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流石。
[呟く。見ればキャスターの周囲に巻き上がる風・風・風。流れを生み出し、うねり、質量で持って押しつぶそうとする石の掌を押し返し、砕き、吹き飛ばす。]
――解った。この生涯の最高傑作をお目にかけよう。
[>>445出し惜しみと言われ。全力を乞われ。ミケランジェロは高らかに右腕を掲げ挙げた。]
魔力を貰うぞ、ラギ。
[高く掲げた右腕は破格の魔力を汲み上げる。
その魔力は絵筆となりて、廃墟の天をひとつのキャンバスとして染め上げていく――。]
……聖杯が破壊されると、住人が解放される?
それ、その片翼が言ったの?
その解放って、まさかこの町から生きて出られるようになるってこと?
この塔に囚われた魂の解放……つまり、ただの死人に戻る、というわけではなくて?
[この町は一度消滅している。ここはその再現だと思っていた。
だからここの住人はみな死人だと、そう思っていた]
―2F―
[ぶつかり合う気配だけでない。
もうひとつ――居る。]
――――……
[何事か呟き眼を伏せたは僅かの間。
変る空気。吟遊詩人の視線は戦場へ――ものがたりへと、注がれる。]
[天に描かれるは創世記。
システィーナ礼拝堂。その天井に描かれたミケランジェロ・ブォナローティ屈指の最高傑作。
三種九面で映される聖書の物語が具現化する。]
[天地創造――光と影が分離し、太陽と月と植物が生まれ、世界は大地と海とに分かれた。神の七日の物語。
光は雷となって迸り、影が漆黒の刃となり奔り、火球が、月光の矢が、弾き出された植物の種子が。そして大地より火山弾、海より飛沫が、その全てが降り注ぐ――。]
[アダムとエヴァ――神がアダムに手を差し伸べ、アダムのあばら骨からエヴァが創られ、そんな二人が禁断の実の味をしり楽園を追放される物語。
悲哀と、後悔と、落胆と。死を待つ人の絶望が重く、重圧となって圧し掛かる――。]
[ノアと洪水――地上の生物と共に方舟に乗り人の子の世へと生き延びたノアの一族の物語。
濁流が、天よりキャスターを飲み込まんと唸りを挙げた――。]
わっ!!
[いきなりだった、親方が声を上げるのと同時にもの凄い勢いで体の中から魔力が奪われて行く…
気丈にも悟られまいと、必死に歯を食いしばり足を踏ん張り、声を出した。]
親方っ!頑張れーーーーーーーーーーーーー!!
[声が届いたかは定かでない。]
そうだと思うけどな。
さて、組んでるわけでもないのに、延々と立ち話ってのも変か。
じゃあ、俺たちはこの辺で失礼するぜ。
[パピーはヘイスレクと共にその場を*はなれる事にした。*]
例えばだ。
ここで一度、武功を挙げたとしよう。
確かに、貴君は束の間の栄光を得るだろう。
だが、――これは互いの世界を賭けた戦いでもある。
強き者が生き残るのではない。
敵の大志を、自らの大志で圧倒した者のみが生き残る。
――目先の小細工では、決して届かぬものがあるのだ。
アルフレート。
[ランサーは、眼前に繰り広げられる天地の創造を見る。
知識には無くとも、生命である限り揺さぶられる魂の根幹。
あらゆる地獄と、絶望と、――世界の始まりを描くその力は。]
でも、町の住人の命に見合うかどうかなんて、今更だな。
そもそも、破壊をしたら住人の命が戻るなんて、眉唾物じゃないの。
……その片翼のサーヴァントは、何でそんなことが言えるんだろう。
[呼び出された側ではないのか]
ひょっとして、ずっとここにいた、とか?
……なんという……
[知らず、声に出た。
聖書に縁深き時代のクレティアンが知らぬはずはない。
彼女があの奇妙な交流でほろりと零した「天井画」
――嗚呼、天井などで収まるものか。
空をもってして余りある。]
……――天地創造を、この眼にする日が来ようとは
[聖杯に懸ける願いなど無かった。
そんなものを持ち合わせるほど、大切な何かを持つ人間でもなければ、志の高い魔術師でもなかった。
聖杯戦争に参加した理由は、他にどうしようもなかったからだ。武勲でもなんでもよく、とにかく手柄を立てて大成すれば、何かが変わるかもしれないと縋ったからだ。
だから、聖杯を破壊することに抵抗はない。
そのはずだった]
……意味分かんない。
ここの人たちは、死後つかの間の幻を見ているんじゃないの?
[竜と少年の組み合わせが去れば、残った兄里の方へと視線を向ける。
かつて聖杯戦争に参加し、令呪を剥ぎ取られた過去を持つマスター。聖杯への願いを持つ者]
死人に戻るのは、ありそうだな。
……管理人さんでも把握していないことをそんな風に言えるって言うのは、ここの仕組みをわかってるって事だよね。
片翼の、サーヴァントか。
[気をつけていこう、と思いながらいなくなる少年と竜を見送る]
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