離が無くなる。
その意味は理解している。]
……貴女は誰よりも綺麗でした。
貴女が好きです。
ずっとそばに居ます。
[泣き笑いの綺麗な笑顔に、笑いかける。
この両腕は何一つ守る事をしなかったけれど。
今は再び強く、強く彼女を抱きしめた。**]
いいえ……いいえ。
酷いのは……私です。
結局、私は貴方を裏切った、から……。
[直接言われたわけでなくても、生きることを願われていたのは感じていて。
こうなることを選んだのは自分の我侭だ。]
[やっぱり自分は酷い人間なのだろう。
それでも嬉しいと、思ってしまっているのだから。]
……貴方はひとつ、嘘をつきましたね。
私を浄化できるものは……炎じゃなかった。
[向けられた彼の笑顔を、同じ表情で見つめる。
ああ、なんて綺麗なのだろう。]
愛しています。
これからもずっと、貴方だけを。
[抱きしめる腕の温もりを感じながら。
強くその背を抱きしめ返した*]
[春が訪れた頃。
亡んだ村の中で、行き倒れらしい若い娘が発見された。
娘は何かに守られていたかのように、傷つくことも痛むこともなく。
小さな壺を大事そうに胸に抱き、柔らかな笑みを浮かべながら、眠っていたという**]
− 決意 −
[真実か否か判らぬ噂を聞いた夜は一睡も出来なかった。
自室に戻らず、偶像の神の姿を掲げた礼拝堂で1人佇む。]
……キリク。
あんたは、何を祈ってたんだい。
同士の繁栄、人間への憎悪、それとも。
……いや、あんたが祈っていた神は……人狼の神なのかね。
[人間と同じように、人狼を見守る神もいるのだろうか。
それを人間は悪魔と呼ぶのだろう。
それを知る術は永遠に無くなったけれど。]
キリク……あんたなら……仲間を活かす為に
全力を尽くすかい?
自分が生き残る為に仲間を犠牲にするかい?
[敵である人狼達が引き起こした騒動の数々を思い出す。
仲間を生かす為に、自ら命を捨てた人狼もいた。
知れば知るほど、憎悪だけで埋め尽せない自分がいた。]
あたしは……人間だよ。
[磔刑になった聖者に祈る事も無く、
今まで関わって来た者達を思い出す。
諦める者、足掻く者、抵抗する者、狂う者、嘆く者。
皆人狼騒動を知らなければ、苦痛を抱いたままの
笑顔を浮かべずに済んだ筈だ。]
あたしは人間だ。
あの人達は結社員で、
人狼と戦わなければいけない人達だけど。
知らずに生きてくれるなら、それが一番いい。
だから。
……あたしと、一緒に行ってくれるかい?
[白々と夜が明ける頃、決意と共に立ち上がる。
そして決意を礼拝堂の扉の傍に立っていた男に告げた。
男も静かに頷いた。
あれは彼にとっても守りたい場所なのだ。]
ありがとう。
心強いよ。
[それから間も無く、本部から占い師と狩人が消えた。]
− 旅の途中 −
[本部に気付かれる前にと急いでも、支部までは道程がある。
途中で寄った市場で、それは起きた。]
……え……あんた?
[髪の色も違う、アクセサリーや派手な化粧も無い
ローブ姿の女を酒場の名で呼ぶ声がした。
もう知る者はいないはずの名に、顔を上げた先にいた
男の顔を見てしまったと思ってしまった。
こんな時に再会するなんて。
生きて再会出来るなんて。
結社員となった今、他人の空似で終わらせるべきだったのに。
出来なかった。
人目もはばからず抱きしめた身体は逞しく、
何1つあの時と変わっていない愛した男の腕に
忘れていた涙が溢れ出す。]
ごめんよ。ごめん。
あんたの所に行けなくてごめん。
[言いたい事が山の様にあるのに、言葉に出来ない。
ただ謝罪の言葉だけが、それこそ山となれと積み上がる。
生きてくれてさえいれば、それで良いと
男は言ってくれた。
そしてあの娘の言った通りだとも。]
……クリスタが……?
あの村に……。
[話を聞けば酒場のあった場所で1人の娘に出会ったと言う>>37
それがクリスタだと気付くのに時間は掛からなかった。
あれから逢えてはいない。
それでも何処かできっと生きていてくれると信じて、
それだけは祈っていた。]
ごめん……ごめんよ。
あたしは、もう……一緒には生きていけない。
あたしはあたしにしか出来ない事があるって知ったから。
だから……あんたと、同じ世界には生きていけない。
[あれだけ年月を経ても変わらなかった男は、
それでも共にと言ってくれた。
その言葉とその手に縋ってこのまま消える事が出来たら。]
でもあたしは、見殺しに出来ない人達がいるんだ。
その人達を助けないと、あたしはあたしを許せない。
[宿で離すまいと握られた手の力に負けぬよう、
握り返して男を見つめた。
男も真剣な目でこちらを見ていた。]
これが、終わったら……あんたの所に戻るから。
必ず戻るから……。
[震え出す手を止める為に、男の首に縋り付く。
それが合図の様に寝台が2人分の体重を受けて軋む音を立てた。]
ねぇ、あんた。
あの子はいなくなったけど、あたしに不思議な力をくれたんだ。
だからもう一度力を頂戴。
あたしがあんたの所に戻る為の力を。
[生きる為の力を、希望を願い、男に囁いた。]
―― あれから終わりまで ――
[亡霊となって60余年。その間に数々の村が救われて滅んでいったのを見た。
もしかしたら見覚えのある人たちを、どこかで見かけたことがあるかもしれない。
彼女たちに私の姿など見えないだろうけれど、どうか幸せになりますように]
ねぇ……お兄ちゃん?
――違う。
ねぇ……お兄ちゃん?
――違う。
ねぇ……お兄ちゃん?
――違う。
ねぇ……。
[もう、後 話すべきは兄のみ。
だがそれも見つからない。
諦めるべき?妥協するべき?無かったことにするべき?]
――無理、かな。
[そう簡単に諦められたら、きっと私はあの時狂っていなかっただろう。
心のどこかで諦めようと思っても、奥底で諦めていない限り成仏できることはない]
ねぇ……どこにいるの、お兄ちゃん?
[もう年月を数えるのも忘れてしまった。数える意味もなくなっているから。
次で最後にしよう、次で最後にしよう。そう思って、一体いくつの村を何度も回ってきただろうか]
――もう……むりなのかな。
[最近、自分の意識が最近希薄になってきた気がする。この意識が亡くなった時、私は無くなるのだろう。
どういう形になるかは置いておいて]
……?
[また新たな村に立ち寄った時。
ふと、子供たちが遊んでいる声が聞こえた気がした。
なんとなく気になったので、声のする森の方へ向かっていく。すると]
『おにーちゃーん、まってよー!』
……あ。
[昔、とても懐かしい日々がそこにはあった。
妹らしき女の子と、その兄と――その友人だろうか。
3人で森で遊ぶ姿があった。
一人一人の顔ぶれは違うけれど、私には、それが昔の再現のように思えて]
――お兄ちゃん、私、幸せだったんだよ?
例え、ずっと前からお兄ちゃんが人狼でも、お兄ちゃんはお兄ちゃんで。
私は、楽しくて……。
[子供達が遊ぶ姿を目にしながら、一人ごこちる。
遊ぶ姿の先に兄がいるような気がして]
だから、ずっと言いたかった。
ありがとう、って。
[兄をこの手で殺した日から、ずっと言えなかった一言。
それが、自分をこの世に押しとどめていた。
これだけは、これだけは言わないといけない気がして。だから]
……もう、時間、かな。
[自分の体が消えていくのを感じる。
ただの自分の幻想かもしれない。だけれども、兄に伝えられた。
そう、思えたからこの世から消えていく]
――あなた達は、そのまま幸せに、ね。
[薄れていく意識の中、仲がよさそうな3人を見やりながら、願望を。
果たせなかった私達の代わりというと変な話だけれど、そう願った。
私達のような話は、私達だけでいい]
[細めた青の眸で、黒の眸を覗き込んで]
生まれ変わった先でも、私は貴方に恋をします。
何度でも、貴方に恋をします。
……愛しています、マコト様。
[囁いて、くちびる同士をそっと触れ合わせた**]
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